112 燐火硝子に人狼の影.
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[どれだけ紅茶を飲んでも、渇きは癒えず。 砂糖の甘さでも誤魔化しは効かない。
“紅茶よりも、血を。” “砂糖菓子よりも、肉を。”
飢えとも言えるその衝動は、徐々に体を巡っていく――]
(*0) 2013/02/04(Mon) 00時半頃
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――…ク。
[押し殺したようなわらいごえ。 それは人として紡ぐ声よりも低い響き。 人狼といわれるものの意識は見極めるものへと向く]
容疑者の前で『見極める』者を紹介するなんて 自警団も酷なことをするものだ。
邪魔な力を持つ者を見過ごすほど甘くはない。
(*1) 2013/02/04(Mon) 00時半頃
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[俯き、垂れた髪の下。 口元は歪んだ笑みを形作っていただろう。]
……ああ、本当に、嘘みたい。 これでは食べてくださいと言っているようなもの。
[「居る」と分かっているのなら。 こんなところに護衛もなしに一人で残しておくなんて。]
(*2) 2013/02/04(Mon) 00時半頃
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………あァ。 喰え、って言ってるようなモンじゃ、ねェ、か。 喰えって。殺してくれ、って。死なせろ、って。
[>>*1>>*2聞こえてくる声に返す同意は、酷く震えたあかいこえ。]
ダメ、だろ。 生き延びろよ、オレみたいに。 こんな、ろくでなしの、オレ、みたい、に。……はは。
[「生き延びた」結果として、こうして こえ が聞こえるようになり。 そして、同じこえ紡ぐ力に、囚われるようになった。]
(*3) 2013/02/04(Mon) 01時頃
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[同胞の聲は聞こえれど俯く彼女の表情>>*2までは読み取れぬ。 翡翠は足を庇う女の方へと向けられたまま]
用意された馳走に手を付けぬままは失礼だろう。 遠慮無く、頂くことにすれば良い。
[同意するように囁かれる聲は愉しむような音色]
(*4) 2013/02/04(Mon) 01時半頃
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[同意を示すもう一つの聲>>*3には クツクツとわらうような響きが漏れた]
当人の意向というよりは自警団の意向なのだろうが 喰わぬ手はあるまい。 相容れぬ相手は喰らうに限る。
[いずれ邪魔になるだろう存在を思い伏せた眼。 邪魔と思う事が無ければ匂いの違う存在を喰う心算はない]
(*5) 2013/02/04(Mon) 01時半頃
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自警団の意向、かァ……。
ひっでェな。ひっでェよな……。 マジ、ろくでもねェわ。ろくでもねェ。
[>>*5響くわらいごえに返す、震えたこえ。 それは言葉通り、自警団に対する憤りのような。 それでいて、あかいこえの主に対する畏怖のようでもある。]
でもそのお蔭で、人狼サマの障害は真っ先に潰せて、 美味いニンゲンも喰らえて、一石二鳥、なんだよな。 なァ、人狼サマ。
(*6) 2013/02/04(Mon) 01時半頃
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あァ、オレも、人狼サマの為に、役に立たなきゃ、な……。
[ひとりごちるようにこえを零しながら、男は調理場へと向かう。 去る前、此方を見詰めて声を掛けてきたその人>>24が。 あぁ、この彼が、「ケイトちゃん」が人狼なのだ、と思いながら。]
アイツ(自警団)ら、……人狼サマの力なら、「空腹」じゃなけりゃ多分、ぶち殺せる。 あァ、十数年前のあの時も、そうだった、っけなァ――。**
(*7) 2013/02/04(Mon) 02時頃
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うら若き乙女を生贄にするとは自警団も酷いな。
[自警団がアイリスが危険に晒されると気づかぬとは思わない。 アイリスを食餌と見なす男は己の酷さなど気づかずに 震えるこえ>>*6に再び同意する]
同じ聲を操る者にそう呼ばれるのは妙な感じだ。 私の名は、ルーカス。 ――…いや、リヒトと名乗るべきか。
[人としての名と獣としての名。 二つを紡ぎ薄い笑みを浮かべる]
(*8) 2013/02/04(Mon) 02時頃
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[これまで幾度となく食餌を得てきた。 天涯孤独で面倒のない相手を好んで襲う。
過去に一度だけ、標的とした者を逃した事があった。 薄い皮膚に牙を突き立てその血を舌で舐めとりはしたのだ。
――けれど、獲物の啼き声を聞くうちに それが聞こえなくなってしまうのは惜しいと思った。
月光をうつしたかのような金の毛並みを持つ獣が 己より少しだけ歳上だろう少年を残し姿を消したのは 今となっては記憶も朧な、遠い遠い、昔のこと――]
(*9) 2013/02/04(Mon) 02時半頃
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狩りをするなら力の満ちる夜だが―― 空腹であるならそちらに譲ろうか?
[同胞である彼女へと向ける聲は それほど獲物に執着していない風]
何なら食べやすいよう私が捌いても構わないよ。
[甘やかすような言葉には悪戯な色が滲む**]
(*10) 2013/02/04(Mon) 02時半頃
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ああ、この声が聞こえるんですね…
[聞こえてきた声>>*1>>*3に笑みが漏れる。 同胞の声を聞くのは久しぶりだった。 先程言葉をかわしていたシーシャが 同胞に近い存在であった事には多少驚いたが。]
シーシャさんと…リヒトさんですね。 私はケイト。 ここでは、ミドルと名乗りましょうか。
[リヒトに倣ってもうひとつの名を明かし、 くすりと楽しげな笑いを音に乗せた。]
(*11) 2013/02/04(Mon) 08時頃
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[なるべく身寄りのない者を。 奪う時はなるべく苦しまないように。 努めて余計な食事はしないようにしていたが、 ここ最近はなかなか食事の対象が見つけられずに、 空腹を持て余しぎみだった。]
譲っていただけるのなら、今回は。
…いいんです?
[空腹が強く、力は随分と弱まっている。 邪魔な力を持っているとはいえ、 抵抗されて苦しめるような事になるのは本意でもなく。 リヒト>>*10の言葉に甘えようかと伺った。]
(*12) 2013/02/04(Mon) 08時半頃
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聞こえているよ。
[気配を感じぬわけではなかったが 仕事柄遠出することも多々あり この町を拠点としながらも縄張りとする意識は些か低い。 これまでミドル>>*11と交流がなくとも不思議ではなかったが]
これほど近くに同胞が居たとは思わなかった。
[ぽつとそう漏らし]
ミドル、この一件が片付くまで 共同戦線といこうじゃないか。
[仲間として協力する心算がある事を同胞に伝えた]
(*13) 2013/02/04(Mon) 16時半頃
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[確認するようなミドルの囁き>>*12には]
無論。
[短い応えを向ける]
――…ならば頃合をみて聲を掛けよう。
[狩りに関しては請け負う心算であるが 何らかの申し出があれば予定変更の余地はある]
(*14) 2013/02/04(Mon) 16時半頃
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この声を誰かとかわすのは久しぶりです。 母が死んで以来かも。
[同じく人狼だった母親が事故ーー人間に殺されてから、 返る声は久しく途絶えていた。 父親は血がつながっておらず、普通の人間であったから。]
本当に。 驚きました。
[狭くはない街だーー 同胞を積極的に探さなければ、出会う事は稀だったろう。]
(*15) 2013/02/04(Mon) 19時頃
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ええ、もちろん。 よろしくお願いしますね、リヒトさん。
[共同戦線の話があがれば>>*13、 断る理由などなく、了承を返す。 この状況で同胞の存在は頼もしい。]
…はい、時期を見て。 それまでは静かにしている事にしますね。
[リヒトの声に>>*14、狩の合図を待つ事を伝え、]
何かお手伝いする事があれば、どうぞ遠慮なく。
(*16) 2013/02/04(Mon) 19時頃
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母君と同じなのだね。
[ミドルの言>>*15に一つ返す。 己の血縁について語ろうとはしない]
何かあればお願いしよう。
[狩りについて>>*16は軽く言葉を添えた]
(*17) 2013/02/04(Mon) 22時頃
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[酷い、と思う心は人狼に対してよりも自警団への方が濃く。 その時の彼>>*8のこえには、頷くような軽いこえを零していた。 それから聞いた、ふたつの名前。言葉を紡いだのは、幾らか間を置いてから。]
ルーカス――いや、リヒト。
[ワッフルを買ってくれた女性客のこととはまた別に。 もう一つ、ルーカス――リヒトには思い当たる節があった。 まるで光そのものであるかのように輝く金色の髪。 その色を見て、薄らと思い出される遠い昔のこと。]
(*18) 2013/02/04(Mon) 22時半頃
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なァ、リヒト。
「サリス」ってガキ。14、5歳くらいの。 ……覚えてねェ、か?
[それはシーシャ・ウェイという男の本来の名。 それを知る人間など、もうこの世に何人残っていることだろう。]
(*19) 2013/02/04(Mon) 22時半頃
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――回想――
[その夜は散々だった。 まだ自分の店も持って居ない頃、下働きしていたカフェでミスをして解雇された。 帰りを待つ友も、家族さえも持たない少年は、ただ行く宛も無く、人気のまるで無い通りを彷徨っていた。
そんな中で、出会ってしまった――襲われた。 まるで月明かりのような、うつくしい金色を持った獣に。]
(*20) 2013/02/04(Mon) 22時半頃
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[ただの人間、それも貧相な少年に、人狼の爪や牙から逃れることなど叶わない。 もがいて抵抗しても殆ど意味を為さず、ただ、惨めな啼き声と涙を零すばかり。]
厭だ、死にたくない、助けて、死にたく、ないッ……!
たすけ、て……ころさない、で…… オレ、なんでもする、から、 サリスは、なんでも、する、からァ …――――っあ、
[牙で破られ、舐め取る舌の唾に濡れた傷口。 其処がかっと熱くなり、どくりと心臓が強く鳴り。 あかい音色のようなものが、どっと意識に入り込んで――。
気がついた時には、もう誰の、何の姿も無く。 少年はただ一人、傷跡と共に路地裏に残されていた。]
――回想ここまで――
(*21) 2013/02/04(Mon) 22時半頃
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[シーシャとして、ケイトとして、互いの名は既に知っている。 そしてここで新たに聞くこととなった、ミドルの名>>*11。]
ケイトちゃ……じゃなかった、ミドルも。 こっちでは、サリス、ってことに。
[彼女にまで此方の名で呼んでもらおうとしているのは、 心までも、人狼なるものに囚われていることの表れ。 そんなサリスの耳にも、リヒトとミドルの「共同戦線」の話は聞こえてくる。 仲違いが起こらないのならば、今この男が寄せる意思は一つ。]
………オレ、なんでも、する、から。
[両方の人狼に対する、こえ。]
(*22) 2013/02/04(Mon) 23時頃
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[気が滅入るというよりこの状況を面倒だと思っていた。 そんな素振り、表では微塵も見せはしない]
(*23) 2013/02/04(Mon) 23時頃
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[シーシャの声>>*19から、 二人はかつて顔を合わせた事があると推測できたが。 どちらかから語られる事がなければ、 こちらから詮索するつもりはなかった。
改めて告げられた名>>*22を聞く。]
サリスさん。わかりました。 協力ありがとうございます。
サリスさんの思うように動いていただいて、 あたしは構いませんよ。
(*24) 2013/02/04(Mon) 23時頃
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……んと。判った、ミドル。
[「思うように」>>*24、そのこえに頷くように小さく呟く。 とはいえ、今のところ何の策を持っている訳でも無く――。 目の前のシチューのことを。メアリーを、フランシスカを、その様子を確かめつつ。思考は漠然と流れていく。]
(*25) 2013/02/05(Tue) 00時頃
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[怖がる少年から憤る青年へと視線を移し。 硝子の奥の目は観察するように動く。 今はただ周りへと八つ当たるだけで済んではいるが、 激化したらどうなるかは分からない。
――人間は、時に人狼よりも恐ろしいものに変容するから。]
(*26) 2013/02/05(Tue) 00時頃
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