237 【リアル人狼RP村】蜉蝣の村【半身内】
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狼
墓
少
霊
全
フィリップは聖歌隊員 レティーシャに投票した。
レティーシャは徒弟 グレッグに投票した。(ランダム投票)
ネルは鳥使い フィリップに投票した。
グレッグは聖歌隊員 レティーシャに投票した。
レティーシャは村人の手により処刑された。
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
犠牲者はいないようだ。殺戮の手は及ばなかったのだろうか?
全ての人狼を退治した……。人狼に怯える日々は去ったのだ!
「大丈夫ですか…っ!!!」
ガタン、という大きな音と共に男性の叫び声が聞こえる。広間に人が集まっていたのなら、全員「三宅」というネームタグを下げたその男を見ることができるだろう。
「……っ!!!!」
彼は全員の状況を見るなり驚いたように声を上げる。と同時に漂う異臭には顔を顰めて。そして、頭をまっすぐ下げた。
「……ウチの青山が失礼致しましたっ!!!……お詫びのしようもありません……」
しかしその顔は依然として要領を得ない。そして、重苦しい口を開く。
「……っ、皆さんの、血液を調べて……漸く自体を把握したんです…。それが、ちょうど2時間前のことになります。それ、で…チーフである青山に報告しようとしたんですが……、その姿がなくて…。
それで、初めてモニターを見ることができたんです。…急いで開けようとするにも、扉が開かなくて……パスコードが変えられてたのを、今戻して漸く……っ。
(#0) 2015/08/28(Fri) 02時頃
申し訳ございません……っ!!!」
床に額を擦り付けるかのように土下座して謝罪を口にする。それでも、到底許されることのないだろう。
(#1) 2015/08/28(Fri) 02時頃
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ー三枝友英の葬儀の後ー
[男の葬儀はとても寂しいものだった。 葬花も少なく弔問者も少なく、親族も娘の春江のみで本当にひっそりとしたものだった。 その葬儀で春江はただ呆然としていた。涙すら流れなかった。もう涙は流れて流れて枯れ果ててしまったのかもしれない。ただ、好奇の目を向けるマスコミが根掘り葉掘り心情を吐露させようと何人もやって来はしたが、春江はそれに対して拒絶の態度を示しそれを変える事はなかった。
春江は、愛する人がいた。 今度紹介したい人が居ると、将来を誓った人がいると父に言った時、父は寂しそうでもあり嬉しそうでもあった。貧しいながらも忙しいながらも片親ながらも自分を懸命に育ててくれた父。春江は父が大好きだった。だから、ただ生きて笑顔で見守ってくれていたらそれで良かったのに。
それでも、春江は大手製薬会社で起こった事件の"被害者の身内"となり、世間の好奇の目に晒された。 哀しみに暮れる暇もなく、ただ人々はこの猟奇的な事件に巻き込まれた父を、そしてその娘である自分を話題にあげ言葉で傷をえぐってきた。 そして、直ぐにそれは暴かれた]
(0) yumeneko16 2015/08/28(Fri) 19時半頃
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光彰さん…。
[葬儀を終え遺骨を抱え、好奇の目から逃げるようにして家に逃げ込んだ。 しんと静まり返る狭い部屋の中、喪服のままへたり込みその名を呼ぶ。 父はヨアヒム、その人はイアンと呼ばれていたらしい。 父は喰い殺され、彼は殴り殺されたらしい。 二人とも春江にとって唯一無二の存在だった]
(1) yumeneko16 2015/08/28(Fri) 19時半頃
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[春江は、高杉光彰の葬儀に出ることができなかった]
(2) yumeneko16 2015/08/28(Fri) 19時半頃
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[父親も恋人もあの事件で殺されるなんて何の運命の悪戯だろう。 だから無理しないでねと父には言ったのだ。 彼はどこに行くなんて言わなかったけど、危ないことだけはしないでといつも言っていたのに。 そんな、大切な人を同時に2人も亡くした春江に向けられたのは、同情と同じくらいの好奇心。 彼が生業にしていた仕事だから嫌いたくない、けれど、情報の世界はとてもとても残酷だった。 だからだろう。 彼の家族はこれ以上好奇の目に晒される事を嫌い、春江の参列を断ったのだ。 それは分かる。父の葬儀でも何度も聞かれた。彼の葬儀でもきっと、何度も心無い事を聞かれるだろう。そこに自分がいれば、更に質問の嵐に巻き込まれるに決まっているのだ。 一人きりになって漸く、もう枯れたと思った涙がつう…と溢れてくる]
(3) yumeneko16 2015/08/28(Fri) 19時半頃
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父さん……光彰さん……。 2人とも、大バカよ……。
[ただ、普通に暮らしていくだけで良いではないか。 父も今まで通りでいて慎ましい幸せを保っていれば良かった。 お金なんてそんなになくて良い、笑って生きていられるだけあれば。 彼も、手を繋いで生きていられたらそれで良かったのに。仕事熱心な人と知っていた、そんなところも好きだった。だけど、こんな無理をするなんて。 もしかして、焦らせたのは自分だろうか。結婚の二文字が、彼には責任を負わせ父には見栄を張らせたのだろうか。 そんな後悔すら胸に湧いてくる]
光彰さん、父さん、……バカ。
(4) yumeneko16 2015/08/28(Fri) 19時半頃
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[はらりと涙がこぼれるが、部屋に呼鈴が響き思わず両耳を塞ぐ。 また心無い問いを重ねに来たのだろうか?それとも、好奇心だけの哀れみを? お願い。 お願いだから、今はただ静かに哀しませて]
[このままでは彼に御線香をあげる事もお墓に言葉をかけにいくのすら、何時になるのか分からない。 いっその事、
]
(5) yumeneko16 2015/08/28(Fri) 19時半頃
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―舞台の幕切れ―
[握り締めた両手は、その中の彼の手(>>4:62)が冷え切っていくのを伝えていた。 気が付けば、フィリップたち(>>4:68)が赤で満ち満ちてしまった広場へとやって来ていたようだ。 彼の悲痛な叫びが耳に届く。抑えようとしていた涙はぼろぼろと零れて、赤い海に僅かな波紋を立たせた。
それから、どれ程の時間が経ったか。 ガタンと大きな音(>>#0)に視線を上げる。そこには見知らぬ男性が立っていた。その男が青山とどのような関係なのか。彼が頭を下げたところで、錯乱した頭ではすぐに理解することなど叶わなかった。 すぐ傍に落ちていた血濡れのメスを手に取ると、握りしめ。彼をまっすぐに睨みつける。]
あ お、やま…ゆる、さな…
[それから彼が土下座をし、青山の失踪を理解するまで。力一杯に亡骸を抱きしめながら、メスを握り続けていただろう。]
(6) omelette_kan 2015/08/30(Sun) 19時頃
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[どれだけ叩いても開かなかった扉が開く音>>#0。 望んだはずのその音は、それでも嫌に空虚に響いた。
繰り返される謝罪の言葉はあまりに現実めいていて、非現実から引き上げられたばかりの身には、まるで遠い世界の言語にすら聞こえる。 自身が身を置いていたのは、正しく"そちら側"の、筈だったのに。
半ば呆然としながらその言葉を聞いて、下げられた頭>>#1にも、到底声を掛ける気にはなれない。 茫洋と彷徨わせた視線は、亡骸を抱えたままのグレッグ>>6へと。 歩み寄っては、真っ赤に染まったメスを握りしめた、同じく血塗れの手へと。ゆるく手を重ねた。]
……グレッグ、 も、…いいから。
[もう終わっただとか、そんな冷静な言葉を告げるつもりもない。 ただ彼の手に――いつか繋いだ暖かなその手に、人を傷付ける為の凶器が握られているのが、厭だと。 それだけ。]
(7) g_r_shinosaki 2015/08/30(Sun) 20時頃
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[それからその腕にしっかりと抱えられた、喉から顔から、潔白の衣服まで。朱に染め上げられたレティーシャ>>4:62へと。 恐る恐る手を伸ばしては、一度握り込んで――それから改めて、緩く触れた。
遠くない記憶の中、作り物めいた儚さで笑った表情と、赤い唇は。 血色を失った今でさえ、変わらないように思えて。]
おわった、…らしいです、よ。
[濡れた唇を震えた指で拭いながらの彼への言葉は、同じく自身へ言い聞かせるように。 そうしてしばらく、その場の収拾が付けられるまで。 急に吹き込んだ外気に、眩暈めいて蹲っていた、だろうか。]
(8) g_r_shinosaki 2015/08/30(Sun) 20時頃
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[その後あの臨床試験は、どうなったのだろうか。どちらにせよその先の物語を、レティーシャ……いや、一条蛍介が知ることはない。
死んだ者が生き返るなどということは、絶対にあり得ないのだから。]
「……愚息がご迷惑をおかけしました。」
[低い声に紛れて聞こえるのは、女性の啜り泣く声。低い声の持ち主も、その言葉とは裏腹 何処と無く悲しげな…そして怒りに満ちた顔をしていた。 それもそのはず、高校を出た後 家族全員が望む大学に進学することなく家を出た息子が……7年もの年月を経て、漸く帰ってきたのだ。それも、冷たく動かない体になって。
蛍介は家族に本音を吐露する事がなかった。何も話さず、何も告げず。それでも笑顔を見せていれば、それが偽りだろうと家族は気にかけることはなかった。 蛍介が何を抱えていようと、それを気にするだけの余裕も無かったのだろう。何かあると気づいた時には、息子の姿は無くなっていた。
7年の溝を埋めることなど、もう叶わないのだろう。それでも、出来ることなら……たった一人の馬鹿息子の声を、もう一度聞きたいと願う。]
「…………この馬鹿が。」
[寂しげな呟き。その手には……幼き日の写真が握られていた]
(9) purin3 2015/08/30(Sun) 20時半頃
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[赤く冷たい海の底に、“名”を呼ぶ声が届いた。強張っていた腕は、小刻みに震えながら降りていき、握られていたメスが、カラン、ピチャリ、と音を立てて海に沈んだ。]
フィ、リ ップ…
[赤い水面には、見慣れた顔。存在に何度も救われてきた、その人。ぼやけた視界をなんとか凝らし、叶うならば血に濡れた手を彼の頬に当て、その顔を見上げる。]
生き、てる…?
[非現実に支配されていた空間は、徐々に現実的な風が入り込んできていただろうか。徐々に悪い夢から覚めた心地になれば、自分の目の当たりにしてきた悪夢が、現実だと思い知らされて。]
ご めん、なさい…ごめん、 ごめんなさいッ ゆる、して…
[まだ目の前に彼が居たならば、彼に縋って子どものように泣きじゃくっただろう。]
(10) omelette_kan 2015/08/30(Sun) 21時頃
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― →広場 ―
[揚げ足めいた反論>>4:67は聞かないふり。それよりこの手を離して欲しくて。]
いや…っ行きたくない…
[抵抗虚しく。彼に手を引かれるがままに足を進める。強い力には抗えない。どれだけ経験を重ねたとて、基礎能力までは化けられない。
だって広場には『生』はない。数時間前、絶望したあの場所には、もう行きたくない。部屋に篭っていた方がマシだ。
それでももう、広場は目前。]
っ――――
[開いた扉の先。聞こえてしまった。見えてしまった。またひとつ、『生』が消えていく音>>4:62を。『無機物』へと成り代わる瞬間を。]
(11) ainsel00 2015/08/30(Sun) 22時頃
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[やっぱりくるんじゃなかった!!!激昂したくなる自分を理性でとどめて隣の彼>>4:68を見れば酷く狼狽えた様子で。今やっと手が解放される。 今更解放されたところでなにもならないのに。
血の海に沈んでいる身体、それはレティーシャだったもの″。そして傍に立つ彼の手を確認したのは反射的。そこに血がついていない。倒れる彼女のそばには凶器と思しき銀色>>10が。
と、いうことは、つまり。]
…っ!!!
[自害は嫌いだった。『生きる』ことができるのに、わざわざ『無機物』に成る意味がわからなかったから。 それに彼は『死にたくない』>>4:20と、言っていたじゃないか。どうして、どうして。 なぜ諦めてしまったんだ。なぜ『死』以外の道を選んでくれなかったのか。置き所のない『感情』その遣る瀬ない思いに目を伏せる。
『感情』が好きだ。なんでも大好きだ。 ――――ただ、『生』を感じられるものならば。こんなにつらいのは、いらない。『死』の匂いのするものなど。]
(12) ainsel00 2015/08/30(Sun) 22時頃
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[金属が床に落ちる冷たい音と、途切れ途切れに呼ばれる仮の名前>>10。 頬に当てられた手は、温い鮮血で僅かに滑りはしたかもしれないけれど。]
そう、――だよ、生きてる。 俺も、君も。 まだ、…いや、ちゃんと、…生きてる。
[眼前の血の海に広がる、生と死とのコントラスト。 けれど手のひらから伝わる熱は、彼の言葉は。確かに、生を伝える物に他ならない。 乾いた自分の手を頬の上に重ねては、震える指先にだんだんと力を込めて、強く握った。
繰り返される拙い謝罪を聞きながら、――"彼"の前ですら流さなかった涙は、今更流れはしないけれど。]
……なんで、 君が――謝ることなんて。…何もないだろ。
[大丈夫だから、と。 まるで子供をあやすように――そんな事、一度もしたことはなかったのだけれど――何が大丈夫かも解らないまま、繰り返した。 それでも彼のその手が、何にも汚れる事がなくて良かったと。ならばまだ、――大丈夫だと。 言い聞かせる言葉は、彼へと、自分へと。]
(13) g_r_shinosaki 2015/08/30(Sun) 22時頃
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[身寄り無き男の遺体はしかし 無縁仏として処理されずに済んだらしい]
村上、陽介が……亡くなったと、聞きました ……私はその、彼の……
[戸籍にひととき名の乗った女性 彼女が引き取ることにした故
密葬にて現在の夫の手握り返す力は極弱い]
私が……悪いんだわ……
[四角い枠に納められた写真 まだ二人がともにあった頃のもの
箱の中で眠る顔はやけに老けて見え ──否、相応の年月が経っていた 二度と会う事もないと それもまさかこんな形]
(14) ながれん 2015/08/30(Sun) 22時頃
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[仕事に真面目なだけの詰まらない男と 夜遅くの帰宅を待つ日々に飽きを覚え 嘗て切り捨てはしたけれど
手料理を喜んで食べてくれた そんな初期の事ばかり思い出される 判りにくい表情もあの時だけは、嗚呼
新居を引き払い男が移り住んだアパート 小さく汚い其の部屋に残されたのは一通
今回に限らず覚悟はあったのだろう 其れを握り締める力は 極強い]
恨んでくれて良かったのに……!
["君を幸せにしてやれなくて済まなかった"
枠内、箱内の表情は不可解な迄に穏やかで 間の出来事を何も知らぬ事 ただ嘆くばかり*]
(15) ながれん 2015/08/30(Sun) 22時頃
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[ふらふらと近づく彼>>7に、表情を歪めていた彼>>10が、子どものように泣き出して。寄り添う二人、彼らはちゃんと『生きていた』。それがただ、自身を保つ。『死』が匂い立つこの広場で、唯一の『生』を感じることができる。
自分は慰め役には向いていない。慰めるには彼のことを知らないし。慰めるための言葉も知らないし。 ここまで連れてきてくれた彼は一発殴りたいくらいだから、慰めるには程遠い。
だから自分はそれを眺めるにとどめておいて。 なれば、自分はこちらを『慰め』ようか?]
(16) ainsel00 2015/08/30(Sun) 22時半頃
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[フィリップの頬に当てた手は、彼に握られ震えが止められる。強く、強く握るその手は、どくん、どくんと彼の鼓動を伝えていた。]
フィ リッ、プ…… り、お… りおが、いきててよかッ…
[繰り返される優しい声に、緊張の糸が解かれていく。何年も使っていなかった涙腺は馬鹿になってしまったように、緩んだまま。涙を流す、視界はどんどん霞んでいって。 弱々しい微笑みと共に、心からの想いを目の前の彼へ吐露すると、そのまま意識は途切れていった。]*
(17) omelette_kan 2015/08/30(Sun) 22時半頃
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[にっこりと、『笑顔』を作って]
『大丈夫』? だから、ボク、それ嫌いなんですってば。 思ってもいない定型文返すの、面倒ですし。
[それか、もし大丈夫に見えてるなら病院に行ってくださいね、と付け加えつつ、『かわいそうなくらい』床に額を擦りつけて謝罪する男>>#1に近づく。まぁ、『かわいそう』だとはこれっぽっちも思えないけれど。
ちなみにネームプレート>>#0を見れば『三宅』とあるが、覚える気がないのでどうでもいい。]
(18) ainsel00 2015/08/30(Sun) 22時半頃
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[彼の傍に近づいて、しゃがみこむ。肩に手を当てれば彼は顔を上げたろうか。あげたなら好都合。
ひゅ、と風が鳴る音。パァン、という心地よい音は広場に響いたか。]
『お詫びのしようもありません』? そりゃあ、そうですよね。 それだけのこと、してますし。
[立ち上がって三宅とやらを見下ろす。脚が出ないだけでも感謝して欲しい。]
…早くここから出してください。 そして、彼らを。
[無意味な弁解などに耳を傾ける気は甚だない。自己満足自己満足。状況を説明したからといって、被害者から同情をもらえると思っているのなら考えが甘すぎるし、理解してもらえると思っているのなら性質が悪すぎる。 ここで聞いているのも馬鹿らしい。それにこれ以上子どもたちに聞かせていいものでもないだろう。
そうそうに話を切り上げて。早く自分たちを――――部屋で眠る彼らを含め――――ここから出せと、催促した。]
(19) ainsel00 2015/08/30(Sun) 22時半頃
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―すべてが終わって―
お世話になりました。 我が儘ばかりで、 すいませんッした。
[かつてのそれに比べれば随分弱々しいが、それでもかつての面影を残した明るい笑顔。 木暮空詩は、病院の門を出た。 一時的な極度のうつ状態が認められ、本人が帰宅どころか家族との面会を頑なに拒んだことで、数週間入院をしていたのだ。 その為、他の生存者や遺族のように、あの事件についてマスコミから追われることはなかったが、代わりに、あの事件の犠牲者たちの葬儀に参列することもできないでいた。
本人の強い要望で、退院の際に家族は迎えに来ないことになった。病院側の配慮もあり、マスコミ対策もされていたのだろう。穏やかに一歩を踏み出すことが出来ていた。
晴れやかな空の下でも、思い起こされるのはあの日の惨劇。薬を服用していなければ、今にでもあの時の臭いが、冷たさが、吐き気が、まざまざと思い起こされ、発作が起こってしまいそうだ。
空詩は、明るい日差しに眩暈を覚えながらも、一歩を踏み出していた。]
(20) omelette_kan 2015/08/30(Sun) 22時半頃
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[呼ばれる自分の名前>>17。あれほど厭っていたはずの名前も、今はただ安堵を覚えることしかしない。]
……ん、うん。 俺も――よかった、 よかっ……、
[此処へ来てからずっと笑顔でいた彼の、子供じみた泣き顔に、――まるで自分の代わりに泣いてくれているようだと。ただの感傷に過ぎなかったかも、しれないのだけれど。 透明な温い雫が一滴、二滴と、落ちるたびに。血の匂いの立ち込めた部屋が、少しずつ澄んでゆく感覚。 血に濡れた手を引き寄せては、彼の額に自身の額を当てて、深く息を吐いて。]
……ぐれっぐ、?
[不意に ふ、と力の抜けて重くなる身体に、ぱちりと目を瞬いては焦りの滲んだ声で名を呼ぶけれど。 慌てて引き上げた顔から薄く呼吸を感じ取れたなら、短く吸い込んだ酸素はゆっくりと吐き出す。]
…………、はは、
[やはり子供みたいだ、なんて。 気の抜けた掠れた笑いと共に、眉を歪めて下げた。*]
(21) g_r_shinosaki 2015/08/30(Sun) 23時頃
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[そうして耳に響いた鋭い音>>19。 ゆるゆると顔を上げれば、先の乱入者と――それから此処まで引きずってきた"彼女"が、その上げられた手のひらが、目に入っただろうか。
無理やりに腕を引いた時の、嫌に弱々しい声>>11は最早見る影もない。 こんな時でもすらすらと言葉の出る彼女を、グレッグを抱えたまま、しばらく呆然と見遣って。 それから笑いだか、呆れだか。どちらともつかない表情に、顔を歪めた。]
……お願いします、
[彼女の言葉で、広場には数名が踏み込んだだろうか。
抱えたままのグレッグと、それから血の海に沈むレティーシャとを。 あの放送の主と同じ場所の人間だと思えば、些か躊躇われはしたけれど――それでも託して、ゆっくりと立ち上がった。]
(22) g_r_shinosaki 2015/08/30(Sun) 23時頃
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[そうしてネルへと、数歩近付く。 代わりとばかりに向けられた憤りの塊へなのか、それとも道中の会話へか。]
――……、 ありがとう、…ございます。
[掛ける声は結局、当たり障りのない――言葉だけを取れば、社交辞令めいた単調なもの。
それでも向けた表情は、ずっと溜め込み続けた感情を隠すこともできずに、何とも酷い物だっただろうけれど。
それだけ言葉を告げれば。 他の職員が踏み込む前にと、廊下の奥へ足を向けようと。*]
(23) g_r_shinosaki 2015/08/30(Sun) 23時頃
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[一発入れたくらいで無様に倒れるもんだから、まったく。 きっと幾ら甚振っても『申し訳ございません』しか言わないのだろう。壊れたラジオでももっと気の利いたことを言うだろうに、と蔑んだ目で見下ろす。
弱いものイジメの趣味はない。 こんなお人形を殴ったって、面白くないのだし。…なにも還ってこないのだし。 無駄なことはしない。]
…なんです? ボクの顔になにか?
[興ざめだ。男に背を向ける。と、意識を落としてしまったらしい彼>>17を支える彼>>22と目があって。その呆然とした顔、そして落とされた謝礼に、『首をこてりと傾げて』みせ。]
(24) ainsel00 2015/08/30(Sun) 23時半頃
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お礼をされることはしてないですよ。 それより、その顔をどうにかしたらどうです? 周りに心配させる気ですか、 [ゆ う と う せ い ? そ口の動きだけのそれは彼に伝わったか。
嫌味混じりだが、先の男には返さなかった定型文。本当はこんな無意味なやり取り、返事をする気などなかったのだけれど。返す気になった理由は簡単。]
(25) ainsel00 2015/08/30(Sun) 23時半頃
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――――、ま、
…私は今の顔の方が安心できるけどね。 よっぽど、『生きてる』顔をしているわ。
(26) ainsel00 2015/08/30(Sun) 23時半頃
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[皮肉なことだけれど、とは口に出さず。廊下の奥へと足を進める彼>>23を見送る。 何処へ行く、とは問わない。これでも無駄に歳を重ねているから、彼の背中が何を語っているかぐらい、分かるつもり。
自分は、さっさとここから出て、報道陣の生贄にでもなってやろうか。きっと今日しか『お話』できないのだし。]*
(27) ainsel00 2015/08/30(Sun) 23時半頃
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―自宅へ―
『なんて可哀想に…!』
[帰宅するな否や、空詩に抱きつくのは母親だった。彼女の中で、彼女が“唯一『愛する』対象”が変わったということは、それを経験してきた空詩にとって明らかだった。 姉が摂食障害となり、母はその全身全霊の愛の矛先を、自分から姉へと変えた(>>3:14)。それと同じで、ただ方向が真逆なだけことが、この場で起こっていた。]
…母さん、やめて。
[努めて冷静な声でその腕を振り払う。思えば、母に反抗したのは初めてか。狐に摘ままれたように立ち尽くす母の後ろには、やせ細った姉が、眉間に皺を寄せて立っていた。]
姉さん、行こう。
[姉の手首を取り、玄関へと逆戻りしようと足を向ける。姉は、甲高い声で『行くってどこ!?』と喚く。]
(28) omelette_kan 2015/08/30(Sun) 23時半頃
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…病院。
[短く告げる。頬のこけた姉の顔は、一瞬青くなったと思えば、すぐに真っ赤に染まって、甲高い声が一段と高く、早口で発せられていく。]
『くぅ君は、あたしをビョーインに閉じ込めるのねッ!!酷いわ。 あたしがビョーキになったのは、あんたのせいなのに!!!』
…そう、だよ…… だから、姉さんには…治ってほしい。
『…ねえ?くぅ君。あたし、くぅ君のこと愛しているわ。 くぅ君だけを愛しているの。だから、一緒に居ましょう? あたし、くぅ君と離れたら…… 死んでやるからあァッ!!!!』
(29) omelette_kan 2015/08/31(Mon) 00時頃
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[あの事件が終わってから、病院でずっと考えていた。俺は、“俺たち”は、このままじゃ、ダメだ…。 一段と大きな声で叫ぶ姉に向かい、すぅっと深く息を吸い、低い声で静かに告げる。]
姉さん…。姉さんは、 “本当に死のうとする人”じゃないよ。 そんなに死にたいんなら
………俺が、ころしてやるよ。
(30) omelette_kan 2015/08/31(Mon) 00時頃
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[それから姉は道中、ずっとブツブツと何かを呟いていた。 時にはまるで呪詛を唱えるように、時には結婚直前で浮かれる新婦の愛の囁きように。 彼女はすっかりしおらしくなっていて、暴れるようなことはなかった。それでも道行く人々は、彼女を見て驚いたように視線を逸らす人、指を指して保護者に何かを尋ねる子どもばかり。 案の定姉さんは、少なくとも“体重が戻るまで”入院をすることとなった。 姉さんは奇声を上げて拒んだが、病院スタッフに抑えられると、すぐに奥の部屋へと連れて行かれた。 再び病院を出ては、玄関前で空を見上げる。]
俺、これから… どうやって生きてくんッスかね…
[やはり、太陽は眩しくて。 気づかない内に、涙が一筋流れていたようだった。]
(31) omelette_kan 2015/08/31(Mon) 00時頃
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―個室にて―
[喧騒から離れて廊下を進めば、幾度か通った、自分の物でない個室へと。 変わらぬままベッドの上で眠る彼の姿に、ぐ、と喉を詰めてから、室内へと踏み入った。
シーツの上に腰掛けて、置いたままの煙草をもう一本。 何とも混ざり合う事のない紫煙を、彼に掛からぬようにと吹き捨てては、扇いで流す。]
……終わりましたよ。 グレッグも、ネルさんも、…俺も。 ちゃんと――生きてます。
[彼がもしも、あの時望んだならば。 "今とは違う"結末へ導く事も、簡単だったに違いない。 ――それでも自分は、未だ生きている。
肩越しに見遣った彼は、どんな表情をしていただろうか――なんて、愚問に過ぎなかったか。 ひたりとも動かぬ目蓋へ、そっと微笑んで。]
(32) g_r_shinosaki 2015/08/31(Mon) 00時頃
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………っ、
[それから直ぐに、崩した。
開かぬ扉が開いた時だって――彼の喉に手を掛けて、その温度が消え失せるのを見届けた時だって。決して泣いたりしなかったのに。
堰を切ったように溢れる涙を押し殺すように唇を噛めば、廊下に声が漏れる事もなかっただろう。 ――聞かれるとすれば、彼だけに。]
…ようすけさ、……、
[嗚呼これではまるで子供じゃあないかと、冷静ぶって思わないこともない。 これならば、まるで子供にそうするように伸ばされた腕に、手に。不満なんて返せやしない。
それでももう、それすら与えられる事もないのだから。 ならば最後くらいは、良いじゃないか、と。]
(33) g_r_shinosaki 2015/08/31(Mon) 00時頃
|
|
[――――、 いつか彼が開いて、そして自分が閉じた襟口から顔を上げた頃には、それは酷い顔になっていたかも、しれないけれど。 それでも彼女にすら>>26、皮肉めいた言葉回しであったとは云え、"許して"貰えたのだから――今更気にかけることもなかったか。
未練がましく手を掛けたジャケットから、ころりと落ちたオイルライターへと。弛んだ視線を滑らせて。 見覚えのあるその形に、ゆっくり数度、目を瞬いた。]
――――……、これ、
[頂いても良いですか、と。 火のつかないホイールに指を滑らせながら、否定も肯定も返らぬと知りながらの狡い交渉。 いつか彼の指が重なったその場所へ、自らの指を重ねては、緩く――それから強く、握った。
伝えるべき言葉は、山程あったのかも知れない。 手に収めたライターが辿ってきた道程も。彼のこれまでも、――姓すらも。知りはしないのだから。 掛けられる言葉になんて、限りがある事も知っている。 そもそも、それが届きもしないことだって。
それでも。]
(34) g_r_shinosaki 2015/08/31(Mon) 00時頃
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………、もう一度。 呼んでくれたら良いのに。
[服の上からそっと肩を掴んでは、色の失せた冷たい唇に、今一度。いつかの繰り返しのように唇を重ねた。
自身が身を置いているのは紛れもない現実。 例えば、ろくに触れることもなかったお伽話のように。 御都合主義のハッピーエンドなんて、訪れる筈もない。
自分はもっと、物分りが良かった筈なのだけれど。 自身の温度を分け与えるように、叶わぬとは知りつつも、そこに温度が灯ることを願いながら、緩く食んでは。
やがてゆるりと、ひどく緩慢に身を起こして。]
…、また。
[どうしても、別れの言葉だけは告げられずに。 あの時と同じ。ただ生きる為にと、部屋を後に。 職員が訪れれば、薄く笑っては――彼の身体を託しただろうか。*]
(35) g_r_shinosaki 2015/08/31(Mon) 00時頃
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― 事件のあと:とある街の喫茶店 ―
[事件から数日たった今日。それでもまだ、テレビでも新聞でもラジオでも、そのニュースで持ちきりだった。 それもそうだろう、誰もが名前を聞いたことあるような大手の製薬会社の、前代未聞にして最低最悪の結末を遺した事件なのだから。
一大スキャンダル。
『優秀な』警察、『熱心な』マスコミによって事件は明らかにされつつあるらしい。 そして、事件の原因だとか解明だとか、心理的にどうだとか。『素晴らしい』評論家による『高尚な』論弁が世間を賑わす。]
ねぇ、でもそれって
[つまるところ、『他人の不幸は蜜の味』ってやつじゃないの?]
(36) ainsel00 2015/08/31(Mon) 00時半頃
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[小さい声で呟いた声は誰にも聞こえない。ふ、とテレビに目をやれば、何度も聞いたニュースと見た姿。マスコミに囲まれてうつむく、なにも語らぬ彼女>>0。
そっとしておいてあげればいいのに、まったく『熱心』なことで。反吐が出る。]
「お、嬢ちゃんもこのニュース知ってんのか?」
[喫茶店のマスターに話しかけられて、頷く。 怖い事件ですね、そう告げれば彼は深くうなづいて。]
「そうだよなー。残された家族も辛いだろうし。 精神的にマイっちまった被害者もいるらしい って、いつだか新聞でみたな…。 ま、あんなこと″が目の前で起こればそりゃあ、なぁ…」
[『当たり障りなく』、へぇ、なんて返事をしたりして。滞りなく会話は進む。途中でココアのおかわりを貰って。ハムのサンドウィッチをひとつ、口に含んだ。]
(37) ainsel00 2015/08/31(Mon) 00時半頃
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[そんなんでカウンターに居座り始めてから何れ位経ったか。店内のお客さんがかなり減ったから、結構長い時間いたらしい。
そんな自分にも嫌な顔ひとつせず。マスターは自分と話をしてくれる。 そして元から話し好きか噂好きか、気分を良くしたらしい彼は、声を潜めてこういった。]
「そういや、あの一時期テレビに出てた被害者の…
『ネル』っていったか?あの男もおかしくなっち まったって聞いたなぁ。 事件当日はあんなに受け答えしてたのに…やっぱり辛いんだろうな。」
(38) ainsel00 2015/08/31(Mon) 00時半頃
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[そうなんですか?『ネル』さんって、事件の日に報道陣に囲まれてインタビュー受けてた人ですよね――?
『知っている』知識で彼に確認を取れば、よく知ってるな、えらいえらい!とばかりに満面の笑み。]
「そう、そいつ!本名が確か…『斎藤 来栖』とか いったか?なんか事件の次の日、警察が再度事情 聴取に行った時にな、そいつは自分の家でぐっす り寝てたらしいんだよ。
で、起こして話を聞こうとしたら、そいつ、なんて言ったと思う?
(39) ainsel00 2015/08/31(Mon) 00時半頃
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『あなたたち誰ですか?警察? ボクは昨日はずっと家にいて… あれ、家でなにしてたっけ…?思い出せない…』
(40) ainsel00 2015/08/31(Mon) 00時半頃
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「警察も困惑しちまってな。でも製薬会社の防犯カメラにはちゃんと『斎藤 来栖』が写ってるし、その日にそいつをみた奴もいねぇし…。 仕方ないから事件のことを話したらしいんだよ。でも奴はそんなこと知らないの一点張り。応募すらしてないんだそうだ。」
「きっと辛すぎて、忘れちまったんだろうな…。まったく、悲惨な事件だぜ…。」
[困惑した顔をして見せれば、マスターは悲痛そうな顔から一点、笑顔を見せ。お嬢ちゃんには難しい話だったか、とクッキーを皿に盛ってくれた。
テレビは次のニュースにやっと切り替わり。デジタル数字が日暮れの時刻を示す。
あぁ、そろそろ、行かなければ。]
(41) ainsel00 2015/08/31(Mon) 00時半頃
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――――――あ!おかあさん、迎えに来てくれた! おにいちゃんといっしょだ!
[マスターは店の外を歩く親子を視線で確認したようで。そうか、良かったな!と満面の笑み。ここはいい店だ。ココアもサンドウィッチも美味しいし。なにより『情報が早くて口の軽い』マスターなんて、特に。]
はぁい! マスター、ごちそうさまでした!
[『元気よく』『無邪気』に挨拶をし。チリン、とベルを鳴らして街に飛び出す。そしてマスターが視認した親子の横を『通り過ぎた』。]
(42) ainsel00 2015/08/31(Mon) 00時半頃
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[そして路地裏へと身を滑らせて。]
…ふぅん、その扱いなら大丈夫そうね。 ちょっと心配しちゃったわ。
あの子達、ちゃんと『生きてる』かしら…
[最後に見たのは、事件当日だから。その後のことは良く知らない。調べればすぐにわかるだろうけれど、今はまだそっとしておこう、なんて。気まぐれ。]
しばらくはお仕事頑張らないと… あんなキッタナイお金、使いたくないし。
[報奨金とやらで、目の前に積まれたお金は当初の数倍はあろうかというもの。それを文字通り蹴っ飛ばしてきたわけで。 今回の報酬をあてにしていた分、辛いと言えば辛いけれど。それでも自分は『生きている』から]
さぁて、次のカモを見つけないと―――。
[小さく呟いた言葉は風に乗って空へと消え。そしてその『少女』は路地裏の人ごみに紛れて姿を消した。]*
(43) ainsel00 2015/08/31(Mon) 00時半頃
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―回想・入院中―
会わせてください、生存者に。 それと、亡くなった…彼らの、 眠る場所を教えること。
[病室にやってきたのは、あの時非現実の終わりを告げた男性・三宅。謝罪だとか今後の賠償の話だとか。そんなことを申し訳なさそうに話し始める彼に、ただそれだけを告げた。 案の定、個人情報が何やらと慌てる三宅には、]
生存者の情報提供が難しいなら、 俺の居場所を彼らに教えるだけでも いいッス。
[と譲歩して。その後何も反応を示さずに、視線も合わせずに窓の外の空を見上げていれば、暫くして彼は、良い返答をくれただろうか。]
(44) omelette_kan 2015/08/31(Mon) 01時頃
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[数少ない生存者であり、唯一の、“友だち”。
フィリップは、理央は。どうしているだろう。 生存者が生き残れたのは、間違いなく彼のおかげだ。彼がその手で、悪食となってしまったリーさんに、手を掛けたから… その心情を想えば、涙が止まらない。今すぐにでも、彼の手を取りたいのだ。あの時はいつもいつも、助けられてばかりだったのだから。恩返しをしたい。 それは…もしかしたらエゴなのかもしれないけれど。
それでも、会わなければ、きっと前に進めない気がするのだ。 ベッドの横の棚から、チョコレートの包みを取り出して、口に放る。]
ケリを、付けなくちゃッス、ね……理央。
[口内に広がる甘味にふぅ、と深く息を吐く。いつか必ず、彼と共に、犠牲者の墓を巡ることを決意して。 再び、窓の外の高い空を眺めた。]*
(45) omelette_kan 2015/08/31(Mon) 01時頃
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―それから―
[世間を騒がせた"大スキャンダル"の、その後。
ひとり報道の矢面に立った"青年"の存在>>39に、幸か不幸か、成人に満たぬ年齢に。当然のごとく認められた"正当防衛"に。 それから親の根回しも、僅かなりとも功を奏したか。 これ程の事件に巻き込まれたにしては随分すんなりと、日常へと。戻れる事になったはず。
――勿論、"形式上は"の、話だけれど。
親からも、友人からも。腫れ物に触れるかのような扱いは変わりはしない。 それはそれは模範めいた、至極当然の反応。]
(46) g_r_shinosaki 2015/08/31(Mon) 01時半頃
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――だと、思ってた、…な。
[乾いた声で呟いては、取り出した赤いパッケージから一本。チャコールフィルターを掴んで抜き取る。 オイルを満たしたライターを擦れば、ぼやりと上がった炎に紙巻で触れた。
燻る煙はいつかの香り。 喉から肺へと染みる煙は、相変わらず。]
―――不味い。
[言葉に反して柔らかく眇めた瞳で、吐き出した紫煙を見送る。 青く澄んだ空へと、ゆらゆら上って消える煙に。 馬鹿みたいに良い天気だと、呆れとも感嘆ともつかぬ感想を。]
(47) g_r_shinosaki 2015/08/31(Mon) 01時半頃
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[手の内でそっと温めたライターをポケットへ落として。 代わりに一枚、小さな紙片を取り出した。
本人からの意思だと伝えられた病院名>>44。 其処に書かれた人物名は、初めて見るものだったけれど。それでも確かに、馴染んだ"彼"のものだった、はず。]
こぐれ、…くうた。 空詩……か。
[馴染まぬ名前の代わりとばかりに、思考に浮かぶ笑顔。 幾度も幾度も反芻しては、声に合わせて歩を進める。
結局のところ――"まともすぎる"世間なんて、何も役に立ちはしない。 これまで信じていた揺るぎない正しさは、随分と呆気なく、崩れ去って消えた。
それでも、――彼なら。 あの悪夢のような数時間を共に過ごした彼なら、きっと理解し合えると。きっと手を取り合えると。 甘えか確信か、確かにそう、"信じている"。
歪んだ視界で揺れる袖を掴んだ、あの時>>2:64と同じように。]
(48) g_r_shinosaki 2015/08/31(Mon) 01時半頃
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[見舞いの代わりに提げたコンビニの袋の中には、滑らかな黄色で満たされたプリンのカップ。 冷えたそれが温くなってしまう前に、辿り着かなければと。 子供っぽいと――彼には笑われは、するだろうか。
彼と共に並んで歩くのも、それから例えば今更、その年齢を聞いて狼狽するのも。 馴染まぬ苗字の刻まれた墓の前に、彼の口元で揺れていたものと同じ煙草に火を点けては、そっと翳して瞳を閉じるのも。
どれもこれも、"これから先"の話。 "彼ら"が失くして、"自分達"が手に入れた、未来の話。
どこからか耳を掠めたベルの音>>42を聞き流しながら。 そのままゆっくり、*踏み出した。*]
(49) g_r_shinosaki 2015/08/31(Mon) 01時半頃
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[事件後、その試験のことは数多くのメディアによって報道された。新聞、テレビ、ラジオ。死者の名前は実名報道され、遺族の元にはたくさんのマスコミが駆け付けたか。当然会社の責任問題も問われ、倒産するのも時間の問題だった。
恐らく、その報道で……生存者たちはあの時死んだ人間の名前を、本名を、知ることが出来ただろう。
その中で一人、指名手配され続ける人間がいた。
『青山 英理子』
その人物は、若くして研究チームのチーフに選ばれ……そして"あの薬"を持ち逃げしたらしい。どこに行ったのか、どこへ消えたのか、そしてどうしてこんな事を行ったのか。連日の報道の中では延々と語られ続ける。……しかし、それも興味が消えてしまえばいずれ止むのだろう。
そのテレビを楽しげに見つめる女の姿があった。
(#2) 2015/08/31(Mon) 02時頃
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──理央、お前さんは例外だよ 良い歳して好きになっちまった 良ければ見守らせてくれよォ
(*0) ながれん 2015/08/31(Mon) 02時頃
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