17 吸血鬼の城
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――…執着じゃない。 これは想いよ。
貴方に喜んで欲しい。 貴方に笑っていて欲しい。 貴方に、しあわせになって欲しい。
[純血の魔性である城主に それを望み伝えるのは難しい事かもしれない。 それでも伝えようとするのは深い想いゆえに]
(*23) 2010/06/25(Fri) 02時頃
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其れは私には存在せぬもの。
……私を喜ばせたいならば、ひとの絶望をもっと此処へ 私の笑みが欲しいなら、ひとの恐怖をもっと見せてくれ
私の幸せは 人々が苦しみもがく姿をこの瞳に映しながら 其の血を啜ること
[ひとと魔は相容れぬもの。 望む愛を手に入れたらしいのに 期待していた満足感が得られない。 胸に篭る靄が――目前を曇らせる]
(*24) 2010/06/25(Fri) 02時頃
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――あの2人でなければ、 誰がよろしいのでしょう。
ほら、耳を済ませてごらんなさい。 ちかくに他の人間の気配はありませんか?
……もっとも、あなたのすぐ目の前に 甘い甘い血の芳香を漂わせている方がいるのでしょう?
とても、とてもいい匂い……
[渇きを誘うように、囁いて囁いて]
(*25) 2010/06/25(Fri) 02時頃
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>>*24
――…嗚呼。 分かっていたけれど…… 貴方はまた難しい事をいうのね。
……私が人の侭であれば 貴方を喜ばせられることが出来たのかしら。
[悔いても時間は戻らない。 悔いてしまうのは記憶を取り戻してしまったせいか。 思い悩むように柳眉が寄せられた]
(*26) 2010/06/25(Fri) 02時頃
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[囁く白薔薇の聲が心地良い。 魔とは本来あのようであるものだ 同胞を唆す彼の聲に安堵を覚える]
……もう一度人に戻る事など、不可能だ。 知っているだろう。
[柳眉を寄せた相貌を間近に見ながら]
――ベネット さあ、そのものの首へ喰らいつくが良い 乾きは血をもってしか、抑えられぬ
[城主の聲を新たな眷族へ送る。 己の血が彼の内側でざわめき立てるように]
(*27) 2010/06/25(Fri) 02時頃
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やめろっ……!
[渇いた、喉が渇いたと。本能が騒ぎ立てる。聞こえてくる白薔薇の声に、収まらぬ渇きに苛々する]
(*28) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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[苛立ちの混じる叫び 心に暗い悦びが満ちる]
……止める必要は無いぞ、白薔薇 お前はなんと同胞思いなのだろうな。
[くすくすと笑みが毀れる。 恐ろしくも妖しい微笑み]
(*29) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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――…嗚呼、忘れていれば良かったの? 思い出さずにいれば良かった?
困らせてしまうだけならば…… 記憶なんていらなかったのに……
[独り言ちてきつく唇を結んだ]
(*30) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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[その声音は甘く、優しく]
ああ、もう限界なのでしょう? なんて苦しそうな声……おかわいそうに。
我慢など、 なさらなくてもよろしいのですよ? 加減さえ、間違えねば良いのです。
あまり渇きが酷くなってしまってからでは……
嗚呼、本当に
加減を間違えてしまうかも しれませんよ?
(*31) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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私は言ったぞ? 「早く此方へ戻って来い」と。 お前は 私よりもあの娘を選んだ。 事実は消えぬ。
[僅かな呟きを耳に受け 気だるげな溜息を零す]
汚名返上したければ、我が望みを叶えて来る事だな。
(*32) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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お褒めいただき嬉う存じます。 ……旦那様、私はもっと己の魔を深くしたいのです。
深く、深く。
忘れてしまえるように。
[それが唯一つの絶望を忘れる縁。 白薔薇は憂いのため息をひとつ]
(*33) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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[自分に血を分け与えた吸血鬼の言葉に、血がざわつく。咬み付きたい、飲み干したい、今すぐにと。 続けて聞こえる白薔薇の言葉に冷や汗が流れる。体が震える。我を忘れて噛み付いてしまえば加減もできない。そうなって、本当に命を奪ってしまったら]
……間違えなければ……
[頭の中でぐるぐるとその言葉ばかりが回り続ける]
(*34) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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嗚呼、ならば後で私室へ来ると良い 直接にこの血を循環させてやろう。
下らぬ世迷い事など、全て消し去るほどに与えてやる。
[憂いを帯びた溜息を零す白薔薇へ 己の領域へ踏み入ることを許す。 未だ決心のつかぬ様子の眷族へは、後押しするように 薄く笑みを零した]
あまりに乾きに囚われ続けると 血だけを求め続ける…… 理性の飛んだ、人の言うただの化け物に変じるやもしれんぞ?
(*35) 2010/06/25(Fri) 02時半頃
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――……ッ
[城主の指摘に息を飲む。 確かにあの時、彼女を選んだ。 言い訳など出来るはずもなく。
ふ、と過るのは諦めにも似た色]
(*36) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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[眷属が呟く声には微笑う気配]
――……旦那様、
[その許可の言葉に、白薔薇の声音は震えて、 今しがた、女の呟きに乱れた心が、ただ闇の救いを求める]
とても……とても、 ありがたく、存じます――…
(*37) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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嗚呼
[在り難いと 震えた声音に、城主は柔かに囁く]
お前が望むままに、与えよう 人との境から飛び立てる魔の翼を。
……部屋で待っている**
(*38) 2010/06/25(Fri) 03時頃
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[蝕む絶望は深く]
翼を、
――私にお与え下さい、旦那様。
[こんなにも求めたことなどなかった。 それは、救いを求める祈りにも似て非なる。 白薔薇には宵闇の他、縋るべきものはない。]
(*39) 2010/06/25(Fri) 04時半頃
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嗚呼、お前の 望むままに――…私の愛しい白き薔薇
[薄い微笑みを口元に湛え、薔薇の香を其の腕で包む]
堕ちた天使に与えてやろう 私と同じ 闇の翼を
[甘い囁きは、呪縛でもあり解放でもある。 やがて彼が意識を飛ばすと、城主は窓辺に向かい空を見上げた。 霧の立ち込めた其処からは、蒼天など見えるはずも無い**]
(*40) 2010/06/25(Fri) 09時頃
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[呪いのような甘き囁き、 幾度も聞いた彼女への言葉が、今は己に向けられる]
――……、旦那様……
[昂揚に思考を霞ませたまま、白薔薇は不思議そうに首を傾いだ。 未だそこに残る枷のしゃらりと鳴る]
………同じ、翼を
[白薔薇は天上が色を映したその双眸を滲ませて、 嬉しげに微笑み、まどろみの中へと耽溺すれば――己が目覚めの時を待つ]
(*41) 2010/06/25(Fri) 14時頃
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[御伽噺の正しい道筋。 そんな終焉は訪れない。 白薔薇の囁きを思い出し眉を寄せる]
私達は間違ってしまった。
何処から運命の歯車が 狂ってしまっていたのかしら。
[小さな呟きは深い闇に溶けた**]
(*42) 2010/06/25(Fri) 14時頃
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愚かな情など捨てるが良い、同胞達よ ……お前たちは最早ひとではない 同じものを見る事など叶わぬ
[淡い微笑みを白の薔薇に見る。 意識が戻るまえ、耳の傍で戯れに囁くこえ**]
ひとの思う幸せとやらは 我等には訪れぬ。 我等は我等の歯車があろう。 間違えたと言うならば、其れは私に見初められた事と思え。
(*43) 2010/06/25(Fri) 18時半頃
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[白薔薇は恐らく初めて人を憎んだ。
信仰と祈りを礎となし、善美を求めたその心の博愛、 それは生ける者に区別なく平等に齎されるべきもの。
無為なる日々の中、罪を犯しながら己のあり方を捨てられぬ。 自死に至らなかったのは、己の本質に染み付いた嫌悪より。 既に信仰も祈りも失くしたのだから、形だけ戒律に沿うても意味などないとわかっているのに――そう、どこかで捨てきれぬ何かがあった。それが己の血ゆえかどうかは、知らない。
罪深き優しさ。案ずることも優しく接することも、それはそのように造られているのだから当たり前のことなのだ。本質を失った紅茶のように、優しいだけの欺瞞。
けれど、白薔薇は初めて人を憎んだ。]
(*44) 2010/06/25(Fri) 18時半頃
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[そして憎しみという糧は白薔薇を生かした。 対象が失われれば行き場のない感情だけが残った。
―――ただ、それだけのこと]
(*45) 2010/06/25(Fri) 18時半頃
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[漂うは虚無感。 女はただ静かに聲に耳を傾けるのみ――]
(*46) 2010/06/25(Fri) 20時半頃
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[遠く最上階にありながら、 届かぬはずの声を聞き、薄く囁きを零す]
優しくして欲しいのか?
――…此処に居れば、 本能に抗わずに生きてさえ居れば 私はお前を傍に置き、愛でよう。 立派な吸血鬼に育ててやろうぞ。
この闇の城で咲き誇るといい。 血縁を喰らった吸血鬼の、傍らで。
(*47) 2010/06/25(Fri) 22時半頃
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……やっぱり筒抜けなんですか。
[むっとした声で囁き返す]
……。
[もう人間に戻れないことは分かっている。それでも、自分はどうするべきなのか――未だに答えを出せず]
(*48) 2010/06/25(Fri) 22時半頃
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お前は私と血を分かつもの。 何処で何をしていようと……手に取るようにわかるぞ?
[其れはドナルドが扉を開くタイミングにあわせて]
――…さあ。 何も悩むことなど、無いだろう
お前は最早人にあらず。
本能のままに、貪り喰らうが良い。 ひとの情など、捨ててしまえ。
[其の後で、あの薔薇のように苦しいと泣き叫び縋り付いて来るならば、其の記憶まで喰らってやっても良い。 思えども未だ口にはせず、揺れる心情を見つめている]
(*49) 2010/06/25(Fri) 23時頃
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どうした…… お前まで私の命に背くのでは、あるまいな?
其れを我が眷族に。 お前が喰らわぬなら、私が――…
[ベネットへ 追い討ちをかける聲]
(*50) 2010/06/25(Fri) 23時頃
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ドナルドを、眷族に……?
[声に怯えと、恐怖の入り混じる。友人を、自分の手で吸血鬼にしろというのか。怒りがこみ上げてくる]
……嫌だ。誰が貴方なんかの言うことを聞くもんか。
(*51) 2010/06/25(Fri) 23時頃
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お前がせぬのなら、私が直接手を下すまで。 彼の行く末はもう決まっている。
ならば、せめて お前の手で生かせて遣るが良いだろう。
そのために、お前に血を分け与えたのだからな?
(*52) 2010/06/25(Fri) 23時頃
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