285 【突発誰歓RP】逢魔ヶ時に会いましょう
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[蕪頭は、巻き起こる笑いの渦の中心に 何故自分がいるのか分かっていないのか>>0:598 レンからの苦情の声にも何処吹く風で それがまたひどくウサギ娘を笑わせる。]
そうさ、楽しいことってのはいつだって必要さ。 ……そうかい、いつでもおいで。
[また来るなら、それでいい。と くるりと背を向ける蕪頭の背>>0:603にちらりと目を向け 「また今度」と呟いた。 忘れてしまわれたらそれっきりだとしても 来てくれるかもしれないと夢見たっていいじゃないか。]
(1) 2018/10/08(Mon) 10時半頃
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[オーレリアにパンケーキを届け 店内をくるりと見渡すと─────
あの野兎の男>>0:214が手を振っていた。
今の水をひっくり返す大騒ぎが面白かったのか 泣きっ面で口元をにんまり歪めているのが気味が悪い。]
ご注文かい?
[まだ残っているエールを一瞥してウサギ娘が尋ねると 野兎は首を横に振った。]
(2) 2018/10/08(Mon) 10時半頃
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『いいや、注文といえばそうなんだけど』
[野兎は服の袖で顔の汚れを拭って言った。]
『…………最初はね、君が別れた女房に似ててねぇ それでついついここに足を運んでしまったのさ
ここはいいよね。何時でも誰かがいる。 独りぼっちで呑んでても、独りじゃない。』
[野兎の目はなんだか据わっている。 なんだ、酔っ払いか……とウサギ娘が立ち去ろうと 踵を返すと、その腕を掴まえて野兎はずい、と距離を縮めてきた。]
(3) 2018/10/08(Mon) 10時半頃
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『こんな気持ちになったことないかい? 「誰でもいいから、そばにいて欲しい」 この店はそういう人間にうってつけさそうだろ? ここにいる間だけ、俺は孤独じゃないのさ』
(4) 2018/10/08(Mon) 10時半頃
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[熱を孕んだ視線が、吐息が、全身を撫でる。 いつもなら酔っ払いごとき一蹴してやるものを
ウサギ娘は、動けなかった。
「誰でもいいから、そばにいて欲しい」
誰にも打ち明けたことのない心の内を 見透かされてしまったようで……
だから、そっと野兎の腕の中に抱き竦められても どうしていいか分からないうぶな少女みたいに いやに静かな男の鼓動に耳を傾けている。]
(5) 2018/10/08(Mon) 10時半頃
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『でも……店が閉まって家に帰ると 俺はまた独りぼっちになる…… それが耐えられないのさ。
分かってくれなくていい。 どうせ皆形が違う人間同士。 心から分かりかえるなんて、思ってないのさ
………………だから………………』
(6) 2018/10/08(Mon) 10時半頃
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『注文するよ。
「誰でもいいから、俺と一緒に死んでほしい」のさ』
[耳元で囁かれた言葉に慌てて身を離そうとしたが、もう遅い。 抱き締められたウサギ娘の背中を鋭く冷たいものが貫いて
いつもの一喝の代わりに、風船から空気が漏れるような息が かひゅ……、と一つ零れただけ。
水を被っても酔いのさめない酔客らも流石にこれを目にしたら 揃いも揃って蜘蛛の子を散らすように逃げ出そうとするものだから 野兎は慌ててウサギ娘の背から獲物を引き抜くと ウサギ娘がやるように、 ぴょん と跳ねた。 より多くの人間の注文を聞くためじゃなく、より多くを屠るため。]
(7) 2018/10/08(Mon) 10時半頃
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[店内を満たす阿鼻叫喚の中、ウサギ娘は床に崩れ折れた。
レンは、ザーゴは、オーレリアは、 いや、店を慕って来てくれた人らは、無事なのか。とか
頼むから止めてくれアタシの店を壊さないでくれ。とか
言いたいことなんか何一つ言えないまま
ウサギ娘の意識は闇へ闇へと落ちていった。]*
(8) 2018/10/08(Mon) 11時頃
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ー 目覚め ー
[ふと目覚めた時、まず感じたのは冷たい床の感触。 “何時間も寝過ごしたような”気怠さなど久々で このままもう一度眠ってしまおうか……と 瞼をまたそっと下ろそうとして─────]
……ッ?!
[先程起きた出来事を思い出して、たん、と跳ね上がった。 身体はまったく痛くない。 不思議なことに、濡れてもいない。 狼藉者も、店を占めていた客らもいない。 見れば、同じく目覚めたらしいオーレリアの姿>>35と 他何人かの姿も見えたか。
見知った人間の無事に安堵の息を吐いたのも束の間。]
(56) 2018/10/08(Mon) 17時半頃
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おッ死にたきゃテメェ独りでやんなァ!!! なァーにが「誰でもいいから」だ!ど阿呆が!!
[怒りのあまり脚を踏み鳴らしながら咆哮する様は ウサギというより何らかの猛獣のよう。
既に狼藉者はレンの手により打ち捨てられた>>45から 湧き上がる怒りをぶつける相手はここには誰もいない。
……というより、狼藉者がいないどころか 今しがた血腥い出来事があった痕跡が一つもないことや あるべき傷がすっかり消え失せていること 窓辺にあるはずの、花を飾った小瓶がないこと 酔客が喧嘩でつけた床や壁の傷も無くなっていること
─────ウサギ娘はまだ気付いていない。]
(57) 2018/10/08(Mon) 17時半頃
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[刺された瞬間の痛みを覚えている。 肉を割って押し入ってくる刃の冷たさも 鼓膜を不気味に震わせた、野兎の声のじっとりした感覚も。
だからこそあれが夢とは思えず、 ただ自分の店で起きた出来事に、ひたすら怒り狂っている。
窓辺に駆け寄り外を見渡せば、人気のないいつもの街並みの上 不気味な色をした空が広がっている。 そこに、あの野兎の姿は、ない。]
ちくしょう…………ッ!!
[そして怒りのまま、逢魔ヶ刻の空の下へと駆け出していく。
狼藉者の足音どころか、何も聞こえやしないことに気付いて 足を止めるのは、もう少し先の話。]*
(59) 2018/10/08(Mon) 17時半頃
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ソルフリッツィは、ザーゴにウサギ肉を差し出した
2018/10/08(Mon) 18時頃
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ー 回想 エルゴットとの取引 ー
[エルゴットの継ぎ接ぎな劇の台詞>>0:536でも 劇を見たことのない者に取っては分からない。 観てみたいのは本心だけれど……なんて 踵を返そうとしたら、いきなり耳元で囁かれ>>0:538 ウサギ娘は雷で撃たれたように動きを止めた。
申し出られたのは取引への誘い>>0:539
突然距離を縮められて目を白黒させるうちに エルゴットは離れていってしまったけれど 漸くその意味がわかったウサギ娘は]
……上等だ。
[とっくにそっぽを向いてしまっている男の背に にやりとほくそ笑んだ。その条件じゃあ賭けにもなりはしない。]
(95) 2018/10/08(Mon) 20時頃
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[この店より外に、欲しいものなんか出来やしない。 だってこの店はやっと勝ち得たものなのだから。
この店に来る人間は決してウサギ娘を “いなかったみたいに”扱う事はしないだろう?
けれどそうするとエルゴットの劇を見ることは 生涯叶わない……それはそれで寂しいから いつか、きっと、観に行こう。 ウサギ娘は再び日常に埋没していった。]*
(96) 2018/10/08(Mon) 20時頃
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ー 現在 地下劇場付近 ー
[オーレリアがかけた声も>>84ザーゴの呟きも>>70 怒り狂ったウサギ娘には届かない。 鼻息荒く往来を駆けて、野兎の姿を見つけたら とびきりの蹴りをお見舞いするつもりでいる。 (もしそれがレンによって既に果たされていると知れば その時は声に出してきちんと褒めてやったろう)
足音の一つでも聞こえやしないかと 耳をあっちにくるり、こっちにきょろり。 やがて、小さく名前を呼ぶ声>>78に ウサギ娘は真っ赤な目を剥いた。]
(97) 2018/10/08(Mon) 20時半頃
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あ"ァン?! ……って、エルゴットか。
[見知った顔であったことに、安心半分残念半分。 相手が未だ混乱真っ只中ということも知らず ウサギ娘は男の近くまで跳ねてきた。]
おい、こっちに野兎の男が来なかったか? あの野郎……絶対ェとっちめてふん縛ってやる……
[言っててまたふつふつと怒りが込み上げてきて 地団駄踏みながらウサギ娘は吼えた。]
(98) 2018/10/08(Mon) 20時半頃
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あの野郎、アタシを刺して逃げやがったんだ! アタシだけじゃない、店にいた連中も…………
[そこで漸く、話がおかしいことに気付き ふっつり言葉を切ってエルゴットの顔を見上げ]
…………みんな、元気、なんだけど、さ…………?
[首をこてん、と傾げてみせた。 今しがた男の身にも同じことが起きたと知らず 答えを求めるように男の石色をじっと見つめている。]*
(99) 2018/10/08(Mon) 20時半頃
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ソルフリッツィは、レンを後で褒めとこうと思った
2018/10/08(Mon) 22時頃
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[元気そうに見える>>117と冷静に指摘されて いよいよウサギ娘は困惑した。 そう言われても確かにさっくり刺された、はず。
そして目の前の男だってシャンデリアに ぺしゃんと潰されたようには見えない>>116 じい、と見上げたその顔で 芝居がかった台詞を吐いて。 本当に、いつもの通りに見える。]
死んだ……?アタシとアンタが……?
[なんだか酷く現実味が無い。 目の前の男の台詞回しも相まって 知らない物語の世界に迷い込んでしまったような 酷く不安定な気持ちになった。
けれどエルゴットの仮定を強く否定できるものもなく。]
(140) 2018/10/08(Mon) 23時頃
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それはそれで、ムカつく……
[「一緒に死んで」なんて言ったくせに あの野郎自分だけ生き残ったのか……なんて。
男が頬を引っ張るのを>>118横目に それに倣って髭を一本、つんと引いてみた。 痛い。と分かったら急に元気がなくなって ウサギ娘は耳までしゅうと萎んで俯いた。]
……生きてるうちにアンタの芝居が見たかった。
[何時になるか分からなかったし、踏み出す勇気も持てなかった。 その結果がこれなんて、あんまりだ。]
(141) 2018/10/08(Mon) 23時頃
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[命を落とし、大事な客も襲われ、 主を失くした店も取り壊されてしまうのか……
悪い方向にばかり働く想像を、頭を振って払い ウサギ娘はそれでも希望的な観測を述べた。]
でも、ここ地獄の入り口にしても ちょっとばかしおかしくないかい? あまりに「いつもどおり」すぎるというか。
[「天国なら天使くらいいてもいいじゃないか」なんて ぶつぶつ文句を言いながら辺りをきょろりと見渡した。 そこにはただただ不気味な色の空が広がるばかりだったが。]*
(142) 2018/10/08(Mon) 23時頃
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[皆殺されてしまった>>163なんて信じたくない。 起きた時に店にいたのはオーレリアと、ザーゴ。 レンがいなかったことに一縷の望みを託すほかないなんて。
沸き起こる感情に、慰めの言葉をもらっても>>164 きっとまだ俯きっぱなしのまま。
それじゃあ何だか子供みたいだ、と少しでも楽天的な方向に 話の舵を切ろうとしたら――]
な、なんだい、そんな素っ頓狂な声出して…… え?ラジオ?
[思わず面食らって鸚鵡返しに答えてしまった>>167]
(190) 2018/10/09(Tue) 01時頃
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店で流しちゃいたけど……内容までは。 外出をねえ……何だか天気予報じゃないか。
[曇り時々シャンデリアもしくは頭のおかしい客。 笑えない。
けれど、結局この訳の分からない事態を前に ただ立ちすくむだけじゃ始まらない。 地獄でも天国でもない場所に辿り着いてしまったなら とりあえず進まないことには話にならないのだもの。]
店にいて、アタシが一番にやられた。 誰があの変な客にやられたか分からないが 目が覚めた時、店にはオーレリアとザーゴがいたか。
あいつらももし「死んでない」なら 還してやりたいよ。
(192) 2018/10/09(Tue) 01時頃
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[店主としての矜持か、それともエゴか。 ウサギ娘自身にもよくわからないまま、そう願った。]
他にもこんな目に遭ったやつがいるかもしれねえ。 アンタとアタシだけじゃ情報が足りねえなら 探しに歩いていくまでさ。
[そう言って、耳をぴんとそばだててみせた。 何も聞こえない……エルゴットの息遣いだけやけに大きく聞こえる。 「エルゴットが息をしている」のが分かったなら ウサギ娘はほんのちょっと勇気づけられる。]
(193) 2018/10/09(Tue) 01時頃
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[けれど小さく呟かれた言葉を拾えば ぴくり、と鼻先をひくつかせ]
……店だけポツンとあっても、意味ねェんだ……
[そう、吐き棄てた。
そこに「誰か」がいないと意味がない。 「誰か」にいて欲しいから店を回してきた。
寂しさを埋める「誰か」の力を、ウサギ娘はよく知っているのだった。]**
(194) 2018/10/09(Tue) 01時頃
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[妙なラジオの放送も知らないし>>226 縁もゆかりもない表の街のことなら猶更。 表の街の人間が何かを知っていたとしても 酒場に訪れたあの野兎は紛れもなく裏の街の人間だった。
さてさて何が起きているのか……と思案していたところに]
えっ?
[手分けをしないか、という提案に>>226 ぴんと立っていた耳がまたしおしおと萎れだす。 またこの訳の分からない空間に一人ぼっちになるとは 想像もしていなかったのだ。]
(236) 2018/10/09(Tue) 17時半頃
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[情報の無いまま二人当て所なく歩くよりは その策の方が良い。分かっては、いる。 だからエルゴットの言うこと>>227に あーだのうーだの唸ってみたり、鼻をひくつかせてみたり。
けれど、やがて観念したように]
………わかった。
[とくとく湧き上がってくる不安をぐっと押し殺して 震えるウサギ娘は頷いてみせた。 「誰か」にはもれなくエルゴットも含まれているのだと そう言ったところで何になる。
一歩、表の街に歩を踏み出そうとする男に倣うよう 一歩、その逆の方へ踏み出そうとして……]
(237) 2018/10/09(Tue) 17時半頃
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ああ、でも、エルゴット。 「出来れば」なんて、言わないでくれ。 アタシが、歩けなくなっちまうからさ。
[くるりと振り返ったウサギ娘は 仏頂面の奥から、絞り出すように、懇願する。]
(238) 2018/10/09(Tue) 17時半頃
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[本心だろうが芝居の一幕だろうが構わなかった。 「誰か」がいなくなることへの怯えが収まれるならば。
エルゴットから背中を押されれば束の間安心を 無言で立ち去るのなら竦む足を奮い立たせて
ウサギ娘もまた、廃棄横丁へと踏み出していった。]*
(239) 2018/10/09(Tue) 17時半頃
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― 『Luna's』へ ―
[エルゴットから何と言われただろう。 何にせよウサギ娘の足は、慣れた店へと向かうだろう。
オーレリアやザーゴを置いてきてしまったのだし。 (本当は見知らぬ場所がとっても心細かったから)
文字の通り、脱兎のごとく来た道を駆け戻り からん、とドアベルを鳴らしたものの……]
……誰もいないのか?
[確かにここに来た時はいたはずの二人の姿はとうにない。 きょろきょろ店内を見渡して、そこでやっと気が付いた。
窓辺に、花がないことに。]
(240) 2018/10/09(Tue) 18時頃
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[確かにそこには、桃色の秋桜が一輪飾ってあったはず。 その前は竜胆、その前は紫陽花。 季節を知らせる花は毎日「そこ」にあるのを確認している。
ふと視線を上げて見上げた柱には 喧嘩で付いた大きな傷が ない。
飛んで引き返した厨房の中 仕込んでおいた煮込みが、ない。 レンの賄いに出したターキーの残りも 冷蔵庫の中身は全部空っぽ。
片隅に置かれた寸胴鍋も 蕪に水をやったのも忘れたように すっかり乾いてしまっている。]
(241) 2018/10/09(Tue) 18時頃
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[見間違えるはずがない。
だって店に残る「誰か」の痕跡は ウサギ娘にとっての宝物だったんだから。
ひい、と小さく息を飲む声が 伽藍洞になった店の中、やけに大きく響き渡る。]
………やめてくれ……!
[ウサギの本能のまま、一歩後退る。 油染み一つないまっさらな壁に抱き止められ ウサギ娘はたまらず悲鳴を上げた。]
(242) 2018/10/09(Tue) 18時頃
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『こんな気持ちになったことないかい? 「誰でもいいから、そばにいて欲しい」 この店はそういう人間にうってつけさそうだろ?』
[頭の片隅で、ウサギがそう嗤った気がした。]
(243) 2018/10/09(Tue) 18時頃
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アタシにどうしろッてんだよ……!
[情けなく滲んだ声で吐き棄てた。
何をどうしていたらばこんなことにはならなかったのか、なんて 知ってる「誰か」はいない。 けれど、少しでも希望があるなら「誰か」を取り戻そうとして ウサギ娘は店をまた飛び出していった。
「誰か」のいる場所の宛など一つもないままに。]**
(244) 2018/10/09(Tue) 18時半頃
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[「探せば誰か見つかる>>245」 「もし誰も見つけられなくても ワタシがどこかに居ることには変わりがない」
走りながらエルゴットの言葉を何度心のうちで反芻したか。 無くしてしまったらまた歩けなくなってしまう。
だから街を疾走するウサギ娘がそこにいるのは 確かにエルゴットがいる証とも言える。
きょろきょろ、辺りを窺いながら人影を探し 耳を澄ませて音を拾おうとした。]
(290) 2018/10/09(Tue) 23時頃
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[だからそのNGワード>>281が聞こえた時は 思わず反射で足を止め、キッとそちらを睨み付けて]
うっせぇ!!可愛くねェっ!!
[ウサギとは思えない咆哮をあげた。
見れば、酒場で見たことのない顔で 身なりから察するに表の街の人間だろうか。
「誰か」はいたけれど見知らぬ人で ちょっと表の人間は怖くって けれど見事ウサギ娘の地雷を踏み抜いていて……
どうにもならない歯痒さに地団駄を踏んだ。]
(291) 2018/10/09(Tue) 23時頃
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[ちょっと足を踏み鳴らしたら心が落ち着いたウサギ娘は]
アンタも……死んだくちかい? こんなところになんか用かよ。
[とりあえずやるべき事をやるために、低く尋ねた。 その場にまだ蕪頭がいたら多少態度を和らげるだろうが 男との距離は充分あけたまま。]*
(292) 2018/10/09(Tue) 23時頃
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[一喝してやれば素直に詫びる>>293なんて反応は 酔客からは絶対得られない。 だから男の反応にウサギ娘は 何だか拍子抜けしてしまった。 (一言減らず口でも叩いておけば 見事な跳躍と蹴りとが拝めただろうが)
そして男は素直に諸々>>297を明かしてくれた。 彼の心の内の推測は知り得ないが きっとウサギ娘はまんまと 彼の欲しい情報を出してしまうのだ。]
何だか何処も彼処も物騒じゃねェか。 こちとら酒場で酔っ払いにグサリ!さ。 お客にまで手ェ出されちゃ、死んでも死にきれねェや。
[彼が既にザーゴと話している>>221のを知らないが 酒場で刺された話から彼は何らか推測するのだろう。]
(310) 2018/10/09(Tue) 23時半頃
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[しかし表の街に人がいない、とは。 エルゴットはどうしただろう。 ウサギ娘の真っ赤な目は見定めるように、じっと男に注がれた。]
本当に、表の街で誰にも会わなかったのかい? 同じ酒場にいたやつ以外にも ここで会ったやつがいるのさ。 そいつは表の街に向かっていったんだけど。
[状況は未だ判然としない。 が、少しずつ擦り合わせていくしかないのは男も同じのはず。
だがまだ大事なことを聞いていない。]
(311) 2018/10/09(Tue) 23時半頃
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……ていうかアンタ、よくアタシみたいなのと話せるね?
[思いっきり見た目がウサギの人間だから、表の街の人間は てっきりもっと嫌悪を以て接してくるものだと思っていた。 (掴まえてコートにされてしまうかと!)]*
(313) 2018/10/09(Tue) 23時半頃
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[此方が提示した狼藉者の情報はやけにすんなり 男に受け入れられたようだった>>320 ザーゴに既に会っていると知れば納得だ。
表の街に行く道に用がないので知らないが 一本道ではないのだろう、と ウサギ娘は希望的観測をひとつ。]
アタシ的には蕪くんがここにいることに驚いてるよ。 なんだい、スープにでもされちまったのかい。
[ここにいるならのっぺらぼうを見上げて いないならあの飄々とした姿を瞼の裏に思い描いて 少しだけ、ウサギ娘は笑ってみせた。]
(338) 2018/10/10(Wed) 01時頃
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[けれど、次の男の返事で笑みはぴしりと固まった。]
へえ、“慣れた”のかい。
[存外冷ややかな声が出た。 裏の街には遺伝子操作によって憂き目を見た者がいる。 男の言葉は親しいようで、その実大きな隔たりを感じさせた。 (一体どこの人間が、同じ人間に接することに “慣れる”必要があるのか!)]
アタシの母親は遺伝子操作で ウサギの耳を持たされた人間でねェ けどアタシみたいなまるっきりウサギな子が 産まれちまったもんだから 母娘でこっちにポイ捨てさ。
(339) 2018/10/10(Wed) 01時頃
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[それが誰の意思の元行われたことであろうと ウサギ娘の母親は還ってこない。]
アタシは人間だけど、人間じゃない。 現に今も寂しくって淋しくって死んじまいそうなんだよ。
[年の頃は若いから、彼がウサギ娘の母親の遺伝子を 弄ったわけじゃあなかろう。 だからこれはただの八つ当たりだ。
「誰でもいいからそばにいて欲しい」と願ったくせに 一歩、男から後ずさる。]**
(340) 2018/10/10(Wed) 01時頃
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