158 雪の夜に
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[女はその光景から目を逸らし続けて。 ただ、診療所へと運ばれていく青年の傍らにより、 その手でやわと彼の頬を撫でていった。
――ごめんなさいね。
囁く声は低く掠れた]
(10) 2013/12/28(Sat) 02時頃
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[>>7 視線の先、 女は既にこの場から、立ち去ろうとしていた。 少女を押さえ込んでいた船の女を一度見やる。
不憫に感じながらも、 責めたくなるような思いもある、 矛盾は常に己の中にあり、 女を身動き取れなくされるものだ。
言葉は何も出てこない。]
(13) 2013/12/28(Sat) 02時半頃
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7歳なんてしちごさんの年なんだぜ……
(-7) 2013/12/28(Sat) 02時半頃
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寡婦 パピヨンは、メモを貼った。
2013/12/28(Sat) 02時半頃
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……そんな風に見えたかしら?
[>>17 問われた言葉に首を傾けた。 質問に問いかけで返して、女は向かうのは自警団だ。 容疑者に会うことは、出来るのか。 ――それが可能でなければ、 札の束でも持って、出直してくればいいだろう。]
(22) 2013/12/28(Sat) 03時頃
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パピヨンは、雪の上、迷うこtなく、歩みを進めた*
2013/12/28(Sat) 03時頃
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―自警団詰め所― [――女は面会に訪れていた。 人狼、と思われる少女が捕まったことでか、 老人や女将の容疑がはれたのか、 思ったよりはスムーズに許可が出た]
――……、
[名を伝え、通された部屋で待っていた。 伝えたい言葉は、きっと大したことではない]
(38) 2013/12/28(Sat) 22時半頃
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寡婦 パピヨンは、メモを貼った。
2013/12/28(Sat) 22時半頃
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[――とはいえ、 老人は女が誰だかわからないのだ。
何から説明すればいいのか、 説明などしないほうがよいのではないか。 どちらつかずに、迷うまま]
(*3) 2013/12/28(Sat) 23時頃
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[――老人は眠っている、と。 少しばかり不自然な待ち時間の後、 それだけ伝えられて、女は立ち上がった]
なら、様子を見てから帰ります。
[命令するに慣れた者の、 有無を言わせぬ口ぶりで]
案内なさい。
[それを渋られた理由は単純で、 痛めつけられた老人の姿を外の人間に見せるのは、 外聞が悪いとでもいうことだったのだろう]
(45) 2013/12/29(Sun) 00時頃
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[灯りの少ない冷えた空間だ、 老人を痛めつけることに何の意味があるのか、 ましてや彼は人狼ですらないのに]
……医者を呼びなさい。 あなた方もわかっているのでしょう。
この人は人狼ではない、 ここで死んでしまうようなことがあったら、 あなた方はただの人殺しよ。
[自警団などというのは所詮は、 町民が自衛の為と寄り集まった組織だ。 正当化されない暴力を震える人間など、 もともとそう多くはないのだ。]
(52) 2013/12/29(Sun) 00時半頃
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[そう、たとえば、 あの少女を人狼だと声高く騒ぎ立てるのは、 子供に暴力を奮ったことへの罪悪感を、 正当化するための行為なのだろう。
けれど人狼など、しょせん御伽噺の類。 遠い昔に存在したことを耳にしてはいても、 あれが本当に人狼なのか、断言できるものなどいない。
案内の団員は困惑を浮かべながらも部屋を出た、 ごく普通の人間であれば、診療所へと向かうだろう。
そして女は横たわる老人に、 羽織っていた上等なセーブルをかけた]
(54) 2013/12/29(Sun) 00時半頃
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[目深な帽子は被っていない。 眠りを妨げぬように静かな所作で、 静かな瞳で――女は老人を見つめていた]
(55) 2013/12/29(Sun) 00時半頃
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[起き上がろうとするのを、 制するように傍らに、手を伸ばす。
老いて皺の刻みこまれたその手を、 女の両手はそっと包み込んだ]
ここに、……いるわ。
[目蓋を閉じれば、声がわずかに震えた]
(60) 2013/12/29(Sun) 01時頃
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今、……そこにいるの。 わかったこと、なんて……、
拘留されていた人の容疑は、 とりあえずは晴れた、ということくらいだけれど。
……どうしたの?
[そう問いを返したのは、 特に用件のあるでなく囁きかけてくるのが、 少し珍しかったからだ]
(*5) 2013/12/29(Sun) 01時頃
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[長らく働いていないさび付いた処刑台、 拘置部屋は喧嘩した酔っ払いの頭を一晩覚まさせる、 その程度にしか使われることもないのだろう。
大した事件など起きもしない、田舎の港町。 警備といっても、たかが知れたものだ。 ――あの頃は、そんなことわからなかった。 この小さな町しか知らず、それがすべてだった]
……あなたがあの子を連れて、 逃げてしまえばいいのではなくて。
[無力な少女には出来なかったこと]
(*7) 2013/12/29(Sun) 01時半頃
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[老人は熱でもあるのだろう。 朦朧とした様子で、その手は酷く冷えていた。 包み込んだ手を温めるように擦る]
……あなたのせいじゃないわ。
[投げた言葉は、確かに楔になっていた]
私も、あなたに、 謝りたかったの、……ごめんなさい。
……あなたのせいじゃないのに。
[苦味と痛みを堪えるように吐き出された言葉、 眉根の寄せられたまま、青の双眸は滲む]
(65) 2013/12/29(Sun) 01時半頃
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あら、想像つかない? 設備なんて粗末なものよ。
なんなら人狼を捕まえた祝いとでもいって、 薬でも混ぜたお酒でも差し入れしてあげましょうか?
[状況はどうとでもなる、と踏んでいる。 あとは当人たちの意志次第だろう、と]
(*9) 2013/12/29(Sun) 02時頃
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……ああ、
[そして、ふつりと、途切れる]
(*10) 2013/12/29(Sun) 02時頃
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[そして、老人の告白に女は絶句する。 そして、ああ、と零れた吐息はどうしようもなく、 ただやるせないような感情のせいだった]
……あなた、だったの。
[弟の正体を暴いたのは、 再び湧き上がりそうになった問い、 けれどもうそれは無意味だ。
本能的に気づいていた。 あるいは信じていたといえるのかもしれない。 ――彼にはそんなつもりはなかったのだ、と]
(78) 2013/12/29(Sun) 02時半頃
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[滲んだ双眸から、頬を伝い落ちていく。 その生ぬるい水が何か、思い出すのに時間がかかった。
語られる言葉はなんて残酷なのだろう。 もう取り戻せないほどの時が既に流れている、 その苦い後悔を再び味わわせるものだ。
けれど――、 溢れるこの涙は後悔でも絶望でもなかった。 痛みを伴うけれど、もっと温かで柔らかで]
……ティム、ごめんなさい。
[自分はずっとこの町をことを、忘れてしまいたかったのだ。 悲しみや辛い記憶と共に、優しい思い出までも葬ることになるとしても。
けれどそれは出来なかった。 女は結局、切り捨てるにもしがみつくにも、 どっちつかずだったのだ。 無為にただ、時だけが流れて]
(79) 2013/12/29(Sun) 02時半頃
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ありがとう、
……ね、あなたが待っていてくれたこと、 嬉しかったわ。本当よ。
[握る手に、何かを押し付けられて、 眠りに老人の目蓋が閉じるのを、女は見つめていた。 零れるものはとまらぬまま、蒼の瞳は柔らかな形を描く*]
(80) 2013/12/29(Sun) 02時半頃
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寡婦 パピヨンは、メモを貼った。
2013/12/29(Sun) 02時半頃
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