17 吸血鬼の城
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[サイラスの動揺が、伝わる]
――…嗚呼。
[苦しげな吐息に呼応するかのように 女の胸が僅かに痛む。 引き摺られそうになる感情を抑えようと 女の柳眉が一瞬微かに寄せられた]
(*64) 2010/06/23(Wed) 21時頃
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[薬師の揺らぎが囁きを通じて伝わる。 送る気配は気だるさ交じりに]
毒の混じる血は左程美味いものではないだろうな。 嗚呼、ローズ あれは宴の為の捧げもの お前にも弄る権利はあるのだぞ?
[其れはつまるところ、吸血鬼への捧げものなのだからと あえかな笑みを浮かべ]
勿論……お前たちも。
[白薔薇と薬師へも、そんな言葉をかける]
(*65) 2010/06/23(Wed) 21時頃
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[城主のかける言葉に、 動揺だけをみせるも、
しばらくは、沈黙をしていたが…。]
なれば、私が…。
ですので、 手を出さないで、いただけます か?
[願いを…。]
(*66) 2010/06/23(Wed) 21時頃
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左様でございますか……?
――ならば、我が身に毒が効くか否か、 試してみるのも、愉しいかもしれません。
[主が言葉が向けられれば、涼やかな声はそのように]
(*67) 2010/06/23(Wed) 21時頃
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くく……ふ、ふふ
[眷族と加わった二人からの応えに 思わず笑みが毀れる]
……ならば、 其の娘を先に捕らえた者に権利を与えようか。
好きにするが良い。
(*68) 2010/06/23(Wed) 21時頃
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承知……。
[城主の言葉に答えながらも、 笑う、白薔薇も気にする。
ともかく、でも、そんな場合ではないのだと…。]
(*69) 2010/06/23(Wed) 21時頃
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あの娘が好い声で啼いて呉れるなら ……それも愉しいかしら。
[啼かせる気もないのに悪戯に聲を響かせ]
――…嗚呼。 狩りならば、私は見物にまわりましょう。 他の客人のお相手も、必要でしょうから。
[其々の聲を聞きながら女はすっと目を細めた]
(*70) 2010/06/23(Wed) 21時半頃
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――…よほど欲しかったのね。
[獲物をサイラスが見つけた事を影を通じて知った女は くすくすと愉しげな笑みを漏らした]
(*71) 2010/06/23(Wed) 21時半頃
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強い執着は時に命取りとなるやもしれんが ……さて、あれはどうするのだろうな?
[愉しげな気配混じる声音。 城主の部屋に近い場所、 霧の届く場所ならば全てを見通せる 蠢く影達はあるがままを己が主人たちへと伝えてゆく]
(*72) 2010/06/23(Wed) 21時半頃
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――ああ、つまらない。 最初から、近くにいるのがわかってらしたのでしょうに……。
[少しだけ拗ねたような声音が呟く]
(*73) 2010/06/23(Wed) 21時半頃
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――…そんな聲を出さないの。 あの娘以外にも“獲物”はたくさん居るでしょう?
[拗ねた白薔薇の聲に宥めるような聲が重ねられた]
(*74) 2010/06/23(Wed) 22時頃
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ふふ…… 私はお前の拗ねた貌が見たかっただけかもしれぬ。
[白薔薇の声音に、くすくすと笑み混じる囁きが返る]
そう、私のローズが言う通り 獲物はまだ幾人も残っている。
宴はまだ続いているだろう?
(*75) 2010/06/23(Wed) 22時頃
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――……ここは、下がってもらおう。
[白薔薇が拗ねた声を出すのとは対照的に、 暗い声を出して……。
そう、彼らにとっては、なんでもない、余興の一つ、きっと自分のことも滑稽にみえているのだと、わかっていても。]
(*76) 2010/06/23(Wed) 22時頃
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―――お嬢様、 この狩りのこの“獲物”はそれのみ、ではありませんか。
[宥める声に答えるは、まるで道理を諭すように]
ああ、旦那様まで、 意地の悪いことを仰られて……
ですが、我らが同属は“獲物”に逃げろなどと。
[声音には冷笑の混じる]
(*77) 2010/06/23(Wed) 22時頃
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喰らわぬのですか? ―――毒花を。
いらぬのならば、もらいますよ?
[恐らくその毒は、己が身にも効くだろう。
予感していながら、囁きは流れて]
(*78) 2010/06/23(Wed) 22時頃
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まさに 度を越えた執着、だな。
[なるほど。 薬師の様子が 丁度部屋で話すイアンの喩えに当てはまる気がして 呟きを洩らす]
白薔薇 今宵の狩りは、薬師が勝ったのだから あれの好きにさせて遣れば良い
……しかし、其の娘がひとり逃げるかどうか
(*79) 2010/06/23(Wed) 22時頃
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いや、 彼女を、
いや、獲物を、
捕らえれば、いいの だろう?
[白薔薇の言葉にそう返しながら…。]
(*80) 2010/06/23(Wed) 22時頃
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――…お兄様もそう仰っているのだから、 別の“獲物”になさい、セシル。
……逃げろ? この宴から本当に逃げられるとでも思っているの? 逃げられなどしないわ。 そうでしょう……? お兄様。
嗚呼、けれど…… お兄様への捧げものに逃げろ、だなんて…… いけないこ、ね。
(*81) 2010/06/23(Wed) 22時頃
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[絶望など消えたはずなのに――]
あれが良かったのです。 あの、毒が。
(*82) 2010/06/23(Wed) 22時頃
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っふふ……宴から逃れる方法は幾つかあるぞ?
[ローズマリーに]
ひとつは、魂だけで逃げる方法 ひとつは、身代わりを置いて逃げる方法
[前者は死を意味し 後者は犠牲を意味する。 魔物狩人と名乗った男が選んだ道を思い出し、 薄く笑いながら告げた]
後は……我が眷族となる道もひとつの逃げではある、か? 二度とひとには戻れなくなるがな。
(*83) 2010/06/23(Wed) 22時半頃
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[隻眼の男のぬくもりが 失ったぬくもりを思い起こさせた。
同じようでいて違う。 違うようなのに似ている。
白薔薇の呟きにふ、と息を吐く]
それでも…… あの娘はサイラスの獲物なのよ。
(*84) 2010/06/23(Wed) 22時半頃
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――…そう、なの…?
[兄の囁きに不思議そうな聲。 けれどそうだとしたらサイモンの魂は逃げられただろうか。 それともまだ城の何処かに囚われたままなのだろうか。 あの優しい男のこと。 魂だけの存在となっても妹の事が心配で逃げずにいそう。 そんなことを思いながらも緩く首を傾げ]
如何してそんな話をするの、お兄様。 私は、逃げる為にお兄様と同じになったのでは、 ない……、でしょう……?
(*85) 2010/06/23(Wed) 22時半頃
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……そうだな お前は望んで、私の妹となったのだから。
[無理矢理与えた真実を隠し 城主は彼女の聲に同意を向ける]
中には、そのような者もいた、と言うだけの事。
(*86) 2010/06/23(Wed) 22時半頃
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――ああ、また。
(*87) 2010/06/23(Wed) 22時半頃
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私が望んだから…… お兄様が与えてくれた。
[疑う事なく記憶のない女は兄の言葉を受け入れる]
……そう。
愛しいお兄様…… 如何か私を遠ざけないで……
[切なる聲が微かに紡がれる]
(*88) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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――………あ
[最後は、本当に呆気ない、呻きが一つ……。]
(*89) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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――……、
[眷属たる男の呻きに女の翡翠が微かに揺れた]
(*90) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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―――……、
[無言の気配はミセリコルディアを握る]
(*91) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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白薔薇に求めたのは、何だったのか。
白薔薇をそれでも、護ったのはきっと…
(*92) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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そう、お前の望みのままに。
[>>*88甘く幾度も同じ言葉を繰り返す。 其れが真実なのだと、惑わせるために]
遠ざけることなど、あるはずもない。 ……私は何時でも、お前の傍に――…
[紡ぎ終える前に混じる眷族の呻き。 城主は暫し沈黙し]
――――解せぬ、薬師
[一言、零した]
(*93) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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