17 吸血鬼の城
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今の私達が永遠の真似事をしているのなら――
[...は手にしたグラスの中のワインを廻しながら、そう呟いた]
随分と退屈なこと、ね。
(1) 2010/06/24(Thu) 23時頃
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どうもこうもないでしょう。
[...は騒ぐ男二人に対して、静かにワインを飲んで呟いた]
城主様は、お食事中なのでしょう? 恐らく、ね。
(8) 2010/06/24(Thu) 23時半頃
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良家の娘 グロリアは、靴磨き トニーの頭を撫でた。
2010/06/24(Thu) 23時半頃
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― 食堂 ―
[...はグラスに残ったワインを飲み干し、テーブルナプキンを殊更丁寧に畳んでから自分の席の前に置くと、静かに立ち上がる]
あら、そう? 食事は、貴方だけだったのね。
[そう言って、一人俯いたままのトーニャの隣へ。その際、一瞬だけ身体を密着させて、小さな紙片を彼女の服に挟み込んだ]
『私の猟銃と弾丸、もし欲しければ部屋から勝手に持って行きなさい。ただ、銀の弾丸は無いわ』
[口で言っても大差はないのだろうが、こういう事は秘密めいたやり取りこそが楽しいのだと...は一人ほくそえんだ]
(24) 2010/06/25(Fri) 00時頃
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そうそう。もし困ったら、リンダさん。 あの娘を頼るといいわよ。 初めは酷く怯えていたけれど……目が、変わったから。
[墓地で別れ際(>>5:170)の表情を思い出し、唐突にそんな事をトーニャにだけ漏らした。そして、セシルに向き直ると]
従者さん、お薬、有難う。 ついでに聞きたいのだけれど……御堂みたいなところを見つけたのだけれども、立ち入ってもいいのかしら?
[そんな事を、唐突に尋ねた]
(28) 2010/06/25(Fri) 00時頃
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ふふ、そりゃあそうよねぇ。
[セシルの言葉(>>35)に可笑しそうに笑う。別段嫌味の無い、爆笑といった風情でコロコロと笑うと]
子供の頃の夢を思い出したの。 良ければ、ちょっとお付き合いいただける?
[トーニャの視線(>>31)には無視をした。決めかねている者には選択肢は多い方がいい。そして自分は既に別の選択を選び取っていたのだ]
(そう。ここには、私の求めるものは何も無い)
[狂乱の果ての道筋が、自分の中で見えてきていた]
(41) 2010/06/25(Fri) 00時半頃
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― 廊下 ―
昔、私の従姉が聖歌隊員をしていたのだけれど…… 司教様が弾いてらしたパイプオルガンがとても楽しそうに見えたの。
[相手は別にセシルでなくても良かった。聞く人すら不在でも構わない。ただ思い出した記憶を愛しそうに、語っていた。当たり前の事が、今まで当たり前でなかったのように]
三段の鍵盤、三つの足鍵盤、金銀の金管に幸せそうな小太りの司教様。 従姉達が歌うのも聞かず、祈る事も忘れ、ただそれだけを見入っていた。
[そこで、静かに一人頷いた]
うん、一度アレ弾いてみたかったの。
(49) 2010/06/25(Fri) 00時半頃
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ピアノなら手習い程度――ですけど別物でしょう。 少しでいいから、教えて下さる?
[今の彼女は、かつてセシルが演奏していた時の記憶も持ち合わせていた]
大切? どうなのかしら。
[大切な記憶かと問われれば(>>54)自分でも良く判らない、そんな顔をする]
記憶って、大切なのかしら。 忘れていた方がいい事もあるし、覚えているからこそそれに囚われて前に進めない事もある。
無くしてしまった記憶なら、 無くすだけの理由があった筈。 奪われたのでなく、手放したのであれば――
そんな記憶にどれだけの価値があるのかしら。
[本当に聞いているのは自分自身。それでも自然と口を開いて答えていた]
(60) 2010/06/25(Fri) 01時頃
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あら、御免なさい。 話が逸れちゃったわね。
[...は軽く謝った]
ただ、不意に御堂を見て、パイプオルガンの音を思い出したら、沸いてきた記憶だっただけよ。
だから機会があれば――なんて思っていたのは、いつが最後だったか……覚えていないわね。
[軽い嘘。最後はあの日、全てを失った日。あの日、彼女は自分自身すら失ったのだ。
ただ独り、取り残されたと認めたくなかったが故に]
(63) 2010/06/25(Fri) 01時頃
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[歩きながら、思う。...は思い続ける]
(倦んだ永久の主は、 人の感情を獲る事を以って退屈への糧とする。
―――今の私はかの主のお気には召さないことだろう。)
[居もしない獣を狩るべく、目的が適う事など無い復讐者を気取って、記憶と真実を拒絶してきた気違いを以って、自分を保たせてきた。そんな自分だからこそここに招かれたのだろう。見世物としては適当だった。]
(けれども……
目を背けていた事に気付き、忘れたいものを忘れられず、 正常を心に押し付けられれば、
――私に、先はない。
"冷めた"ことで、持ちえる筈の深い絶望や諦めすら、既に置き去りにしてしまった。 そんな人間、餌としても果たして美味いかどうか……)
(70) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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記憶が存在を作り上げる――ね。
[(>>68)そうだとすれば、あの人を失ってからの自分はどんな存在だったと言う事か]
なくしてしまえば…… そう、なくなってしまえば……
きっと不幸で、幸せだったのよ。
[矛盾したことを平然とその薄い唇から漏らす]
生きていたのだと思う私と、 生きていなかったのだと感じる私。
生ける屍人――なんて気取る気はないけれど、 そうねぇ。
[自分の心の中だけの思い出をなぞって喋る...は正気であっても十分に異質だっただろう]
もっと賢ければ、もっと強ければ、違ったのかしらね。
(76) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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あ、別に少しの時間で上手に弾きたいなんて思ってはいないわ。
[...は童女のように笑った。かつてそれと共に見せた気の触れた素振りは既に潜めていたけれど]
ちょっと、触って満足したいだけ。
[リクエスト曲はStabat Mater(スターバト・マーテル)。聖母マリアの悲しみを共に偲び、苦しみを重ね合わせることで神の恩寵を請い祈る歌]
(78) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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狂気という優しい揺り篭に揺られながら、 私は今日迄過ごしてきたから。
[...は過去をなぞりながら、思い出を再構築していく。大きく見えた建物も、自分とはかけ離れて思えた多くの人達も、何もかも記憶から蘇らせる]
かの神の下、 自ら求めた己の死が大罪であるのなら、 多くの人を狂気の元、人ならざる者として扱ってきた私は――
[元より懺悔を請う資格もない。だからこそ、ただ思い出すがまま口を開き、所定の椅子に座った]
Cujus animam gementem contristatam et dolentem pertransivit gladius.
[そしてその指先はおぼつかない手つきのまま、たどたどしく鍵盤を滑らせていく]
(91) 2010/06/25(Fri) 02時頃
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― 御堂 ―
[歌う代わりに、言葉を音に乗せた]
目の前の出来事を、信じたくなく、無かった事にしたかった。 最初はそんな逃避から。
[途切れ途切れ、迷った処は手助けを請い、ゆっくりと丁寧に音を積み上げるようにして、重ね合わせていく]
甘い幻想は、幸せなる果実。 都合のワルイコトを、都合の良い事に置き換えた。
[とちったと自覚すれば、少し前からやり直す。何度でも構うことなく、ただ熱心に目の前の指捌きに集中する]
(100) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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騙しきれない自分を、騙しきるにはどうすればいい。 それを救いという逃げ道によって、先を拓いた。
(あの人が人殺しなら――私も人を殺そう。 多くの人を手に掛けた。善人はいなかったが、所詮は自分の物差しで恣意的だ。
あの人が化け物なら――私も人でなしになろう。 手招く狂気に身を委ね、自ら好んで毀れていった。怪物になる術を持たぬゆえ。
あの人が私を救う為に死を選んだのなら―――)
置き去りにされた惨めな生存者から――後を追う追跡者へと。
(101) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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裁き?
[そこだけは、音と外れる]
余人の誰が私以上に、私を裁けるというのかしら?
[いつしかコツをつかんだのか、大分つっかえることなく弾けるようになっていく//]
(102) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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>>104 [...は時折触れるセシルの冷たい手に驚きつつも、 その手に導かれるように、曲を創り上げていく。 今となっては空々しい言葉を、寒々しい祈りを、届かぬ想いを後悔すら出来ぬ意志を、指先に込めながら]
ふふ。
[静かに笑う。置き去りにされていた狂心も、音色に弾んだように彼女の口元に戻ってくる。それを自覚する心を抱えつつ、狂いも共に歌いつつ、弾き上げた]
(109) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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Fac me plagis vulnerari cruce fac inebriari Et cruore Filii.
[殉教者の如く、追従者のように、望むのは傲慢だろう]
(後を追うつもり――だった。)
[あの猟銃で頭を撃ち抜けば容易く、望みは達せされる事だろう。等しい罪を抱えながら、再会を望むのだ]
(けれど)
――そうねぇ。
[自死を選ばない。同じ場所へは望まない]
私は、自分からは死なないわ。
(113) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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Just be friends All we gotta do
[突然、ピアノの曲を弾きだして軽く歌い上げる。聖歌とは程遠い、恋人同士の離別の歌]
ありがとう、従者さん。 これでもう―――
[口元に薄く貼りついた笑み。招き寄せる混濁は、現実と妥協しつつ、緩やかに一つの事柄に...を没頭させていく]
(さようなら――)
[傍にいるセシルの存在を忘却し、ただ...は力尽きるか、己の意志が途切れるまでパイプオルガンを演奏し続ける。それだけが望みであるかのように、ただただ只管に、闇雲に、一途に――そう一途に奏で続けた]
(これだけが――)
[かつてミサの最中、パイプオルガンに興味を惹いていた彼女を窘めた人。その彼こそが……]
……私達の、絆。**
(115) 2010/06/25(Fri) 03時半頃
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良家の娘 グロリアは、奏者 セシルの言葉はもう耳に入らず、一心不乱に演奏を続けた。
2010/06/25(Fri) 03時半頃
良家の娘 グロリアは、記者 イアン達の存在すら忘れ、自欲のままにその時を過ごす。
2010/06/25(Fri) 03時半頃
良家の娘 グロリアは、水商売 ローズマリーへの望みの話の続きの事も、求める事が無いままに…**
2010/06/25(Fri) 03時半頃
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― 御堂 ―
I'll not leave thee, thou lone one, To pine on the stem;
[慣れればピアノほど、力が要らない。自分を形なしていく全てを指先に伝えながら、黒いドレス姿の女が、金管を振るわせる音を自分の全てとばかりにかき鳴らす]
Since the lovely are sleeping, Go sleep thou with them.
[季節を忘れ、取り残された薔薇は散るべきなのだ。それは黒き白き、それぞれに囚われた従者の比喩でもなく、自分自身を揶揄するでもない。ただの観察者として、傍観者としての演出]
(173) 2010/06/25(Fri) 22時頃
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Thus kindly I scatter Thy leaves o'er the bed
[城主と名乗る黒き影の主は、何を思い何を為そうとしているか。いつまでそれを続けるつもりなのか。繰り返し、繰り返し、繰り返し……それでもまた繰り返すのか。人は多様だ。色取り取りの花実を為す事だろう。それをただ覗き見るだけの日々――]
Where thy mates of the garden Lie scentless and dead.
[永い永い今宵。短く僅かなひと時。重ならない時間を彼は何を想うか――人は何を思うか。理解しあうことなど――感傷に浸る程度でしか有りえない。強い異質。異物。異生物。]
(174) 2010/06/25(Fri) 22時頃
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So soon may I follow,
[貴族出の詩人がいた――気が付いたら、いなくなっていた。]
When friendships decay,
[魔物となり、魔物を狩ろうとした男がいた――血の海に沈んでいった。]
And from Love's shining circle
[魔物にされた薬師がいた――魔物を刺す刃物へ造り替えた女と抱き合った。]
(178) 2010/06/25(Fri) 22時半頃
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The gems drop away!
[残された者は、震え、泣き、憤り、嘆いた――有り触れた景色の中であるだろうに。]
When true hearts lie withered,
[戯れと愉悦――そして寂しさを紛らわすために増やす同胞――生殖行為で増えぬ種族のジレンマ。]
And fond ones are flown,
[肉親を、大事な者と探しに来た少女がいた――いとも容易く、知られず手折られた。]
(179) 2010/06/25(Fri) 22時半頃
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And fond ones are flown,
[肉親を、大事な者と探しに来た少女がいた――いとも容易く、知られず手折られた。]
Oh! who world inhabit
[諦めるのか――それとも]
This bleak world alone?
[残るのか――思いを込めて。]
人は―― 人は―― 人は――
[地方民謡を奏で終わろうとも、指は、口ずさむ声は止まらない。]
(181) 2010/06/25(Fri) 22時半頃
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― 御堂 ―
人は、 人であるから――
――い。
[黒いドレスの女は静かに指を止め、残響に紛れて微かに*息を吐いた。*]
(207) 2010/06/25(Fri) 23時頃
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