88 吸血鬼の城 殲滅篇
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[草の上に立つ偉丈夫の姿は、よく見覚えのあるものだった。 それでいて、会ったことがある気はしない。
どこで──と悩みかけ、答えに思い当たって、わずかに瞳孔が開かれる。]
先代──…
[城主の部屋に南接する画廊に掛けられた肖像画。 そこに描かれた先代城主の姿が今、目の前にある。]
(66) 2012/05/01(Tue) 17時頃
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― 中庭 ―
[犬のように首を振るい、髪に残った闇の残滓を払い落として 塔の影から歩み出る。
抜き身の剣を下げたまま現れた騎士を一瞥して、 可笑しそうに唇を上げた。]
どうした? 幽霊でも見たという顔をしているぞ?
[実際、幽霊とはさほど遠くないのだが、 冗談のように言って、歩み寄る。]
(67) 2012/05/01(Tue) 17時頃
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膝をつけ。
本来の城主の帰還だ。
[剣の間合いへ無造作に踏み込みながら 命じるのに慣れた声で、鷹揚に服従を求めた。]
(68) 2012/05/01(Tue) 17時頃
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おれが忠誠を誓ったのは、先代にではありません。
[そう言い返しながらも、中庭へと進んで背後の扉を閉めると、剣を左手に持ち替えて地面に拳をつき、その傍らに左膝を並べた。 かつて城主の座を占めていたと主張する者への礼を尽くして。]
(69) 2012/05/01(Tue) 17時半頃
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幽霊、とご自身で申されたが、 先代は…、生きてはおられぬのだろう?
[ふと口にしたのは、先代が肖像画の姿のまま齢をとらずにいることの奇異に気づいてのもの。 死してなお、霊魂がその地に留まり、守護あるいは呪いをもたらすという話はいくらもある。 それならば、城主クラリッサが殺されたこのタイミングで祖霊もまた復讐のために現われたのだろうと受け入れるのは、ヒューにとって難しいことではなかった。]
(70) 2012/05/01(Tue) 17時半頃
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[先代城主とクラリッサの具体的な関係は知らない。 クラリッサは町で育ったそうだ。 それはつまり、彼女が妾腹の姫だという事情なのだろうと憶測して、ヒューは領主の血筋については立ち入ったことは一切聞かずにきたのだった。 出生がどうであれ、クラリッサは至誠を捧げるに相応しい主君だと。
ただ、肖像画を前にした時のクラリッサの横顔は、悲しげにも甘やかにも見えたことを覚えている。]
(71) 2012/05/01(Tue) 17時半頃
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>>70 先代の息子か? と考えるより先に 幽霊ですね。と納得するのはファンタジー世界の住人としても変だろうか…と今更。
(-49) 2012/05/01(Tue) 17時半頃
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―貯蔵庫― [がくりと前のめりに床に倒れ込みそうになって、慌てて姿勢を戻す。 どうやら樽にもたれて座り込んだまま意識を失っていたようだ。
ふと改めて明かりのない室内を見回す。 闇に慣れてきた目に、吊るされた塩漬けの腿肉や、酒樽や木箱の輪郭がぼんやりと映る。 小さい樽に山と盛られた丸いものは果実か野菜の類いだろうか。 ここは食料を貯蔵する倉庫に違いない。 少なくとも当分食料にだけは困らないだろう。]
(72) 2012/05/01(Tue) 17時半頃
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― 中庭 ―
あれに忠誠を誓ったのなら その主であるオレに従うのは、当然のことだろう?
[普遍の理であるかのように説き、 望み通り膝をついた男の前に立って、見下ろす。 昏い炎を灯す瞳を覗き込んで]
―――良い目だ。
[犬に言わせた言葉を、もう一度告げた。]
(73) 2012/05/01(Tue) 18時頃
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ああ。死んだ。 だが蘇った。
[騎士の疑問へは、端的に答えた。 相手がなにか思い違いをしているだろうことは読みとれたが、 特に訂正はしない。]
―――あれの血が、オレを目覚めさせたのさ。
[そこに、さしたる違いはない。]
(74) 2012/05/01(Tue) 18時頃
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/* 脱臼はそんなに簡単に戻せません。 ファンタジー(フィクション)なので注意。 整復は専門家に任せましょう。
ファンタジー世界の治療師なので、というこじつけ。
(-50) 2012/05/01(Tue) 18時頃
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だから、次はオレがあれを呼び戻す。
[付け加えたのは、自信に支えられた意志。 餌を投げ、反応を窺う。]
(75) 2012/05/01(Tue) 18時頃
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/* 本当に蘇らせられるかはしらんけどな!
というか、そればかりはクレア次第だろう。
(-51) 2012/05/01(Tue) 18時頃
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[先代は死んでまた甦ったという。 そんな深淵の魔法の使い手がどれほどいるかは知らぬ。
だが、黒犬はこの男と同じ声で喋り、影に消えた。 クラリッサもまた魔法の巧みな使い手だった。
こうして実物を前にしてみれば、男とクラリッサの容貌はまったく似ていないにも関わらず、どこか不可分なものを感じさせる。 それが「血の縁」であるとは思い至らぬままに、ヒューは硬質な光を宿す双眸で先代を見上げた。]
(76) 2012/05/01(Tue) 18時頃
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姫を彼岸から連れ戻す方法があるのなら──
おれはどんなことでもしよう。
(77) 2012/05/01(Tue) 18時頃
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>>77 安易な契約をしてはいけない典型的なパターン
(-52) 2012/05/01(Tue) 18時頃
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いいだろう。
[望み通りの言葉を引き出したことに満足して、 騎士の前に手を突き出す。]
オレに忠誠を誓え。 そして、貴様の命をオレに寄越せ。
[ひらりと動かした手は、剣を差し出せという無言の催促。]
(78) 2012/05/01(Tue) 18時半頃
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今の貴様に、似合いの力をくれてやる。
[闇への誘いは、ごく直截に告げられた**]
(79) 2012/05/01(Tue) 18時半頃
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[脱臼した左肩を整復するのは面倒な作業だった。 まずポーチの中に残った装備品から、灯器の封を解いて明かりを点し、肉をぶら下げるためのフックと自分のベルトで簡単な牽引装置を作った。 青みがかった熱のない明かりの下で、何度か試行錯誤した末、何とか関節を元の位置に戻した。
荒療治とあって違和感は感じるものの、左腕は問題なく動く。 軟骨や筋肉が損傷している可能性もあるし、また外れるかも知れないが――どのみち、錬金術師に残された時間はそう長くはない。**]
(80) 2012/05/01(Tue) 18時半頃
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/* やべーよ。 このままさっくりやって、さっくり血を掛けそうだよ。
落ち着け。 今日の吊りがヒューにこないとも限らん。
(-53) 2012/05/01(Tue) 18時半頃
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>>*9 っう、……、…
[ぞくりと身を震わせ、弾けるように顔を上げた。 低く、獣が喉を鳴らすに似た囁き。
耳管に直接吹き込まれるような其れが、 眷属にのみ届く『声』であるとは未だ知らず 監視されているのだという総毛立つような嫌悪と 己を気にかけて呉れた事への泣きそうな歓びが迫る]
(*10) 2012/05/01(Tue) 18時半頃
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心配…、だって?
──ざ、けんな…。 誰が……。…
[よわよわしく、吐き捨てる。 まるで子を甘えさせる父親の様なその声音。 『彼女』が愛した男の。 『彼女』が──待ち続けた男の]
(*11) 2012/05/01(Tue) 18時半頃
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[全てが罠で欺瞞で偽りであると知りながら くぐもり笑うその声をかつての彼女も聞いたのかと
この胸の痛みを、 ──彼女も、]
(*12) 2012/05/01(Tue) 18時半頃
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/* この後どうしようか迷い中。 吸血鬼陣営の二人が今一緒にいるので、討伐隊はvsドナルドさんしか選択肢にない感じ。 私が一番場所的には近いし特攻してもいいんですが、昨日バトルしましたしね。 バトってないジェフリーさんやムパムピスさんが相手したいのではないかと。 …大人しくバスルームに篭ってますか。
(-54) 2012/05/01(Tue) 18時半頃
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/* 一度ヘクターに会えばもういつ死んでもいいというキャラ設計。 会えなくても中盤に差し掛かる前に立候補するけれども。
(-55) 2012/05/01(Tue) 18時半頃
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[二君に仕えるは騎士の恥だ。 だが、私情に走った魂はすでに堕ちている。 そんな自分の命で、クラリッサが呼び戻せるのなら──
ヒューは剣の刃の部分を掴んで、頭の位置より高く掲げた。]
クラリッサ = アール・オブ・アヴァロンの騎士ヒュー・ガルデンは、貴君に忠誠を誓う。 身命、惜しむことなし。
(81) 2012/05/01(Tue) 19時頃
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ヒューは、ヘクターへと宣誓する。**
2012/05/01(Tue) 19時頃
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─二階への螺旋階段─
[──酷く寒かった。 自分を抱く様にぎゅっと片腕を掴む。
とん、と手すりを蹴り。 音を立てずに、二階へと降りる。]
……。
[浴室から、客室へ。 戦闘があった付近は、静まり返っていた。 辺りは薄暗い闇に包まれていたが、 男の隻眼にはまるで昼の様にはっきりと隅々までが見える]
(82) 2012/05/01(Tue) 19時頃
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…坊っさんは、どうしたんだ…? それに、…──ラルフ。
[最後に見た光は、聖術のものだろう。 ならばムパムピスは恐らく生きているだろうと、僅かに安堵する]
……。 あんま、意味ねえか。
[苦笑して首を傾げる。
──『出会った者は殺さなければならない』。 ──『騎士ヒュー・ガルデン以外の全員を』。
主命という種は己の中でゆっくりと芽吹き。 ……好意や感情とは裏腹の、 絶対の行動の指針として根付いていた]
(83) 2012/05/01(Tue) 19時頃
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[ラルフはどうしたのだろう、と思いをめぐらせ。 もしものことがあればと頼りなげに笑った顔を思い出す。] ──悪いな、…ラルフ。 立場、逆になっちまった。
[あの時はこうなるとは思いもしなかったのだと、 ──既に彼の命が失われている事は知らず、そう眼差しを伏せた]
(84) 2012/05/01(Tue) 19時半頃
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─二階 客室─
……あったか。
[暫く辺りを探し、転がっていた愛用のボウガンを拾い上げる。 主軸が僅かに曲がっていたが、 慣れた手つきでレバーを引けば、 然程支障なく使えるようだった] ……ッ、… [杭を袋から引き出そうとして 激しい痛みに眉を寄せ、慌てて振り落とす。 がつん、と音を立てて転がった其れを驚いて眺める]
(85) 2012/05/01(Tue) 19時半頃
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