17 吸血鬼の城
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お前に紡いだ夢は消えたのだろう? 思い出したのならば何処へなりと お前の望む場所へ行けばいい。
日の下に出ることは叶わぬが もうお前を縛るものは何も無い
[柳眉を寄せるローズマリーの姿が目前にありながら 城主は彼女を見ようとしない]
――…嗚呼、目覚めたのか……ベネット?
[新たな聲。彼に対する白薔薇の語りかけに薄く笑みを零した]
(*11) 2010/06/25(Fri) 00時半頃
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―書庫―
[屍骸が完全に目の前から消える 城主は漸く顔を上げた。 ぞっとするほど整った相貌には、深い虚無を映して]
如何して? それは私の台詞だ。
下らぬ事を問うのは何故だ。 記憶を取り戻したなら、私が憎くは無いのか?
[肩を竦めて首を振る。 僅かに血のにおいが漂った]
(56) 2010/06/25(Fri) 01時頃
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……可笑しな事を言う。 ローズマリー
[溜息と共に囁きが落ちる]
縛り付けられる生活に未練があるのか 未だ私の傍を望むのは 此処ならば途切れぬ贄が届くからか?
ならば今まで通り宴を開くが良い お前を城主とし、この城を任せてやっても……
(*15) 2010/06/25(Fri) 01時頃
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―書庫―
……私が憎んでいたなら お前の居場所は、あの墓場となっていただろう
ローズマリー
[血の色をした瞳に、流れる亜麻色が映る。 太陽でも直視したかのように顔を歪めた]
お前を傍におくのは、心地好かったぞ。 私が選び、摘んで来た美しい薔薇のひとつ。
(65) 2010/06/25(Fri) 01時頃
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[咬みたくないと頑なに拒む新たな眷族の聲 其れを心地良いと感じる事で幾らかの余裕が生まれる]
失った記憶を取り戻してなお 私の傍に居たいとは酔狂な事だ。
其れが望みなら 傍らで咲き続けるが良い ――…白の薔薇と共に
[切なる聲に、城主は顔を歪めそう告げた]
(*18) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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―書庫>>69―
可笑しな事を言う。 確かあの時…… 人を喰らう事を頑なに跳ね除けていたのでは無かったか?
[先刻のベネットの様子に重なる。 望んで受け入れるものなど、ほんの一握り。 欲しいモノは無理矢理に奪うのが常。 与えられる事に不慣れな城主は 伸びてきた手を避けるように、ひとつ後ろへ下がった]
魔力を分けた相手だ 傍に居れば心地好いのは、当然のこと。
(72) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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[腑に落ちぬ顔をする]
あいしている……か
[戯れに人へ向けたときに、あの記者は何と言っていたか]
私は……何かを失ってまで得たいものか? そのような強い執着心を与える気でいるのか
私には 解せぬな。
(*22) 2010/06/25(Fri) 01時半頃
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―書庫―
ひとの記憶が戻っても……人を喰らうに躊躇はせぬと? それでは、お前の苦悩する顔が見れぬではないか。
[曇った表情を見遣り、一度首を振る]
……好きにするが良い。
[距離を埋められると僅かな溜息を漏らし 瞳を伏せた]
(83) 2010/06/25(Fri) 02時頃
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其れは私には存在せぬもの。
……私を喜ばせたいならば、ひとの絶望をもっと此処へ 私の笑みが欲しいなら、ひとの恐怖をもっと見せてくれ
私の幸せは 人々が苦しみもがく姿をこの瞳に映しながら 其の血を啜ること
[ひとと魔は相容れぬもの。 望む愛を手に入れたらしいのに 期待していた満足感が得られない。 胸に篭る靄が――目前を曇らせる]
(*24) 2010/06/25(Fri) 02時頃
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―書庫―
お前はあのものを喰らう事…… 躊躇っているように、見えたが?
[同じだと言う相手に冷やかに告げる。 離れてはいても、見えていたのだから ドナルドとの逢瀬も知っている]
そうだな、では お前はあれを咬んでくるが良い。 死にたいと言うあれを、生かし苦しめろ
[苦笑を浮かべた彼女が頬に触れるのを ただその場に立ち尽くし受け入れる]
(89) 2010/06/25(Fri) 02時頃
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[囁く白薔薇の聲が心地良い。 魔とは本来あのようであるものだ 同胞を唆す彼の聲に安堵を覚える]
……もう一度人に戻る事など、不可能だ。 知っているだろう。
[柳眉を寄せた相貌を間近に見ながら]
――ベネット さあ、そのものの首へ喰らいつくが良い 乾きは血をもってしか、抑えられぬ
[城主の聲を新たな眷族へ送る。 己の血が彼の内側でざわめき立てるように]
(*27) 2010/06/25(Fri) 02時頃
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[苛立ちの混じる叫び 心に暗い悦びが満ちる]
……止める必要は無いぞ、白薔薇 お前はなんと同胞思いなのだろうな。
[くすくすと笑みが毀れる。 恐ろしくも妖しい微笑み]
(*29) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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言い訳が聞きたいわけではないな。
[溜息。 揺らぐ翡翠を何も映さぬ血の色が舐るように捕らえる。 眷族たる者達の声ならぬ聲に 幾らか常の調子を取り戻し]
そう、ならば行くが良い。 私の望みを叶えることこそ、お前の悦びなのだろう?
[妖艶な笑みを浮かべ、頬に触れた手へ 己の冷たい手を重ねる]
上手く私を愉しませたら、褒美をやろう。 お前の望む言葉を。
(97) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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私は言ったぞ? 「早く此方へ戻って来い」と。 お前は 私よりもあの娘を選んだ。 事実は消えぬ。
[僅かな呟きを耳に受け 気だるげな溜息を零す]
汚名返上したければ、我が望みを叶えて来る事だな。
(*32) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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嗚呼、ならば後で私室へ来ると良い 直接にこの血を循環させてやろう。
下らぬ世迷い事など、全て消し去るほどに与えてやる。
[憂いを帯びた溜息を零す白薔薇へ 己の領域へ踏み入ることを許す。 未だ決心のつかぬ様子の眷族へは、後押しするように 薄く笑みを零した]
あまりに乾きに囚われ続けると 血だけを求め続ける…… 理性の飛んだ、人の言うただの化け物に変じるやもしれんぞ?
(*35) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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[触れていた手が離れていく。 温もりは互いに持たない]
嗚呼、気分は悪くない。 私がお前に望む事は、先ほど伝えた通りだ。 失敗は許さぬ。
[頭を垂れるローズマリーを一瞥し、踵を返すと]
褒美はきっとお前の気に入るものだろう。 ……検討を願っている。
[城主の姿は泡でなく霧になって、その場から消えた。 再び現れるは最上階の私室**]
(111) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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嗚呼
[在り難いと 震えた声音に、城主は柔かに囁く]
お前が望むままに、与えよう 人との境から飛び立てる魔の翼を。
……部屋で待っている**
(*38) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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―最上階・私室― [天蓋のベッドに寝そべり、独り城に満ちる絶望の味に酔い痴れる。 其の中でもがくもの 其の中でただ立ち尽くすもの 目的を見出したもの 目標を見失ったもの]
――…嗚呼、ひととはなんと 愚かなのだろうな?
お前も
[扉を潜り部屋へ踏み入った白薔薇を手招く]
充分に私を愉しませてくれた。 さあ、褒美をやろう。 煩わしいひとの記憶など全て捨て去ってしまえ。
(131) 2010/06/25(Fri) 09時頃
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[腰紐を解き、夜着を乱す。 肩にかかる銀糸を掻き払い、象牙色の肌を、首筋を露にした。 其処に触れるまだ若い牙を感じながら 己もまた目前の白い皮膚に唇を寄せる]
ひとときの夢は終わる。 次に目覚めた時、お前は愚かなひととの繋がりを全て断ち切り 生まれ変わるのだ。
[闇の褥にふたつの影。 妖しく淫らに蠢く其れを、仄暗い明かりが照らしていた**]
(132) 2010/06/25(Fri) 09時頃
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嗚呼、お前の 望むままに――…私の愛しい白き薔薇
[薄い微笑みを口元に湛え、薔薇の香を其の腕で包む]
堕ちた天使に与えてやろう 私と同じ 闇の翼を
[甘い囁きは、呪縛でもあり解放でもある。 やがて彼が意識を飛ばすと、城主は窓辺に向かい空を見上げた。 霧の立ち込めた其処からは、蒼天など見えるはずも無い**]
(*40) 2010/06/25(Fri) 09時頃
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愚かな情など捨てるが良い、同胞達よ ……お前たちは最早ひとではない 同じものを見る事など叶わぬ
[淡い微笑みを白の薔薇に見る。 意識が戻るまえ、耳の傍で戯れに囁くこえ**]
ひとの思う幸せとやらは 我等には訪れぬ。 我等は我等の歯車があろう。 間違えたと言うならば、其れは私に見初められた事と思え。
(*43) 2010/06/25(Fri) 18時半頃
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―私室―
……嗚呼
[重く暗く篭る闇が幽かに揺らぐ。 同胞の目覚めに視線を投げた。 肌蹴た夜着を着なおすでもなく、寝台の上 彼の髪へに冷たい指先を伸ばす]
そう、お前は私のもの。 愛しい私の――白き薔薇……
[甘い囁きはつい先刻まで、幾度も血を交えた彼女に与えていたもの。其れを同じ調子で、白薔薇へ向ける]
さあ――…人を喰らい、美しく咲き誇れ。 お前の其の姿が、私を悦ばせるだろう**
(144) 2010/06/25(Fri) 19時頃
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―最上階/私室― [戯れに髪へ指を絡め弄ぶ。 白い指先が触れ、ひくりと喉が震えた]
嗚呼――…良い子だ。
[同じ体温である事への安堵と、何か 胸の内に広がる甘く苦い感覚]
白い花弁を血に染めて ……私の元へ、帰ってくるのを……待っている。
[硝煙と、ネズミの臭い。 知っている。ひとが、己の眷族が何をしようとしているか、くらいは。 月は霧に紛れて朧気に気配を変えてゆく。 翼を広げる彼を見送り、ゆるりと寝台から下りた]
(156) 2010/06/25(Fri) 21時半頃
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―最上階・城主の部屋― [黒檀の窓辺につと身を寄せる]
さあ……人間達よ 絶望の宴から、何を得る?
あの狩人のように、逃げ去ってしまうのか かの従者のように、魔のものと共に生きる道を選ぶのか
其れとも――…
[血の色をした瞳が、すぅっと細まる。 濃く深く、立ち込めていた霧が僅かに薄くなっていた]
――終幕は、近いぞ。
(159) 2010/06/25(Fri) 21時半頃
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[遠く最上階にありながら、 届かぬはずの声を聞き、薄く囁きを零す]
優しくして欲しいのか?
――…此処に居れば、 本能に抗わずに生きてさえ居れば 私はお前を傍に置き、愛でよう。 立派な吸血鬼に育ててやろうぞ。
この闇の城で咲き誇るといい。 血縁を喰らった吸血鬼の、傍らで。
(*47) 2010/06/25(Fri) 22時半頃
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―最上階― [独り部屋に残る 遠く、鍵盤を弾く音がする。 窓の外には無数に並ぶ墓が見えた]
――…舞台は、動いている この度の寸劇は思いの他……予想外の出来事に見舞われたが
[終幕は迫っている。 其々の役割を担い、奔走している人々を 城主は直接己の手を下す事無く静観している]
(193) 2010/06/25(Fri) 22時半頃
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お前は私と血を分かつもの。 何処で何をしていようと……手に取るようにわかるぞ?
[其れはドナルドが扉を開くタイミングにあわせて]
――…さあ。 何も悩むことなど、無いだろう
お前は最早人にあらず。
本能のままに、貪り喰らうが良い。 ひとの情など、捨ててしまえ。
[其の後で、あの薔薇のように苦しいと泣き叫び縋り付いて来るならば、其の記憶まで喰らってやっても良い。 思えども未だ口にはせず、揺れる心情を見つめている]
(*49) 2010/06/25(Fri) 23時頃
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どうした…… お前まで私の命に背くのでは、あるまいな?
其れを我が眷族に。 お前が喰らわぬなら、私が――…
[ベネットへ 追い討ちをかける聲]
(*50) 2010/06/25(Fri) 23時頃
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お前がせぬのなら、私が直接手を下すまで。 彼の行く末はもう決まっている。
ならば、せめて お前の手で生かせて遣るが良いだろう。
そのために、お前に血を分け与えたのだからな?
(*52) 2010/06/25(Fri) 23時頃
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[>>203無我夢中で走る子供の姿。 其れがいつかの彼の姿に重なる]
……、10年ほどあとに もう一度、我が元へ来るが良い。
熟した其の頃に、もう一度な。
[くすくすと笑いながら ネズミが一匹走り回る様にそう呟いた*]
(209) 2010/06/25(Fri) 23時頃
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