151 雪に沈む村
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[するりと入ってきたクシャミはジリヤを探していたようだ。 恐らくここの所ずっと付き合っていた、アレだろう。 思ったとおり取り出した真鍮細工に少し目を細める。
珍しく工房に来たと思ったら、いきなり真鍮細工の話だったから、最初は何がなにやらさっぱりだった。 真鍮材の残りはちょうどあったし、暇つぶしにと手伝ってやったのである。 一生懸命ジリヤへ説明するクシャミに少し目を細めながら、クシャミにはポットの残りの紅茶にミルクを少し入れて渡しただろう。
するとまた、ドアが開き。]
――ああ、本当に珍しい日だ。
[ドナルドの声に軽く笑う。 こんなににぎわうのはどれほどぶりだろう。
そこまで考えて、ふとドロシーのことを思い出した。]
(113) 2013/11/21(Thu) 22時頃
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-回想・ドロシーのこと-
[ウォーレンが、ドロシーとともにこの村に来たのは100年と少し前だったか。 いつも無愛想なウォーレンとは対照的に、明るいドロシーは村の者とすぐに馴染んだ。]
『まーたそんな辛気臭い顔して!ほら、依頼がきたよ!』
[そういってドロシーはよく依頼を受けてきた。 新参者のドワーフの鍛冶屋があっという間にみなの馴染みになれたのはドロシーのおかげだった。 冬の前には、ドロシーがジリヤの店に火種を受け取りに行き、代わりに何時間もおしゃべりして帰ってくるのだ。
毎日小言を言われながらも、笑いの絶えない幸せな日々。 しかしそれも、ほんの少しの間だった。]
(114) 2013/11/21(Thu) 22時頃
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『あたしゃ、幸せ者よ。』
[この村に来て4度目の冬が近づいたある日、すっかり痩せて小さくなったドロシーはポツリと呟いた。 つやつやとした丸い頬は空気の抜けた風船のようにしぼみ、いつも依頼品を抱えて村中を駆け回っていたその腕は枯れ枝のように細くなり。]
――何を言っとるんだ。
[ドロシーは人間族だった。 ドワーフのウォーレンとの結婚は当然反対された。 身分が違う、寿命も違う。子供もできるかわからない。そんな男と一緒になるなんて。
さまざまな人に止められ、諭され、しかしそれを押し切って、ほぼ駆け落ち同然にこの村に来た。 あれほど反対されたのが嘘のように幸せな日々で。]
(115) 2013/11/21(Thu) 22時頃
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茶、入ったぞ―――?
[ドロシーはすっかり小さくなってしまったのに、ウォーレンは来たときと同じ姿のままだった。 ウォーレンだけが時の流れに取り残され。
振り返るとドロシーは少しだけ笑って、大きく息を吸い、静かに寝入ったようだった。
そして、そのまま目覚めなかった。]
(116) 2013/11/21(Thu) 22時頃
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[それから後は、よく覚えていない。 気づいたときには、教会の裏の墓地で、随分長い間佇んでいた気がする。
ドワーフと人間の寿命の違い。 あれほど覚悟していたつもりだったのに、酷く苦しくて痛かった。]
(117) 2013/11/21(Thu) 22時頃
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-現在・工房にて-
[窓の外の雪は、しんしんと降り積もる。 ドロシーがいなくなってから、もう何度目の冬だろう。
あれほど痛かった心も、時が経つにつれ傷痕になり、しかしそれは消えない。 しかし工房の賑わいに、ほんの少し、古傷のように胸がちくりと痛んだ。]
(118) 2013/11/21(Thu) 22時頃
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……神様じゃ。
[神様の定義が、人智を超えた意見を授ける者ならば、 確かにバーナバスは神と崇められたこともある。 少年は信じられないだろう。 何せ、今のバーナバスにはなんの力もないのだから。]
なーんて、な…! …ふむ、坊やとは初対面かのぅ。 なにぶん隠居の身になってもう長いのでな。 私の正体はただの世間話好きのお爺ちゃんじゃ。 名をバーナバスという。
[もう食べられないなどと口にしていた割には、>>51 モリモリとパンを頬張る爺であった。]
(119) 2013/11/21(Thu) 22時頃
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で、ドナルドはどうしたんだ?
[龍族は寒さに弱い。 すでに雪が積もり始めている中工房に来たのには訳があるだろう。 恐らくは、先ほどジリヤと話していたことについてだと思うが。]
――紅茶でいいかい。
[曇り窓が外の冷え込みを表していた。 冷えた身体を温める飲み物を、カップを片手にドナルドにも勧める。]
座るところは…まあ探してくれ。
[探せばどこかに座る場所はあるだろう。]
(120) 2013/11/21(Thu) 22時半頃
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トニーが、旅に出るって言ってるんだ。 それを見送るまでは、頑張ろうと思ってさあ。
[>>112出歩くのをやめるよう諭すチャールズに、カルヴィンはため息をつく。 白くなった自分の息が、ふわりと宙に溶けてゆく。 つまらない意地だと彼は咎めるだろうか。 いつもの子供らしい元気さも、すっかり鳴りを潜めて]
ちょっと休めば、あと少しは保つと思うんだ。だから。
[誰かをねぐらの洞窟に招くなど、普段は考えられない。 同じ龍の血の流れるチャールズにだからこそ頼めた。 彼なりの、甘え]
(121) 2013/11/21(Thu) 22時半頃
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[なにやら真顔で考え込んでいたチャールズに、抱っこを提案されれば]
ば、馬鹿っ。なに言ってるんだよ! 抱っこなんて恥ずかしいだろ!
[顔を真っ赤にして、ぶーぶー抗議する。 言ってから、まだこんなに子供らしく振る舞える自分に驚いて。 くすり、と笑ってしまう。 いいじゃないか。子供らしく甘えたって。 なんたって自分は。“子供”なんだから]
――おんぶが良い。抱っこよりも。
[ちょっぴり恥ずかしそうに、チャールズにせがんだ]
(122) 2013/11/21(Thu) 22時半頃
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[少年は老人を知っていただろうか。 知っていたとするなら、同じ龍族であるものか、長寿の種族から聞いていたのかもしれない。 『古きもの』の存在を聞いたこともなければ、目の前の人物はただの老父にしか見えなかっただろう。]
坊やは…なんでこんな薄着で外を歩いていたんだね? 私はほれ、お腹に腹巻きを巻いているぞ。 帽子もかぶって防寒対策は完璧じゃ。 坊や、高い生命力を持つ龍族をも眠らす冬なんだ、 温かいコートを羽織って、おうちでじっとしていなさい。 おうちがないなら、教会かな。
[ずずず、と温かいポタージュを口にする。]
(123) 2013/11/21(Thu) 22時半頃
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薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2013/11/21(Thu) 22時半頃
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/* バーナバスさんがもふさんかな。
(-28) 2013/11/21(Thu) 22時半頃
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あら、よくなんてないわ。 貴女がそんな沈んだ顔をしていたら――、
[私の事はいいんです、と告げたソフィアへ、少しだけ目を瞠って首を振った。 押し被せるように続けようとした言葉は、けれど続く後悔の声に途絶える>>82
ソフィアが胸の内を吐露している間、できた事といえば虚を突かれたような表情で目を瞬かせる事ばかり。 間をおいて、あらまぁこれは深刻ねと困惑げに眉尻を下げた。 どうやら、ソフィアは度重なる失敗ですっかり打ちひしがれてしまったようだ。 励ます言葉を考えあぐねて、結局ソフィアに習ってカップにそっと口を付けた]
……あら、美味しい。
[ほんのりとした甘さは蜂蜜だろうか。 ウォーレンの心遣いに、胸の内で密やかに感謝する]
(124) 2013/11/21(Thu) 23時頃
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[しばしそのまま、クシャミとソフィアのやり取りを口を挟まずに見守った。 ジリヤが下手に口出しするより、クシャミに任せた方がソフィアも元気が出るかしら、と思ったのだ。 歳の近い友人同士っていいわねぇ、微笑ましいわと年寄りじみた事をしみじみ。
やがて、カップのお茶が三分の一ほど減った頃に、クシャミが真鍮製の丸いチャームを数個取り出す]
……魔除けと加護ね。 それなら大丈夫、そんなに時間を掛けずにできるわ。
[内心あら、と感心したのは、親しい友人にでも配るのかしらと思案したから。 ソフィアの父のように、有翼族は冬季には旅に出てしまう。 人の子たるトニーも、南へ花畑を見に行くと言っていた。 冬は眠りと別れの季節だ。そうした依頼も珍しくはない]
(125) 2013/11/21(Thu) 23時頃
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えぇ、お代もそれで十分だわ。
[差し出された銅貨を見て、お代は結構よと断ろうかと束の間思った。 けれど、きっとこのためにクシャミが頑張って貯めたのであろう銅貨なのだ。 その気持ちと一緒に、有り難くいただく事にした。 ……そういった祈りのような気持ちが、ささやかな魔法を補強してくれる事も少なくない]
それじゃあ、チャームを貸していただけるかしら?
[銅貨を受け取り、皮袋に収めてから、再びクシャミへと手を差し出した。 掌に乗せて頂戴、と促すよう]
(126) 2013/11/21(Thu) 23時頃
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[チャームを掌に受け取ると、何も言葉を紡がずにもう片方の手をゆっくりと重ねた。 どこか慈しむような仕草で、チャームを柔らかく包み込むように。
そのまま、静かに瞼を下ろす。
凪ぐような静寂に遅れて、ドリュアスの髪に絡むサンザシに仄かな燐光が灯った。 目を離せば消えてしまいそうに儚いそれは、やがて強さを増してドリュアスの全身を覆う。
――込めるのは、魔除けと加護の魔法。
美しく繊細なタペストリーを織り上げるように、魔力を紡いで祈りを絡める。 組んだ魔法は、掌の中に閉じ込めたチャームへと。 纏う燐光が溶けゆく雪のように密やかに静まり、最後まで残った掌のそれも、やがて微かな余韻を残して消え入った]
(127) 2013/11/21(Thu) 23時頃
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[閉じていた瞳をゆるりと開いて、クシャミへ向けて微笑みかける]
はい、これでいいわ。
[チャームを覆っていた左手をよけて、今度は右手の下にそっと添えた。 クシャミへと、チャームを差し出す。
見た目にはなんの変わりもないが、敏感な者ならささやかな魔力の香に気付くだろう。 そう、それから、祈りを宿したような微かなぬくもりに。 やがてはそれも、チャームの中に完全に混ざり合い、溶け込んでゆくのだけれど]
(128) 2013/11/21(Thu) 23時頃
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―― 数日前 工房 ―― [仲良くなった人間族の旅人が冬が来る前に、と、この村を去るのを見送って。 その足で、工房へと向かった。 まだ雪の降らない道。 木の葉を舞い上がらせながら、地を蹴る足は、途中から大きな猫のそれへと変化して。 店の前までくれば元通り、人の姿になってノックをしてから扉を開いた。]
ウォーレン、いるー!? あのさ、あのさ、 さっき教えてもらったんだけど、……―
[青年自身の用事でこの工房を尋ねることなんて、初めてだったかもしれない。 旅人が付けていた、さっき聞いたばかりのお守りの話をするも、これぐらいのーだとか、丸くて、真鍮でーといった青年の拙い説明は要領をえなかったのかもしれない。 初めはウォーレンも不思議そうな顔をしていた。>>113 不器用ながら絵を描いて見せたりして、ようやくわかってくれたウォーレンは、真鍮の端材を使わせてくれたのだ。合間に、世間話をしたりもして。数日間、そんな風にして過ごしていた。]
(129) 2013/11/21(Thu) 23時頃
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―― 今日 工房 ―― [何となく、工房は用事がないと行ってはいけないような、神聖な場所のような気がして、今まであまり足が進まなかったのだけれど。 今ではすっかり、青年にとっては居心地の良い空間となっていた。 ウォーレンからカップを手渡される。>>113]
へへっ、ミルク入りだ。 ありがと、ウォーレン!
[ちゃんと、青年の好みに合うようにミルクを入れてくれていた。 口をつけると、ソフィアの店のものだろう茶葉のいい香りと、ミルクの優しさが混ざりあう。外で冷えていた手と、体が内から温まった。]
(130) 2013/11/21(Thu) 23時頃
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/* >>129かもしれない運転しすぎたーーにゃーーー
(-29) 2013/11/21(Thu) 23時頃
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/* 正直に言うと中の人はケモナーだけどにゃーにゃー言ってる自分は寒いと思って(
(-30) 2013/11/21(Thu) 23時頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2013/11/21(Thu) 23時頃
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―教会―
…天使?天使なぁ…。
[アリスが自分のことを天使と形容すると>>90訝しげに容姿を観察する ふわふわと柔らかい印象の白い毛は、確かにそれと形容するのに相応しいのかもしれなかったが、一般的に天使として形容されるものに必要なものがアリスにはない]
だいたい天使と言やぁ、翼があるもんじゃねぇ? …あ。いや…今のは忘れてくれ
[言った後で、まるで翼を持つ自分のことを天使と形容したようになったようで何だか一人で恥ずかしくなり、柄じゃねーよ、と数回首を振って否定した。アリスには笑われたかもしれないが
(131) 2013/11/21(Thu) 23時頃
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トニーが。…そうですか。あの子も大きくなりましたからね…、支度だけは不自由のないように、してあげないと。
[トニーが旅に出る。その話をカルヴィンから聞くと、驚いて目を丸くした。 山間のこの村からは、隣の村へ行くにも決して楽な道行きではない。成長しているとはいえまだ子供である少年を思い浮かべ。チャールズは思案顔で、しかしどこか嬉しそうにそうですか、とまた呟いた。
こちらの提案に顔を真っ赤にして抗議するカルヴィンに、ああ、すみません、と笑って応じる。 年頃の少年に抱っこは不味かったろうか。彼が自分よりも長い時を生きている事は承知しているが、チャールズの態度は一貫して子供に接するそれだ。
おんぶをせがまれると、はいはい、と彼の前に屈んで背負ってやる。──仕方の無い子ですねえ。親戚の子供を甘やかすような口調で言った言葉は、カルヴィンにどう響いたろうか。背中に居るその表情を見る事は出来ないけれど。
少しずつ傾く陽の中、少年の住処へと歩き出す。雪の道の上に二人の影が伸びて落ちていた。]
(132) 2013/11/21(Thu) 23時頃
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そのアリスが、帰宅についての話になると急に表情を曇らせる 屋敷を苦労して抜け出たのだ。簡単に帰りたくないのであろうことは容易に想像できる それでも、甘えた顔で賄賂としてクッキーを握らせにかかって来たのには、戸惑いを覚えた いつそんな事覚えたという言葉が出かかったが、飲み込んで]
……暗くなるまで、だぞ。 その後はもう…知らんからな
[そう言ってクッキーを受け取り、一口齧った 有翼族の者は夜目がききにくい者が多い。それでも気流を読んで方角を把握することは可能だが、山に囲まれた狭い村内でアリスを連れて飛ぶのはリスクが大きい よって空中散歩で送れるのは陽が暮れるまで。それが過ぎても、節介焼きが多いこの村では誰か頼れる者はいるだろう。 暗に好きにしろよ、という意図ではあった]
(133) 2013/11/21(Thu) 23時頃
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/* 墓下に最も近い女から、墓下が最も遠い女へと……! こういうのも悪くないわねぇ……! もうしばらく、地上でまったりさせていただきましょう。
ともあれ、所要を片付けてこようかしら。
(-31) 2013/11/21(Thu) 23時頃
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/* や、でもソフィアは天使だな。(真顔)
(-32) 2013/11/21(Thu) 23時頃
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[>>*5 逞しい想像力を働かせる少女に、思わずほほえましい気持ちになってしまう。 しかしながら、龍は魔法使いではない。 人間の中には魔力を持って術の行使を可能とするものもいるが…おとぎ話のような芸当は不可能だろう。]
チェシャ嬢、その物語の主人公は『灰かぶり』の名を持つ娘。 お嬢さんに灰をかぶらせるわけにはいきませんな。はっはっ。
[しかし、ピーターが本当にそんなことを(魔力ではなく労力をはらって)できたら、さぞチェシャは喜ぶだろうな、などと考えてみたりするのだった。]
(*6) 2013/11/21(Thu) 23時頃
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[時間をかけずにできることと、お代が足りることを聞いて、ほっとした。>>126]
よかったー! じゃあ、お願い。
[銅貨を、そして促されチャームとを順にジリヤの手のひらにのせる。 チャームの上から、ジリヤの手が重ねられる。魔力を込めるその様を、尻尾と耳とをピンとたて、緊張した面持ちで見つめる。
薄い氷のような色をしたジリヤの眼が閉じられると、ぽうっと、彼女の髪に絡んだ花に、灯がともった。最初は蛍のように果敢無いものだったその灯は、少しずジリヤの全身を覆ってゆき、眩しさに思わず目を細める。 やがて、ある点を境に光は徐々に弱まっていき、すっと消えてしまった。]
(134) 2013/11/21(Thu) 23時頃
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─日暮れ・村中─
[カルヴィンを送り届けた後、通りに戻ったチャールズは足早にピエールの店へと向かっていた。 途中、行き交う村人達に挨拶をし、冬を無事に越えらるようにと互いを労い、望まれれば祈りの言葉を贈った。
途中、ウォーレンの工房にナイフの手入れを頼んでいたのを思い出したが、徐々に傾きつつある陽に、それは後回しにする事にした。
御茶屋のソフィアや針子のジリヤにも出会っただろうか。 ピエールの店に着くと、そこでは随分以前に見掛けた事のある老人──バーナバスだったか。彼と、薄着のトニーが食事を取っていた。 ピエールが頼んだ品物の持ち帰りを準備してくれている間に、彼等とも二、三、言葉を交わす。 特に、初めての冬であろうトニーの事は心配で。(しかも彼は旅に出ると言うのだから、なんと一人で!)手持ちの銀貨を包んでやり、路銀の足しにするように言う。少年なりの考えで拒むかもしれないが、普段から何かと彼の世話を焼いているチャールズはどこ吹く風だ。
クシャミが着れなくなった衣類などもあるから、遠慮せずに後で取りにくる様に言い含めて。ピエールに礼を言って、店を後にする。]
(135) 2013/11/21(Thu) 23時頃
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──では皆さん、良い冬を。
[扉を締める前、振り返って告げた言葉は、白く曇って空気に融けてゆく。 外はすっかり夕暮れで、降り積もった雪がきらきらと灯り始めた街灯の明かりを照り返していた。]
(136) 2013/11/21(Thu) 23時半頃
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