88 吸血鬼の城 殲滅篇
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――― そうだ。
ガストン・ワイルダー。 貴様にまた会えたら、愉しいだろうになぁ。
[己を倒した相手は、 間違いなく、そのひとりだった**]
(55) 2012/05/01(Tue) 10時半頃
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― 物見塔 ―
――― にしても、最初に感じたあれは、なんだ?
[未だ土と岩の下、形無くたゆたっていた時に感じた気配(>>0:129) その正体が未だ掴めず、首をひねる。]
ガストン・ワイルダーが帰ってきたのかと思ったが 違うらしいしな……
[どれほど年月が経っていようと、見間違うはずがない。 一度はその血を口にした相手だ。 ほんのひと口だったとはいえ。]
(63) 2012/05/01(Tue) 16時半頃
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[考えに耽りながら、歩くのに飽いた身体がずるりと崩れ 闇となって塔の窓より流れ出す。
塔の壁面を伝って滴り落ちた闇は 柔らかい草の上に溜まって、ゆるゆるとひとの姿に凝った。]
→ 中庭 ―
(64) 2012/05/01(Tue) 16時半頃
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― 中庭 ―
[犬のように首を振るい、髪に残った闇の残滓を払い落として 塔の影から歩み出る。
抜き身の剣を下げたまま現れた騎士を一瞥して、 可笑しそうに唇を上げた。]
どうした? 幽霊でも見たという顔をしているぞ?
[実際、幽霊とはさほど遠くないのだが、 冗談のように言って、歩み寄る。]
(67) 2012/05/01(Tue) 17時頃
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膝をつけ。
本来の城主の帰還だ。
[剣の間合いへ無造作に踏み込みながら 命じるのに慣れた声で、鷹揚に服従を求めた。]
(68) 2012/05/01(Tue) 17時頃
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― 中庭 ―
あれに忠誠を誓ったのなら その主であるオレに従うのは、当然のことだろう?
[普遍の理であるかのように説き、 望み通り膝をついた男の前に立って、見下ろす。 昏い炎を灯す瞳を覗き込んで]
―――良い目だ。
[犬に言わせた言葉を、もう一度告げた。]
(73) 2012/05/01(Tue) 18時頃
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ああ。死んだ。 だが蘇った。
[騎士の疑問へは、端的に答えた。 相手がなにか思い違いをしているだろうことは読みとれたが、 特に訂正はしない。]
―――あれの血が、オレを目覚めさせたのさ。
[そこに、さしたる違いはない。]
(74) 2012/05/01(Tue) 18時頃
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だから、次はオレがあれを呼び戻す。
[付け加えたのは、自信に支えられた意志。 餌を投げ、反応を窺う。]
(75) 2012/05/01(Tue) 18時頃
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いいだろう。
[望み通りの言葉を引き出したことに満足して、 騎士の前に手を突き出す。]
オレに忠誠を誓え。 そして、貴様の命をオレに寄越せ。
[ひらりと動かした手は、剣を差し出せという無言の催促。]
(78) 2012/05/01(Tue) 18時半頃
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今の貴様に、似合いの力をくれてやる。
[闇への誘いは、ごく直截に告げられた**]
(79) 2012/05/01(Tue) 18時半頃
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ふん……
[鼻を鳴らすような吐息に覆いがたく滲むのは、愉悦。]
"親"にそんな口をきく"子"には、 躾が必要だなぁ。
[弱々しいその声に、抵抗の意志は薄いと知りながら、 "血の親"たる義務にかこつけて、罰を口にする。]
(*13) 2012/05/01(Tue) 19時半頃
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おまえの為を思ってのことだぞ?
[優しさを装った声を掛けながら、見えない手を伸ばした。 血の縁をたぐり寄せ、内に流れる己の血を操って きつく、内腑を締め上げる。 魔に堕ちる前、受けた痛手を思い出させるように。
懲罰は尾を引く苦痛だけを与え、 ごく短い時間続いたあと、引いていった。]
(*14) 2012/05/01(Tue) 19時半頃
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良い子にしていたら、ちゃんと褒めてやる。 だから、オレに逆らうな。
いいな?
[支配の絆を刻みつけるように、言葉を突き立てた**]
(*15) 2012/05/01(Tue) 19時半頃
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― 中庭 ―
良かろう。
[宣誓(>>81)を聞き入れ、 捧げられた剣を掴んで騎士の頭上に擬し]
ヒュー・ガルデン。 いまこのときよりは、 血盟騎士《ブラッドナイト》の称号を加えて名乗るが良い。
[告げると同時に剣を振り下ろした。]
(106) 2012/05/01(Tue) 22時頃
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[本来ならば、切る真似事をするだけの儀式。 だが、刃は首と肩の付け根を砕き、 胸の半ばまで食い込んだ。
噴き上がる血が落ちるよりも早く、 柄をさらに突き入れるように押し倒し、 騎士の身体を地面に縫い止める。]
(108) 2012/05/01(Tue) 22時頃
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貴様の血は、"娘"に。 貴様の命は、オレに。
[降りかかる鮮血は、闇の主を赤く染め、 騎士の傷口から迸る血が、地面を黒く染め変える。
流れ出す命が城に吸い込まれていくのを 真剣な目で見守っていた。]
(109) 2012/05/01(Tue) 22時頃
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―――…おいおい
[見ている、と宣言したとおり、 意識の一部は眷属の動きへと向けていて]
だれがオッサンだ。だれが。
[別に声を届かせる気もなく、存外楽しげに文句をつけていた。]
(*19) 2012/05/01(Tue) 22時半頃
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― 中庭 ―
[手についた血に舌を這わせ、降り注いだ幾ばくかを舐め取る。 もっと貪りたい衝動も覚えたが、今はそれを無視した。
短い痙攣が途絶え、騎士の身体が動かなくなる。 それを見届けて、横たわった身体を踏みつけ 深々と突き立った剣を引き抜いた。
新たに開いた傷口からなおも血が溢れるが、 もはや、勢いはない。]
(126) 2012/05/01(Tue) 23時頃
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[抜いた剣の切っ先で自分の腕を浅く刺し、 魔の気帯びる血を騎士の身体へと注ぎ掛けた。
ドナルドの時と同じく、血は青み差す身体へと呑み込まれ 大きく開いた傷口が次第に癒えていく。
しかし、その速度はドナルドの時と比べて、 明らかに遅かった。]
(127) 2012/05/01(Tue) 23時頃
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……しゃーねぇよなぁ。 ふたり立て続けなんざ、オレも久しぶりだし。
[眷属を生み出すことは、命を分け与えること。 さすがに消耗していたかと苦笑して、 騎士の身体を肩に担ぎ上げる。]
(129) 2012/05/01(Tue) 23時頃
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……… 一旦、風呂でも入るか。
[勢い良く斬りつけたせいで、 頭の先からつま先まで、くまなく血を被っていた。 濃い血臭は心地良いが、濡れたままではさすがに気持ち悪い。
騎士一人担ぎ、機嫌良く鼻歌を歌いながら 中庭から厨房へと続く扉を開けた]
―→ 厨房 ―
(132) 2012/05/01(Tue) 23時頃
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なんだ。聞いていたのか。
[自分が盗み聞きしていたことも棚に上げて、 返ってきた囁きに、心外だとばかりに眉を上げる。]
(*21) 2012/05/01(Tue) 23時頃
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しかし、案外と楽しそうじゃねぇか。
[笑い含みに指摘したのは、戦いぶりのこと]
(*22) 2012/05/01(Tue) 23時頃
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[ためらい、惑い、一拍を置いて、 おずおずと手を伸ばすように、『声』が届く。
不安。或いは、心配する響き。 微かに感じたそれらを、鼻で笑い飛ばした。]
なんでもねぇよ。 余計なこと考えてねぇで、 目の前に集中しやがれ。
(*24) 2012/05/01(Tue) 23時半頃
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良い子で帰ってきたら、 あとで良いことしてやるからな。
[嘲笑と揶揄を込め、 それ以上の問いを拒むように声を投げた。]
(*26) 2012/05/01(Tue) 23時半頃
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― 厨房 ―
[ご機嫌な鼻歌をそのままに、 厨房に踏み込んで、階段へと向かいかける。
その足を止めさせたのは、 カーテンの向こうから聞こえる複数の声。]
(144) 2012/05/01(Tue) 23時半頃
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……………。
[肩に騎士の身体を担いだまま、 どうするべきかと耳を峙てる間にも、 口元からは愉しげな笑みが消えなかった。]
(145) 2012/05/01(Tue) 23時半頃
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…。
ま、おまえが言いつけをちゃんと守っていれば、 おれは満足だがな。
[残念かとの言葉(>>*27)へ、ごく軽い調子で声を返し、 動揺の気配(>>*28)には忍びやかに笑みを漏らして あとは口を噤んでおいてやった。]
(*29) 2012/05/01(Tue) 23時半頃
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― 厨房 ―
[カーテンの側に立って様子を探れば、 討伐隊の三人が大広間で話をしているようだった。
最初に来た人数を思い出し、 死んだ者、死につつある者、眷属へと変えた者の数を引けば、 そこに、生き残りの全員がいると知れる。]
……。
[もうしばらく考えたあと、 やはりご機嫌に鼻歌を歌いながら、大広間に踏み込んだ。 どのみち、階段はその先だ。 別に、使う必要もなかったが。]
(155) 2012/05/02(Wed) 00時頃
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― 大広間 ―
[大広間には、やはり人間共の姿が3つあった。
そちらの方を一瞥しただけで、 当たり前のように階段へ向かって歩いていく。
大広間の惨状には少しばかり眉を顰めたが、 機嫌が悪くなるほどでもなかった。]
(158) 2012/05/02(Wed) 00時頃
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