19 生まれてきてくれてありがとう
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――――それでも、構いません。
(*5) 2010/07/05(Mon) 01時半頃
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― 回想・自宅 ―
[狂ったような笑い声は暫く続いた。 随分と人気がなくなってはいても、 時折、通りすがる人も居て、 そんな人たちは一様に、例外無い色の眸を向けた。]
[だから、ただ、ただ、女は笑った。 現実を遮るのは、何時も夢。
例外無く襲い来るものだから、目一杯抵抗した。 ふらふらと視界が揺れても立ち続けた。 太股を叩き、時には頬を張って。
けれど、意識は途切れてしまう。]
― 回想・了 ―
(20) 2010/07/05(Mon) 02時頃
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……分からん。
[俯くミッシェルの耳を塞ぐように、頭を抱えこんで抱きしめ]
分からんし、お前がそういう人間じゃないんなら、分かる必要も無い。 気にするのは仕方無いが、……気に病むな。
(21) 2010/07/05(Mon) 02時頃
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― 翌朝・作業場 ―
[次に女が意識を取り戻すのは作業場だった。 薄汚れた手、ぼさぼさの髪、使い古した作業着。
何故こんな格好で此処にいるのか。 女には当然、一切の記憶が無い。
怖くなる。手がかたかた、と震えた。 自身を信じられなくなる要素がまた一つ増える。 所謂、自動症。 しかし、そんな名前も症状も、知る由は無い。]
(22) 2010/07/05(Mon) 02時頃
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[セシルの奏でる鎮魂歌を俯いたまま聴き終わると、細く息を吐き。]
…ありがとう、セシ兄。
もう、良いよ。
[そう言ってあげた顔には、泣きそうではあったけれど弱い微笑みがあった。
本当は。誰かが、中にいるんじゃないかと思ったのだ。 病に命を奪われる前に、自分で─…そうしてしまった人が、いるんじゃないかと思って。
中の惨状を見て、そうではないだろうことはわかって。 悲しくも辛くもあったけれど、安心もしていたのだ。 だから、申し訳なさそうに微笑んで。]
ごめんね、我が儘聞いてもらっちゃって。
[セシルの手を引いて、出よう?と外へ向かった。]
(23) 2010/07/05(Mon) 02時頃
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[中へ入っていったミッシェルの啜り泣きが漏れ聞こえる。
そろそろあちこちで、病に蝕まれた人々がゆっくりと命を失っていくのだろうか?
いつもぼんやりと潤んだ淡い色の瞳は、ただ淡々とそれを眺めている。 みえても、見通せても、何も変えられない。それが…あの扉の向こうで見た自分の背負う運命だから。]
(24) 2010/07/05(Mon) 02時頃
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漂白工 ピッパは、とにかく自身を落ち着かせようと何度も深呼吸した。
2010/07/05(Mon) 02時頃
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[セシルから抱きしめられると、驚いて目を見開いたものの。
続いた言葉に、…うん。と弱く頷いて。]
ありがとう、セシ兄。
いつも、セシ兄は…優しいね。
[そう言った呟きは、どことなく悲しそうな色を纏っていた。]
(25) 2010/07/05(Mon) 02時頃
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だいじょうぶ。 ……だいじょうぶ、だいじょうぶ。
[地を見つめながら繰り返す、願い事。 それは呪文を唱えるかのように。 "呪い"だと言い張っても、怖い事に変わりは無い。
す、と立ち上がり一度浴室へ消える。 汚れを落とし、着替えを済ませれば]
……行こう。 お供え、しにいかなきゃ。
[現実から逃れるように、外へ。]
― 自宅→ ―
(26) 2010/07/05(Mon) 02時頃
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[扉口にたどり着くまでに、兄がこぼした買い言葉>>18を耳にし、ぴくりと立ち止まる]
…ンの馬鹿ぁっ!
[ぐるりと向きを変え、もつれる足で駆け寄り、倒れこんだ兄の胸に飛び込む。 首に腕を回して、精一杯の力で締め上げた]
わかってねーにも程があんぞ!脳みそ腐ってンのかよ! 一緒だって、言えって、言えって!言えって言っただろ!!
一人で死ぬなんて、怖くてたまんねーだろが!あたしは怖い!
(27) 2010/07/05(Mon) 02時頃
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― →酒屋 ―
[自宅を出れば、一直線に向かうのは 目的の品を願う為の、場所。
道中、此方を見てひそひそと声を立てる者。 明らかな距離を取る者。 奇異な視線を寄越す者、が居たが。
意識の内に入れる事無く、辿り着く。]
ゴドウィンさん。
[店先に彼の姿を見れば、小さく呼びかける。]
(28) 2010/07/05(Mon) 02時頃
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何だ、急に。
[優しいなんて、らしくもないと笑おうとするも。 悲しげな響きに、中途な表情で首を傾げ]
分かった。 ……いつもの事だろ?
[礼を言って微笑んでみせれば、くしゃりと撫で。 申し訳無さそうな顔なんてすれば、そう笑って、手を引かれるまま外へ向かい]
……、 ……?
[何故かその手に、ちがう、と感じて。 訳が分からないまま、一瞬足を止めるけれど。
おぼろげな違和感はすぐに消え。 何事も無かったかのような歩調を取り戻した*]
(29) 2010/07/05(Mon) 02時頃
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――。
[中で、何をしているのだろうか? 分かるはずも無く、ただただ見守るのみ。 二人が戻ってくれば、安堵の息をつくだろう*]
(30) 2010/07/05(Mon) 02時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2010/07/05(Mon) 02時頃
受付 アイリスは、首に回した腕を離して、兄の腹部を力のない拳でぽこぽこ殴った
2010/07/05(Mon) 02時頃
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>>28 ピッパ [若干、自嘲気味な笑みを浮かべる。それは、死にたくはない物だから。]
やれやれ。 そう長くも無い、って事か……。 1日とか言ってやがったしな。
[震える右手を握る。力が入っているかどうか分からない。 まだ動くが、どれだけ持つものだろうか。 そう思っていると声をかけられて顔を上げた。]
おや、珍しい顔だな。
[今更逃げなかったのか聞くまでも無いだろう。 ここに居るのは、未練からか愛着からか知らないが、残るだけの理由が有ったのだと思う]
どうした。 何か、御入り用かね。
(31) 2010/07/05(Mon) 02時頃
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…急にじゃ、ないよ。 言わないだけで、いつもそう、思ってるよ。
[それが自然過ぎて、ずっと甘えてきて、しまったけれど。]
─…うん。いつもの、ことだね。 いつも、セシ兄が優しいから、甘えてた。 ずっと、甘えてて、ごめん、ね。
だから、もう…良いよ、セシ兄。 私は、大丈夫、だから。 セシ兄は、セシ兄の行きたいとこに、行って。
最期、なんだから。
[手を引き、前を歩いて。 顔を見られてしまったら嘘を吐いていることはバレてしまうから、決して見られぬよう前だけを向いて。
外に出て、待っていてくれたリアとラルに心配かけてごめんね、と微笑む姿は普段通りに出来た。]
(32) 2010/07/05(Mon) 02時頃
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[女は彼の抱える物を知る由も無い。 よしんば知ったとして今、何を言えるだろう。
右手が微か、震えているのを見た。 されど、年齢か。 もしくは職業柄、なのかと思ってしまう。]
お久しぶりです。 先日は、お茶とサンドイッチ。 ……頂きました、ごちそうさまでした。
[この言葉で何処まで伝わるのかは解らない。 けれど、感謝を伝えたのだから、ある程度の覚悟は持っている。]
(33) 2010/07/05(Mon) 02時頃
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お嬢様、あまり長居しない方が…。
[それでも主人が望むならばお伴についてまわり、屋敷へ戻れば自分はいつもの納屋へと下がる。
こんな状況では寝るに眠れず、傾けるのはアイリスから貰ったいつもより質の良い葡萄酒だった。]
(34) 2010/07/05(Mon) 02時頃
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墓堀 ギリアンは、メモを貼った。
2010/07/05(Mon) 02時頃
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[呼吸音の聞こえなくなったティモシー爺を抱き、 どれほど、そうしていたか。
次第に、失われていく体温に、唇を噛んで 動かない爺を、おんぶするように、背に抱える。
思っていたより重かった。 人は死んだら魂の数グラムだけ軽くなるというが それでも完全に力を入れることがなくなった爺の身体は 重かった。
ずる、ずる、と引き摺るようにして、 爺が愛し、テレプシコーラという名を付けた雑貨屋を 後にする。]
(35) 2010/07/05(Mon) 02時半頃
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――――ぐっは!
[今度は胸に飛び込まれ、苦しそうな声と共にソファへと倒れ込んだ。 痛さに顔を顰めていたのも束の間、首に回る腕に驚いた。 捲し立てる様に怒鳴られ、締め上げられる。 最初こそ目を丸くしていたが、次第に男の口は曲がり。]
っの……、うっせぇな!!!!
[ついに、声を荒げた。]
(36) 2010/07/05(Mon) 02時半頃
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お前こそ脳みそ入ってんのか?!
俺だって怖いつってんだろ! 独りは怖いに決まってんだろ!
でもな、お前より先に死なずにいられんなら、独りで死ぬ事を願いてえよ! 俺は、お前より先に死ぬ事だけは御免だ! 例え独りで死ぬ事になっても、お前より先に死ぬ事よりは断然いいと思ってんだ!
[胸の上の妹を睨み上げたまま言い切って、ハッとした。 しかし出し切ってしまったものは戻す事も出来ず。 余計な事を言ったと、苦い顔をしたまま視線を逸らした。]
(37) 2010/07/05(Mon) 02時半頃
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あの、ね。
私、ちょっとやりたいこと、出来たから。 悪いけど、先に帰るね。
ごめん。 また、お茶飲みに行くから。 今度はゴドおじちゃんにもらった茶葉、持ってくね。
[リア達にそういうと、それじゃ、と返事も聞かず走り出して。 向かった先は、教会。]
(38) 2010/07/05(Mon) 02時半頃
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―― 大通り ――
[爺を引き摺る様に、歩く。 目指す場所は墓地。 他にもこの病で死んだ人がいるかもしれない。 埋葬を断られるかもしれない。
だけど一抹の願いを抱いて、 ずる、ずる、ずる――と。 爺が生きていたら、地に着いて引き摺られる足が痛いだろうと思う。]
ごめんね……私、背が低いから……
(39) 2010/07/05(Mon) 02時半頃
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―大通り―
[それから、自警団が現れ、コリーンにランタンを渡している。]
――…おでは、いいだ。 もう墓地に戻るだけだんど……。 あんなどごに暴漢はこねだろうし、おではどう見ても襲われないだ。
[自警団の連中は、ああ、墓堀りか、と行って、そのままどこかに移動する。俺たちももう行くぞ、といいながら。]
(40) 2010/07/05(Mon) 02時半頃
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>>33 ピッパ [座ったまま、見上げる。いろいろと謂れのある娘だ。 噂や人に聞いた話で判断したりはしないが、興味はある。 悩める若者、と言う1点に置いて。] ……そうか。 美味かったか?
[茶はともかく、朝食に作ったサンドイッチを渡した覚えはこの所一つしかない。 何はなくとも、まずそう聞いた]
(41) 2010/07/05(Mon) 02時半頃
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墓堀 ギリアンは、誰かを引きずって歩く女性の姿を見た。
2010/07/05(Mon) 02時半頃
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[大通りで、ギリアンの姿を見て、はっとしたように]
ギリアンさん!
[そう呼び止めた。 細長い爺を抱えるソフィアは滑稽に見るだろうか。]
お願いが、ッ、あるの――
(42) 2010/07/05(Mon) 02時半頃
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[構えていた言葉をぐっと失った]
…嘘つけ。 一人で街に行けって言った時は、あたしより先に死ぬ気だったくせに
[視線を外した気まずそうな顔を、両手で優しく包みこみ、涙でぐしゃぐしゃの顔に笑顔を浮かべる]
死ぬときは一緒って言えよ。 あたしは兄さんに看取られるんじゃなくて、あたしが兄さんに看取られるんでもなくて、同じ時に。 心臓止めてやる気でいるんだぞ?
[幼い頃のように、頬に軽いキス]
(43) 2010/07/05(Mon) 02時半頃
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店番 ソフィアは、メモを貼った。
2010/07/05(Mon) 02時半頃
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……。
[火元へ向かうより、不審な行動を取るサイモンの動向が気になり行方を追うがその姿を中々見つける事ができない。
日が山の影に沈み始め、空が焼け始める頃にようやく彼を見つけた。 水面からはみ出ている脚が川辺に引っかかっていた。 水に沈む上半身からは紅が下流に向けて流れている。
溜息を漏らし、自警団に報告を行う為にきた道を戻り始めた]
(44) 2010/07/05(Mon) 02時半頃
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>>42
[コリーンと自警団と離れて墓地に向かって歩き出してしばらくすると、 何かを引きずって歩く人影を見る。]
――……ん?人?だべ?
[左目を薄めて、その様子を見ると、人影はこちらに向かって声を出し、やってきた。]
あ……
[見れば、雑貨屋の女性と、その主……
だが、明らかに主のほうは…。]
――……あ、爺さん……もしがしで……。
[ソフィアに応える……。]
(45) 2010/07/05(Mon) 02時半頃
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─屋敷へ戻る前─
ソフィア…
[背負った老人の体には生気は感じられなくて。 近寄れば事切れている事は容易に知れた。]
そっか、お爺さん…亡くなったんだ。 [親しくはない。 真面目な人だったから、むしろ母親が生きていた頃には泥棒猫のように追い払われたりもしたくらいだ。 それでも、運ぼうとするソフィアを見ているのはなんだか胸が痛くて。
手伝おうかとも思ったけれど、あの女の息子になど触れられるのも嫌だろうと思えば、結局何も出来なかった。]
(46) 2010/07/05(Mon) 02時半頃
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[ギリアンに声をかけた様子を確認すると、何処かほっとしたようにその場を離れた。]
(47) 2010/07/05(Mon) 02時半頃
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うん、とても。
[女は微笑して頷いた。 彼が醸す雰囲気が女を幾らか落ち着かせたから。 ふ、と柔い吐息を吐いて]
お陰様で、一緒に……時間を過ごせたの。 ―――、有難う、御座いました。
[ひとつの言葉に、極力の思いを篭めた。]
(48) 2010/07/05(Mon) 02時半頃
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