229 流水花争奪鳥競争村
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エフは、言葉を吐き出すと、すこし。思い出すように目を眇めた。
2015/07/04(Sat) 00時頃
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──回想──
[思い出される風景は、開けた道と高い空と、 連れ立つ複数の人間たちの声。]
おい! フランク! 待てって!
[ひとかたまりになって進む集団の先頭、 年頃十三ほどの少年が草を踏んでかけていく。 後ろから声をかけると、そっくり同じ顔をした相手は走りながら振り返り、「偵察!」と高々親指を上げて返した。]
あーー。もう
[またアイツにおいていかれて、俺は後ろに続く父たちに頭を下げてから後を追った。]
(35) 2015/07/04(Sat) 00時頃
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[だいたい、生まれたときからしてそうだった。 一歩先に母親の中から外に向かった俺の"弟"は いつでも、一歩俺の先をいく。]
わかってるって、
[はやくーー!と朗らかに急かす声に、 風と水しぶきがきもちいいー!と誘う台詞が続く。 足が地面を蹴るまでの速度がもどかしく思いながら 俺はいつもどおりに駆け出そうとして]
ぅわっ?!
[赤毛が真横を飛び出していくのによろけ、 その日俺は、"二番手"をはじめて他の人間に譲った。]
(36) 2015/07/04(Sat) 00時頃
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それが、アマルテアと初めて会った日の出来事だった。
(37) 2015/07/04(Sat) 00時頃
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[俺の父親は、政府の中で治水を受け持つ水質管理局の人間で、大昔から今まで続く"浄化の巫女"を擁する神殿との付き合いも深い人だった。
ただ、役目を負っているとはいえ、 あいつは。巫女は、まだちいさな子供で。
だから、自分の息子である俺やフランクを 気を張らずに過ごせるお目付け役として、 遠出のときなんかに連れて行くことがあった。]
(38) 2015/07/04(Sat) 00時頃
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[勿論、"巫女"にも家族や護衛役や侍女たちがついていて、 ついていくのもいつものことってわけじゃなかったが、 俺やフランクが16になるまではちょくちょく借りだされた。
父親にしてみれば、自分の仕事の一旦を息子二人に見せておく意味もあったのかもしれないが、記憶にあるのは少しづつ背丈が伸びていくアマルテアと同じ顔をした兄弟の事がほとんどだ。
大滝の上の草原が靡く台地。 がまの穂が揺れる小川。 里とは違った家並みの四角い町。
大災害前から生きてるって逸話のある白い大樹。
青いランプに照らされた地下水脈。
俺たちは、いろんな景色を、 ──アマルテアと並んで一緒に見た。]
(39) 2015/07/04(Sat) 00時頃
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["視察"の旅行はちょっとした冒険気分もあって、結構楽しんでたと思う。俺はあちらこちらの水の匂いが甘かったり鋭かったりすることや、土の質が頑丈だったり脆かったりすることを知った。
そういうことを、一緒に知ってく奴らがいるってことを。
ガキの俺は結構、楽しんでたと思っている。]
(40) 2015/07/04(Sat) 00時頃
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──回想:十三年前、白い大樹近くの草地──
[川ベリを歩く俺を、てとてとと横をあぶなっかしい足取りで子供がついてくる。「む……むすこ?さまっ!」と歩幅の差で一歩後ろになった少女が声を上げた。]
……ご子息さま。
[ごし…?と首を傾げる頭が見えて、 少し歩く速度を緩める。]
むすこさまとはいわない。
[わかったか?と尋ねるつもりで、"巫女の侍女"だという少女の顔を俺は横目に見た。]
(41) 2015/07/04(Sat) 00時頃
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["リッサ"というらしい彼女は、侍女というには幼すぎる気はしたが、恐らく自分やフランクが借り出されるのと似たような理由で、その役目を与えられているのだろう。と思った。]
まって、は、おまちください。
[局長の息子だという理由で敬語を使われるのは、なんだか落ち着かない気はしたが、侍女だというのなら敬語に慣れた方がいいだろう、と、川辺の植物を見覚えながら、知る敬語を繰り返してみろと口に出す。周りを見回しながら視線を受けて、「おまち…」と繰り返すのに、頷いてやる。]
(42) 2015/07/04(Sat) 00時頃
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あと、エフな。名前。 俺の名前。
ご子息さまだとフランクと どっちかわかんねえから、
あ。
[そこまで言ってから、歩きながら探していたものを見つけて俺は歩幅を広げた。急に移動したのに後ろから「!?」がついていそうな声がしたが、そのときの俺にとっては目的の物にたどりつくのが優先だった。]
(43) 2015/07/04(Sat) 00時頃
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あったあった
[根を水に沈めながら咲いている、口を閉じた巾着のような花を一本折り取る。追いついてきたリッサは「???」と顔をハテナで一杯にしていた。]
ああ。これはなー
……? ん? あいつらどこいった?
[説明を、アマルテアやフランクの前でと思って、先ほどまで少し手前を歩いていた二人の姿が見えなくなっていることに気がついた。 巫女の姿が見えないことに、があん!と頭の上に書き文字をのせたリッサが、細かく左右を見回して、あたふたと巫女を探す。]
(44) 2015/07/04(Sat) 00時頃
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うわっ! おい、おちつけって
[どうしよう。まで言葉にならないのか、みこさまああ!と俺の服をひっぱってきたリッサの頭に手をおく。]
休憩中なんだし、そんな遠くにいかねえよ ほら。
[食事を取ったあとの小休憩だ。本隊の姿も近くに見える。もしもアマルテアが走り出したにしろ、フランクが追いかけているはずだった。俺と同じ顔をした兄弟は、なんだかんだと面倒見がいいし、頼まれた相手を放ってどこかにいくような奴じゃない。]
(45) 2015/07/04(Sat) 00時頃
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[ ──実際、そのときだって、二人はすぐに見つかった。]
(46) 2015/07/04(Sat) 00時頃
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[白い大樹を回り込む形で二人を見つけたのは、 白い綿毛が風に舞う花畑だった。]
……、あ、
[川の曲がり角の出前に自分が手にしたものと同じ花が 群生していて、──弾けるような笑い声が、離れていても届いた。]
(47) 2015/07/04(Sat) 00時半頃
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────、
[ぱっと弾けるように笑ったその横顔を、 ──今でも、よく覚えている。]
(48) 2015/07/04(Sat) 00時半頃
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…
[花を持った指がぎこちなく曲がる。その日のアマルテアは、今までに比べて笑った顔が見られなくて、だから、きっと、フランクも気を使ったのだろう。それで、その心配が功を奏した。
そういうことだ。また、あいつが一歩先だったという話で、]
──、…ん、ああ。
[そんなことを考えている間に、たちどまってしまった俺を見て、不思議に思ったのか、えふさま?と服の裾が引かれた。]
(49) 2015/07/04(Sat) 00時半頃
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いや、
[こっちを向いているリッサの視線を避けるように、背を前に押し出してやる。]
……見つかって良かったな。 ほら、巫女様だぞ
[はやく行ってやれ。と促して、 それから、後に続いた。]
(50) 2015/07/04(Sat) 00時半頃
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[みこさまあ!と早足で駆け出したリッサの小さな背中について、綿毛の群れの中へ足を踏み入れる。]
…よー、すーごい数だな
[フランクの後ろから口許を緩めて、アマルテアに声をかける。ついでに手に持った花でフランクの頭を叩く。──ぽんっと軽い音がして、兄弟の黒髪はあっというまに綿毛だらけになった。うわっ!と声が上がってから、こいつ!と笑った声が続いた。]
(51) 2015/07/04(Sat) 00時半頃
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[ はじけた花の種たちが、風に噴かれて たくさんの綿毛に紛れて空を飛んでいく。
いい天気だったことを、覚えている。]
(52) 2015/07/04(Sat) 00時半頃
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[そんな子供時代を過ごして、 俺たちは里で成人として扱われる十六になり、
俺は、かねてからの目標どおりに、 あるいは父の期待どおりに水質管理局の門戸を叩くと決め
──フランクは、神殿警護隊に進路を決めた。]
(53) 2015/07/04(Sat) 00時半頃
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[巫女を護る仕事だな。と、からかえば、 いい仕事だろう、と笑われた。
兄弟だからか、片割れだからか。 ── ああ、こいつは彼女を護りにいくんだなと すとんと、腑に落ちるものがあって、 俺は、がんばれよ。と拳で胸を押した。]
(54) 2015/07/04(Sat) 00時半頃
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[本当にあいつは、いつも俺の一歩前を歩いていて、 たまに、それが悔しいようなときもあったが、 ただ、それでも根はイイ奴だと思っていたから、 嫌うことも憎むようなことも結局俺にはできなかった。
フランクにとってはどうだったかわからないが、 進路が分かれたのは、たぶん。
俺にとっては、良かったんだろう。]
(55) 2015/07/04(Sat) 00時半頃
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──回想:六年前、神殿廊下──
[白石で造られた巫女の神殿は、いつも涼やかな水音がしていた。官服の裾を引いて廊下を歩く。水質管理局からの連絡を持って応接間に向かう。]
… ん? ああ。
──よぉ。巫女様。 ごきげんよう。
[その廊下で彼女と行きあったのは、たぶん偶然だった。その日の面談の予定は彼女の両親とだったから。]
(56) 2015/07/04(Sat) 00時半頃
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[十六になって、就学のために俺は里の外に出て、前よりもゆっくり会うような機会は減った。ただそれでも、里がえりは度々していたしフランクから様子を聞くこともあった。]
話をきいてるせいかね。 そんな感じがしないが、久しぶりだな?
ご健勝でいらっしゃいますか。
[記憶にある面影を持った、覚えているよりは背丈が伸びたアマルテアへ、形どおりではある起礼を向ける。──久々にあった感じからいえば、目を瞠る程度にすくすくと育っているようには見えた。]
(57) 2015/07/04(Sat) 00時半頃
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[水質管理局は、神殿とつながりは深いが 配下にあるというわけではない。]
俺と同じ顔したあいつは、 ちゃんとやってます?
[冗談めかせて話しかける。──敬意と感謝は払うべきだが、無闇に謙ることはするな。というのが水質管理局局長の父親の方針でもあり、敬語を使えども畏まった言葉遣いがなんだか自分でも少しおかしくて、結局最後には笑ってしまった。]
(58) 2015/07/04(Sat) 00時半頃
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…なんて、いや。 こんな話し方侍女連にみつかると叱られるか。
ん。これから打ち合わせでな。 またな。巫女様。
[悪かった。と手を上げて世間話を打ち切る。俺は親戚の妹を扱うような、そんな距離でいようとしていたと思う。]
(59) 2015/07/04(Sat) 00時半頃
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[たぶん、俺が幼少期の──仲間のような距離から、 明確に線を引いたのは、ひとつだけ。
──テア、と。
アマルテア。と、
彼女を名前で呼ばなくなったことだけだ*。]
(60) 2015/07/04(Sat) 00時半頃
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アマルテアー!!
(61) 2015/07/04(Sat) 00時半頃
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アマルテアーーー!!!!!
[こんなに大きな声で、誰かを呼んだことなんてなかった]
(62) 2015/07/04(Sat) 00時半頃
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[里は数十年ぶりの祝祭に湧いていた。 世界中から呼ばれた結婚適齢期の男は数千。 いつもは涼しく里を渡る風も今日はなまぬるい程。
ごつごつとした暑苦しい人並み押されて掻き分けて、 遠く見える彼女の姿を追いかけては名前を呼んだけれど、 たった一人の巫女を求めて 沸き上がる数千の群衆の声に呑まれて届かない]
(63) 2015/07/04(Sat) 00時半頃
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