88 吸血鬼の城 殲滅篇
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気にするな。 おまえを待つ間の暇つぶしだ。
[殊勝にも手伝いを言い出すさまに笑みを浮かべたが、 真のお愉しみはその先にある。]
まだちゃんとした褒美を受け取ってないだろう? そら。こんどは遠慮するなよ。
(*15) 2012/05/03(Thu) 11時頃
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[男の傷に、目が吸い寄せられる。
くるしい。 ひどく、唇が乾く。 生々しく濃厚な葡萄色の其れは、 尚一層薔薇の様に、鮮やかな芳香を放って] ……後、じゃ、ダメか? 今……?
[小さく喉を鳴らしながら、『声』で懇願する。 ムパムピスに聞かれたくはなかった。
欲に声を掠れさせた己への羞恥に、 僅か、喉を震わせる*]
(*16) 2012/05/03(Thu) 13時半頃
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おまえは「隻眼の男」── なのか?
[思念を向けてみる。]
(*17) 2012/05/03(Thu) 13時半頃
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(……ああ、俺、なんで、ずっと)
(*18) 2012/05/03(Thu) 15時頃
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(こんなに、きもちよかったのに、) (……こんなに、…)
[唇を離し、犬のように喘ぐ。 煮えたぎる熱を呑み込んだような感覚。 鉄錆の匂いはあたかも薔薇の噎せるような芳香]
(*19) 2012/05/03(Thu) 15時頃
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美味かったか?
[唇を離した"子"に、声を掛ける。 これ以上の濃い血は毒だとばかりに身を離し、 傷口を手で覆う。]
次は自分で狩ってみろ。 それができたら、また褒美をやるからな。
(*20) 2012/05/03(Thu) 16時頃
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[揺蕩う闇の奥から洩れ伝わるのは、明瞭な言葉ではなく耽溺の陶酔。
同調して解き放ちたい衝動が迫り上がって呼気が浅くなる。]
(*21) 2012/05/03(Thu) 16時頃
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[美味かったか、と尋ねる声に酷いいたたまれなさが襲う。
震える唇が開かれ── 紡ごうとした其れは声にならず、消える。]
(*22) 2012/05/03(Thu) 17時半頃
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[隻眼の男か―― と、 そう声を掛けられた事には気づいていた。
酩酊して返せなかった返答を、 酷く気まずげに年の近い『弟』に向けて響かせる]
……悪ィ。 もしかして、聞いてたか?
(*23) 2012/05/03(Thu) 18時頃
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……ああ。 アンタにとっては仇になるんだろうな。
[なのに、何故こんなことになっているのか まるでわからないと言いたげな、苦笑]
アンタは『ヒュー・ガルデン』―― クレアの騎士だろ?
クレア姉ちゃんを、……護ってくれてた奴だ。
[最初から、この騎士に悪感情はない。 アヴァロン伯が『クレア』であると理解した今は尚更]
(*24) 2012/05/03(Thu) 18時頃
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いいぞ。 一段と可愛くなった。
[低い笑いに、嘲る色はない。]
(*25) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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…な。
俺が相手して、いいのか?
[ヘクターが彼に向ける波動が、 恐らく気に入りの獲物に対するものであることには 気づいていた]
(*26) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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構わん。しばらく相手してやれ。
―――そいつがどうするか、見たい。
(*27) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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[闇を揺らして届く声は気弱な──否、これは相手を思いやる響きだ。 今、その相手の姿を認める。]
名を 知りたい。
(*28) 2012/05/03(Thu) 18時半頃
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>>*28 ――ドナルド・ジャンニ。
[短い答えと、肩を竦める様な可笑しげな気配。]
そっか、名乗ってなかったな。
(*29) 2012/05/03(Thu) 19時頃
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[ドナルド・ジャンニ。 クラリッサを「クレア姉ちゃん」と呼ぶ男。 そして今は──血の兄弟。
そのドナルドが、金髪の剣士と舞っているのが見える。
かつて絶妙のコンピネーションでヒューの動きを妨げたふたり。]
(*30) 2012/05/03(Thu) 19時頃
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オレがおまえにくれてやったのは呪いじゃねぇ。
[修道士に語るドナルドへ、確たる響きを送る。]
" 祝福 " だ。
[ 闇の。
人間が、忌む。
眷属にとっては喜ばしい、 それ。]
(*31) 2012/05/03(Thu) 19時半頃
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……嘘、吐いてんじゃねえよ。
[苦笑を届ける。
この力も。思慕も。渇きも。 ――全ては祝福であるのだと
そう届ける彼の其れは、 恐らく本心ではあるのだろう。
だが自分だけは、 それが欺瞞であることを知っている。]
(*32) 2012/05/03(Thu) 19時半頃
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――祝福なら、 アンタは、俺に与えない。
絶対に。
(*33) 2012/05/03(Thu) 19時半頃
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[名を求めた相手。 そして、クラリッサに血を捧げて魔に堕ちた男だ。 「認めて」いる。]
おまえの名誉のため──呼ばれぬ限りは、介入せぬ。
(*34) 2012/05/03(Thu) 20時半頃
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[チラと、ヘクターの反応を伺う。]
(*35) 2012/05/03(Thu) 20時半頃
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[酷く乱れた息と、忌々しげに歯を食い縛る音。]
……やれる限りはやるさ。 アイツの、御所望なんでな。
[だが彼は己を気遣ってくれているのだろう。 それに思い当たり、付け加える。]
……サンキュ。
(*36) 2012/05/03(Thu) 20時半頃
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――――――。
[ドナルドの声に、 その、揺るぎない言葉に、 最初は沈黙が落ちる。]
…………… く。
[続いてこみ上げるのは、笑いの波動。]
くく、………く、ぁ、ハハッ……
(*37) 2012/05/03(Thu) 20時半頃
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ドナルド、助かった。
(*38) 2012/05/03(Thu) 22時半頃
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いや…、間に合って良かった。
悪ィ、ワイヤー駄目になっちまった。 ちょい武器調達するわ。
[ヒューが無事だったことに安堵の息をついて、 その間頼む、と軽い笑みをむける]
(*39) 2012/05/03(Thu) 23時頃
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動けるか、ドナルド。
ああ── 護衛は任せろ。
[それこそ本領発揮だと奮起する。]
(*40) 2012/05/03(Thu) 23時頃
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……ん。 俺もアンタは、誰かを護ってる姿が似合うと思うよ。
[やわらかく喉を鳴らす気配。]
ま、俺は護らなくても大丈夫だけどな。 当座のものは出来た。
(*41) 2012/05/03(Thu) 23時半頃
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隙を見てラルフのレイピアを拾いにいくが、 ……それまで、ジェフリーが持つかは…、…
[主らの戦いに目を向け―― 息を、呑む。]
っ、おい…!
[最後の声は、貫かれた主にむけてのもの。]
(*42) 2012/05/03(Thu) 23時半頃
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後ろは、構うな。
[ヘクターであろうと自分であろうと、と含みを持たせて送り出す。]
(*43) 2012/05/03(Thu) 23時半頃
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[声を向けられて、言葉でこたえることはしなかった。
ただ、笑みの気配を届ける。
血に飢えて、獰猛な、 狩りに昂奮している、獣の笑みを。]
(*44) 2012/05/03(Thu) 23時半頃
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