17 吸血鬼の城
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────…。
……、兄の。
[潤む瞳で細い声を押し出すマーゴットの前で、そっと、ドレスには不似合いな古びたペンを胸の前で握ったのです。]
兄の──望み、でしたの。
[彼が求めたのは、黄昏の城に活けられた一輪の薔薇。 遠い記憶をよすがに、自らの命を賭けて望んだただひとつの花。
問いに一度目を伏せ、自らに言い聞かせるように口にします。>>272]
(275) 2010/06/22(Tue) 18時頃
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…ええ、本当に。
ほんとうに「ここ」は、空気が良くありませんわ。
[ハンカチーフを差し出す彼女の面影に、噂に聞く気狂いの影は見当たりません。 案ずる様子で声をかけてくれた彼女に、ほんの僅かに微笑みました。]
バイルシュミットさまは…いかが、なさいまして?
[騒ぎを離れ、ひとり歩く彼女へと首を傾けました。]
(276) 2010/06/22(Tue) 18時半頃
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不思議な場所…、ですの?
[グロリアの言葉に、ことり。と、首を傾けます。>>278
彼女の中の言動のおかしさ、その内実に気付くとなく、ただ忠告を忠告と受け取って、ひとつ素直に頷きました。]
─…バイルシュミットさまも、どうぞ、どうぞお気をつけて。 わたくしは…、もう……
見たくは、ございませんわ。
[何を、とまでは口にせず、ただじっと視線を合わせたのです。 傍らでマーゴットが長い溜息を落としますのに、痛ましく眉を曇らせました。]
(281) 2010/06/22(Tue) 18時半頃
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[かたり。
扉が閉まる音に、同じく視線を巡らせます。 みますと、この先を拒絶するかのようにサイラスの部屋の扉がきっちり閉じられておりました。]
…ええ、そうですわね。
[胸元に大切にペンを差し、淡い菫色の薬を掌の中に握りしめて立ち上がります。]
───…。
[気遣わしげな視線をマーゴットに向け、そうしてグロリアの提案に頷き…最後に少し、首を傾けました。]
(283) 2010/06/22(Tue) 18時半頃
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執事さん…?
[ぱちりと瞬いたのは、執事という言葉と人物像が繋がらなかった所為。かの「従者」と得心すれば、僅かに顔が曇ります。
あの時目にした白薔薇の顔。 疲れたように見えた顔を思い返し、密かに息を落とすのでした。]
そうですわね、それに─…。
[言葉の最後は、ごく小さく消えました。
2人にしたがって、足を踏み出します。 お茶の席、出来ることなら「吸血鬼」を「戻す」術を問い掛けてみる、その*つもりで*]
(285) 2010/06/22(Tue) 19時頃
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──…いいえ。
[囁くような声に>>284、ふわりと柔らかく微笑みます。 差し伸べられた手に、そっと淡い菫色の薬を握らせました。]
… これを。
[咄嗟に振り仰いだ彼女の顔は、丁度光の影になって見えませんでした。 ですから、結局彼女がどのような表情でかの薬を手にしたのかは、見えないままであったのでございます──**]
(286) 2010/06/22(Tue) 19時頃
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─廊下:少し前─
え…、マーゴさま…っ!?
[遠く響いた物音に、くるりとマーゴットが踵を返します。>>305
───危険。 傍らで零されたグロリアの呟きに、胸が騒ぎました。>>310
ふと脳裏を過ぎるのは──、]
(395) 2010/06/22(Tue) 23時頃
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だ…め……
[物言わぬ、兄の姿。 ふるり、と首を振って僅かに後ずさります。
今はまだ、この手に何の力も持ってはいない。 わたくしは踵を返し、別の方向へと歩き始めたのです。]
(396) 2010/06/22(Tue) 23時頃
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