25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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[白い肌、漆黒のひととき前の髪。 汗の香と枕元の香油が香る中、その引き締まった身へと縋って。 薄紅に濡れた唇は、求めに応じて柔らかく交わされる。]
お会いしとうございました。 …貴方のような優しい方が、初めてであればよかったのに。
[耳元へ返す睦言。いとおしげにその頭を胸に抱く。 ひとひら、ひとひら、綻ぶように、いたわるような指に開かれ、色づいていくからだ。 熱い衝動を深く重ねる時にすら、その所作はあまりに優しくて。
息もまだ乱れたままに、胸元に縋ってうっとりと余韻に浸る。 つかの間の一夜の夢のことだから、答えずただ淡い笑みを返すのみ。]
(332) 2010/08/03(Tue) 21時半頃
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[それでもやはり、己は罪深く浅ましい。 男の腕の中で眠る時にすら、夢に見るのは違う方のこと。
「このまま見つからず居られたら、ずっと一緒に居られるのに」 同じ顔に違う装束。 納屋に寄り添って身を潜めたのは、漆黒を切りそろえた二人の童。
己が彼に成れなかったか、彼が己に成れなかったか、 幼い二人には抗うことは許されず、二人は分かたれそれぞれのみちへ。 羨むことが無かったのは、彼の背の荷の方が重そうに思えたから。
堕ちて穢れてしまった己を、彼はどう思っているのだろうか…]
(338) 2010/08/03(Tue) 21時半頃
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[やがて夜半に目覚めれば、眠る法師を起こさぬように、 そっと身支度を整えて、夜の霞がごとく消え去る。
夢の名残に残すのは、胸元に歯を立て刻んだ紅色の花びらが如き痕ひとつのみ。]
(343) 2010/08/03(Tue) 22時頃
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[一人部屋へ戻りて、窓辺から見る月は僅かに足りぬ。 あの日二人で身を寄せ合って、こわごわ見上げた納屋の窓の月には。]
おやおや。 随分と大きな猫が屋根の上へ。
[本邸の屋根の上に見えた影を、思わず窓を開けて微笑ましく眺めた。]
よくあのようなところへ登れるものだ。
(348) 2010/08/03(Tue) 22時頃
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[窓から漏れ聞こえるは、本邸の宴からの笛の音か。 ゆるりと寝台に足を投げ出したまま、窓辺に持たれて耳を澄ます。]
誰を想うて、吹く笛か…
[夜風がふわりとカーテンを揺らす。]
(361) 2010/08/03(Tue) 22時半頃
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恋すれば、芸は色香と艶を増す…
[幾人かが競い奏でる笛の音は、それを纏っているや否や。 確実に分かるのは、あの時の雛鳥の声が、幼いながらに艷めいて聞こえたことなれど。]
されども、それに溺れては…焦がれた炎は身を焦がす…か。
(364) 2010/08/03(Tue) 22時半頃
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…ほぅ?
[今までの吹き手のものとは違う。 有り体に言えば「なってない」と言っても良い。
されど、その音は…誰のものよりもより強く、滲み出る何かを帯びている。
吹き手をこの目で確かめたいと思うも… さすがに今は夢のあと。母屋まで行くには身が怠い。]
(377) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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これもまた、おもしろき音色よ。
[返す言葉は気怠げに。]
宴席はまだ続いているようだけれど…今少しは身を休めたくてね。 [ひとときの淡い眠りだけでは消えぬ甘い余韻に、今は酔うばかり。]
(*32) 2010/08/03(Tue) 23時半頃
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あぁ、月が…満ちる、ね。
[くす、と微かに笑う音は、蕾が花咲く時を待つ。]
(*34) 2010/08/03(Tue) 23時半頃
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[つかの間の眠りを破ったのは、こいに溺れた水音か否かは…さて。
いつもとは違う刻限に眠りに落ちてしまったがゆえか、 それとも、あまりに月が明るいからか。 すっかり目が冴えてしまって、落ち着かぬ。 夜着の合わせのみを整える程度で、下駄の音と夜風を伴って漂うは霞。 未だ足元は少々危ういが、そのふらつく足の運びすら艷めいた所作に見えてしまうか。]
(483) 2010/08/04(Wed) 04時頃
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[やはり大人は穢いと、思われてしまうかも知れないけれど。 それでもいつしか歌に誘われて、姿を見れば手を差し出すか…**]
(485) 2010/08/04(Wed) 04時半頃
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…そなた、は………
[月の光りに照らされて、その子はあまりに儚く笑む。 絡めた指先。拙い口づけが白い指へと火を灯す。]
天翔ける 両の翼を 捨ててでも 鳥は望むか 月の囲いを
[夜着が濡れることも構わず胸へと引き寄せるのは、 枝から落ちて芽吹き、いままさに咲かんとする一輪の花。
今宵既に他のものに抱かれ、幻を紡いだ唇が、 潤んだ紅石榴の雫に触れ、そっと吸う。]
このままわたしの元へ来れば、お前は変わってしまうよ? 気ままに囀る雛鳥では、居られなくなる。
[濡れて冷えた体温は、このまま抱けば溶けて消えてしまいそうで。 されど、それでも奪いたい。このまま喰らってしまいたい。 そんな衝動は胸の奥を既に痛いほど焦がしている。]
(505) 2010/08/04(Wed) 11時頃
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わたしの腕は止まり木ではなく、お前を囚える籠になってしまうだろう。 それでも…
そなたの歌を、わたしは聞きたい。 枝の上でも、舞台でもなく
この、腕の中で。
(506) 2010/08/04(Wed) 11時頃
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[月の光に当てられて、思いは胸を焦がすのみ。]
あぁ…このまま穢れず美しいまま、永遠にわたしの中に納めてしまいたいのに、 この子が穢れに染まりきり、艶やかに色を変えるさまにも心惹かれてしまう。
[喰らってしまえば、永遠にそのままを留めて置けるけれど…]
(*37) 2010/08/04(Wed) 11時頃
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満ちては欠け、また満る、空に輝く月が如くに、 せいを喰らいて死出へ導き、新たなせいを蒔く我らなれど… [複雑な胸の内は、焦がれる痛み。]
花ひらくを、楽しみに待っているよ。
(*40) 2010/08/04(Wed) 11時半頃
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[湯船満たす清い湯と、まっさらな替えの着物が、 南端の角部屋に用意されたかは返答次第。
気怠げな 朝の眠りに 寝乱れて かいなに縋る 夢はうつつか
独り寝の夢か、ともに見たかも、返答次第。]
(516) 2010/08/04(Wed) 12時半頃
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…儚く壊れて消えてしまったかと……
[低く掠れた声で、すり寄る温もりに目を細める。
朝の光のなか、乱れた夜着もそのままで、 華奢な身体に刻んでしまった、幾つもの紅い花びらを辿る。
幾度も啼かせて囀り疲れただろう身体の、 塗り込められた香油の香りにいまだ淡い夢を…]
(525) 2010/08/04(Wed) 13時頃
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糧として、喰らうのならば…
[そっと腹を撫でるのは、一夜の夢を見せた法師のことか。]
食べ頃ならば、若い桜の猫が盛りか。 だが、ようやく開く花のお目見えならば、先ずはどなたかに、一夜の夢でも魅せてごらんよ。 いくら美しくとも、徒花は要らぬ。
(*51) 2010/08/04(Wed) 13時半頃
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腹が空いて堪らんならば、一番食いでが有るのは小山のような肉饅頭では無いかえ? [くく、と落とす揶揄。]
ああ、雛鳥は食後の水菓子に…
(*52) 2010/08/04(Wed) 14時頃
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流石に少し…戯れが過ぎたか……
[部屋を去る雛鳥を見送って、乱れたままの寝台に身を投げ出す。 情けなく重い腰をさすって、夢の続きをいましばし。]
(536) 2010/08/04(Wed) 14時頃
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[まどろべば、傍で囀る声も心地良く。 はべる姿もいじらしい。
気の利かぬ下男が朝餉を持てば、 冷たい果汁くらいは口にするか。]
お前は育ち盛りなのだから、ちゃんと食べなければね。
[そう勧めつつ、傍にいる様を微笑ましく眺めながら、 好きなところにいれば良いと申しつけて、 己は昼頃まではゆるりと過ごすつもり。]
(550) 2010/08/04(Wed) 16時半頃
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技巧だけは、かなりのものか。 [窓から漏れ聞こえるを耳にして。
ひと味足らぬは焦がれる思いか。 雛鳥の歌に加わった艶や、あの狂い咲きの笛の音のような。 何かするつもりなら、そっと窓から見守る所存。]
(*61) 2010/08/04(Wed) 16時半頃
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植えたいのなら、誘うて蒔いて構わぬのに。
その為の、祭りであろう?
(*62) 2010/08/04(Wed) 16時半頃
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どうせなら、花遊びに慣れぬお方を誘ってみては? 天満月の御子息とか。
(*77) 2010/08/04(Wed) 18時頃
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お前を抱いて…食いたくなってしまうのはまずかろう?
喰われるのもごめんこうむりたい。
(*79) 2010/08/04(Wed) 18時半頃
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[後先考えぬ無茶が祟ったか、まだ昨夜の疲れが抜けないが、 流石に雛鳥に腰をさすってもらうとか情けない事は出来なくて。
湯を浴び、衣に袖通し、帯を締めればシャンとする。]
そなたは、ちゃんと休めたか? [あまりに囀るその声が、己の熱を煽るものだから、 華奢なその身に障りは無いかと少々心配になったりもした。]
(656) 2010/08/04(Wed) 23時半頃
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[威勢が良い方が踊り食いが楽しいとか、そういえばそんな話はあったけれど、そんな事が噂になっているなどとは存ぜぬ。]
(*104) 2010/08/04(Wed) 23時半頃
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[部屋に軽い食事を運ばせると、ついでに伝えられる旧友からの言伝。]
なるほど、それも良い。 …何処か適当に、場所を整えてもらえるか?
[細かい手筈は先方に任せ、琵琶の手入れを丹念に。 雛鳥が付いてくるかは彼次第に任せるつもりではいるが。]
イアンとは、わたしがまだ花だった頃に共に技芸を極める友でね。 わたしの音で彼が舞うことが、恐らく一番多かったはず…。
(669) 2010/08/05(Thu) 00時頃
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…愛い奴め。 [殊勝な言葉と恥じらう様子に目を細める。 そのような仕草を見せられると、このまま二人きりこうして引きこもっていたいくらいだが、流石に周りの手前そうもいかぬか。]
(693) 2010/08/05(Thu) 01時頃
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良い心がけだ。 見聞を広める事は、芸の肥やしにもなるだろう。 [旧友との芸での語らいに同席したいとの願いを聞きいれる。 舞台の手筈が整う頃に、琵琶の包みを持たせて供をさせる気だ。]
(698) 2010/08/05(Thu) 01時頃
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