43 朱隠し
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ほう。 [顎に手を遣り。 細めた眼が見つむる先は、藤色。]
(90) 2011/02/14(Mon) 22時半頃
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[から、と音たて、踵を返せば。 ぶつりと切れたる、下駄の鼻緒。] …………。 ほう。
(91) 2011/02/14(Mon) 23時頃
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慶三郎は、姿を消した。**
2011/02/14(Mon) 23時頃
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……厄介だの。 [姿は消せども、呟きは残るだろう。]
(*4) 2011/02/14(Mon) 23時頃
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浪人 慶三郎は、メモを貼った。
2011/02/14(Mon) 23時頃
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喰ろた心算が、喰らわれとった。 ……そげんことが無いようにの。 藤色よ。 [静かに、しかしどこか柔らかい調子で。 告げる声も、やがて遠ざかるか。]
(*6) 2011/02/14(Mon) 23時頃
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浪人 慶三郎は、メモを貼った。
2011/02/15(Tue) 01時頃
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― 石段 ― [手に持った下駄をからからと鳴らし。 素足でようやっとそこまで辿り着けば、腰を下ろす。 取り出だしたるは一枚の手ぬぐい。 布の端噛んで、手で裂いたまではよかったものの。] はて。 [下駄の眼に通そうとするも、思うようにいかない。]
(133) 2011/02/15(Tue) 01時半頃
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浪人 慶三郎は、メモを貼った。
2011/02/15(Tue) 01時半頃
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[掛けられた声に、顔を上げ] なに、鼻緒が切れただけだ。 [それだけ告げ、再び視線を戻す。]
(143) 2011/02/15(Tue) 02時頃
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……ああ。 [暫し、竹串を見遣り。 ようやく相手の思惑に気づく。] すまんの。 [手を伸ばす。]
(152) 2011/02/15(Tue) 02時半頃
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[あと、少し。 触れるか触れないかのところで、ぴたりと手が止まり。] …………。 やっぱり、要らん [ふと、なにか思い出したように笑う。] 他のに、遣って貰う。 すまんの。 [腰を上げ、道を開けた。]
(155) 2011/02/15(Tue) 03時頃
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浪人 慶三郎は、メモを貼った。
2011/02/15(Tue) 03時頃
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[ヒトの子と会うのは久しい。 すっかり勝手を忘れていた老妖は。 石段を上る後ろ姿を見あげ。] [さて、誰に頼んだものか、などと考えながら。 鼻緒の切れたままの下駄を手に、風に紛れる。] [――若しも石段の途中、少年が振り返ることがあったとしても。 老い耄れの姿を認めることは出来ぬのだろう。**]
(157) 2011/02/15(Tue) 03時半頃
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― 境内裏手 ― おう。 ここに居ったか。 [狐と蝶と。 ふたつの妖しの影のそば。 ゆらり、老妖は姿を現し。]
(178) 2011/02/15(Tue) 14時頃
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切れよっての。 [胸の高さまで持ち上げた下駄。 ぷらり、頼りなく緒が揺れる。] 巧く、直らん。 [それから、ややあって。] なんぞ。 邪魔したかの。
(181) 2011/02/15(Tue) 14時頃
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ああ。 見事なもんじゃろ。 頼む。 [下駄と、裂いた手ぬぐいと。 ゆるく笑みを浮かべ、ウトへ手渡す。] おう。 ……ああ、それか。 [風車を見遣れば、眼を細め。] 良い色だの。
(186) 2011/02/15(Tue) 14時頃
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[忘れさせて呉れるもの、か。] ――――さて、な…… [曖昧に。 それだけを返す。 思うところはあるのやら、ないのやら。 茫とした調子からは、計れぬだろうか。]
(*21) 2011/02/15(Tue) 14時半頃
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すまんの。 [受け取ったそれを履き、感触を確かめ。 満足とばかりに、頷く。] はは。 飴か。 [狐の面を被った頭へと、手を伸ばし。] 狐だの。 判った。
(192) 2011/02/15(Tue) 14時半頃
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ほんに、お前さんは器用だの。 [赤と、白。 その彩りに、感心したように呟き。] おう。藤色も来よったか。 [藤の香。 ゆるりとそちらを見遣り、眼を細めて笑む。]
(197) 2011/02/15(Tue) 14時半頃
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浪人 慶三郎は、メモを貼った。
2011/02/15(Tue) 15時頃
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[眼は狐の面の動きを追い。 ふ、と笑みを浮かべ。 藤色へと、視線を戻す。] すまんの。 なに、のけ者にした訳でないぞ。 儂が来たら、二人居っただけよ。 の。 [華月斎とウトと、二人に目を配り。]
(204) 2011/02/15(Tue) 15時頃
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……お前さんは、お前さんで。 ええと思っとるんだが、の。 [先刻とは違って。 柔らかく、笑み掛けるように。 どこか少し、寂しげでもあったろうか。]
(*25) 2011/02/15(Tue) 15時頃
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ああ。 気ぃつけえよ。 [鈴の音残し、舞う風に向けて。]
(209) 2011/02/15(Tue) 15時半頃
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儂ぁ、なんもしとらん。 [眉根を僅かに寄せて、笑う。] ……ほんに、お前さんは。 いつまでも童のようだの。 [思わず軽く撫でつけてやろうと、藤之助の髪へと手を伸ばす。] [なにかが走る音には、ついつい面白がるような、人の悪い笑みが浮かんだ。]
(212) 2011/02/15(Tue) 15時半頃
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……さて。 遣いに行って来るかの。 [から、と下駄鳴らし。] 藤色。華の字。 お前さん方も要るかの? 飴。 [食えぬから要らぬ、と返されるだろうか。 それでも、頼まれたなら、ついで。土産にする心算で。 珍しく、姿は消さぬまま。 歩き出す。**]
(214) 2011/02/15(Tue) 15時半頃
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浪人 慶三郎は、メモを貼った。
2011/02/15(Tue) 15時半頃
浪人 慶三郎は、メモを貼った。
2011/02/15(Tue) 22時半頃
浪人 慶三郎は、メモを貼った。
2011/02/16(Wed) 00時半頃
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― 遠回りをしていた。 ― [から、と下駄の歯が枯れ落ちた葉を踏む。 ごく自然に。 無意識に。 回り道をしていた。] [まるで、そこへ至るのが当然とでも謂う様に、]
(339) 2011/02/16(Wed) 01時頃
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[――なにもない場所を、横切った。]
(340) 2011/02/16(Wed) 01時半頃
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浪人 慶三郎は、メモを貼った。
2011/02/16(Wed) 01時半頃
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― 屋台 ― ――はて。 [そうして、着いてみてからふと、気づく。 こんなに、遠かっただろうか。] おう。飴屋。 もう、店は仕舞いか? [老い耄れのくせに、目当ての屋台はめ敏く見つける。]
(347) 2011/02/16(Wed) 01時半頃
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なんぞ。 [眉を顰め、片耳の孔を手で塞ぐ。] 気味の悪い声を出しよるの。 [しかし口許に浮かぶのは、意地の悪い笑み。] 細工を寄越せ。 いつつ。 [五本の指を立たせて見せた。]
(353) 2011/02/16(Wed) 02時頃
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孫に分けて遣るもんでの。 [形。 かたち。かたち。 顎に手を充て、思い出す。] 狐。 鳥。 赤い――……蝶、がええかの。 それと、蝸牛。 [指折り数えて、] ……はて。 [ひとつ、多い。]
(358) 2011/02/16(Wed) 02時頃
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ま、ええか。 そうだの――…… ………… 紅葉。
(359) 2011/02/16(Wed) 02時頃
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浪人 慶三郎は、メモを貼った。
2011/02/16(Wed) 02時半頃
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ああ、なんでもええ。 翼と嘴があれば、鳥だ。 [うむ、と一人で頷く。 妖術の様に飴を操るさまに、眼を向け。]
(363) 2011/02/16(Wed) 02時半頃
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[その老妖の眼は、まるで孫の様子を見つむるような。 ――他の妖し達へ向けるそれと、同じように穏やかないろで。] ああ、頼む。 やっぱり、巧いもんだの。 お前さんは。 [感心したように呟く。]
(366) 2011/02/16(Wed) 03時頃
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知らんの。 [返事は、素っ気無い。] ヒトの子は、皆同じだ。 目がふたつに、鼻ひとつ。 見分けなんぞ、つかん。 [簡単に出来上がった蝸牛。 選んだ理由は、実は特に無かった。]
(369) 2011/02/16(Wed) 03時半頃
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――そうか。 [確かに憶えのある呼び方に、自然、両の眼はまた穏やかに細められ。] [とんとん、と、台の上を叩く。 手渡しでは受け取れぬこともある、ゆえに。]
(371) 2011/02/16(Wed) 03時半頃
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ああ。 すまんの。 [懐から適当に引っ掴んで置いた硬貨は、多かったろうか、少なかったろうか。 ぴったりということだけは、ない筈。] [立てられた棒を、立てられた順に、片手に取り。] じゃあの、定吉。 [から、と音立て踵を返し。 ようやっと出てきた、相手の名。]
(373) 2011/02/16(Wed) 04時頃
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慶三郎は、そのまま風に消えるだろう。**
2011/02/16(Wed) 04時頃
浪人 慶三郎は、メモを貼った。
2011/02/16(Wed) 04時頃
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さてと。 土産の心算が、大分遅くなっちまったの。 [暢気な老妖は、のんびりと帰路に着く。] [忘れてさえいなければ。 どうにかして、孫達に飴は渡しただろうけれど。 そう、忘れてさえいなければ。]
(*51) 2011/02/16(Wed) 04時頃
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