194 花籠遊里
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半の目 丁助は、メモを貼った。
2014/09/18(Thu) 20時頃
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亀吉、さん。
[僕は、銀花の名前を呟きます。 あの頃は>>*39 「とても佳いお名前ですね。」と、微笑みました。 目出度いお名前だと教える事になるのは それから数日後の事になりましょう。
今の刻、僕は緩やかにその瞼を閉じていました。 微笑む事は難しく、悲しむ事も難しい。 心に蓋をしてしまっているからか>>133 僕の表情は、どこかで迷子にでもなっているかのようでした。]
(*42) 2014/09/18(Thu) 20時半頃
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宜しいのですか? 甘いものは……おうじが好んでいるようなので、喜びますよ。
[蝶に別の花の名を教えていたという事は仲が良いのだろうと推測し。>>107 次の、蝶の笑いながらの言葉には、一度目を見開き、笑みを作って頷いた。]
畏まりました。 お相手、勤めさせていただきます。
……ふふ。 申し訳ありません、このようなお返事を望んだかのような問いに成りましたね。
[彼の指に乱され、しかしさらりと流れる金色。 癖の付かない糸はまるで。
飛ぶ鳥跡を濁さず、そんな諺を思い浮かばせる。]
(134) 2014/09/18(Thu) 20時半頃
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[二人暖かな手を繋ぎ、花主様の元へと。
蝶と花主様の会話には、口を挟もうとせず。 大人しく、頭を下げ。 床ばかり見つめる花は、花主様とは視線を合わせまいとするようにも、蝶の目には映ったかもしれない。
夜を直前に、蝶へと向き直り。
身を整えてまいります、と。
次に会う場所を牢に決め。 一旦、自室へと戻ったことだろう。]
(135) 2014/09/18(Thu) 20時半頃
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[『花』である僕は『外』を知らず。 『花』でしかない僕は『花』以外にはなれません。
『ふつうのしあわせ』を知っていれば>>*21 『人』になる事が出来たのでしょうか。
何も知らずに育った僕は 毎夜、毎宵、『蝶』に望まれる事こそが『しあわせ』なのです。 それ以外を求めてはならないのだと、謂い聞かされて育ちました。
男と謂う性に生まれたにも関わらず 殿方を満足させるためだけの、命です。
それが僕の、『花』である理由なのでございます。]
(*43) 2014/09/18(Thu) 21時頃
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[――また、笑われた。 髪と着物の色が相反する花は、二度。其の口元へと笑みを咲かせた。 何を以って笑むのかなんて、首を傾げてはみるけれど。軈ては立て直して――然しされとて、面と向かって腰を下ろされた事>>127に、しぱりしぱりと瞬き二つ。呆け顔晒し。]
な、にって…、髪…
[逆に何をするのかと、はたとその唇に視線を止まらせ邪な…否、この籠では当然の事を思いはするけれど。 タオルを持った掌を気まずそうに二三揺らすと「…そんなに見ると、キスするよ」なんて。
無論――言葉を最後まで紡ぐこと無く、花は前を向いて>>129しまったけれど。]
(136) 2014/09/18(Thu) 21時頃
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…キミ、そういう面もあるんだね。
[振り向き様に魅せられた笑みは、何とも言えず。 幼稚だと鼻で嗤う者も居るだろうか――然しその奥、笑みの裏。 妖艶に色香を流すその姿が視えたなら。笑う飛ばすことなど出来やしない。 してやられた、とばかりに咽を鳴らし、それでも蝶の誇りを保つ様に減らず口を叩く。 …―其の言葉が花に届いたかは、定かでは無い。
向けられた花頭にタオルを被せたなら、その上からゆうるり撫でる様に水気を吸い込ませ。 花が独りでに唄う詞が鼓膜を柔らかに触れるのを感じ得ながら、その言葉をパズルの様に組み合わせる。
無言。 ただ花が紡ぐ唄声が、嬌声やら響いてるだろう、地下牢の雰囲気を拒絶し。 まるでここだけ隔離されたかの様な錯覚さえ覚える。 花と蝶。 鉢と籠。 囚われる場所さえ違うけれど、囚われた刹那に始まる取り巻く夢想。醒めることを望まれない幻夢。
こくりと。また一つ咽喉が俄かに大きく鳴ったのは。 ――互いを人とする唄>>132が耳を擦り抜けた為か。]
(137) 2014/09/18(Thu) 21時頃
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[それならばどうして、あんな独り言を語散てしまったのでしょう?
『外』の世界知る方なれば きっとその世界へ戻れるのではないかと。 そして『外』の世界の方が 幾分幸せなものではないかと僕は思っているのでしょうか。
判りません。 知りません。
自覚(わ)かりたくなどありません。
僕はそっと瞼を閉じます。 『花』としてあるために。]
(*44) 2014/09/18(Thu) 21時頃
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……考えたこと、無かったな。
[そうだ。此処に来た時から、自分は籠に囚われる人を――花としか思わなかったのだから。 人の仮初め花と蝶。咲く苗床さえ陽の当たる場所であったならば、彼の銀月と――どうして出逢っていただろうか。]
…外は、そうだね。 ――イイ所ではあるけれど、ワルイ所でもあるから。 外に咲くなら、蝶をちゃんと引き留める蔦を持たなきゃ。
[ぼんやり頭を埋める夢想。花の言葉もまた幻夢なのだと心の隅で知りながら。されとて夢は追い続け。射干玉が目蓋に隠されてしまったことなど、その後ろからでは知ることも無く。 花が花として芽吹いた所以を尋ねたくはあったけれど、其の言の葉を紡ぐには躊躇いが残ると、髪を拭う指先にちいさく力を込めながら。
牢の中、ぼんやりとした薄暗さの中、寂寥さえ交えた笑みを蝶は浮かべて。籠に来る前外の景色。ただ綺麗な「恋愛」物語だけでは無いと、譬喩を飾りながら宙に吐いた。]
籠の外、行って見たいと思うことはあるの。
[どうせ今宵の此れもまた夢の続き。 微温湯に浸かる様な微睡みの中、蝶は花に夢を綴る。]
(138) 2014/09/18(Thu) 21時頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2014/09/18(Thu) 21時頃
半の目 丁助は、メモを貼った。
2014/09/18(Thu) 21時頃
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[そっか櫻子は甘い物が好きなのか。>>134 甘味は落ち着く味だと言っていたのでそれもそうだろう。何をもってきてあげようか。
続いた丁助の笑みを浮かべながらの言葉には、その発想はなかったとばかりに目を丸くした。]
僕のこと望んだの?
[そういえば客をとれなかった花はどうなるものなのだろうか。 花が純粋な好意で僕を求めてくれるならそれほど嬉しいこともないが、実際には必要があって花は蝶を誘うのであろう。
櫻子も?そうだとは思いたくないが…]
(139) 2014/09/18(Thu) 21時頃
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[地下へ降りる前に寄り道をした。 花主へ目通り願い、今宵の注文は一輪。
淡藤の銀月。
暮銀色を垂らす髪間から、視線が合えば、呼気ひとつ。 通いは浅いが、今宵も今宵とて、趣味悪さが見え隠れ。 しかし、花主に悪戯を咎められた事は無い。
花は咲くだけ、買われるだけ。 差し伸べた指先は掬う為でなく、夢ごと摘む為。]
(140) 2014/09/18(Thu) 21時半頃
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……気を悪くなさいましたか?
[肯定も否定も言わず、笑みではぐらかす。 問いの答えは、好きに解釈して構わないと。>>139
若しも彼が一つの疑問を口にする事に成るならば、己は恐らくこう答える。 "花は花、蝶に選ばれなければ揺れる事もありませんよ"、と。]
(141) 2014/09/18(Thu) 21時半頃
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― 地下牢 ―
[男が腰を預けるのは入り口に程近い牢獄。 牀榻に浅く掛けて、東の空に上った月が己に下るのを待つ。
揺らめくように現れた銀月の顔色は優れない。 夜半と言う事実を除いても、胸に拡がる靄を晴らせぬ為か。 彼に逆らう術などありはしないと知りながら、 緩慢に片手を持ち上げ、彼を誘う。>>115>>126]
(142) 2014/09/18(Thu) 21時半頃
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[彼に情人の真似事をさせるよう、痩躯に腕を回し、 すぅと細める人の悪い笑みと双眸。 撓んだ視界に、映る今宵の隣人達。>>125
彼らに見せつける悪趣味は銀月への抱擁と変わる。 殊更芝居がかって大切そうに抱きしめた月。 耳朶にかかるほど傍で囁くは、偽りばかりの甘い色。]
――…昨日はさぞかし、大事にされたんだろう? お前さんも単純よな、ほら見やれ。
あの男は、別の花を購った。
[心に流し込む毒は、今日も花を傷付けていく。]
(143) 2014/09/18(Thu) 21時半頃
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[吐息で彼の蟀谷を擽れば、一度鼻先寄せて香を確かめ。 誰の香りも落ちてしまった月に充足の呼気をひとつ。 含み笑いを噛む一時は実に性質悪く体温を共有。]
……それでも、お前さんは夢を見るかい。 覚めない胡蝶の夢とは世知辛いねぇ。
―――…亀吉よ。 蝶の遊びだ、付き合いな。
月下蝶の名を囀るを許そう。
[許可の体裁取るが、其れは強制であった。 知らぬと偽らせぬ、強い瞳が、彼を蝕んでいく。]
(144) 2014/09/18(Thu) 21時半頃
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……ぁ。
[銀の蝶からの口吸い>>128を享受して。顔を離せば互いの口と口との間に銀の橋がかかったろうか。 花房を垂らし、笑もうとすれば――一番、聞きたくなかった名をその銀の蝶が叫ぶ
もしかして、と振り向けば立ち去ろうとしている朧がいて。其の背を見れば何故か胸が痛んだ
指導しておけと此方の腕を掴んで彼の元へ送り届けようとする蝶 買う気が失せる、それはそうだろう。割れた鏡など誰も欲しがりはしない 脳裏に花主からの伝言が鳴り響く
――鏡が割れたならば、他の花を傷つける前に捨てねばならぬ、と
ならば今の自分はその腕掴む蝶も眼前の朧月をも傷つけ膿ませるのだろうか おやめ下さい、と小さく云うもどうやら対面するまでは離してくれそうになく
面と向かい合わせになったのを確認すれば、銀の蝶はひらりとその場を去ったろうか]
(145) 2014/09/18(Thu) 21時半頃
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ー地下牢ー
[丁助と別れ、昨晩も降りた地下牢へと。 ちらりと黒蝶と櫻の花の姿を認めると、その牢からは離れた房を選び適当な場所に腰掛ける。
今日は昨日よりは幾分か月光が弱く、その分蝋燭の怪しい揺らめく灯りが明るく感じられる。
丁助が来るまでの間、手持ち無沙汰に部屋に備えられている花と蝶が夢を見るための道具の数々を手に取って眺め回してみる。
一見しただけで使い方のなんとなく分かるものや、説明してもらわないとさっぱり分からなさそうものまで多様だ……
露骨な性の形に少し気分の悪くなった僕はそっと道具を元に戻しておいた。
そうしていたところで白に身を包んだ赤い花が夜の帳に降り立っただろうか。]
彼岸花…
[決して可憐とは言えないのに、 その妖しい佇まいが美しい花を連想した。]
(146) 2014/09/18(Thu) 21時半頃
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[悪戯は思惑通りに成功いたしておりました>>136 呆けたお顔がこちらに向いて、瞬き繰り返されるのを 思い出しては、笑みを堪えて小さく肩が揺れるのです。 接吻けなどはいたしませんでした。 この判りやすい御方も、僕へ唇を重ねる事は無かったのでございます。
僕の微笑みに返る言葉は減らず口のようでもありました>>137 それでも僕を傷つける刃ではなく やられたと鳴る喉の音は、耳に心地よいものでありました。
独り、『花』が唄を紡ぐ頃合には 優しい手は、髪を愛しんでいてくださいます。 湿り気は髪からタオルへと移り 唄は『花』から何処まで移るのでしょう。
他の音を、他の存在を緩やかに拒むように。 穏やかな声が響いておりました。]
(147) 2014/09/18(Thu) 21時半頃
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おかしな御方ですね。
[それは多分に意味を含みます。
『人』で居られるあなたさまなのに。 櫻には蔦など在りはしないのに。 どちらも口には致しません。 僕はただ、眸を閉じた暗闇の中、どのような色も浮かべぬままに 『蝶』の応え唄を聴いておりました。
お互い、表情など見えません。
寂しさ募る悲しき笑みを浮かべる『蝶』も 眸を閉じて蓋をした迷子のような『花』も 聴こえるのは、牢屋に不釣合いな唄と唄。
『蝶』の綴る『夢』に 押し黙っているかのようだった唇は、再び動き出したのでございます。]
(148) 2014/09/18(Thu) 21時半頃
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―地下牢へと―
[昨晩と同じく、昨晩より以前の支度と同じく、白を纏うは慣れたもの。 箪笥に染み付く花の香りは、濃紅色の蕾の花のもの。
地下へと降り立てば、恐らく先に来ているだろう金色の蝶を探す。 先客の居る牢にはできる限り視線を向けぬようにして。]
お待たせ致しました。
[乾きたての赤い髪を揺らし、彼の元へと。
彼岸花。 呟きを耳に捕らえると、普段の笑みを更に深くした。]
宜しくお願いいたします。 ……ベルサン。
(149) 2014/09/18(Thu) 22時頃
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─────いいえ。
[それはまるで、拒絶するような声でした。 叫ぶというほどではありませんでしたが、確かに強く。 そして確かに、振り払うような調べでありました。]
他の『花』ならば判りません。 ですが僕は、この籠から出ればきっと。
…───枯れ朽ちてしまいますから。
[僕は微笑んで囁きました。 軋む音は、どこぞの牢の木格子でしょう。]
(150) 2014/09/18(Thu) 22時頃
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[抱擁見せ付けるような人の悪い笑みが向けられても>>143 大切そうに、銀月を抱きしめていても。 僕が返したのは、今のような微笑みでした。
蝋燭揺らめく薄暗き地下に 太陽のように輝く金が舞い降りたときも>>146 僕が向けたのは、微笑みでした。
僕は望まれるままにしか咲けぬ『花』。
櫻へととまる『蝶』を 癒し、慰め、満たすことこそが僕の『しあわせ』。
望まれなければ成り立たず。 望まれて初めて花咲くのです。
『外』の世界になど。]
(151) 2014/09/18(Thu) 22時頃
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[根を張る『櫻』を、どなたさまが愛してくれると謂うのですか。]
(152) 2014/09/18(Thu) 22時頃
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[面と向かい合わせになった双方>>145を確認しただろうか。ふい、と視線を逸らした先には何もなく、これからどうするか思案する。
とりあえず花の戯れの間に蝶は不要。くるりと踵を返せば最後にひとつ。]
藤之助、気が向いたら地下に来い。 お色直しに時間掛かって遅刻してもいいからよ。
[選択の余地だけ与えて、蝶は主の元へと。 そしてこれは最後だと、廊下の板を踏みしめる。]
(153) 2014/09/18(Thu) 22時頃
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‘Tis better to have loved and lost than never to have loved at all.
(一度も愛したことがないより、 愛して喪った方がどれほどしあわせか。)
(*45) 2014/09/18(Thu) 22時頃
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[呪詛に軋んだのは、僕の心だったのでございます。]
(*46) 2014/09/18(Thu) 22時頃
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よろしくね。
[丁助の笑み>>149にこちらも笑みを返すが、少し硬かったかもしれない。些か緊張しているようだ。 昨晩はそんなことはなかったと思う。櫻子が相手であったからだろう。]
丁助さんは…身長は6フィートくらい? 僕より少し低いくらいだよね。
[白を纏った花の背格好を上から下まで眺め回して。 それでも櫻子よりかはよほど大きい。 丁助を手招きして自分の隣に座るように示すと、僕は話し始めた。]
少し恥ずかしいけれどね。 僕がこの館に来た理由というのを話すと、 女になる気持ちを識りたいからなんだ。
組み伏せられて、悦びを教えられる側の立場を。
[眉を下げて、少しも妖艶なところのない素朴な微笑みを隣の丁助に見せる。 昨日櫻子に見せたような妖しい笑みではなく、少年時代の面影を色濃く想起させるような幼い笑みを。]
(154) 2014/09/18(Thu) 22時半頃
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教えてくれる?
(155) 2014/09/18(Thu) 22時半頃
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[面と向かい合わせ、とはいえど彼が此方を向いたかどうかは分からない
背を向けたままだったかもしれないし、対面していても視線は合わせてくれなかったやもしれぬ さらりと焦げ茶の髪が夜風に揺れる 今宵も蝶は舞うのだろうか。色鮮やかな花の上に だとすれば今宵この月を割れた鏡で蝶から覆い隠してしまったのかもしれない
明日には逢えなくなる月 友と呼んでもらえる資格ももう無くなる 下町の娼館に払い下げられる]
――朧
[小さく、友の名を呼ぶ その声はきっと不安と、哀愁に満ちていたろうか 下町の娼館はここほど甘くない 金を返せなければ薬漬けにしても、日に何度客をとらせてもいいとばかりに無体を強いるらしいと噂に聞いた ならば最後に彼に覚えていてもらえるなら綺麗な笑顔のままの自分で居たい 忘れてもらえるなら、酷く醜い藤のままで居たい]
(*47) 2014/09/18(Thu) 22時半頃
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[だから、今から云うのは凄く身勝手な願いであるとわかっていた 栞の花言葉に込めた願いが本当のものであると、悟ってほしくなかった]
私の事は、忘れて下さい
[忘れないで。ずっと友として傍にいたかった]
――――月と藤とでは、住む世界が違ったんです。
[貴方の年期が明けるのを、共に祝いたかった]
貴方もそう、思うでしょう?
[お願いそう思うなんて云わないで]
(*48) 2014/09/18(Thu) 22時半頃
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……ごきげんよう、蝶様。 指導、と言われましても。 藤之助が何か失礼を?
[自分を呼び止めた声に恭しく礼を一つ。 藤之助に限ってそれは無いと頭の隅で考えながらも声かけを。 歩みを進めるよりも早く、蝶が己のもとへと藤の花を運んだか。 蝶に視線を、それから藤之助へと。 遠回しに理由を聞いてみたが、返事は貰えたかどうか。 残された言葉に更に困惑の色を強めると>>153、手にもっていたものを懐へと仕舞い花と向き合うことにしたのだった。]
(156) 2014/09/18(Thu) 22時半頃
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