22 共犯者
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―ヴァンルナール家―
[会談が終わったようで、屋敷からぽつぽつと老人たちが帰って行くのが見て取れた。 玄関口には「咎の牒」を掛けようとしている家人がいた。]
そうか…始まっちまうんだな。
[厳しい表情で建物に入ると、祖父から書斎へ来るよう呼び出しの伝言を下男から受けた。]
(213) 2010/07/31(Sat) 23時頃
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>>*13 [歓喜の笑みを浮かべる。]
さあて、誰にしようか…。 儀式をないがしろにした者、余所者をこの村に招いた者、 我らの存在を忘却した者…。
我らの力を察知できるラトルの「視る者」は邪魔だが、彼らの力で我が眷属も覚醒する。
…まだ襲うのは時期尚早かねえ。
[ラトルは俺を視ようとするだろうか?杞憂だと良いのだが。]
(*18) 2010/07/31(Sat) 23時半頃
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―ヴァンルナール家・書斎― >>213 [書斎では先ほどのように、祖父、父、叔父だけではなく家の女性たちも集まっていた。
ヘクターが部屋に入ると彼らは一斉に視線を向け、家長である彼の祖父が厳粛に儀式の開始とヴァンルナールの方針を彼に伝えた。]
「決まったぞ、ヘクター」 「儀式は開始される」 「わが家の勇猛さと村への貢献を示す大きな機会です」 「お前が行く事が名誉になるだろう」 「お前が行く事が我らの誇りになるだろう」
…そうだな。 俺が行くのが妥当だろうね。
なに、心配すんなよ、俺も生きて戻ってやるからよ。 ああん? そっちの方が、殺されてお陀仏して帰るよりもっと名誉だろうがよお。
[軽口を言い笑いつつもその手は震えていたようだった。満足そうに彼に頷く祖父らの反面、心配そうに彼を見る女中らもいた。]
(220) 2010/07/31(Sat) 23時半頃
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[イアンがヴェスパタインから別れた直後、ミッシェルに会う前>>163、その一瞬の合間にヘクターの姿があった。ちょうど木の陰になって、村人からは見えなかっただろう。
彼に近づくや否や、彼に向かって突進する。襟首を掴み、訊く。]
…アンタ、どういうつもりだよ? あの余所者の人間飼ってどうすんだ?
前回は儀式の始まりだから大目に見たがよ、今回は見逃せねえな…!
(*19) 2010/07/31(Sat) 23時半頃
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>>*19 なにか利用価値でもあんのかよ? 生かしておくだけなら兎も角、余所者と親しくなってどうする?
アンタの正体でも勘付かれたら…!
(*20) 2010/07/31(Sat) 23時半頃
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>>*21 ちっ、そうかよ…。 アンタの強さは認めるが、あんまり無茶はしないでくれよな。
[彼の発する雰囲気に圧倒されたのか、不満そうながら手を引く。]
誰を襲うか見てくるわ。
(*24) 2010/08/01(Sun) 00時頃
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>>*25 [じっと同胞の眼を真っ直ぐ不敵に見つめ返す。]
…そりゃ、心強いねェ。 またアンタの話を聞かせてくれ。
「視る者」だけでなく、「結界主」や、他にも我らに対する力を持った人の子の血統はまだ続いているだろうからな。
[ゴッ、と自らの額を相手に軽くぶつけ答える。 自らの眷属はできれば屠りたくないとも思っているようだ。]**
(*26) 2010/08/01(Sun) 00時半頃
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「人の手」で屠る対象としてはピッパ・・・。 狩りの獲物としては・・・テッドかノックスか。
儀式を軽んじた奴らに、知らしめる為にはこの辺りがいいかもな。
(*27) 2010/08/01(Sun) 11時頃
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アンタは・・・もしかしてずっと独り、だったのか?
俺が以前居た森では(同じような儀式があったのだが) 「狩り」は一人の獲物を、三人の牙で襲ったりしてたから、よ。
[かつての古き同胞を思い出したのか、一瞬の重い沈黙。 仲間の屍と引き換えに手に入れた独りの栄光も悪くは無かったが・・・。]
今度は・・・俺は、仲間を護りたい。 だから、アンタと一緒に、儀式を完遂してえ。
[今は、再び出会えた同胞がいる。 美しく気高き白銀の狼。 初めて出会った時のあの喜びは忘れられない。]
(*29) 2010/08/01(Sun) 11時半頃
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>>*30 そういやまだ話してなかったっけか。 俺が居た「森」はもう少し南の方でな。 この村よりも随分人は少ない所だったよ。
ドナルドとタバサと言う名で、俺と同じ赤毛の狼だった。 とある年の儀式で、ドナルドが「視る者」に告発されてな。 タバサは奴を庇って一緒に行っちまった。
[その後、独りで儀式を完遂したものの、村にはほとんど人が残されていなかった。
折も悪く、その翌年村は凶作と大規模な戦乱に巻き込まれ、ヘクターは護るべき場所を無くしてしまったのである。
近代兵器の前には、人狼であれど独りでは対抗しきれなかった。瀕死の状態で森を後にするのがやっとだったのである。]
(*31) 2010/08/01(Sun) 14時頃
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>>*33 [大怪我を負った彼がこの村にやってきたのはもう何十年も昔の事になる。
当時は、現在のヴェスパタインとヘクターと同じく人の形でひっそりと暮らす先代の老狼が村を見守っていた。
ヘクターは彼に助けられ、彼の屋敷でひっそりと傷を癒していた。その老いた同胞はヴァンルナールの分家の当主でもあった。おそらく「キツネ」との契約にも関係していたのだろう。
やがて、老狼が天寿に近づき、緩やかに死に向かっていた頃、ヴァンルナールの本家には病弱な嫡子がいた。丁度赤毛の狼の傷も癒えてきた頃だった。
年恰好も丁度良いだろう。幸いその子供はひどく虚弱だった為、村の他の住人の目にもほとんど触れていなかった。
――そして、本来の「ヘクター」を密かに生贄に捧げ、赤狼が彼に成り替わったのである。
(*35) 2010/08/01(Sun) 14時半頃
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[そのような過程を経て、ヘクターは人と交わり、老狼が森に還った後、ヴェスパタインが現れるまで、たった独りでこの村を人の身と狼の身で守護していた。
積極的に人と交わったのは、好奇心旺盛な彼本来の気質も大きかったのであるが、彼らを知り、相互理解、もしくは対抗せねばと言う思いもあったのかもしれない。
彼は自らを尊ぶ者を愛し大事にした。「キツネ」との関係はその最たるものである。
ただその反面、「忘却」の罪を犯し、増長する人の子への愚かさには苛立ちもしていた。怒りは日増しに大きくなって行った。]
(*36) 2010/08/01(Sun) 14時半頃
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>>*34>>*35 [同胞からの圧力を感じた。彼の静かで蒼い焔のような怒りが伝わってくる。]
もう…そんな所まで堕ちてしまったんだな…。
[嘗て、この村でも「正常」に人と狼の関係が築けていた事を彼はかろうじて知っていた。 現在のこの緩やかな堕落はどこから?
手元の銃器を見ながら、そうか。とぽつり呟く。
神聖な儀式では無い、一方的な殺戮。神の不在の中行われる蛮行。嘗ての森や無残な姿になった同胞らを思い出したのか、顔を歪める。]
我らが狩られる者…か。 それでも。
(*37) 2010/08/01(Sun) 15時頃
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―ヴァンルナール家・書斎― >>220 [家人が見守る中、年長者らに儀式の進行の質問を行う。]
12人の選別は滞りなく?
「どうしても集まらなかった場合は住人に神籤を引かせる。」 「御使い様の怒りを鎮めるには古来より女が一番良いのだが」 「ある程度は女の数も確保できているのでは?」 「それとお前には街道と村の入り口の封鎖を頼む」
逃亡者や反乱への対策は?
「これを使え。」 「今の世代は儀式を知らぬものばかり」 「抵抗する者に対し、少々の犠牲は止むをえまい」 「契約を破り、村が全滅するよりは」
[ごとり、と机の上にリボルバー銃が置かれる。]
(339) 2010/08/01(Sun) 15時頃
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>>*30 [やがて、少しの沈黙の後]
――ドナルドとタバサの仇で人の子が憎い訳じゃねえ。 儀式のしきたりの中であいつらは還ったんだからな。
ただ、最近の思い上がった人の子らには我慢ならねえな。 なんとか村の連中の目を覚まさせてやりてえとは思うが。
[まだ根底に人の子を愛する感情があるのだろうか。それは愛憎入り混じった感情か。 そして最後の呟きは、とても小さいものだっただろう。]
それと、もう繰り返したくねえ。 あんな情けねえ思いは。
[そして、広場の方を見ながら祈りを捧げる。 我らと再び共に…人の子がまだ聡明でありますよう。]
(*38) 2010/08/01(Sun) 15時半頃
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―街道への道―
[銃を手に屋敷を後にしたヘクターは、老人の指示>>340通り街道の封鎖に向かう。
そこには既にヴァンルナール家の若衆らが門を閉め、辺りは村へ入れない者、街道を通過できない者らで溢れ返り、騒然としていた。
人込みを掻き分け、大声でそこに居る者らの注意を引く。「祭」が始まる為、村には一切立ち入りが禁止される旨を通達した。]
「なぜいきなり封鎖を?注文の品があるのだが」
[緑色の帽子の行商人が抗議する。]
「俺は怪我人だ。近くに大きな村は無いのに、街道すら通らせてくれんとは!」
[金髪で義足の軍人に殴られたが、門から退く事は無く、毅然として村には入れなかった。]
(…しゃあねえ野郎どもだな!)
[銃を上げ、2発空に向かい空砲を撃つと、場は一瞬で静まり返り、蜘蛛の子を散らすように人々はその場から去って行った。]
(343) 2010/08/01(Sun) 16時頃
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>>*39 宿題…?
[紡ぎだされるヴェスパタインからの問い>>*40の意味を、何度も反芻し、じっくりと思案する。]**
(*41) 2010/08/01(Sun) 16時頃
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>>343 [殴られ赤く腫れた頬をさすりながら、儀式の準備が整うのを待っていた。]**
(345) 2010/08/01(Sun) 16時頃
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>>424>>425>>426 パピヨンのあの戯言…アンタどう思うよ?
…契約は、終わった、だと? 贄すら捧げねえ気か?
[パピヨンの言葉に反応したのか、ヘクターのその声には明らかな苛立ちが見て取れた。
彼女の言葉には確かに真実が含まれている。 だが…。それは…。]
(*42) 2010/08/01(Sun) 22時半頃
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…人の手で、黙らせるか?
[銃に弾丸を装填する。]
(*43) 2010/08/01(Sun) 22時半頃
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―広場―
[鐘が鳴り、「儀式」の開始が告げられる。
巡礼者の中で一番最後に「エデンの園」へ現れたのはヘクターだった。
そこで見たのは、あの喪服を着ていた女が、広場で巡礼者らに語りかける姿。]
(450) 2010/08/01(Sun) 23時頃
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>>424>>425>>426 [始めは、何を言い出すのかと怪訝な顔をし黙って聞いていたヘクターだったが、その内容が最後まで耳に届き、彼女が告げている内容を理解すると、顔色がサッと変わる。]
――あの女、何を言ってやがんだ?
[小さく呟く。]
(453) 2010/08/01(Sun) 23時頃
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>>453 これから御使い様の大事な儀式って時に、よりによって、その儀式の否定かよ!
俺たちが契約を否定しちまったら、どうなるかわかってるだろうが!
俺たちが「本当の儀式」を、「御使い様」を忘れちまったから、ソフィアがこうなったって事くらいわかってるだろうがよ!
長老会に出る程の立場なら、そうする事の危険性が解っているハズじゃねえのか?
[なぜ今さら村自体の存在を危うくするような事を…!]
(459) 2010/08/01(Sun) 23時頃
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テメェはこの村を滅ぼす気かぁ、パピヨン!!
[激高した男の手には、銃が握られていた。]
(460) 2010/08/01(Sun) 23時頃
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[誰か間に入るだろうか?
パピヨンに銃を向け、じっと見つめながら、引き金に指をかけた状態でいる。]
(470) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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>>468 [銃を向けたままパピヨンに答える。]
そんな提案をして…。 それが通るって保証はあるのかよ?
アンタ、自分が何言ってるのかわかってるのか? どんな思いで巡礼者たちがここに居るのか!
儀式は進めなきゃならねえんだよ。 そう決まったんだろう?!
(474) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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>>473 [オスカーには顔のみを向け]
じゃあ、オスカーはここに居る者以外の、 村の皆が殺されちまってもいいのか?
俺は生贄は確実に供えなければ、御使い様の怒りに触れるって教わったぜ? 1日1人どころの騒ぎじゃねえんだよ!
[必死な声で答える。 事態の深刻さが伝わっていないのだろうか?]
(479) 2010/08/01(Sun) 23時半頃
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>>488 [少年の言葉に血が沸騰するような激情が湧きあがった。]
―――!!
(*45) 2010/08/02(Mon) 00時頃
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[ぱあん、と軽く重い音。 直後に誰かがドッと倒れる音。]
なんで……。 こんなこと…させんじゃねえよ。 怒りを鎮める為の祭なのに…。
[がっくりと膝を付き、まだ温かい銃を下に向ける。]
(490) 2010/08/02(Mon) 00時頃
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>>491 [イアンの視線に気付き、ゆっくりと立ち上がった。]
(492) 2010/08/02(Mon) 00時頃
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