308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】
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[バイクを表に引っ張ってきたときに 裏から顔を覗かせたゾンビと目が合った。 とても、人間とは思えない肌の色をしていて、 所々腐りかけ、口元は肉と血で汚れている。
今まで、あいつは何を食べていたんだろうか。 兄貴も……いずれ、ああなるんだろうか。 考えちゃいけないことを予想してしまって、 吐き気が込み上げて、動けなくなりそうだ。
よろめいた時に、バイクに腕が当たる。 よく磨かれた、透き通るような青。 兄貴が僕に託してくれた物。]
(―――ここにいちゃ、駄目だ。)
[こっちに向かって来ようとするのを見て、 慌ててヘルメットを被り、バイクに跨った。]
(+98) 2020/10/25(Sun) 21時頃
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こんなとこで、食われてたまるか……って!
[一気にアクセルを捻る。 バイクは住宅街から大通りの方へ加速していく。
目指すところなんて、何も決めてないし、 不安しかないけれど、もう、やるしかない。
まずは都心から離れるんだ。 ここから一番近い高速のインターはどこだっけ。
平和な場所なんてあるかどうかはわからない。 それでも、なんとかして生き延びるために、 ゾンビがあまりいない場所を……探さないと。]*
(+99) 2020/10/25(Sun) 21時頃
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― 夜・コーヒーショップ『abbiocco』 ―
[彼女の国へ転勤を希望したのはそれから数年後のことだ。 養父母も既に旅立ち、長年住んだアパートにも 物はほとんどなかった。 身ひとつで移住し、この地で車椅子を得た。 シーシャが就職して来たのは驚いたが、数年とはいえ、 赤ん坊の頃から知っている子と共に仕事をするのは 何だか不思議な気分だったのを覚えている。]
……。
[10フィート先で俯く顔を見る。 機能しない瞳では、表情を窺い知ることはできない。 色素の薄い髪が暗いのは、濁る瞳のせいではないだろう。 どちらからとも知れぬ、酸い匂いが鼻腔をくすぐる。]
(+100) 2020/10/25(Sun) 21時頃
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/* 物騒度はキノの旅に負けないようなサバイバルな旅をしたいね!
(-15) 2020/10/25(Sun) 21時頃
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[限界だった。傷だらけの右手を床につくと力を込める。 何日も動かずにいた関節は石のように固まっていたが、 動かしてみると硬質な音と共に案外簡単に曲がった。 壁を引っ掻きながらゆうら、ぐうら、立ち上がる。]
あ゛ー……ふ。
[もう動かなかったはずのものが動くのは 本来喜ばしいことのはずなのに、 地面についた足を見ても何の感情も湧かなかった。 気を抜けばあっという間に崩れてしまいそうだったから、 息を詰めて足を動かした。
静寂の夜に、不快な摩擦音が響く。 10フィートの均衡はあまりにも容易く乱れた。]
(+101) 2020/10/25(Sun) 21時頃
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[どこへいくの、と。泣きそうな子どもの声がした。 返事をすることなく、唯一機能している裏口へと進む。
マスタと呼ばれた。ミケーロさん、と。ミケ、と。 呼び名が若返って行く度に、 子どもの声は徐々に癇癪に近いものへなっていく。
ひとりにしないで、と。掠れた声が届く。]
きみは……自由、なん だ。
[嗚呼、やはり私はキャロルにはなれない。 隣人の協力の下、使い道のなかった金で店を出しても、 彼女を真似て望むままに生きようとしても。
ねえ、キャロル。 ――ひとりは、私には少し寂しかったよ。]
(+102) 2020/10/25(Sun) 21時頃
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わたしが望む、のは、 君にわたしを殺させること、でもなく、 わたしがきみを外へ、追い出すこと、でもなく、 ましてや、わたしがきみを、がいすることでも、なく、
きみが、いきること だ。
[限界だった。 打開策を模索する思考は日に日に薄れていくのに、 身体は少しずつ楽になっていく。 すべてが己が手から離れていくのが分かった。 だからせめて、最期に、彼だけは助けたい。]
あいしている よ、 しーシャ。 きみ が、うまれて きて、うれしかっ た。
[後ろであたたかいものが動く気配がして、 “俺は、母さんのことあまり好きじゃなかったんだ。” と何を言って音がわからな、あたたかいの。だめそと、]
(+103) 2020/10/25(Sun) 21時頃
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[ちょうど目の前にある板を叩いた。 ぐしゃりと皮膚が潰れる音がして、冷たい風が吹く。 さむい。やだな。でも。そと。ひろい。]
……あ゛、 あ゛ー 。
[さむいから、あたたかいもの。 ここ? ちがう。そとで、さがす。 広大な大地に、二本の足を踏み出した。]*
(+104) 2020/10/25(Sun) 21時頃
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[ ……そう、餌をやろうと思ったの。]
(+105) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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[ そうしたら部屋の前にジャーディンがいて、]
(+106) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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[ 開け放した扉の先に何かを確かめるように、 ひたすらにせわしなく視線を動かしていて、]
(+107) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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[ わたしの存在に気付いて、目を見開いた。]
(+108) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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[ わたしはそのとき、どんな顔をしていたのかしらね。]
(+109) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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[ 何かにとりつかれたみたいに、 ジャーディンはよたよたと歩いてきた。
そして、わたしの腕を強くつかんだ。 いたっと思わず小さく叫んでしまったの。 あの子はわたしの上着の袖をめくったわ。
そこにガーゼや包帯があるのを見とめて、 恐る恐るといったふうに口を開いた。]
(+110) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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クーパーは?
(+111) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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[ 声はか細く震えていたわ。
何も言えずにいるわたしを、 あの子は縋るか祈るかするような目で見つめた。 根気よく、じいっと。わたしが口を開くまで。
その目を見た瞬間に悟ったわ。 もうごまかすことなんてできないって。]
……いないわ。
[ そう言ったとたんにあの子は、 崩れるようにその場にしゃがみこんだ。 痙攣するように薄い肩が数度震えた。 わたしは慌ててその傍らに膝をついたの。]
(+112) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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[ 嘔吐していた。]
(+113) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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[ その背中があまりに小さくて、 せめて少しでも楽にしてやりたくて、 背中をさすってやろうと思ったわ。
伸ばした手は強く振り払われた。 顔を上げたあの子はわたしを睨んだ。 汚れた口元をシャツの袖で拭いながら、 怒りに満ちた目でわたしを見ていたわ。
けれど、ほんの数秒後には、 すうっと力が抜けてしまったような目で、 小さな子のようにおいおいと泣き出したの。
まるで小さな子がするみたいに、 痛いくらいの力でわたしにしがみついて。]
(+114) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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[ ……かわいそうな子。 利口でやさしい、かわいそうなわたしの孫。
きっとあなたは理解してしまう。 わたしが何を選んでそうしたのか。 何と何を天秤にかけたのか。
わたしを憎み切ることもできずに、 こうして涙を流すことしかできない。
こうなることくらい、 ちゃんと考えればわかったはずなのにね。 だってわたしはあなたのNanaだもの。]
(+115) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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[ もう少し、広い世界と繋がっていられたら、 もう少し、違う今を迎えられたのでしょうか。]
(+116) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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[ それとももうどこにも、 正常な世界など残ってはいないのでしょうか。]
(+117) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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[ ……なんて、考えたって仕方がないわねえ。]
(+118) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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……ごめんね、 許さなくたっていいのよ。 愛してるわ、ジャーディン。
(+119) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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[ そう言って髪を撫でようとしたら、 どん、どん、と肩を叩かれたの。
わたしの胸に顔を埋めたまま、 あの子はこぶしを握って、強く、何度も。
ずいぶん長いことそうしていたわ。 あの子が自分から立ち上がるまでずっと、 されるがまま、片手は震える背をさすっていた。]
(+120) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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[ それでもね、あなたに生きていてほしいのよ。]
(+121) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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[ ただ静かに、その骨ばった背中を撫でていた。**]
(+122) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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/* 皆さん(特に墓下のひとたち)の人には人それぞれの地獄みたいな空気感がわたしはとても好きです 本当に個人的にワットさんには息子さん一家と再会してほしいけれども。
(-16) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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/* あぁ…マスタさんがついに…… 最後にシーシャさんじゃなくて外へ向かって行ったのが……うん…
(-17) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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― 大豆畑の中で ―
[とても寒かった。お腹も空いた。 何か食べたいと思う。辺りには枯れた草しかなかった。 手を振ると乾いたものが落ちた。 歩く。足の裏で何かを踏んで、頭からひっくり返った。]
あ゛ー……。
[上が見えるはずなのに、何も見えなかった。 目玉が裏返っていることに気づいたけれど、 戻し方が分からなくてそのままにした。 本当なら、上には何が見えるのだったか。 思い出せないまま、耳だけが草が揺れる音を拾う。]
(+123) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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[体温もない。声も聞こえない。 そこにあるのは言葉の羅列だと思っていた。 時間さえ明確に共有されることはなく、 それぞれが思うがままに文字を綴る。 寂しがりの人嫌いに都合のいい場所のはずだった。
Nanaはレストランに行けただろうか。 カレーの具は何になっただろう。 遠い地でも大豆は育つのか。 丸い目の暴君や笑顔の子どもたちは無事だろうか。 特別な日を迎えたふたりは共にいられるか。 名より先に覚えたアイコンやよく見かけたスパムだって。 助けを求める悲鳴の先も知らないままだ。
あれが生きている者の声であることに気づいたのは、 すべてがおかしくなり始めてからだった。]
(+124) 2020/10/25(Sun) 21時半頃
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