103 善と悪の果実
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嗚呼、永遠など、この世にあるはずもございません。
(*23) 2012/09/26(Wed) 21時半頃
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"――――――…見ていた。"
例えば自室をそっと抜け出した、赤い蝶を携える少女。
例えば人の気配のない大広間、闇夜に紛れた一羽の烏。
(*24) 2012/09/26(Wed) 21時半頃
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"蛇"は警備を誘惑し、甘い甘い毒を盛る。
きっと哀れな被害者は、今朝には何の記憶もない。
舞台さえ整えれば、劇が始まると知っていた。
(*25) 2012/09/26(Wed) 21時半頃
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[どんな喧騒の中であったとしても、 彼の声を聞き落とすことはないだろう。
歩みを止めて緩やかに振り返る。蝶も、共に揺れる]
――――…おはようございます。
オスカー君。
[大事件が起こった後だというのに、 浮かべる微笑みは何一つ変わらない。 今のざわついた楽園の中では、 ともすれば学者の方が"異質"であるだろう]
昨日はよく眠れましたか?
[穏やかな眼差しのまま。 その問いかけの意味は、一つではない]
(49) 2012/09/26(Wed) 22時頃
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――――…いいえ。 貴方の邪魔はしないと、言ったでしょう?
[すぐ目の前に迫る彼の姿。 告げる声は内容とは裏腹に、いっそ懐かしさすら滲ませて]
嗚呼、オスカー君でもないのですか。
…残念ですね。 もしそうならば、一目近くで見させてもらえるように、 お願いしようと思っていましたのに。
[ねえ、とのんびり首を傾ける仕草まで、 昔と何一つ変わらない]
(58) 2012/09/26(Wed) 22時半頃
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見に行きますか? 蛻の殻へ。
[並ぶ二人の姿。緩く視線を向けた先は、大広間]
何か手がかりがあるかもしれません。 果実泥棒の足跡さえ見つけることが叶えば、後は――…。
[ただ、にこやかに]
(59) 2012/09/26(Wed) 22時半頃
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……おや、本当ですか。お揃いですね。
[本当に、それは"一回きり"で済むものなのかと。 頭によぎったそんな言葉は表には出さずに。 だって、きっと彼もよく分かっているだろうから]
それなら約束です。
私(わたくし)が林檎を見つけたら、 オスカー君に見せてあげます。
オスカー君が林檎を見つけたら、 私にも見せてくださいな。
[果たして、この世界に。 …彼と自分の生きる世界に、 約束という言葉以上に脆いものはあるのだろうか]
(67) 2012/09/26(Wed) 23時半頃
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――――…グロリア様も、お亡くなりになったと。
ええ、そうですね。 確かにお屋敷の方が仰っていましたね。
[オスカーが歩き出せば、 そのやや後ろを従うように付いていく]
大丈夫ですよ。 そう焦らなくとも、林檎は楽園からは逃げ出せません。
ふふふ。
[犬歯を剥きだす姿を横目に見つめ、肩を揺らした]
(68) 2012/09/26(Wed) 23時半頃
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それに、もっと簡単な方法もあります。
怪しい人を"全て"壊してしまえば、 林檎は自然と自分の手の中に転がり落ちますもの。
[そしてとても良い思い付きだと言うように、 無邪気に笑ったのだ]
(69) 2012/09/26(Wed) 23時半頃
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―大広間―
ええ、約束です。 ―――…其れならこれが、初めての約束ですね。
[オスカーの言葉に、 子供のように"あの頃"のように、くすくすと笑う。 嗚呼、瞳の奥の暗色まで、それはあの頃のそのままに]
みんなみんな、いなくなってしまったら。 果たして林檎は何処へ行くのでしょうね。
…ふふふ、でも、私はオスカー君は壊しませんよ。
[にこりとしたその表情を、彼が信じてくれるとも思わないが]
(141) 2012/09/27(Thu) 21時半頃
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とっておきが欲しいなら、 今夜、私の部屋へおいでくださいな。
特別の処方を差し上げましょう。
[黒い蝶は広間の薄明りに照らされ、鈍く光る]
(142) 2012/09/27(Thu) 21時半頃
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―大広間―
[やがて姿を現した小さな少女。 この場の緊迫した空気の中、 発せられた言葉に少しだけ肩を揺らした]
――――…御機嫌よう、レディ。
[許されるならば一度、 彼女の髪をさらりとあやす様に撫でて]
この騒ぎでは、お疲れでしょう。 何か温かい物でも用意してもらいましょうか。
(144) 2012/09/27(Thu) 21時半頃
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[少女へ触れる仕草は、まるで少し歳の離れた兄のように。 慌ただしい様子の使用人へも、臆することなく注文を。 温かいパンとスープを用意するようにと]
そうですね。予測のつかない事態ばかりですから…。 皆さん、混乱なさっているのですよ。
レディ・ポーチュラカ。 むやみに近づいてはいけませんよ。 貴女様がお怪我をしてしまいます。
[何処までも穏やかな声をかけながら、髪を揺らす]
……おや。
[しかし喧騒がより大きくなり、 その中心の男たちが本格的に争いを始めれば―――…]
(147) 2012/09/27(Thu) 22時頃
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ふふふ。 いけません。
あまり恐ろしい物を見ると、 今夜眠れなくなってしまいますね。
[戯れにも似た様子で、そっと少女の眼を両手で覆い囁く。 もっとも力のこもっていない其れは、 簡単にどかすことができるだろうけれど]
(148) 2012/09/27(Thu) 22時頃
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[警官が去った後に大広間へ辿り着いた蛇には、 烏の落とした推理を直接拾う機会はなかったが。
けれどざわめく人々の言葉端より、 彼が話していたことは伝わるだろう。
…あの夜、まさに林檎へてをかけた、 他ならぬ彼の言葉を]
(*36) 2012/09/27(Thu) 22時頃
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――――…そう。
怪我をしてしまったら、 折角の陶器のような肌が台無しです。
[血塗れていたと噂の栄光の肌も、 白く美しかっただろうとふと脳裏によぎり]
そうでございましたか。
…お別れは。
きちんとできましたか?
[手を重ね合わせたまま、視界を奪ったまま。 少女に囁く声は甘く優しく]
(155) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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…そう、昨日の夜。
(*37) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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――――――…栄光(グロリア様)へ、永遠のお別れを。
(*38) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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それは良かった。 生前のあのお方も、とても美しくありましたから。
最後まで華やかであれたことは、 きっと幸福なのでございましょう。
[少女の手に力がこもるのに気づき、 くすりと彼女の目を覆う掌は緩められ、 額を撫でるようになる]
ははは。 私の顔など見ても、面白いことはありませんよ。
[言葉とは裏腹に、それを拒む様子はなく]
(160) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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―――…髪飾り、今日はつけていらっしゃらないのですね。
"赤"がお似合いでいらっしゃったのに。
[額を撫でる動作は、やがて髪を結う其れの様に]
(162) 2012/09/27(Thu) 22時半頃
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―大広間―
[少女へ向ける眼差しは、学者がいつも浮かべる穏やかな其れ。
―――――…否。
それよりも甘く、深く、幼い者を包み込むような]
そうですか。 慌てて飛び出していらっしゃったんですね。
さぞや驚かれたでしょう。 さぞや、辛い思いをされたでございましょう。
[首を傾ければ、さらりと髪が流れる。 先程かつての共犯者から口付を受けた、 褪せたストロベリー・ブロンド]
(190) 2012/09/28(Fri) 01時頃
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ええ、付けておりますよ。 貴女様の物ほど、鮮やかな色合いではありませんが。
[髪飾りのことを問われれば、くすりと笑って。 一度引き上げたフードを、再び降ろす。 黒い蝶の髪飾りを取り去れば、髪は纏まりを失って]
……この造形は、気に入っているのですよ。
昔から、私(わたくし)の、宝物でした。
[内緒話をするように声を潜めてそう言って、 悪戯っぽく笑うのだ]
(191) 2012/09/28(Fri) 01時頃
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―――――…ふふふ。
[喧騒を、血を流すまでに至った男たちの争いを、 視界に収めつつもなお、学者はただ微笑みを浮かべた。
歪な和やかな空間]
レディ、ポーチュラカ。 貴女様が信じるか否かは、分かりませんが。
一つ、私の大切な秘密を教えてあげましょう。
(206) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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[のばした手にそっと蝶を握らせて。 頭を撫でながら、囁く言の葉]
この蝶は私が両親と別れた折、頂いたもの。
…世界に1対、2羽しかない蝶細工。
もしも貴女様が、この蝶に見覚えがあるのならば。
ミス・ポーチュラカ・ブロワ。 貴女様は、私と血の繋がりのある――――…。
(207) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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…貴女様が望んでくださるのならば、
私は兄にでもなりましょう。
このような、下賤な浅黒い肌でも許されるのならば。
(*41) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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…貴女様が望んでくださるのならば、
私は。
―――――…御守りしましょう。
レディ・ポーチュラカ。
(*42) 2012/09/28(Fri) 01時半頃
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―――――…嗚呼、いけない。
[少女の柔らかな指が傷つき、赤を落とす。 そっと手をとって、優しく撫でて。
嫌がられなければ、その血をぺろりと舐めとった]
後で薬を塗ってあげましょう。
[学者は、ただただ、静かに微笑んでいた。 "蛇"のような瞳を笑顔の裏に、隠して]
(210) 2012/09/28(Fri) 02時頃
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[本質は、望まれるままに]
[共にも]
[男にも]
[女にも]
[兄にですら]
[脱皮を繰り返す蛇は、己というものがまるでないように]
(*47) 2012/09/28(Fri) 02時頃
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…けれど、確かに、手に入れたいものがあるのだ。
(*48) 2012/09/28(Fri) 02時頃
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[烏がないたことを、蛇は未だ知らぬ。今は唯、]
可愛い可愛い、ポーチュラカ。
僕が守ってあげるから。 怖いことなど、何もありはしないよ。
[喜劇のように、花を愛でる**]
(*49) 2012/09/28(Fri) 02時頃
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