191 忘却の箱
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『 ────あんたのせいだよ。 』
(うん。それでいいよ。それでいいから、)
(6) 2014/09/07(Sun) 01時頃
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────────、…ッ
[白い天井。 目覚めたそこは、診察室のベッドだった。
気怠い身体を無理矢理に起こす。 どの位時間が経ったのだろう。
彼は、サミュエルは。どうなったのだろう。]
……ぁ?、……邪魔くせ……
[腕を動かした折、服の内側に違和感。袖を捲ると肘から二の腕の外側に沿って、ほの白い花が無数に纏い付く。
ボタンを外してシャツから片腕を引き抜いた。露わになった青白い肌に、こびり付くように花弁がめり込んでいる。 まるで、途中で成長を止めたような。]
(7) 2014/09/07(Sun) 01時頃
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痛、…
[首筋に些細な違和感。 花を毟った傷とは違う、そこに指を這わせばぴったりと貼られたテープ剤の感触。 以前にもあった。鎮静剤を打たれたのだろうとあたりを付ける。
何度目かの溜息を吐いて、再びごろりと横になった。 医師が此処に居ないのは。きっと彼を──安置するためだろう。]
………、ィ……
[喉元を競り上がってくる感覚に、腕を瞼に乗せて蓋をする。 腕の花たちがざわめく気がして。溢れそうになる感情を飲み込んだ。
泣いちゃいけない。 まるで涙に誘われるように、それは背後から伸びて来て。 まるで慰めでもするように、この胸の痛みすら、いとも簡単に奪い去ってしまうのだ。
だから、これ以上泣く訳にはいかない。──彼を失くした痛みを、忘れない為に。]
(8) 2014/09/07(Sun) 01時頃
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『 バイバイ、
シーシャ。 』
[そう言った彼は。確かに、笑ったのだ。]
(24) 2014/09/07(Sun) 04時頃
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─少し前・彼と花と青年と─ あ────、あ、ァ、──────ッ!!!!
[叫ぶ。さけぶ。目の前の光景に。撒き散らすような芳香に。けれど喉はただひゅうひゅうと鳴って、声になんか成らない。ぼたぼたと落ちる雫だけが、無性に熱かった。
厭だ。いやだ。助けて。治して。センセイ、お願い。いやなんだ。こんなの。こんなのは、もう。 肺に吸い込んだ空気は、それすら花の香りに侵されて。力の抜けた身体を支えながら、気が触れたみたいに泣き叫んだ。
傍に、医師は居ただろうか。よく覚えていない。 誰かが誰かを呼ぶ声。ばたばたと騒がしい人の足音。勝手に震える肩を、強い力で掴まれた気がする。思い切り振り払うと、直ぐに後ろから羽交い締めにされた。
何人かに抱え込まれて、そこに居た彼の姿が、温度が、引き剥がされる。それが怖くて、どうしようもなく哀しくて、駄々を捏ねるみたいに暴れて──伸ばしたその手に。ざわりと、走る違和感。]
(25) 2014/09/07(Sun) 04時頃
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『 』
『 』
[慰めるように。抱き締めるように。背後から肩を腕を走る、甘い抱擁。白い花びらが、舞って、散って。目を見開く。上がった悲鳴は、自分のものか、他の誰かか。]
やめろ……煩えんだよ!黙れ、ッ!……っ、アイツを、
[叫んで毟り取る。引き千切った後から、零れ落ちる赤い滴と噎せ返るような花の香りが舞って。 床に押さえ付けられた。首筋を剥き出しにされる感覚。錯乱した意識は、最早何に抵抗しているのすら分からない。懇願に近い拒絶が、喉を割る。やめてくれ、]
アイツを、オレの中から、連れてくのは───
[ぶつん。
痛覚に信号が走って、唐突に意識が沈んでゆく。それきりどうなったのか覚えてはいない。 ただ、両腕に咲いた白い花達だけが、さやさやと甘い匂いを放って揺れていた。 ──泣かないで。かわいそうなシーシャ。まるでそう言いたげに。]**
(26) 2014/09/07(Sun) 04時頃
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/* あれ、これセシルが診察室にきた時間軸って、シーシャ寝てるときか…? エンカしに来てくれてんのかなコレ、拾っちゃって大丈夫かな。
後で聞いてみよう(ソワァ
(-10) 2014/09/07(Sun) 15時頃
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/* 中の人予想は基本しないんだけど、セシルは螢さんよな?? たぶん
(-11) 2014/09/07(Sun) 15時頃
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/* >>34>>35あああああああ御馳走様です御馳走様ですぅぅううううう
(-13) 2014/09/07(Sun) 20時半頃
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/* 普段ほとんど使いませんが今回とても重いRPをしておりますので力の限り灰を汚して行こうと思います
(-14) 2014/09/07(Sun) 20時半頃
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/* だいちさんが見つかんねー 地の文読み直そう
のっさん(確定)遊水さんましゅさんはおそらく射程圏内
(-15) 2014/09/07(Sun) 21時頃
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/* ズリちゃんの文章の感じがとてもとても好きなのだけれど、なんとなくどことなく覚えがあるような 自信はないが
(-16) 2014/09/07(Sun) 21時頃
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─診察室─
[誰かが扉を開く。 聞き慣れたスティーブンの、落ち着いた重みのある音とは違う足音。 カーテンを少しだけ開く気配がして。 直ぐに閉じられたその向こうから、静かな歌声。>>39]
────……
[少しだけ身じろぎをして、黙って聴き入っていた。 合間あいまに、うとうとと微睡む。それは、終わってしまった恋を、取り戻せない時間を、修復できない関係を。嘆く二人の唄で。
頭の中、重ねられた膨大なフィルムの、どこか片隅をちりちりと灼いた。]
(46) 2014/09/07(Sun) 21時半頃
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…──If you say that you can't, then I shall reply,
Parsley, sage, rosemary and thyme,
……Oh, Let me know that at least you will try,
Or you'll never be a true love of mine.
[薄い唇が、カーテン越しに同じ節を紡ぐ。 けれどもしかしたら、そこに込められた意味は、随分と違うかもしれなくて。]
…──不可能だろうが、妄言だろうが。なんもしねえよりはマシなんだよ。笑いたきゃ笑え、クソ野郎。
[それは彼が、この忘却の箱の中で何度も何度もなんども繰り返してきた、矛盾を孕む誓いのようで。 空気を揺らした声に滲むのは、自嘲と、笑える程に一途な決意。]
(47) 2014/09/07(Sun) 21時半頃
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( 「オレは」、「ひとりも」、「忘れてない」 )
[それは、思い出を糧に育つ花に冒された青年の、たったひとつだけ残った誓い。]*
(48) 2014/09/07(Sun) 22時頃
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……曲が、っつーかテメエが気に食わねー。
[相も変わらず戯けた調子のセシルに、うんざりと返事を返す。 この。この、研究者崩れ(確か)の、芝居がかった男との会話は、必要以上に体力を消耗する。実際に削れているのはおそらく精神力だが。]
何度も言うが子猫ちゃんはやめろ。 あと出来れば普通に喋れ、…内容以前に苛つくから。
[セシルはおそらく普通に喋っているのだろうが。 青年の耳には、まるきり茶化しているように聞こえるその軽やかな口調。
カーテンを開ける気にならず、互いの姿は見えねど、同じように肩を竦める。]
(63) 2014/09/07(Sun) 23時半頃
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[君は。“花”は嫌いかな?
問われれば、ぐ、と奥歯が沈む。 目の奥に焼き付いた映像。ちらちらと過る。廊下を曲がって。立ち尽くす姿と。揺れる花の芳香。笑ったその、顔。]
─────── きらい、だ。
[微かに混じった動揺に、彼自身気付いたかどうか。]*
(64) 2014/09/08(Mon) 00時頃
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一生懸命?可哀想? ……頭沸いてんのかテメエは。
[ぎり、と歯が鳴る。
『忘れたくなかった』、そう言った彼の、声が、顔が。瞬きのたびにちらついて。 立ち上がって、乱暴にカーテンを引く。肌蹴たシャツに手を差し入れ、腕の花をセシルの目前で。引き千切った。]
(73) 2014/09/08(Mon) 00時半頃
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テメエは知ってんのかよ。アイツがすげー嬉しそうにギター鳴らしてたの。忘れたコード思い出そうと必死だったの。 なんも出来なくなって、諦めて、棄てたフリして、それでも、本当は、本当はなんにも諦め切れてなんかなかったの。
知らねえんだろ、なあ。かわいそう?コレが? だったらオレらはなんなんだよ。 普通に生きたいだけだろ。こんなモンの養分になって、死ぬまで箱の中に居るオレらは、アイツは、
[テメエは。『一生懸命』じゃ、『可哀想』じゃねえのかよ。
目の前まで詰め寄り、男の胸元に白い花弁を投げつける。 急激に上がった血圧に、視界がチカチカと明滅する。直ぐ近くに、スティーブンが走り寄るのが分かった。
眩む視界で睨み向ける。 赤い瞳は、その光景すらもまた、カシャリとシャッターを切るのだった。]*
(74) 2014/09/08(Mon) 00時半頃
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/* どんだけサミィちゃん好きなのコイツwwwwwwwwww
(-20) 2014/09/08(Mon) 00時半頃
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/* セシルに反発するのは、セシルの主張に納得してる部分があるからだというオチ
(-21) 2014/09/08(Mon) 00時半頃
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/* セシルの抉りがすげえぱねェ シーシャの腹の中と驚きのシンクロ率
ロル!すごい!この情緒感!堪らん!
(-23) 2014/09/08(Mon) 02時頃
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『 僕らも彼らも。きっとそれは同じ 』 『 ただそこに、偶然、生まれた 』 『 花が咲くから記憶を 』 『 記憶を喪うから花が 』 『 僕らのために── 』
『 咲いているのだとしたら? 』
[違う。ちがう。だったらなんで。なんでこんなに。]
(96) 2014/09/08(Mon) 12時半頃
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『 な か な い で 』
(97) 2014/09/08(Mon) 12時半頃
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─診察室─
「目の前の男がいつになく真摯な眼差して語るのを、奥歯を噛み締めたまま聞いていた。>>80
いつもいつも会話をしては平行線で、軽口の応酬だけが糸口だったセシルの、こんな表情を見たことはあったろうか。シャッターが、またカシャリと鳴る。
彼が語り終わり、立ち上がる頃にはきつく拳を握り締めたまま視線は床に。血の気の引いた顔を男から背けて。小刻みな息が漏れる。
セシルはそのまますれ違い、一度だけ振り向いてから、出て行った。>>82 君なら、或いは。残された音だけが室内に反響する。]
(98) 2014/09/08(Mon) 12時半頃
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……ちがう……
[力無い否定の言葉が宙を彷徨った。 眩暈。膝を折る。両手で自分の肩を抱いた。さわさわと、白い花が指に絡まって。握り締めれば、追い掛けるような甘い芳香。
両の手のひらで、くしゃりと歪んだ花びらごと目を覆った。 ちくちくと男の言った仮説が刺さる。花が咲くたび耳奥で鳴る幻聴。なかないで、と囁くその。
『咲いた花が思い出そのものなら』──セシルの声を振り払うみたいに頭を振った。ちがう。そんなはずない。だったら、なんで。]
…────なんでこんなに、キレイなんだよ…
[泣き声みたいな音は、花の芳香に溶けて消えた。]**
(99) 2014/09/08(Mon) 12時半頃
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[顔を覆った指の隙間からはらはらと花弁が落ちる。 俯いたままでいると、ふと感じる他人の体温。>>118 いつもそうだ。青年は両手をそっとおろす。この人の手は、いつだってあたたかいんだ。]
……センセイ、
呟いて、視線を上げる。 穏やかで、哀しい目がこちらを見詰めていた。青年は、途方に暮れた子供のような表情で。それでも、医師がゆっくりと頷くのを見れば、少しだけ安堵の色が浮かび。
ごめん、小さく呟いて、また少し俯いた。喉奥に引っかかった言葉を、吐き出そうとして。]
…オレ、へいきだから。 マーチェの。ジーサンのとこ……行ってやって…
[下げた視線は再びは上がらず。 結局、言いたい言葉は、他の懸念とすり替えられた。]
(124) 2014/09/08(Mon) 21時半頃
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[言った直ぐ後に、扉の開く音がした。>>120 振り向いた医師が呼んだ名前。その、声色に。>>120>>125 どうしても、振り返ることが出来ずにいた。
声で、ヤニクが近くに居るらしいのが分かる。>>122 連れてきてくれたのか。彼女の、異常に気付いて。]
……は、……ッ、なん、で、
[唇から、乾いた笑い声が漏れた。 『無理難題を乗り越えて』。だけど、それには幾らなんでもハードルが高すぎるじゃないか。『真の恋人』になんて。到底なれそうもない。今更、先刻までこの場にいた男の言葉を呪った。]
──── 待って。
[けれど。 けれど、医師の言葉>>125に、ほとんど反射で声を上げる。身体を起こして振り向いた。その、年齢よりも幼い姿の変わりように。飲みそうになる息を、耐える。耐える。
できるだけ、いつもみたいに。 立ち上がって、少し首を傾げてみせて。動揺なんて見せないように。そして、──いつもの調子で。]
(129) 2014/09/08(Mon) 22時頃
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よォ、なにしてんだよ──チビ助。
[笑って、呼んだ。 だって彼女は、彼を呼んだのだから。>>123]
(130) 2014/09/08(Mon) 22時頃
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/* いまね、帰ってすぐ箱立ち上げて鳩開いて更新かけながら箱でロル打ってついでに鶏肉解凍してる これでも全速力だぜ!おせえ!
あっレンジ鳴った!ちーん!
(-33) 2014/09/08(Mon) 22時頃
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