164 天つ星舞え緋を纏い
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― 祭り当日 ―
[山車が家の前を通り過ぎ、遠ざかっていく。 通りには山車を最後まで見届ける者、次の儀式が行われる場まで移動を始める者と人の流れが出来始めた。 自分は何処に行こうかと、あてもなくふらつく娘の目に、鮮やかな臙脂の着物が留まる>>15]
あれは……雷門さまに、夕ちゃんか。
[ぴったりと雷門に寄り添う姿は、本物の祖父と孫のようで微笑ましい。 けれどその姿は、どこか他の子らと距離を置いているようにも見えた]
おじいさんのこと、心配してるから……?
[遠くから見ている限りは、そんな微笑ましい関係にも見えるのだけれど。 ただ、浮かない顔をする雷門と、どこか寂しげな夕顔の表情が、少しだけ心に引っ掛かった*]
(22) 2014/02/15(Sat) 21時頃
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……おぉ、おぬしは聞いておるかな? 何でも……お前の兄者が祭りに来ておるようだが。
[あくまでついで、といったようなのどかな声で問うてみる。先日、雷門のところに夕顔を送った時に耳にした話だった。 一平太の父君の耳に入ったらまずいだろうか、とも思うたが、それはさて、無視の方向に出るかもしれぬな、なら、弟には話してもよかろう。と判断した。
二人が連れ立って祭りに来ていたのがつい昨日のように感じられるが、一平太は…どうなのだろう]
今は…そう、なんといったかな…ううむ……。
(23) 2014/02/15(Sat) 21時頃
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釣り師 沼太郎は、メモを貼った。
2014/02/15(Sat) 21時頃
釣り師 沼太郎は、メモを貼った。
2014/02/15(Sat) 21時頃
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[そうしてぼんやり夕顔の方を眺めていた時、突如周囲の子供たちが歓声を上げ始めた]
『にいちゃんだ!』 『手妻師のにいちゃん、見付けたー!』
[どうやら持ち場へ向かう赤黒の着物>>18を、遠目に見付けてしまったらしい。 こうなるともう止まらず、子供らは一斉に駆けていく]
あ、だめ、まだ準備中でしょ……!
[このままでは開演前に押し掛けることになりはしないかと、声を上げたものの後の祭りだった。 今更追い掛けて捕まえることも出来ない、と、娘は諦めの溜息をついた]
(24) 2014/02/15(Sat) 21時半頃
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[漸く人混みを抜けきって、息を零したところに掛かる声一つ>>19。 顔を上げれば久方ぶりに見る顔があった]
……嗚呼、沼太郎様。御無沙汰しております。
[手招きされるままに向かい、その隣へ。 腰掛けて、少し表情を和らげた]
お陰様で。 今日は流石に、お休みをいただきました。
[相変わらず、を肯定しつつ。 勧められた一本を、頭を下げて手に取った]
(25) 2014/02/15(Sat) 21時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2014/02/15(Sat) 21時半頃
子守り 日向は、メモを貼った。
2014/02/15(Sat) 21時半頃
──鈴の音一つ、大気震わせ。
──澄んだ響きは、静寂を呼ぶ。
(#3) 2014/02/15(Sat) 21時半頃
里を山車が巡り終えた後、神社の境内で始まるのは、祭りの儀式。
神主が代々伝わる詞を唱えて祈りを捧ぐ。
里の暮らしが穏やかな事に。
人の在り方が穏やかな事に。
ゆるりと進む神事の中、最初にそれに気づいたのは誰だったか。
天に輝く陽にかかる、黒い陰。
それはじわり、じわりと、喰らうように陽に重なり。
やがて──陽を飲み込んだ。
(#4) 2014/02/15(Sat) 21時半頃
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嗚呼、華月斎様ですか。
[団子を一つ口に含んで、飲み込んで。 何気なく向けられた問い>>23に、何気ない調子で返した。 明之進に言われた時と同じく、『兄君』である事を否定はしないが、やはり一平太が口にするのは本来の名では無く]
ついこの間、お見かけしました。 相変わらず、子供らに大人気なようで。
[続く言葉も、よそのひとの話でもするかのように]
(26) 2014/02/15(Sat) 21時半頃
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『……陽が』
『陽が、喰われた』
『月が陽を喰らってしまった』
呆、とした声で呟いたのは神主と、そして、里長の二人。
その意を問う声に返るのは。
(#5) 2014/02/15(Sat) 21時半頃
『天つ星が、目を覚ます』
(#6) 2014/02/15(Sat) 21時半頃
短き言葉、その意を問う暇を与えぬように、天より地より、現れ出でるは、異形の妖。
かつて、天より落ちし二色の星。
その力に惹かれて現れしものどもは。
星を宿せし者を──そして、多くの血を求め。
大気震わせ、咆哮を上げる。
(#7) 2014/02/15(Sat) 21時半頃
それは、穏やかなる日々の終わりと、そして。
銀と黒、煌星と闇星の戦いの始まりを告げるもの──。
(#8) 2014/02/15(Sat) 21時半頃
門下生 一平太は、メモを貼った。
2014/02/15(Sat) 21時半頃
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― 回想・通り ―
[そそくさと広場を出、通りを抜けようとして、かかるのは懐かしい声>>0:70。 びく、と顔を上げる。]
琥珀にいさ……
……華月斎、さん。 お元気そうでなによりです。
[一瞬緩んだ表情も、問われれば表情硬くし、名を言い直し、深くお辞儀する。]
その、……色々、ありましてね。
[村に帰ってきたばかりの頃によく繰り返したこの言葉を言うのは久しぶりだと思いながらも、やはり正確な理由などいう気はない。]
(27) 2014/02/15(Sat) 21時半頃
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/* 天声に 挟んでしまった!
[挫折のポーズ]
(-2) 2014/02/15(Sat) 21時半頃
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ああ……そうか……今年も里長様に呼ばれたのですね。 久しぶりに見れるのを楽しみにしております。
[距離を置くような名の呼び方と言葉遣い。
けども。 祭りそのものに興味がなくとも、華月斎の芸が楽しみなのは真実。]
では、失礼しますね。
[言って、再び足を踏み出した。]
(28) 2014/02/15(Sat) 21時半頃
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─ 祭り当日/通り ─
[出番までもう少しあるからと、祭りの雰囲気を楽しみながらゆっくりと歩いていたのだが]
…………どわぁあ!?
[追いついた子供達>>24に後ろから突撃され、勢いに負けかけて鑪を踏んだ]
(29) 2014/02/15(Sat) 21時半頃
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──── っぶねぇ〜〜。
こぉら、おまえら、危ないやないか。
[ピンピンピン、と突撃して来た子供達の額を指で弾いてやる。 然程力を入れているわけではないため、泣く子までは居なかった。 その代わり、手妻手妻、と囃し立て始めるわけだが]
いーまーはーだーめーや! ちゃあんと演目の時間は決まっとるからなぁ。 儀式終わってからまた来ぃ。
[時間になったら見せるからと、子供達への言い聞かせを試みた]
ほれ、山車も行ってまうで? 手妻は逃げんて。
[その言葉でようやく子供達も動き出し、後で絶対行くから、と約束を残していく]
(30) 2014/02/15(Sat) 21時半頃
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やぁれやれ、元気なこっちゃ。
[本番は流石に集中したいし、勿論準備もしなければいけない。 子供達には悪いが、体良く追い払わせてもらった。 あれだけ熱望されるのは手妻師冥利に尽きるのだが]
さぁて、準備準備。
[持ち場に向かうために儀式までは見に行けない。 それが少し残念ではあるが、これも己が勤めだ。 今はまだ人気の少ない広場へと向かった]
(31) 2014/02/15(Sat) 21時半頃
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手妻師 華月斎は、メモを貼った。
2014/02/15(Sat) 22時頃
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― 通り ―
……もう。
[結局子供らとは別れたまま、娘はとぼとぼと神社の境内へ向かう道を歩いていた。 儀式で役割を負っている訳ではないのだが、生前の両親が熱心に祈る姿を見ていたから、娘としてもあまりこの行事を蔑ろにはしたくない。 とは言え今から向かっても、儀式の開始には間に合わない予感がした]
なんか風……冷たいな。
[ひゅおお、と吹きすさぶ風の音が、喧噪の中なのに妙に大きく聞こえる]
(32) 2014/02/15(Sat) 22時頃
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…………。 泣いて、る?
[直感的に、そう呟いて。 何故そう思ったのだろう、立ち止まり自問した、その時]
『おい、見ろ! お天道様が――』
[誰かが叫び、指を差す。 その声に周囲の人々も立ち止まり、皆口々に天を仰ぎ異変への驚きを口にし始める]
[その声が悲鳴に変わるのまで、それから長くはかからなかった]
(33) 2014/02/15(Sat) 22時頃
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ふむそうか。まぁこんな日に門下生もこまいがな……お前の父君は昔からちぃと真面目なきらいがあるからのぅ。
[かつて寺子屋で教鞭をとっていた頃の、彼の父親の面影が浮かぶ。とうに後任に譲った役目ではあるが、こうして教え子の息子を見ると感慨深くもあり、また一層老いを自覚する。]
おぉそうじゃ、華月斎といったな。なんじゃもう会っておったか。
[驚くかと思うたがつまらぬのう、と勝手なことを言い茶をすする。山車は通りを進んで行くのをみると、直に社では儀式が行われるのだろう。]
(34) 2014/02/15(Sat) 22時頃
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[道すがら。 華月斎の手妻をはじめてみたときのことを思い出す。 ひらひらと、軽やかに舞う胡蝶。 そのまま切り取って布地の柄にしてしまえたら……と目を奪われた。]
……。
[またあれが見れるのかと思えば、足が軽くなった気がした。]
(35) 2014/02/15(Sat) 22時頃
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のぅ、一よ。 時を失してからでは遅いぞ。
……ほっほっほ、年寄りの戯言じゃ、流すがよいわ。
[近しいものを失う痛みは、彼にならわざわざ言うまでもないことだろう。 失って初めて、近しい者だった気づくこともある。それだけ伝えて飄々と笑う
それから天が暗闇に飲まれるまでは、そう時を置かなかった]
(36) 2014/02/15(Sat) 22時頃
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─ 神社の境内 ─
[楽の奉納をするようになったのは、数年前から。 それまで奉納をしていた楽士に偶然音色を聴かれ、役目に推挙されたのが切欠だった。 横笛を奏でるのは好きだったし、それが里の役に立つならば、と。 素直に受け入れたのは、里での居場所を求める思いもあったのは否めない]
…………。
[控えの場で、息を詰めて神事が進むのを見る。 いつもならば目を逸らす事はないのだけれど──何故か、この時は。 奇妙な動悸を覚えて、ふっと、上を見て]
……え?
(37) 2014/02/15(Sat) 22時頃
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[上がったのは、呆けた声。 陽が黒く、何かに覆われていく。 呆然とした意識を引き戻したのは、神主の漏らした声。>>#5]
月が陽を……って、それ、一体、どういうっ……!
[思わず投げた問いに返る、言葉。>>#6 短いそれに、ひとつ、瞬く]
……天つ星……?
(38) 2014/02/15(Sat) 22時頃
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― 祭り当日 ―
[遠くから賑わいが聞こえた。
山車が近くの通りを過ぎる頃、女は家を出た。 自身の織物が、どのように使われているのかを確かめようと。
そして、手妻を見に行こうとも。
鮮やかな紅で、口元と目元を控えめに彩って。]
(39) 2014/02/15(Sat) 22時頃
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そのようで。 お蔭でよく叱られます。
[苦さ含む笑いと共に、祖父にとっては教え子、父にとっては先生らしいその人>>34へ言葉を返す。 団子の二つ目を含み、口を動かしつつ、茶を啜る姿を横目に見て]
……毎年、この時期にはいらっしゃってるそうですよ。
[だから驚くことはないのだと、遠まわしに告げるようにしながら。 進む山車に目をやって]
(40) 2014/02/15(Sat) 22時頃
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……。
[はたと瞬き一つ。 疑問符を浮かべて沼次郎を見たけれど、すぐに戯言だと言われ]
はぁ。
[その真意>>36を訊く事は叶わぬまま]
(41) 2014/02/15(Sat) 22時頃
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─ 広場 ─
[華月斎の持ち場は簡易的な舞台。 その上に必要な道具を適した場所へと配置していく]
……………
[華月斎。 芸を行う時の名。 本来の名を知る者だっているのに、呼ばれるのはいつも芸名の方だった。 それは家族だけでなく、里の者達からも壁を作られているように思える事柄]
……あー、あかんあかん。 んなこと考えてる場合やない。
─── わいが選んだ道なんや。
[演目前にそんな風に思ってしまったのは、雪客と会った時の態度と言葉遣い>>27>>28から。 名を言い直されたのは、自分で思っていたよりも、堪えたらしい]
(42) 2014/02/15(Sat) 22時半頃
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大掛かりなもんはないし、こないなもんか。
[一度舞台を下りて観客席から配置を見る。 客から見える位置、見えない位置、それを把握しておくのも技術のうちだ]
そろそろ儀式終わる頃かいのぉ。
[腕を組み、神社がある方へと視線を転じる。 神事の音はここまで届かないが、賑わう鼓動は感じられた。 あそこに集まる者達はいずれ、この観客席へと集まることになるだろう。 期待に胸を膨らませ、舞台に上がるために気持ちを切り替える。 大きく息を吸い、吐き出したところで、齎された異変に気が付いた]
(43) 2014/02/15(Sat) 22時半頃
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― 祭り当日/墓地 ―
...色不異空 空不異色 色即是空 空即是色 受想行識亦復如是 舍利子 是諸法空相 不生不滅 不垢不浄 不増不減...
[里の祭りの喧噪を他所に、墓所には低く経文の声が響く。 二十余年の昔、丁度祭りのその夜に、ここに棄て置かれたは、ひとりのこどもと、ひとつの骸]
[骸が何者であったか、それは判らぬ。しかし、住職が亡くなったと噂に聞いたかつてのこどもが、ここに戻ったその理由の一つは、この経を手向けるためであった]
(44) 2014/02/15(Sat) 22時半頃
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