30 ─今夜、薔薇の木の下で。
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……無理しなくて良いのに。
[ふっとほろ苦く微笑んだ後。 撫でていた手に髪を強く掴まれ、上に向けさせられ。]
……ッ
[彼と同じく淡い薔薇の吐息を零し、濡れた瞳を今度は情欲で潤ませる。]
(86) 2010/09/09(Thu) 12時頃
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……縛っ、て。
痕が残るくらいきつく、縛って、 犯して欲しい……です。
[恋とは違うけれども、誰よりも尊敬するひとに望みを叶えて貰える幸福に、拒否し続けることも出来なくて。 強請る言葉をうっすらと開いた唇から零してしまう。 それでも彼があまり困らないようにと、できるだけ無難な願いを口にしたのだけれど。]
(87) 2010/09/09(Thu) 12時頃
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身の裡で芽生えたばかりの薔薇の新芽がちくちくと暴れるけれど―― 新芽を自分のからだで育てて、新しく生み出した世界に逝ってしまおうと思ったけれど。
もうどうでも良かった。
(*1) 2010/09/09(Thu) 12時頃
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―非常階段―>>90 [憧れの先輩に辱めを受けている、というその事実が何よりも身体を熱くする。 ワイシャツを奪われ、両手首を手摺に拘束されると、その苦痛と強いられた姿勢に興奮して、既に欲望がすっかり形を成していた。]
ん……そ、んな、……ッ!!……!!!
[足先でそれを押し潰すように探られ、激痛に声にならない悲鳴を上げる。 が、そうやって仰のいて、喉も裂けよと開いた口唇からは濃密な薔薇香が滔々と溢れ出し、間違いなくロビンがその苦痛から快感を得ていることを知らせる。]
(92) 2010/09/09(Thu) 12時半頃
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[ああ、そうだ――と、彼は思い出した。
薔薇香に侵されたばかりの頃、 自分を凌辱し、服従を強いる相手として、実在の人物として初めて夢想したのはディーンであったっけ……と。]
(-14) 2010/09/09(Thu) 12時半頃
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―非常階段― [すぐに下肢を覆うものも剥ぎ取られる。素肌の上に直に衣服を纏っていたから、勃ち切った若茎がぴんと挨拶するように飛び出すのは避けられない。 ディーンは更に、毟り取ったネクタイで片膝も手摺に括り付けてしまった。 くの字に片足を曲げて開いたまま吊り上げられ、秘所が全て曝される格好になる。
裸の素肌を夏の熱を帯びた大気に曝し、だがまるで冷所に在るように粟立たせ、ロビンはぞくぞくと身を震わせた。 レンズの奥、灰いろが長い睫毛の翳を落として伏せられる。 白くなめらかな頬に、羞恥の薔薇いろが上った。]
(97) 2010/09/09(Thu) 13時頃
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―非常階段― [白く平らかな胸には、漸く血が固まり始めたばかりの爪痕、鮮赤い茨の刻印が渦を巻く。 薄紅いろに色付いた尖りは、白い樹液の滴りで濡れている。丁度、下腹で頭を擡げた若茎のように――。
蒼薔薇によって作り変えられたからだを見て、ディーンは何を思っただろうか? 憐れみにせよ、それ故に装った蔑視にせよ、ロビンは彼の視線だけで達しそうなほど昂ぶっていた。 まだ一指も触れられていないのに、少女のような紅い唇から切なく甘い喘ぎが絶え間なく洩れる。]
(99) 2010/09/09(Thu) 13時半頃
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―非常階段― [噎せ返るほど濃密な薔薇の香気のなかで、剥き出しの膚に与えられるのは痛み。
胸の尖りを太腿の内側を苦痛なほど張った若茎を。 抓られ、捩り上げられ、爪でくじられる痛みも、
血が滲んで、白い膚に朱が散るほどの愛咬の痛みも、
致命的な傷にならぬよう、細心の注意を払って注意深くベルトで打たれる打撃の痛みも、
噛み付くような口接けも、奪うように絡みつく舌も、 まさぐる指の、ざらりと硬くなったたこの肌触りも、
みんな、皆、 全部が幸福で、]
(102) 2010/09/09(Thu) 13時半頃
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―非常階段― [悲鳴と哀訴と区別のつかぬ嬌声を、声が嗄れるまで幾度もあられもなく張り上げて。 最後に、開かれた脚の間に割り込んだディーンが、餓え切った蕾を穿ってくれた時には、立て続けの絶頂で殆ど朦朧としていた。
自分を貫いて揺さぶり続けるディーンに、手首を縛められ苦痛の網で覆われた身体の許す範囲で顔を寄せ、小さい口接けと囁きを残す。
ありがとう――と。]
(104) 2010/09/09(Thu) 14時頃
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―非常階段― [そこから先は――脳髄が灼熱の白に灼き切れて。 自分の中でディーンが達したかどうかも覚えていない。
ディーンとの行為で精気を一気に放出したために、まだ艶やかだった胸の茨の赤は蒼く変じ、今や腹や首にまで拡がっていた。 荒淫で疲弊し消耗し切ったからだもこころも、休息を求めて眠りにつく。 それが昏睡に続く決定的な眠りとなるかは分からず――ただディーンの望んだ仮初の死には確実に近付いていた。*]
(106) 2010/09/09(Thu) 14時半頃
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ロビンは、ラルフに蹴り落とされた所為か、意識の無いまま、ん…と小さく呻いた。
2010/09/09(Thu) 19時半頃
ロビンは、ディーン…と眠りのうちに無音の呟きを。
2010/09/09(Thu) 22時頃
ロビンは、ディーンとラルフの会話も知らず、僅かに身動ぐ。
2010/09/09(Thu) 22時頃
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―非常階段― [ぱちり、と仕掛け人形のように目を見開く。 ゆら…と起き上がらんとする動作もまた人形の如く。 蒼いい薔薇の侵食は既に両肩にまで拡がっている。]
(150) 2010/09/09(Thu) 22時半頃
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―非常階段― [細い未成の身体に走る、数多の傷痕も痛々しく。 半身を起こすと、灰いろの瞳を伏せ、熱い息を吐く。
全身が熱を持ったようにじんじんと痛む。 実際に、負傷と疲労から発熱しているのかも知れない。 それなのに、取り込んだ蒼薔薇の新芽が成長のために容赦なく精気を吸い上げていた。 足りぬ分は贄と交わって補えと言うように、残り火に更なる情欲の粗朶を焼べようとするのだ。]
(153) 2010/09/09(Thu) 23時頃
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[立ち上がろうとして――くたくたとへたり込む。 足は滑るように床を掻くばかりで、下半身に全く力が入らない。
その頃になって、漸く意識がしっかりして、現状を認識できるようになってきた。 自分が非常階段の床に転がっていること、その側にディーンとラルフが向き合うように立っていること、 ディーンに抱かれて意識を喪ってから、あまり時間が経っていないこと、 そして、自分はまだ蒼薔薇の虜囚で、間もなくドナルドのように完全に思考を奪われてしまうであろうこと。]
(155) 2010/09/09(Thu) 23時頃
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[胸の裡に抱え込んだ新芽は命ずる、
新たな宿主を探せ、と。]
(*2) 2010/09/09(Thu) 23時頃
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[分かってるよ――と少年は呟く。]
でもそうしたくないんだ。
君を、誰にも渡したくない。
新しい世界に逝ってしまうんでも、ディーンがみんなを連れ戻すんでもさ。 僕はどっちでもいいんだ。
それでもずっと抱えてたい。 終わりになるまでは。
(-48) 2010/09/09(Thu) 23時頃
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ロビンは、へたり込んだまま、傷だらけの己自身を両腕で抱いた。
2010/09/09(Thu) 23時半頃
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[少年は、身の裡に養う新芽を誰にもやらぬ、というように己を抱いた。]
(*3) 2010/09/09(Thu) 23時半頃
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僕はもう生まれてしまったから――
もう卵の殻の中には戻れない。 このままで生きてくしかないんだ。
(-49) 2010/09/09(Thu) 23時半頃
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だ、い じょう ぶ、
[熱い息を殺して、食い縛った歯の間からディーンに向かって制止の言葉を搾り出す。]
誰にも、渡さないから、 これは、僕が欲しがったものだから、
[ぞわぞわと背に向かって蔓を伸ばす茨に抗するように、いっそう強く己を抱く。]
(161) 2010/09/09(Thu) 23時半頃
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と、にー ?
[ラルフの問いが何を示しているのか、一瞬分からなかった。 ややあって、ああ――と呟いた。]
つれていこうと思って、したんじゃない、 僕は、
[ただ、彼が欲しかっただけだ。 だが、トニーが目覚めないなら結果的に同じことなのだ、と悟り口を噤んだ。]
(162) 2010/09/09(Thu) 23時半頃
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ロビンは、白い額にじっとりと汗が浮かんで流れ落ちる。
2010/09/09(Thu) 23時半頃
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流石にさ、痛いのが気持ち良いからって言ってもこれはさ……
気持ち良くないよ。
[ざわざわと己が浸食されていく感覚は。]
(-50) 2010/09/10(Fri) 00時頃
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や だな、これ…… ほんとに、気持ち 好く ない。
[強がるように唇が笑いの形を作る。 「トニーも起こしに行こう」と言われれば、くくっと喉を鳴らし、]
……きらわれた、かも ね? でも、いいよ、それでも。
(168) 2010/09/10(Fri) 00時頃
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ごめん な さい、もう歩けな
[ディーンの差し出した手を取る体力も尽きつつあるのか、ぎゅっと目を瞑る。 ぐったりとフェンスに背をつけて横たわった。]
(170) 2010/09/10(Fri) 00時頃
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[蒼薔薇の蔓、全身に巻きつき、 絶え間なく膚にざわめきを起こして、囁く。 従え、もっと求めよ、と。]
――煩いな……
(*4) 2010/09/10(Fri) 00時半頃
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一緒に逝こうよ。
君は僕のものだもの。
(*5) 2010/09/10(Fri) 00時半頃
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[医務室だろうと、トニーの傍だろうと、逝ってしまえば変わりはないんじゃないかな…という無粋なことを言うのは止めた。 言葉を喋る気力がもう無かったのもあるけれども。 喋れなくて良かった、と思った。]
(174) 2010/09/10(Fri) 00時半頃
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[それにしても。 ディーンとラルフはいつの間に「待ってる」など約束を交わす仲になったんだろう。
それとも自分の知らない以前から、ふたりは好きあっていたんだろうか。
ユーリィとサイラス、ディーンとサイラスのことを知らなかったように。]
(-52) 2010/09/10(Fri) 00時半頃
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ロビンは、名を呼ぶディーンの声と頭を撫でる手を感じ、微笑した。
2010/09/10(Fri) 00時半頃
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