103 善と悪の果実
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――遠い未来の想像:あたたかなてのひら――
おかあさーーーん!!
[少年は走っていた。 秋に染まる草原の中を。 黒い眸に、浅黒い肌、秋色の髪を風に揺らして。
土に汚れてよれよれになったシャツ。 きっと、こんなに汚してっておかあさんに怒られる。 でもそんな時、守ってくれる大きな手がある事を少年は知っていた。]
おとうさーーーん!!
[走る。 飛びつくようにジャンプすれば、きっと抱きとめてくれる温もりがあるだろう。 擦り寄って顔を上げれば、頭に添えられる手。 それはどこか懐かしい。]
(58) anbito 2012/10/01(Mon) 03時半頃
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[少年の右足には輝く銀のプレート。 そこに刻まれた文字は―――――………**]
(59) anbito 2012/10/01(Mon) 03時半頃
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―扉をくぐる前―
……………。
[怯えた姿はどこにあるだろうか。 鈍い銀の運命に結ばれた相手を、烏は探す。 見えずとも、声は届くだろう。 大人びた音が唇を動かした。]
ジョセフ殿。 “僕”はいつでも、貴方を見ていますよ。
[僕という暗闇は憎悪、悪夢、嫉妬、色々な姿となって。 怯える彼をただ只管に見守っているだろう。
…――例え怯えからとしても、闇を退ける力があったのなら。
いや、これは僕が口にしたって無意味なものだ。 だから笑って見せた。 嘲うのでなく、年相応の、それで。]
(60) anbito 2012/10/01(Mon) 04時半頃
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いずれまた逢いましょう、愛しい人。 銀の運命は断ち切れなど…しないのですから。
[子供らしさの無い言葉を別れの挨拶にして。 綺麗な歌声の重なる中、僕は楽園を飛び去った**]
(*18) anbito 2012/10/01(Mon) 04時半頃
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
anbito 2012/10/01(Mon) 04時半頃
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―――――――…うふふ。
[突き放されて、華奢な体はあっさりと床へ沈んでいく。 二度と浮上できないことを、知りながら。 けれど浮かべるのは穏やかな微笑み]
(61) nanami 2012/10/01(Mon) 08時頃
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嗚呼、喉が痛い。 焼けてしまいそうだ。
(*19) nanami 2012/10/01(Mon) 08時頃
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どさり。
[床へ学者が倒れ伏す]
(62) nanami 2012/10/01(Mon) 08時頃
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ぐしゃり。
[其れと同時に、夕闇の指先が届かぬままであった赤い果実は、 床へ勢いよく落ちて哀れに潰れた。
"それ"は、禁断の果実などではなく。 ―――――…真実、"ただの"血塗れた林檎]
(63) nanami 2012/10/01(Mon) 08時頃
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ふふふ…。 っはは、 は 。
信じましたか?
林檎なんて、――――…嗚呼、 この中の何処かにはあるでしょうけれど。
[散乱する無数の林檎。 夕闇の光を受けて、朱色に輝くそれらは、眩しいばかりで]
もう、間に合いません。
(64) nanami 2012/10/01(Mon) 08時頃
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あなたもぼくも、もう、どこへもいけない。
[手にしてすぐに、それが唯の林檎だと気づいていた。 そして、改めて手を伸ばす力が 己に残されていないことも、知っていた]
(65) nanami 2012/10/01(Mon) 08時頃
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だったら きさまも みちづれだ
(*20) nanami 2012/10/01(Mon) 08時頃
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["禁断の果実"は大広間の片隅、 暗がりへと転がり、ぽつねんと佇んでいる。
果たして夕闇伯は、其処にたどり着けるだろうか。
嗚呼、いずれにせよ、もはや学者には]
(66) nanami 2012/10/01(Mon) 08時頃
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ぼく、 は だ
[惨めに血を吐き出しながら、やがて、動かなくなった**]
(67) nanami 2012/10/01(Mon) 08時頃
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――っ、ぐ、……
[口元を押さえ、よ数歩後ろによろめいた。
速効性の毒物は 体を侵食し呼吸を奪う。]
……ッ、屑めが……!!
[毒の量が僅かに少なかったのか 直ぐに倒れるということはないが、 それはただの遅延でしかない。
血を吐き、動かなくなったモノを憎悪の表情で睨みつけながら、ひとつ咳き込む。掌が血で汚れた。]
(68) azuma 2012/10/01(Mon) 12時頃
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ぐっ……、ぅ なる、ものか―――斯様な、ところで……!!
[落ちた果実は偽の林檎。 真なる知恵の実は何処にあるのか。 焦点定まらなくなっていく濃紫の眼が 果実を睨み、黄金を探す。 手で机の上をなぎ払い、艶やかな果実を黄昏色の光の下へとぶちまける。落ちる林檎、滑稽に転がる。]
っ、何処だ、……
[近づく死の足音か、 誰のものとも知れぬさざめきが耳に届く。 呻き、囁き、冷たい歌。 怨霊の声が、大きくなっていく]
(69) azuma 2012/10/01(Mon) 12時頃
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嗚呼、……喧しいぞ……ッ ……っ、ぅ く、……
[死に身を浸したものの呼びかけは生ける者には猛毒だ。 内より外より蝕まれ、机の端に手を付き、ついに夕闇伯の体はずるずると床に崩れ落ちた。艶やかな黒髪が広がる。]
…――ッ、――づ、
[ぼやけていく視界、 見えない、何も見えなくなる。 あざ笑うような金色の光の残滓がちらつくばかり。
床に爪を立て、 そのまま―――]
(70) azuma 2012/10/01(Mon) 12時頃
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[――後に残るは静寂。
偶然にも倒れ臥したその場所で、 黄金の林檎まであと僅かな距離。
夕闇は、太陽に触れることは叶わずに**]
(71) azuma 2012/10/01(Mon) 12時頃
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ヘクターは、ヴェスパタインのせなかばっしばっし。しごといく!
ふらぅ 2012/10/01(Mon) 13時半頃
ヴェスパタインは、ばしばしされてむせた。 いってらっしゃい!
azuma 2012/10/01(Mon) 13時半頃
ヴェスパタインは、ファブリーズを用意した
azuma 2012/10/01(Mon) 19時頃
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――終演――
[カーテンコールは無い。アンコールも無い。 ただ静かな幕引きを 伸ばされた二人の手が届かないのを、認めて。 耳を塞ぎながら呪詛を繰り返していた男は、口を噤んだ。
ふわりと
重さのない身体が、黄金の傍に寄り。衝動に駆られ手を伸ばす。 冷たさも、温かさも、硬さも、柔らかさも、色すらも。 ―――…失せてゆく。褪せてゆく。]
ああ、あああ………
[震える口唇から、永遠に失われた呼吸が漏れた。 何処で間違えたのだろう。何処から間違えたのだろう。 白黒に褪せる視界の中で。 生前から、手袋を嵌めていた左手に。冷えた感触が、とつり。]
(72) mo_om 2012/10/01(Mon) 21時頃
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[左薬指には、銀の指環。]
(73) mo_om 2012/10/01(Mon) 21時半頃
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「嬉しい。」
[安月給三ヵ月分で、意を決して買った銀の指環。 三ヵ月分纏めたってお世辞にも高いとは言い難かったけれど 妻は、暗い空にそれを掲げて笑ったんだ。
―――あの頃は良かった。 それだけで、良かった。]
……… くそったれ。
[キン、と床を弾く金属音。 薄れゆく男の、左手から解けるようにして、指環が落ちる。 銀は車輪のように滑り ころころ、ころころと、壁に触れて。―――*静かに*]
(74) mo_om 2012/10/01(Mon) 21時半頃
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/*
……大好きだよ? 可愛い、可愛い、ポーチュラカ。
[ちゅう]
(*21) nanami 2012/10/01(Mon) 21時半頃
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/* にゃ、にゃあああ!!!(*ノノ)
私のほうが ずっと、ずーっと 兄様のこと好きですわ!! (ぎゅう)
(*22) 茄子 2012/10/01(Mon) 21時半頃
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ヘクターは、盛大に噴いた。あの村、な……。
ふらぅ 2012/10/01(Mon) 21時半頃
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/* こうして、ぼくの赤ボッチ率が果てしなく上がっていくんだ。 [すねた**]
ジョセフどのは、やはりすてきだなぁ、ほくほく。 まだ一店舗めだからまじめにお仕事にもどるよ!
(*23) anbito 2012/10/01(Mon) 22時頃
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― 銃声が重なる前 ―
「わるくない」
「なにもわるくない」
[その言葉を、信じたい言葉だけを信じて少女は無防備に背を向けた。
悪いのは自分じゃない。 この手が赤いのも 先が――未来が見えないのも 邪魔をする誰かのせいだと、見たくないものから目を逸らした]
(75) 茄子 2012/10/01(Mon) 22時頃
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[背中に感じた衝撃が何か、理解できないまま 少女の意識は急速に流れ 屋敷に満ちた悪意と怨嗟、悲痛の叫びの中へと溶け込んでいく]
に さま 守る って
[言ってくれた。 だからきっと、このまま、意識を失ったとて
一人じゃない。一人になるわけがない]
(76) 茄子 2012/10/01(Mon) 22時頃
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/* ふふ、素直な子は好きですよ。
[ポーチュラカ様、なでなでなで]
…烏様には、ジェフ様がいるではありませんか! 赤には引き込むことが、できませんでしたけれども!
もう少し、お話しする時間が取れればなぁ、と。 烏様に対しては、本当にもだもだなのです。
(*24) nanami 2012/10/01(Mon) 22時頃
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守る って…
[伸ばした手は、赤い手は黒蝶の翅へと伸ばされ 羽ばたこうとするそれを、逃しはしない、と握り締めた]
(*25) 茄子 2012/10/01(Mon) 22時半頃
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[全部いらないなんて、嘘。 傍にいてほしいものしかいらないけれど ひとりになるのは嫌だった。
ひとりぼっちが一番怖くて 恐れる自分は見ないようにしていた。
それを子供らしさだと、認めてくれる人がいれば 少女にも、あるいは未来があったかもしれない]
(77) 茄子 2012/10/01(Mon) 22時半頃
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―むかし―
[薄暗い路地に蹲り、棒のような足を抱えている。 淀んだ瞳は、じっと人の波を観察していた。 今日の獲物は誰にするか。
金持ちからスリをして命をつなぐ日々。 ばれて瀕死まで殴られることなんてざらだった。 それでも神様は意地悪で、 まだ死ぬことができずにいるから、 今日もこうして息をひそめて隙を窺っている。
ふと、声が背中にかかる。 煤だらけの顔が振り向いた。 さらり。ストロベリー・ブロンドが揺れる]
(78) nanami 2012/10/01(Mon) 23時頃
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[この掃き溜めの中で、 声をかけてもらうなんて初めてだった。 私を私として誰かが見てくれるのは、初めてだった。
きっと彼にとっては、詐欺の駒にできるとか、 その程度の思い付きだったのかもしれない。
そう、こんな曖昧な世界で、信じてなんていなかったよ。
――――――――…それでも]
(79) nanami 2012/10/01(Mon) 23時頃
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