25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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そう、私は主さまの花だから ……あの方が傍に置いてくれる限りは 私の芸も身も、かれのもの
知られても、嗚呼 知られたいのかもしれないな。 一度、怒られてみたい。 どれほど私を欲しているのか、否か 花主を試す花だと知れたら それこそ縁を切られそう。
[首を傾ぐさま、隣で見 背を向ける]
病に囚われて故の衝動でなければ 隠す必要も無いだろう?
(721) 2010/08/06(Fri) 21時頃
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どの道、閉ざされてしまった場所 口をつぐんでも、何処かから漏れるよ。
[隠さぬほうが隠せる。 本能が其れを知る。 やがて特徴ある足音が聞こえた]
(722) 2010/08/06(Fri) 21時頃
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……嗚呼。 よほど嫌われている様子 病あれど、人と同じく 情もあると謂うに
[花開き 色を付け 情を知る
刷衛の事となると、眉を寄せ]
その研ぎ師の、足音がする。 注視は好かん もとより、この身も
見透かされるのが、おそろしいと。
(*59) 2010/08/06(Fri) 21時頃
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寂しい
……この身が咲く前に 冬の名残が 未だ、強く根づいているのか
人を嫌う癖に 人に歎いて欲しいと思うのは。
[遠く視線映せば 冬の望む遠い峰と 表の情を望んだ坊主の姿 幾人か思い浮かぶのに 随分、欲を張ったと自嘲混ぜた]
(*60) 2010/08/06(Fri) 21時頃
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嗚呼、其れは憎かろう。
何を今更 私の存在そのものが、ロビンにとっては病魔
[小さく哂う]
ロビンなら 先ず、花主を持たぬ 人に近づきもせず
目は口ほどにものを言うが 己の内を知られるのも、おそろしいと あれは口先で総てを拒絶していた
……難しい。
(*63) 2010/08/06(Fri) 21時頃
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解ってる 否、解っていた
[溜息]
(*64) 2010/08/06(Fri) 21時頃
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― A棟/廊下 ― ……わかる……?
[眉をさげ、ちらと振り返った]
もっと強く求めて欲しい 応えて良いのか、この手で縋って良いのか 長くひとを拒絶していた所為かもしれないけど
臆病で、不器用だ。
[憔悴も浮かぶ。 月は相変わらず空に 行為は更なる食人衝動を促すのに 抑えねば]
…――――セシル 其の名で呼ぶんですね、刷衛さま
(725) 2010/08/06(Fri) 21時半頃
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腰のそれは……私の行為に立腹しての事ですか。 それとも、病もつものへの対策として持ち歩いているんですか。
[視線が鞘に止まると 冬のそれと同じ怯えを身に表す]
(727) 2010/08/06(Fri) 21時半頃
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……本当に。
ロビンをそうさせたのは、私の才 技術だけの蕾が 時折混じる病で色を為し
噂が噂を呼んで 押し潰されてしまったから。
変わった理由は作ったが 主が出来たと謂うだけでは、納得できぬ者も多いだろう
(*67) 2010/08/06(Fri) 21時半頃
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己の始末は己でつける。 ……構うことは無い
私とて 簡単に逝く心算も無い
(*68) 2010/08/06(Fri) 21時半頃
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…………セシル その名を呼んで良いのは、 名の意味知るひとだけですよ。
呼べと言われたなら、それは……
[口を噤む。 ついとそっぽを向いた]
教えません。 それくらいはご自分で考えるべきだ。
……人狼病の衝動と謂うと?
[知らぬ素振りで問いつつ、続いた言葉に納得した]
(735) 2010/08/06(Fri) 21時半頃
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嗚呼、それで。 ……イアンが、壇上で話していたとき 随分反応が薄いのが、怪しいと思っていました
合点がいった それで……イアンに打ち明けても セシルは大丈夫だと、言ったんですね。
[脱力を見せる。 ほっとして、呟くはひとと寸分違わぬ感情の流れ]
イアンも意地が悪い…… 最初から言ってくれたら 慌てて戻る事なんて、なかったんじゃないか
(736) 2010/08/06(Fri) 21時半頃
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いっそ黄泉まで……それは、良いね。
[明之進の言葉に、 心底から浮かべた 人食花のまるで人と同じ笑み]
死する時は共に そんな関係が ……私と主さまにもあればいい
いっそ 私を摘むのは、主さまであって欲しい
(739) 2010/08/06(Fri) 21時半頃
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[望みは叶った 願いはふたつ
情が湧いて
どちらも得ようとすれば どうなるか。
口を噤む明之進を見て 彼の死を秘密裏に聞いた花としては 少し哀れな視線を向けるのだった]
(740) 2010/08/06(Fri) 21時半頃
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― A棟廊下 ― ……面白がって 傷付けたら、許さない。
[恐らく冬が聞けばそう答える 冷たい冬色は、一度睨み上げ 直ぐに逸らした]
刷衛さまが、大丈夫なら セシルを任せてあげてもいいですよ。
(746) 2010/08/06(Fri) 22時半頃
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[刷衛を見遣る 身は幾らか警戒しつつ。 主の姿もなければ、常の冬を演じねば。 違和の正体は手折られた故 そう思わせるはずが、気付けば半分はまことの事]
花として気になるだけでは、厭です。
[彼の物言いをすっぱりと、冷たく切った。 そして続ける]
私は花だから、ずっと傍にはいられない セシルをセシルとして扱ってくれるなら 後は本人次第です。 ……名を許した貴方さまなら、と 信じておいても良いですか
[それでいて、情は見せる。 冬は花開いたのだと思わせるように]
(753) 2010/08/06(Fri) 22時半頃
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― A棟廊下 ― 当然です。 セシルは……特別だから。
[特別。 種植え付けた人食花にとっても 消えた冬にとっても]
――――それじゃ。 私は主さまのもとへ
[短い挨拶。 ちらと自室を振り返って 未練断ち切る仕草、首を振る。 譜面を取って、法泉と合流する為歩き出した]
(763) 2010/08/06(Fri) 23時頃
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― 本邸 ― [去る背に感じる視線。 ひとつ溜息 向かう先で譜面を手に入れ、法泉を探す]
……どちらに居られるや 主さまは。
[眼鏡の位置を指先でついと直しながら きょろきょろと]
(777) 2010/08/06(Fri) 23時半頃
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……腹が空いた
[種植え付けた身が 本能的に血肉を求めている。 きょろきょろと 獲物を探すような視線]
(*70) 2010/08/06(Fri) 23時半頃
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今宵喰らうは 研ぎ師也や?
……嗚呼
(*71) 2010/08/06(Fri) 23時半頃
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― 本邸/応接室前 ― [扉の前で、薄灰の着物を纏った少年が立ち尽くしている。 手には譜面。 何かを探すように、周囲を見ながら その表情の奥に、込み上げる衝動を抑えながら]
(790) 2010/08/07(Sat) 00時頃
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― 本邸 ―
……主さま
[廊下の先に遠めに見えた人の影。 小さく呼んだ。 届くか届かぬか。
手にした譜面と、一枚の紙を握って]
(794) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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― 応接前 ― いいえ、私も先ほどついたばかり 主さまを探して居りましたが すれ違ってしまったよう。
此処で待っていればと。
[先刻の、情事の名残は着物のした。 暴かれねば気付かない]
……曲をお聞かせする前に、 ひとつお渡ししたいものが。
[そう謂って、投票にと貰った紙を手渡した]
(797) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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そうこれは 人ならぬものを、探して捕らえて ……殺す紙 私は決して主さまの名を書きませぬ その証明に。
[見上げる冬色は僅かに何か決意を秘めていた。 今日一日で、随分と花は色をつけた。 同じ病持つものも知らぬ独断。 冬を真似た口調ももう、彼には偽る必要が無い。 硬質な声には甘やかないろ]
ひとつ、告白せねばならぬよう 其れを聞いても 主さまは未だ私を傍に置かれるや?
(800) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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― 応接室 奪取
……ええ。
[返すのは短い返事。 何を察したのか、促されるまま応接室へと入り 傍に控えたままポツリと話し始めた]
貴方さまが、心のままにと仰る故に 先ほど 私の意志で、桜の花に種を撒いてきたのです
[其の言葉が示すのは行為二つ] 其の折に…… 主さまの前で作りし笑みが 冬の色とは違って居た事に気付きました
傍で魅せたのは紛う事なく、私の表情(かお)
(807) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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[続く言葉が出るまでに、間が空いた。 意を決し、見上げる]
主さま 私は……私こそが、病の血もつもの
月夜に花開く、イビセラの花
さりとて 元は人であったもの 情は確かに此処に有るのです
[静かに、冬の色をした瞳で見つめ、告げる 己こそ、人食いの花だと]
(808) 2010/08/07(Sat) 00時半頃
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― 応接室 ― 私はひとの内に種を……孕ませるのです それを 月瀬の腹に
なるほどなどと……知ってまだ、 歌を、舞を、所望されますや? 傍に、置かれますや?
何れ主喰らうやもしれぬ花を。 ……手折ったのは主さま 此花散らすなら、どうか どうか 其の手で。
[自らの正体と 紙を預けた意図を明かし、息を吐いた。 譜面を抱きしめ、瞳を閉じる。 判決を待つように]
(817) 2010/08/07(Sat) 01時頃
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……主、さま
[告げられた言葉に、譜面が床へ散らばる]
(819) 2010/08/07(Sat) 01時頃
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……すまぬ
[短い謝罪。 若し己が喰らうとすれば 法泉以外に無い。 短な間、毒孕む花は随分変わった
他の者が喰らうなら、其れを止めはしないけれど]
(*72) 2010/08/07(Sat) 01時頃
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執事見習い ロビンは、説法師 法泉の腕の中で震えている。
2010/08/07(Sat) 01時頃
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今宵研ぎ師喰らうは、二人で。
私はもう 喰らう相手はひとつでいい**
(*73) 2010/08/07(Sat) 01時頃
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