276 ─五月、薔薇の木の下で。
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[君にずっと恋していたんだと 君にだけは本当の俺を知られたくなかったと 君が心配でこんなに錯乱したんだと
言ったって、もう信じられないのだろう。
“あいしてる”の無い交わりしか知らない それは、沢山の二人の違いの中でも大きなもの。]
(*29) 2018/05/21(Mon) 21時半頃
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……君も、俺とする? なんて、ね。嘘嘘。
[吐息に熱が籠もったのは演技ではない。 今尚眠らず何を欲しているのか、理解している。 それでも、俺には ただ一人の聖域に衝動は振り下ろせない。]
(*30) 2018/05/21(Mon) 21時半頃
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[ それこそが残酷なのだろう。 そのままの彼を愛する誰かが必要なのだろう。 ]
(*31) 2018/05/21(Mon) 21時半頃
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[ あの子が伸ばした手を取ったのは俺。 二人の間の感情と、俺と彼とのそれの名前が違っても
救いに喜んだのは、事実。 ……救われていないひとを置いたまま。 ]
(*32) 2018/05/21(Mon) 21時半頃
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[最後まで向き合わなかった男を嫌ってほしい。
そう想うのは、自分の為なのかもしれない。 それでも、嫉妬に狂う心で彼の未来を想ったのは本当だ。
茨に水なんて与えられなかった。 突き出したのは、嘘と決別の棘。]
(*33) 2018/05/21(Mon) 22時頃
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[ ────……… ] [ 薔薇の嘆きが、 遠くから、 ]
(*34) 2018/05/21(Mon) 22時頃
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[ 流れ込む赤泥は、 耳を、 喉を、 犯し 呼吸する内臓ごと、締め上げられる錯覚にも陥る。
慟哭に似た嗤声が、耳許に響く。 声の主の、顔は 見えずとも、 鼻だけは敏感なのだから、薔薇に混じった感情くらい、 嗅ぎ分けてしまえる。]
(*35) 2018/05/21(Mon) 22時頃
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[ 詰めた息を、吐いた。 ただただ"聞こえる"だけの、 それだけの無力を 滲ませ、
こんなときの言葉なんて、パン屋も、 ──── 聖職者でさえ、 知らないはずだ。]
Remember your Creator in the days of your youth, before the days of trouble come ……
[ 木々の囁きに、薔薇のざわめきに、 低く 重く、 風に乗せ────
太陽が闇に変わらないうちに。 月や星の光がうせないうちに、]
(*36) 2018/05/21(Mon) 22時頃
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[ いくら薔薇の香が色濃くなろうとも。 互いの匂いが混ざり合うことは、なく。
かなしい言葉の涙(あめ)の中。
俺が見ていた景色は 全然別のものだった。 ]
(*37) 2018/05/22(Tue) 00時半頃
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―――――――。
(*38) 2018/05/22(Tue) 00時半頃
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[ それは、暑い夏の日(>>48)。 木陰で他愛ない話を繰り返した中で。
無意識に けれど意味を持って 落ちた言の葉。
唇が繰り返していたけれど それは灰色の、空っぽだった箱の中へ ぽかりと浮かんだ。 ]
(*39) 2018/05/22(Tue) 00時半頃
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[ こんな風になっても 嬉しいだなんて思えるのは 可笑しいのかもしれない。 ]
(*40) 2018/05/22(Tue) 00時半頃
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ばかだなぁ、いっちゃん。
[ 滲んだ、小さな声が(>>*27) たぶん、俺が見てきた彼の本心。 嘘を吐く時ほど、人はよく喋る。 言の葉で覆い隠してしまおうとする。
そう思いたい、だけなのかもしれないけれど。
離れる間際。 落とされる別れの言葉(>>71)。 振り向きもしない背に投げかけるのは この世界には響かない、声で。 ]**
(*41) 2018/05/22(Tue) 00時半頃
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[ ──── 誰か、の 血か] [ ──── 誰か、の 涙か、] [ ──── 誰か、の "あい" かも しれないけれど、]
(*42) 2018/05/22(Tue) 01時頃
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よう。
[ 薔薇は話しかける。 狂い咲いた赤い薔薇の、天鵞絨の海の――赤い湖の――中 平気で佇めるまでになってしまったらしい男へ。 ]
神から賜ったものは、使う気になれそう?
[ 誰かを連れているならきっと、そういうことなのだろうか。 無粋にも、自分が吸った肌を見やり、息を吐く。 ]
(*43) 2018/05/22(Tue) 01時半頃
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[ この空間でもその恩恵は、俺にはない。 奪いたいほどの衝動があっても、俺は奪えない。
血も、涙も、あいも、―――隣も。
薔薇は根を張り、檻の中。 咲いて香って、枯れて、散る。 自由さえ手にいれる事が出来ない、この指先。 ]*
(*44) 2018/05/22(Tue) 01時半頃
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─── 神から?
[ 声為らざる声には、 振り向きもせず、 目線を合わせることさえ無い。 …平気で佇んでいるか、は 少々わからない。 そもそも"平気"とは何か と言う状態だ。
いつだってこの男には背中ばかりを見せてきた。 ( 其処は似ていないな、 "もうひとり"。 ) 自然と反芻した言葉は不遜な疑問系。]
(*45) 2018/05/22(Tue) 02時頃
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神にはとうに裏切られている。 ──── 信じた記憶なんて殆ど無い。 祈った記憶、 も
(*46) 2018/05/22(Tue) 02時頃
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それならずっと 薔薇からの、 ……お前からの賜り物だと、 そういわれる方が使う気になる。 [ 薔薇の 真紅の囁きに、 微かな笑いが混ざる。 喉をならすような、 ……螺の弛んだ其れだ。 ]
(*47) 2018/05/22(Tue) 02時頃
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[突き放そうとしている癖に 抱き寄せられて、嬉しくて。 本当にどうにかしているんだ。
そうされたいとずっと思っていた日々が 脳裏にどこまでも美しく蘇る。]
(*48) 2018/05/22(Tue) 04時頃
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[涙(あめ)も雨(なみだ)も降らない乾いた日。 日の光は煩わしい程、それも輝く思い出の一つ あの時彼はどんな言葉をくれたっけ。 思い出すのが今は苦しくて、止めた。
甘やかしい心地と、手すら伸ばせない苦しみ。 矛盾する感情の名前をとっくに知っていた 臆病者は声にすらせず、心の内に留まったのは。 やっぱり自分勝手で、願いきれなかった想い。
────好きだって、言ってくれたらなぁ。
自分で言わなければ、返るわけがない。 それなのに。]
(*49) 2018/05/22(Tue) 04時頃
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………… ああ、
[君もそう思ったのかな。 俺は嘘をつくのも上手くなかったみたい。
────本当にばかだなぁ。]
(*50) 2018/05/22(Tue) 04時頃
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[俺は彼に暴かれたかったのだろうか? 分からない。触れてはならないと思っていたから。
ただ、誰に、というものが無くても 暴かれることを望んでいたのは事実。 そして、同じことを、
二人ともそれが出来なかったのは 手を伸ばし合えなかったということなのだろうか。
きっと気持ちの問題じゃなくて、 どちらも何かに囚われていた。]*
(*51) 2018/05/22(Tue) 04時頃
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── 独白 ──
嬉しかったけど、
[同じくらいに辛かったけど、と いつか願いきれなかった想いを浮かばせる。 残酷に叶えられてしまった、それを。]
最後くらい、イアンって呼んでくれても。
[いいじゃないか、と。細やかな恨み言。 それは正常の声、決して対象には届かない響きで 落ち着いた後、ひとりきりで口にした。]
(*52) 2018/05/22(Tue) 05時頃
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[先輩、会長、いっちゃん。 みんなみんなそうだ、ああ。 “あい”も“こい”も手に入らないと分かっていても、やはり
可愛い女の子でもない寂しがりなんて ────気持ち悪いだけかもね。]*
(*53) 2018/05/22(Tue) 05時頃
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そうね、カミサマなんていないからね。
悪魔はいるのにおかしなこったよ。 いや、悪魔もそのうち消えてなくなるかな。
[ カミサマがいるんだとしたら。 茨に締め付けられたこの空間を見て嘲笑ってるんだろう。 そういう性格の悪いやつだと、思ってる。
目も合わされず返る声。 届きもしない独り言。
この声は、俺の声は、 どこにいても届く、呪いのような声。 ]
(*54) 2018/05/22(Tue) 07時半頃
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[ 水があれば。 精があれば。 生きることは出来るかもしれないけれど。
一度吸い上げた肌に、まだ淡く残るだろう花弁を。 触れた耳許を。 見つめて。
それでも自分から触れにいかないのは 花が枯れる決意をしたから、なのかもしれない。 ]
(*55) 2018/05/22(Tue) 08時頃
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どもね、ケヴィン。
[ ぽつ、と呟いて。 ]**
(*56) 2018/05/22(Tue) 08時頃
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──── 一応、 言っておくが、 色々、聞こえてしまっているんだからな。
[ ぽつん、 と 声が降る。 全く、人選ミスだ。 ひとの心の機微なんて、 パンにしか繊細で無い、己に分かろう筈もない。
……でもそう、残念ながら、 一部始終を聞かずとも、 "もうひとり"と"もうひとりだったもの"の間、 薔薇と、"もうひとり"の間の"別れ" それらを"知る"のは、 只この青年のみで、]
(*57) 2018/05/22(Tue) 10時半頃
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まあ、 ―――― 信じちゃいないが、
何時か、 幼い俺を抱いていた彼の司祭も、 確かに俺を"あい"していたんだろう。 …司祭が体言すべきは"エロス"でなく "アガペー"であるべきだが。
[ きっとこれだって、"もうひとり"に聞こえてしまう。 呪いの言葉に罪の懺悔を……随分と開き直って乗せて、 "穢い"と言えばこの男も、 神の定義で言えば十分に、 遠い昔に当てはまってしまっている。
薔薇に染まり行く茶は射抜く。 薔薇の真意を計り行き、]
(*58) 2018/05/22(Tue) 10時半頃
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