162 絶望と後悔と懺悔と
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[誰かの幸せを願うには、奪ったものが重すぎる。]
……本当に、誰のお願いも聞くのが嫌だって思ったら。
帰っておいで。
[せめて自分は、叶う限りを許そう。]
(*20) 2014/02/17(Mon) 22時頃
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[リカルダの脇差が、マドカの足を斬る。 寸前で避けたせいか傷は浅く動きを封じる程の傷ではなかったが、まどかの動きを鈍らせるには充分だった。]
(66) 2014/02/17(Mon) 22時頃
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― 補給基地 ―
[リーの遺体はそののち、夜の戦場に犯されていくのだろう。 兵士にも吸血鬼にも踏み荒らされ、きっと、そののちに向かっても、もう、何も名残はない。
忘れろと、記憶からも消えようとした。
彼の生き様、思い返すほどに、その笑顔は悲しい。 なぜ、あの頃にもっと彼の心を知ろうとしなかったのか。
友達といいながら、本当に甘えていてばかりだった]
――……すまんがっだな。 おまーも、周も、 本当はもっどもっど、生きているべきだっだ…。
[噛み締める唇、白玉環で切れた頬の拭う。 その形相は、もちろん、それまでで一番厳しいものとなっていく]
(67) 2014/02/17(Mon) 22時頃
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―補給基地・倉庫地帯― [仕掛けられていた罠に使い捨てられた鬼と、 父の命令に縛られかつての同胞を屠る獣と、 戦場の被害はどちらも甚大であったけれど――]
……、
[ここは被害の少ない場所だ。 そしてかすかに感じる同属の気配]
(68) 2014/02/17(Mon) 22時頃
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[吸血鬼側にリーが死んだという情報は伝わっているだろうか。 リーの言い分をきいていると、途中でホリーのことを知ってたように、彼らは、遠くにいても、何かしら通じる方法があるように思えた。
ホリーに関しては、誰が討ったのだろう。 浮かぶのは、絢矢と安吾だが、ジャニスかもしれない。 ともかく、どこに向かおうかと迷ってから、
周が、始祖に眷属にされた場所近くへ]
――……周……。 もう、いねえが?
[リーは死んでしまった。 周は少なくとも死んではいない。
ともすれば、まだ話せるかもしれないなんて、思ったが]
(69) 2014/02/17(Mon) 22時頃
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――……周…。
[だが、その姿は見つけられない。 もし、眷属になったとしても、周なら、などと、思うのは、 やはりそれでもこの5年。周の強さを信じてきたからだ。
それが、もう、なくなった柱とわかっていても。 彼もやはり、友人だったから]
――……周…… いっづも、タコタコいっででわるがっだよ。 いーから、一緒に帰ろ……。
[そんな言葉を残しながら、 やはりあきらめ悪く見回してたが、 最終的には、吸血鬼の群れにぶつかれば、また応戦しながら去っていく]
(70) 2014/02/17(Mon) 22時頃
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― in the distant past ―
[黒衣の少女を招いた茶会に、 城主は終始機嫌良く笑みを絶やさずにいた。 城の内装はその時の時流に合わせて気儘に変える。 時に家畜に任せた事もあった。 文学や絵画、音楽、彫刻等の面では家畜にも価値を見出せると 感じさせたものだ]
何もかも変わらぬ世界に、色彩も失なったと。 交流のあった者が眠ったがな。
[殺されないか、自ら死を選ばない限り生き続ける。 己の生そのものにも興味を失せた吸血鬼が眠りに付いたと 聞いたのはつい先日]
退屈だからこそ、先に何があるか知りたいではないか?
[永遠に変わらぬと思われぬ先を見ようとする目は、 ホリーの背後を抜けた闇に向けられていた]
(*21) 2014/02/17(Mon) 22時頃
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[理衣の最期の言葉、確かに届いていた。 彼がもう、そうなるだろうことは、わかっていた。 ただその事実を受け止めて、けれど]
――……、
[あの言葉は、後悔、だったのだろうか。 自分は彼が願うことを、止めはしなかった。 ――それは胸の中の小さな棘だ]
(71) 2014/02/17(Mon) 22時半頃
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[その場を立ち去ったあと、 背を丸めて、どうしても、悲しさと寂しさが襲ってくるのをなんとか追い払おうとして、 それでも、考えてしまうのは、マユミのことで。
首を振るけれど、どうしようもならない。]
ともがぐ……状況は……。
[そう思って弄った通信機、安吾かジャニスに指示を仰ごうとしたが、それは、もう、駄目になっていた。 おそらく、さっきの戦闘で、血濡れすぎたのか。
通信機を捨てると、自身の勘で動きはじめる。]
(72) 2014/02/17(Mon) 22時半頃
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― 退路 ― [絢矢を抱えた明之進の前を走る。 人気を避けて敵も味方もいない道を選び、崩れていない倉庫へと入る>>48。 埃臭い。元は何の倉庫だったのだろうか。
横たえられた絢矢の傍に座る。 穏やかな寝顔>>44は、何年ぶりに見るだろう。 尤も、男女で部屋が分かれている為、5年間に寝顔を見ることはなかったが。
ただ、いつも浮かべている表情よりも穏やかなそれに。 泣きそうな、安心したような、そんな笑みを浮かべた。]
(73) 2014/02/17(Mon) 22時半頃
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[告げられる涼平の死。 それを彼の口から聞くのは二度目。 だが、先程とは違い、その理由>>51を黙ったまま聞いた。]
俺は、恨まないよ。 恨むなら、お前じゃなくてあの時襲ってきた奴らだ。
[今、過去に戻れるのなら絶対に手を離さない。]
お前らが戻ってこれないなら。 ……死ぬか。一緒に。
[鬼となった者が、人に戻れないのなら。 人と鬼とが共にいられないのなら。]
(74) 2014/02/17(Mon) 22時半頃
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[ともかく、ホリー亡きあと、 自分の仕事は他吸血鬼の殲滅。 もちろん、始祖も標的ではあるが、 そこに一人挑もうなどとはとても思わない。 実際、安吾とジャニスが戦闘中であるのには気づいておらず。
絢矢やキャロライナ、マドカがいれば合流を考えるが、 同時に、やはり探そうと思った。
マユミを]
(75) 2014/02/17(Mon) 22時半頃
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[お前を殺して俺も死ぬ。 そんなことをする心算はない。 やはり自分は家族を殺せない。
明之進が自ら死を選ぶというのなら共に死を選ぶのも構わない。 それくらいの覚悟はある。 それくらいの覚悟しかない。
ただ。 もし、家族を殺すことがあるのだとしたら。 その時自分の心も死ぬのだろう。 彼と共に。]
(76) 2014/02/17(Mon) 22時半頃
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忘れられたら良いかもしれないけどさ。 そんなことできやしないんだ。
[絢矢の額に手を伸ばす様子>>52に、目を伏せる。]
止められるなら、止めたかった。
絢矢は、笑わなくなったんだ。 泣かなくなったんだ。
[自分はそれを捨てられなかった。 捨ててまで、強くなろうとしていた彼女を止めることはできなかった。]
(77) 2014/02/17(Mon) 22時半頃
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サミュエルは、マユミの姿を探しはじめる。*
2014/02/17(Mon) 22時半頃
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[そして彼の代わりのように、増えた眷属]
……周、
[名を呼ぶ響きは、それ以上の言葉もなく]
ごめんなさい。
[零瑠を留めたあの時に、本当は彼を逃がしたかったのだ]
(*22) 2014/02/17(Mon) 22時半頃
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[裏切りを働いたとて、 人を殺すに躊躇いなき鬼であることは相違ない。 邪魔なものは切り捨てていくから、行く後は血の道の出来た。 これで殺されるのであれば、数の内にも入らぬだろう、と]
明乃進……、
[気配を探し、呼ぶ声は――、 己を探すものにもまた届くかもしれない>>75]
(78) 2014/02/17(Mon) 22時半頃
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― in the distant past ―
[初対面の少女がまさか同意を示すとは思わなかった。 しかも媚びたものではない、単純に興味だけの声色]
お前も随分面白い。 部下達は私に気に入られようと躍起でいるのが見え見えだが。 お前も退屈だから、更に退屈そうな私を暇潰しに 見に来たのだろう?
その度胸も気に入った。 飽きる迄、城に留まると良い。
[黒衣の少女は仕えると言ったが、部下として迎え入れた わけでは無かった。 飽きたと言って出て行くなら止める事の無い、 永い永い客人として迎えたのが始まりだった]
(*23) 2014/02/17(Mon) 22時半頃
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サミュエルは、>>78 それは幻聴かもしれないけれど、聞こえた方向に静かに向かう。
2014/02/17(Mon) 22時半頃
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……それはやめてよ。 そんな事をするために、生き残ったんじゃない。
[共に死ぬかと言われれば、苦笑して否定する。>>74 自分だって、5年、忘れられなかった。]
……それが理由?
――あんな目に遭ったのに、その上こんな場所まで来て。 本当に……
[名を呼ぶ声は、吸血鬼の耳には微かに届く。>>78 不意に、入口に顔を向けた。]
(79) 2014/02/17(Mon) 22時半頃
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ホリー、東の端にある『日本』と言う国があるのを知っているか?
[ホリーが客人から、城にいるのが当たり前になってから どれだけ経った頃か。 全くの未開の地。 他の鬼達はあまりに離れた地へと食指はなかなか向かぬ様で]
全く我等を知らぬ国は、どんな歓迎をしてくれるだろうな?
[まだ他の力ある鬼が手を出していない地。 始祖と呼ばれる最上位の鬼が眠りに就いたと言う報せもあった]
(*24) 2014/02/17(Mon) 23時頃
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ふん。 愉しみを探す事を止めた枯れ木は朽ち果てると良い。
その国を最初に落すのは私だ。
[そうして渡った異国は、退屈を暫し忘れさせた。 戦い方を知らぬのに挑み、消えて行く命。 始祖を追い掛けて、この国の戦士に鬼と戦う術を教えた 戦士達との激闘。 そして文化と全て物珍しく高揚させた]
(*25) 2014/02/17(Mon) 23時頃
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[軍服の上着を脱ぎ、絢矢の身体にかけた。]
……それ、円にも言われた。 もし俺が円を殺すようなことがあったら、その後死ぬって言ったら、嫌だってさ。 なんだよ、そんなに俺とあの世に行きたくないのか。
[微か笑みを浮かべて、冗談のように返す>>79。 それを望まないのなら、そんな選択をしないで欲しいと。]
どんなことをしても、取り戻したかった。
[入り口を見る明之進につられ、其方へ顔を向ける。]
(80) 2014/02/17(Mon) 23時頃
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ホリー、まだ死ぬ理由を私は持たぬな。
[左腕を落した戦いの中、命のやり取りに昂揚し嗤いながら ホリーに告げた言葉をまだ覚えている]
(*26) 2014/02/17(Mon) 23時頃
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―補給基地・空き倉庫― [>>79 足音無くその入り口から顔を覗かせた。 彼のほかにも人の気配がある、 中に足を踏み入れて良いのか、すこし思案した]
明乃進、
……明くん、みなと一緒なの?
[少しだけ中に足を踏み入れた、 そこには近づくことは出来ないとでもいうように。 >>80 もうひとつ、聞こえた声はキャロライナのものだ。 彼はまだその意思のかわらぬのだろう、その声]
(81) 2014/02/17(Mon) 23時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2014/02/17(Mon) 23時頃
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ふっ。
[冗談に、つい笑ってしまう。 その裏側で、ちゃんと解っている。 まともなあの世になんて、行ける訳じゃない事]
……誰か、呼んでる。
(82) 2014/02/17(Mon) 23時頃
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― 補給基地・空き倉庫近く ―
[風の流れに済ませた空気が、 微か、懐かしい名前を呼ぶ声を拾う。 素早く反応してそちらに向かえば、
あの、姿が見えて、心が一度ずきり、痛む]
(――明之進もいるだが?)
[だが、声は出さず、その気配を静かに追って…。 吸血鬼の感覚ならば、こちらにすぐに気づくかもしれないが]
(83) 2014/02/17(Mon) 23時頃
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サミュエルは、ひとつの空き倉庫にマユミが入っていこうとしてるのを発見し、身を一度隠す。>>81
2014/02/17(Mon) 23時頃
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[明之進の言う、誰か>>82が誰なのか。 それを問う前に聞こえた声>>81。 見覚えのある人影。]
真弓……?
[入り口付近に立つ様子に、丁度逆光で表情が見え難い。]
(84) 2014/02/17(Mon) 23時頃
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――っ!
[“斬った”って手応え。そんなに深くない。>>66 でも機動力を削ぐの、ちょっとはできたよね。
僕は左腕を振り上げる。 そのまま円に向かって振り下ろせばいいものを、]
いい、のかな。―――……。
[僕の手は一瞬、固まったみたいに動かなくなる。 僕の中に浮かんだ思いは声になってくれないけど、身体はまだ正直な方みたいだ。
迷う。
それでも振り下ろした左の刃は円の急所をとらえることはない]
(85) 2014/02/17(Mon) 23時半頃
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……っ、?
[呼ぶ声は真弓のもの――だった、筈だ。>>81 一瞬、感覚が狂う。
そして、思い巡らせるのは、彼女の主の存在、 己の主の討たれた事、傍らの家族。 一度、キャロライナを見遣って意思を問う。
つと立ち上がると入口まで近付いた。姿を紛う事はない]
…………。真弓、ちゃん?
[だが、その気配に、問いたげな声が漏れるのは致し方ない。]
(86) 2014/02/17(Mon) 23時半頃
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[己を追う気配には、 僅かな動揺を感じながら、 けれどそのままに置いた。
>>84 キャロライナにも気づかれたようで、 更にもう少しだけ近づいて、明乃進の姿を見やる。 抜き身だった刃は、既に収めていた]
お姉様を殺したの。 ――……すこし、自由に、なれた?
[怪訝な声音、その意味もわからぬままに、 ただそうであってほしいことを、問う]
(87) 2014/02/17(Mon) 23時半頃
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いいの、かな。明にーさん。
円を連れてかないで、帰って来ても。
[迷う。 どの道が円にとって幸せなのか。
だってこんな、吸血鬼とニンゲンの戦いに乗り込まないで、平和に暮らすのが、 僕の考える幸せの中では最良の形だから]
(*27) 2014/02/17(Mon) 23時半頃
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