204 Rosey Snow-蟹薔薇村
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むしろ、僕は――… 僕の方が 怖いのに。
僕を
[――捨てないで。 白い吐息に混ざり、音は消える。]
(265) 2014/11/18(Tue) 10時半頃
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[そんな風に下がる眉が、ニコラを思い出させる。 手を掴んで、困ったと半面を向けた彼の。
もう、そんな表情はさせたくないのに。]
……トレイルにもそんな顔をさせて、僕はいけないお兄ちゃんだ、ね。
[目の端を指の腹で拭ってやる。涙が止まった事を確かめ。離した手はトレイルの手を取る。 交わす視線。]
……君がまだ、そうやって僕を見てくれるのが、嬉しいね。
(267) 2014/11/18(Tue) 11時頃
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[ことトレイルに関しては、慎重に希望と絶望を繰り返し持たせた。次のお医者様ならきっと、と。 あの夜。黒地を白と赤で飾りながらも、強く睨みあげてきた瞳。何を言おうとしているのか、想像して――心の内で嗤った。
捨てないで。離れていかないで。 懇願は言葉にせず。彼の指先に口付け、残した赤の痕で以て示した。]
(269) 2014/11/18(Tue) 11時半頃
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[もう一方の手が、ノックスのビスケット色に触れる。 地肌に触れた冷たい手。手の内で、少しずつ暖かくなっていく手。]
ん、ありがとう。 いいお兄ちゃんで、いなければ ね。
[驚かせたことに気付かない、振りをして。 トレイルを抱えあげようと体勢を変えた。]
(274) 2014/11/18(Tue) 12時頃
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[ノックスにとって、トレイルがどれ程の価値を持っているのか。日頃のキスや触れ合いで、伝わっているものだと思っていた。]
あぁ、もうそれは あの人にとって要らないものだと 思うよ。
[指差したものに視線を落とす。残りの少ないインク。何を書いたのか、もう読めない真っ黒い紙。]
大丈夫。一緒に謝ろう? そうしたら許してくれるさ。
……温泉のところで良いかな。一番手っ取り早い。
(276) 2014/11/18(Tue) 12時半頃
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……トレイル。違う。ちがう。 あれは君じゃない……。
それに、僕はあんな風に君を……捨てない。
[インク瓶から視線を引き剥がすように、トレイルを抱えて貯蔵庫を出た。冷たい場所から、温かい場所へ。]
(279) 2014/11/18(Tue) 13時頃
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―ミルキーホワイト/温泉―
[開けた扉から白の湯気と匂いが漏れ出していた。 話し声は しない。
水の跳ねる音が聴こえ。]
おーい。
[ノックスはトレイルを抱いたまま、足を踏み入れた。]
(280) 2014/11/18(Tue) 13時頃
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[捨てるつもりなどないから、捨てないと言葉にした。 けれど。本当に捨ててしまったら? 行かないでと、助けを求めてくれるだろうか。
ずっとずっと、ひた隠しにしてきた衝動をぶつけたら。また、罵しりの目で、見てくるのだろうか。]
……な
[腕の重みにふと思う。 様子を見ているだけかと思ったから、トレイルを連れてきたのに。
湯の濁りは幸いか、不幸か。]
(284) 2014/11/18(Tue) 13時半頃
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……あぁ、トレイルが凍えそうだったから。
[温泉に入れさせるつもりで居た、けれど。]
いや、まだ入ったばかりだろう? もっと温まって行くと良い。
(285) 2014/11/18(Tue) 13時半頃
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[トレイルが首を振っても、ノックスは彼の求めるようには体を降ろさなかった。
フィリップの表情の固さ。その理由は分かる。 けれど。
ラルフまで、あの明るい人懐っこい、昔と変わらぬ笑顔を向けてくれないのは――寂しいと感じた。]
……ラルフ。
[こっちを向いてと、名を 呼んだ。]
(305) 2014/11/18(Tue) 14時半頃
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[湯気があるとはいえ、肢体から極力目を逸らす様に努める。 フィリップとトレイルの間に、ノックスに言えない何かがあると知っていて。どうしてこの子の肌を晒せようか。]
……いや。早くフランシスの所に戻ると良いよ。 僕も、君とは顔を合わせないようにする。
[名を呼んで向かせたくせに。]
(309) 2014/11/18(Tue) 15時頃
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―――トレイル!!
[急な血の香に腕の中を見下ろす。 喉の傷みと共に悲鳴が上がった。>>308]
何をっ
[爪を立てる手を制止させるために、その手を掴んだ。 バランスを崩すのに耐え、片膝を着く。]
(311) 2014/11/18(Tue) 15時頃
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[何故、そんな泣きそうな顔をするのか。>>268 遠くにある血臭には気付けない。
突然の自傷行為。 血に濡れた手は二人に伸ばされ。
まるでノックスから逃れるように、動くから。]
やめて、くれ!
[ラルフが出ていく。フィリップも行ってくれ。 動かないなら、また貯蔵庫にでもトレイルを抱えて戻るだけ。]
(318) 2014/11/18(Tue) 15時半頃
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[湯本から、入り口から遠ざかろうと、壁際にトレイルを下ろし、見上げる額に口付けてから腕の中に閉じ込める。
何に突き動かされて居たのか、耳許で名を呼ぶ声はメッザ・ヴォーチェ。エレジーアコ。]
トレイル……。
やめて、くれ。あんな風に、自分を傷付けて…… どうかしたのかい?
君は――…
[傷口を抑えた指の隙間から、血が流れる。]
(321) 2014/11/18(Tue) 16時頃
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[顔を首元に寄せた。甘い香りが近くなる。
唇開き、指輪に噛み付いた。 チェーンを引きちぎろうと、強く引く。
いつまでもいつまでも、目障りだったもの。 ぷ、と湯の中に吐いて棄てた。]
あの2人に、どうして欲しかった、の?
[シノワズリを覗き込み、髪を撫でる。 トレイルの透明な声を待ってから、傷口に唇を落とし――鮮血をすすった。
月の色に似た髪が、赤に染まる。**]
(324) 2014/11/18(Tue) 16時半頃
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―ピンクホワイト/温泉―
[トレイルが気にしたのは『ラルフ』の方だった。>>326]
……僕が気安く接してしまったから、彼を困らせてしまったんだ。 だから、もう合わないようにするんだよ。
[正論。表の理由。 フィリップが聞いていたら、物言いたげに睨まれるかも知れない。
遠ざかってくれて良かった。>>336 トレイルの身から流れる赤を、見せたくなかった。]
(398) 2014/11/18(Tue) 23時半頃
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[指環は湯の中で黒に染まるだろう。過去との繋がりを断ち切った唇は、愛し子の名を呼ぶ。>>327]
……トレイルの家族は、僕達だろう? そんなに昔が恋しいかい。 歌を忘れられないのかい?
[夢想の中で。悲鳴を上げて暴れる少年も、従順に口を開ける少年も。
終いには『僕を食べて』と――…口にした。それは痛みから逃れる為に強制された言葉であり、懇願の言葉であり。
本能に従いながらも死の喪失を伴わない、至福の時間。]
(400) 2014/11/18(Tue) 23時半頃
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[聴こえるようにわざと音を立て、舌が柔らかな桃色の肉をなぞる。溢れる血が咥内を満たす。臓腑に落ちた甘露はノックスの衝動を容易く呼び起こし。 裂いた肉片は首輪の存在を主張した。]
……とれい、る。
痛くない、かい?
[上衣の中に滑り込ませた手が、止まった。*]
(407) 2014/11/19(Wed) 00時頃
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ノックスは、トレイルの『痛み』に口端を持ち上げた。笑う。嗤って――…
2014/11/19(Wed) 00時頃
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――っ
[肩から離した赤い唇を、彼の唇に押し当てた。 抉じ開けて流し込む血を飲み込むまで。
軟らかな舌を噛みきってしまわないよう。 その分、腰を抱く腕に力が籠った。]
(421) 2014/11/19(Wed) 00時半頃
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[全人の血が甘露になる訳ではない。 感じる味は正直だ。
喉の鳴る音、両肩に指が触れる感覚。]
………は、 ぅ ん……
[離した唇の、息が上がるのは熱のせいだけではない。]
食べられるって、痛いんだ、よ。 ねぇ、トレイル。箱の話は……
(434) 2014/11/19(Wed) 00時半頃
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うん……。いい子だね。
[頷き返し、栗色とビスケット色を触れ合わせた。]
僕がトレイルを食べたら……僕だけが、残される。 それで 良いの? それでも、良い?
僕を置いて、僕を棄てて――…。
もっともっと、痛くなるのに。
それでも、君は――
[食べてと、言うの?]
(448) 2014/11/19(Wed) 01時頃
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[鮮やかで歪んでいる欲望を、衝動と共に奥へ奥へと押しやる。
眼底が疼く。あの男とは違うのだ。 じっと瞳を見詰め。 その奥の、意志の光を捉えようとして。]
……そう、か。良かった。
よか、 た。
[首を振ったトレイルに頬を寄せる。 彼の望む音が、あるとは知らず。
願いを 知らず。]
(470) 2014/11/19(Wed) 01時半頃
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――けれど、ねぇ。トレイル。 僕は、君が 誰かに食べられるだなんて、
嫌、なんだよ。
[この髪も、この肌も。 僕が居なければ、君は生きていけないだろうに。]
『僕を食べて』だなんて……
どうか、僕以外には 言ってはいけないよ?
[1枚の板で隔たれた向こう側で。 食われた身のあることを知らず。
止めていた手を動かし、トレイルの背を撫でた。]
誰にも。だれにも……。 そぅ、フィリップにも―――ね。
(481) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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[傾げた首に答える。]
一気に食べてしまわないように、 君が死んでしまわないように、それぐらいは――…ね。
[試した事はないけれど。きっと今のように抑えられると過信する。
わざとフィリップの名を出した。 浮かんだ困り顔に、苛として。]
……トレイル?
[傷口から血が溢れているから。 彼の手を取り、赤に染まった指先を口に含み、綺麗に舐め取った。十指を全て。]
(493) 2014/11/19(Wed) 02時頃
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ん? あぁ……そうだね。
[じっと見上げる瞳は永遠の色。>>486 揺らぐ湯面の下、落ちた指環。
そう。新しい家族の証が必要だ。
服に隠れる胸元へ、1輪の華を添えようと。 ニコラにもと考えて、胸が……傷んだ。]
……外に、出たい?
[止血の為に布を押し付ける。 他に、綺麗にしておくものはあるか。上から下まで眺めやる。]
(496) 2014/11/19(Wed) 02時半頃
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[どうにもならないもの以外、出来うる限りの願いは叶えてきた。
いつも満たされないのを知っているから。
それでも生きようとする君が。 声を失ってからの君の方が、とても魅力的だというのに。]
………なかなか、難しいね。
[赤の染みていく黒は重く。 指差しに同意した。]
(498) 2014/11/19(Wed) 02時半頃
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[ナイフを使い、生成りの布を裂いて包帯にした。 傷を塞いできつく締める。
ノックスは1枚、己の服を脱いでトレイルに被せた。 どうせ取りに行くのなら、薄着になっても平気だと。
両手で掬った湯で、髪と顔とを軽く洗ってから。 連れてきたようにトレイルを抱えあげた。>>499]
……?
[閉まっていた扉を、開ける。 鳥の、やけに煩い声が聴こえて――]
(501) 2014/11/19(Wed) 02時半頃
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―カナリア/1階―
……シメオン か?
[目に入ったのは、喰われ、そのままにされた遺体だった。 散る髪は、触れるのを躊躇った色。
死んでしまった――…モノ。
腕の中の愛し子に、声をかける。 見なくて良いの? と。
いつもなら強く抱き締めて、見せないように、聞かせないようにするのに。]
(505) 2014/11/19(Wed) 03時頃
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[見ると良い。
君の望んだものの、結末を。
大きな衝動の過ぎた、跡を。 ノックスは、‘保護者’だから。]
フィリップ。ホレーショー……。
[酷く、残念だよ。本当に。
ノックス達と代わるように、鳥は湯に羽根を濡らして。跳ねる水音。]
(513) 2014/11/19(Wed) 03時半頃
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[腕をつつくのは、ノックスが綺麗にした指だ。
階段に向かうと、見上げる位置にフランシスが居た。>>508]
………
[唇が言葉を紡ごうとして、何も出来ないまま。 身を預ける小さな体を抱き締め直し、1歩、また1歩と階段を上がった。**]
(516) 2014/11/19(Wed) 03時半頃
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