56 いつか、どこかで――狼と弓のワルツ――
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[搾り出すような狼の囁きは、意識を手放す彼に 届いたか**]
(*8) 2011/07/02(Sat) 01時半頃
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[名を呼ばれ、誰かが駆けつける音がする>>5 それは、随分と遠くの出来事のような気がして。
倒れた彼の身体を守るように、剣を振るっていた**]
(12) 2011/07/02(Sat) 01時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2011/07/02(Sat) 01時半頃
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あ……
[背に矢が刺さった青年。 その矢は、真っ直ぐに心臓の位置を貫いていて。 近づかなくても、命が失われているのがわかったけれども。]
………イアンさん。
[守るように動いたって、守るべき“彼”は既にいないのに。>>12 それはあまりに…たまに見た、彼が振るう剣とは違って頼りなげに見えて]
…………、
(13) 2011/07/02(Sat) 02時頃
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赤騎士団団長!しっかりなさって下さい!!!!
倒れた方は、私たちが助けますから!!!!!
[もう助けられないことなんて、わかってる。 しかし。戦場では、倒れた友を置いて、先に進まなければならない時がある。騎士達が前へ進めるよう、倒れた者を救うために、衛生兵は存在する。だからそれは、意地のようなものだった]
ベネットさんを…砦まで、運びます…!
[例え命が失われていても。このまま血と土のにおいの戦場に置いていくのは、いたたまれなかった**]
(14) 2011/07/02(Sat) 02時頃
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あの、後は、お願いします。
[>>11駆けつけた看護士に二人を任せるつもりで。 立ち上がると最後に彼らの冥福を祈り、よろめきつつ中庭に向かいふらふらと歩いていく。]
誰が彼らを殺めたのか…か。
(15) 2011/07/02(Sat) 02時頃
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― 砦 ―
[草原は、次々運び込まれる怪我人と亡骸の血の匂いに満ちていた。 自らが率いていた騎兵隊は草原に残し、砦中に入る。 参謀を探し歩いている最中、赤騎士団から入った報に驚き、顔を硬直させた]
ベネット……、 ファーレンハイト副団長が……?
[一瞬事実を受け入れられなかったことを自覚する。 その死は、あまりにも早く。]
(16) 2011/07/02(Sat) 02時半頃
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[砦まで引き、小隊の人数を確認する。]
負傷した者は治療を。 ……神の加護の下、次の生へと旅立った者たちへは祈りを捧げてやってくれ。
[それだけ告げ足早に砦の奥へと向かえば、中もまた負傷した者たちの血の匂いが漂っていた。]
此処も、戦場だな。
[ギリッと唇を噛み締める。]
(17) 2011/07/02(Sat) 02時半頃
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ヴェスパタインは、赤騎士団の状態を*聞くだろう*
2011/07/02(Sat) 03時頃
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― 砦 ―
何故撤退命令を出したのですか?! もう少しで奴を…殺めることが出来たのに…。
[撤退命令に不服がいかなかった。苦悩の表情を浮かべてヴェスパタインに詰め寄る。
イアン団長から緑騎士団に援護の許可は貰ったものの、一人で突進したその女の姿はあまりにも勝手過ぎた。]
(18) 2011/07/02(Sat) 03時頃
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― 中庭 ―
なんだ、これ…。 [目の前にある光景もまた、初めての景色だった。傷つき倒れている騎士、励ます看護士、鉄臭い臭い、真っ赤な赤。]
そ ん な 。
[湧き出たものの正体が何であるかはっきりした。見送って歓迎するだけの視線からは、見えないもの。文字でなら知っている、その行為の結果。]
神父殿、これが戦、ですか。 外からは―憧れてるだけでは見えない現実ですか。 [血のように急速に巡っていく死の感覚。それに気圧されたか、足が竦んでその場にへたり込み、見届けた死に教えを乞うた。]
(19) 2011/07/02(Sat) 03時頃
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[一人の兵がヴェスパタインへ報告を。 それは自分が所属する赤騎士団の副団長の報告。]
副団長が…逝った…? 馬鹿なことを言うな!あの人が…逝くわけないだろう…
[突然のことに戸惑いを受け、荒げていた声も次第にか細くなっていく。 女は訃報に為す術がなく、その場に立ちつくした。]
(20) 2011/07/02(Sat) 03時頃
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[辺りを見ながら砦の中を歩く。 中庭まで来れば、その場にへたり込んだ様子の男の姿が見えた。>>19]
おい、お前。 どうかしたのか?
[近寄り、声を掛ける。 様子を見るが、怪我をしているというわけではないようだ。]
(21) 2011/07/02(Sat) 03時頃
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ミッシェルは、小さく拳を作った**
2011/07/02(Sat) 03時半頃
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…はっ! あ、ああ、はい、いえ。だ、大丈夫です。
[>>21声をかけられるまで放心状態だったようで、目の先にはヤニクの姿が認識できた。
反射的に立ち上がってみたものの、足の震えが微妙に残っていた。]
あの、ヤニク殿、でしたか。 実は神父君とフィリップ殿が、何者かにで、死んで…。
[言いたい事はあるのにきちんと言葉が紡げない。 泳ぐ視線に若干の錯乱が残っていた。]
(22) 2011/07/02(Sat) 03時半頃
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……何? どうした。なにがあった。
[男の口から告げられた文章として成り立っていない単語に耳を疑った。 どこか泳いだような視線>>22に彼が動揺しているのかとも思ったが、信じたくないと言うようにその顔をまっすぐ見つめる。 何故か、動悸が激しくなっていた。]
頼む。落ち着いてもう一度言ってくれ。
(23) 2011/07/02(Sat) 03時半頃
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そだ、こいうときは話し方…。
[>>23ヤニクの真っ直ぐな視線が、遠くに見えた幻を消し去ってくれた。思考が若干回復したようだと自覚を持った。涙を服の裾で拭う。]
先ほど、本当に先ほどですが。 従軍―神父殿と、馬の世話をしていたフィリップ君が。
[そこで言葉を切り、一呼吸置いて。]
亡くなり…ました。 見つかけた時にあ、二人とも血が流れてて、目の前で事切れて。
しかも、何者かに、殺された、と。
[裾でもう一度、涙を拭った。 看護士の言葉から、殺された事は想像がついた。]
(24) 2011/07/02(Sat) 03時半頃
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………………そうか。
[戦場で感じた嫌な予感はこれのことだったのか。 落ち着いた彼から告げられた言葉>>24に、短く返す。
こんな時に嘘を吐く理由も、冗談を言う状況でもないことも彼は分かっているだろう。 そしてなにより、先程の彼の様子は、それを事実だと言っていた。]
それは、砦の中でのことだな? 二人は同じ場所で、殺されて、いたのか?
[戦場でなら――言いたくはないが、仕方がないことだろう。 確かにフィリップの姿は戦場で見かけた。 しかし、ムパムピスは砦にいたはず。 内心の動揺を隠し、確認するように更にそう聞いた。]
(25) 2011/07/02(Sat) 04時頃
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>>25そ、です。 あっち―牢屋があったとこの近くです。 そこで二人とも倒れてました。
倒れたとこに、たくさんの血があったので、恐らくは同じ場所です。
[言葉の中には少し繰り返しがあっただろう。 力無く握られた拳は、感情の入り混じりを表現していた。]
(26) 2011/07/02(Sat) 04時頃
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そう、か。 牢屋……分かった。
[己も動揺しているからか、男の感情は分からないままそう繰り返す。
捕虜が居たことも、その捕虜が逃げたことも知らないが、場所を聞けば察することは出来る。 参謀に報告と確認をしなければならないだろう。]
どうして、神は……先にあいつらを呼んだんだろうな。 俺とは違って、きちんと聖堂に行って祈っていたのに。 一番、祈っていたのに。
[悔しげに、小さく漏らし。]
俺は参謀殿に報告しに行くが、お前はどうする。 お前から直接話してもらう方が良いかもしれないが……無理なら食堂で水でも貰ってくると良い。
[彼の返事を待った。**]
(27) 2011/07/02(Sat) 04時半頃
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>>27無論、行かせて…もらいますよ。 砦の中でこういうことが何度も起こったら大変な事になってしまうんで。
ましてや他人事じゃないですし、それに…。
[最後の言葉は徐々に言葉は小さくなり、ついに途切れた。
問われれば、いや何でもないんです、と首を振りながら返しただろう。]**
(28) 2011/07/02(Sat) 04時半頃
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[赤緑の両参謀のまわりが、騒がしくなっていく]
副団長が退却命令を? そうか、正しいな。深追いはせぬよう徹底を! また、赤の団長の無事を急ぎ確認するのじゃ…!
[そして、戦況情報に混じり――]
……何? 砦で? バカな、一番あってはならん事態じゃ! 赤の参謀殿。わっちは新たな捕虜の話は聞いておらなんだ。ご存じか?
[どんな答えがあったか。いくつかのやりとりの後] 団長か副団長に連絡。編成は任せるゆえ、すぐに一隊を砦へと!
[戦況が覆りかねない事態に顔を顰めていた**]
(29) 2011/07/02(Sat) 08時半頃
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[詰め寄ってきた女の姿>>18を見遣る。]
奴が、お前の「敵」か。 ………下らん。
[彼女の持つ翡翠の眼は、皮肉にも敵の翡翠によく似ていた。 苦悩に歪められたそれを直視することはままならず、瞳を伏せる]
お前一人の敵意の為に、私の騎士達に死ねと言うのか。 この戦線が突破されれば何が起こるかお前には見えないのか。
……お前一人の為に、我らが祖国に亡びろと言うのか!!
[それは、誰が見ても分かる――激昂。]
(30) 2011/07/02(Sat) 08時半頃
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[砦に充満する血の匂いは、脳裏にこびりつくイメージと結びつく。]
(31) 2011/07/02(Sat) 09時頃
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[幼い頃から、幾度となく奇妙な夢を見た。
ありとあらゆる時代・場所の、会ったことも無い人々の夢だ。 ノルドハイムの美しき公女。脚を怪我した女性兵。 黒き馬に跨る敵国の将。見知らぬ公国の若き公子―――。
その中でも何度も繰り返し、繰り返し再生される悪夢。 転がる骸。蹂躙される祖国の大地。 廃墟となった砦と――― あかい……、そしてくらい。
それを「予知夢」と呼ぶのだと、恐ろしい夢に疲れ果て、泣き叫ぶ少年に教えたのは町の教会の老神父だった。]
(32) 2011/07/02(Sat) 09時頃
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[「神が与え賜えたのだろう」と、老神父は語った。]
「それは試練ではない。使命なんだよ、セドリック。
恐怖に目を凝らして、その本質を見抜きなさい。 未来を知るお前なら、未来を変えられるかもしれない」
[そして―――少年は「力」を求めた。 未来を斬り拓き、護りたいものを護るための力。 力を求めに求め、辿り着いた最後の形が「騎士団」だった]
(33) 2011/07/02(Sat) 09時頃
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[そして、今。 過去に向かった意識を振り払い、再び目の前の女騎士を見る]
祖国の為に戦えぬ騎士など要らん。 我が騎士団を潰すつもりなら……もういい。
―――――今すぐ、帰れ!!
[きっと睨み付け、言い捨てて。 参謀を探し、男は再び*歩き出した*]
(34) 2011/07/02(Sat) 09時頃
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…引くぞ。
[ベネットを回収しようとこちらに駆け寄ってきたペラジーを目に入れて、衛生兵が出張ってくる事ができるまでに戦況が落ち着いている事を把握して。
ペラジーに大声で名を呼ばれているイアンを目の当たりにして、一呼吸置いて。]
(35) 2011/07/02(Sat) 12時半頃
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一時撤退だ! 余裕のある者は負傷した兵を連れて防衛線まで後退しろ! [戦場で今なお牙を向いている同胞に向けて、鋭い咆哮をあげた。]
(36) 2011/07/02(Sat) 12時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2011/07/02(Sat) 12時半頃
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[強く耳に響いた叱咤にちらりと目をやれば そこには白いフードがあって>>14]
…
[少しだけ気丈に、笑みを浮かべて見せた。]
んなの、分かってんよ。
[ただ、忘れられなかった。 最期にベネットが残した言葉が。 今も、延々と頭の中を回っていた。]
ベネットを、…頼む。
[そして、オスカーの咆哮に手繰り寄せられるように 敵軍から手を引いて、撤退の体勢を取ったのだった。]
(37) 2011/07/02(Sat) 12時半頃
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還るぞ。
[血で染まる大地に横たわる狼に小さく鳴いて。 血に汚れた手袋を外し、その狼の頬と額を撫でてやる。]
(*9) 2011/07/02(Sat) 12時半頃
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――― …オスカー
(*10) 2011/07/02(Sat) 12時半頃
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[目の前が赤に染まる。 頬と額を撫でられ、どこか穏やかな気分になる が]
俺は、…
(*11) 2011/07/02(Sat) 13時頃
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