162 絶望と後悔と懺悔と
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[囀りと呼ぶには大きすぎる音量>>*82が駆け抜ける。 丁度向かう部屋へと消えた音に、手間が省けたと、 扉の前に立つと何処からか現れた監視役の吸血鬼が そっと扉を開ける]
少しは疲れが取れたか?
[まだ目覚めぬ者もいただろうか。 戻らぬ者もいただろうか。 一通り見渡して]
どうした? 今までの生活とかけ離れ過ぎて感謝の言葉も忘れたか?
[環境の変化にまだ付いていけないかと、機嫌を悪くする事は無い。 むしろ知らぬだろう上質の世界に触れた雛達の様子を 興味深げに観察していた]
(*88) 2014/02/08(Sat) 22時頃
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どうやら全員元気そうで何よりだ。
[音は無くても空気を裂く振動は確かに響いた>>*95 それを静かに庇う者もいた>>*98 するりと感謝の言葉を述べたかと思えば おかしな質問を付け足す者もいた>>*96 感謝を言葉から態度へ変える雛もいた>>*99 そして相変わらず引かず何かを探ろうとする雛>>*93も]
何だ、自分達の立場も知らないのか。
[教えて無かったのかと、控えていた吸血鬼に視線を向けたが それ以上何かを咎める事はしなかった]
(*100) 2014/02/08(Sat) 22時半頃
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少なくとも夢の世界でない事は確かだ。 ここは私の城。 吸血鬼達の集う聖域。
[三日月の笑みから覗く牙]
そして私が全てを支配する者。 トルドヴィン=エメリッヒ。 お前達の永遠の主人だ。
(*102) 2014/02/08(Sat) 22時半頃
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[雛達の質問の答えとしては不親切極まりないものだろう。 だがそれ以上何が必要と言うのか]
ああ、安心するがいい。 残りの2羽は殺してはいない。 ただ私の祝宴にしては寂しいものだったからな。 巣に火を放ったから、巻き込まれたかもしれないが。
[『全員?』と訊いた雛には答える必要があったかと 事実を告げる。 約束は破ってはいない。 ただ勝手に火の中に飛び込んで焼け死ぬのは別だ]
(*105) 2014/02/08(Sat) 23時頃
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トルドヴィンは、サミュエルは生きているだろうと確信していた。
2014/02/08(Sat) 23時頃
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[目を閉じた雛>>*103に視線を向ける。 現実から逃げようとしているのか、余程嫌われたか。 傍から見ても判るほど機嫌は良くなっていた]
おや。熟成させてと思ったけれど。 折角勧められたのだ。
感謝の気持ちと受取っておこう。
[捕食者たる紅の瞳が金へと変わる。 一歩踏み出すと次には純白の布を付けた雛の前に]
(*109) 2014/02/08(Sat) 23時頃
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[金の瞳は捕食では無く繁殖の色。
魅了し、相手を同じものへと変える能力を牙に載せて 相手に注ぎ込む。
能力を注がれた相手は間を置かずに強烈な飢餓を覚え、 渇きを癒す術を求める。
最初の飢餓を癒すのは同族の吸血鬼の血のみ。
そして血と力を分け与えられた生まれたての吸血鬼は 永遠に断ち切れぬ鎖に繋ぎ止められる]
(*111) 2014/02/08(Sat) 23時頃
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[化け物と呼ばれても>>*110笑みはただ深くなるだけだった]
化け物では無い。お前達の主人だ。 そしてお前達も同じモノになる。
[当然の様に言い放ち、改めて礼を口にする雛>>*113に微笑んだ]
お前もリーと同じく聡いようだ。
[零れる涙を指で拭い、そのまま口を塞いだ手をどけさせて]
(*114) 2014/02/08(Sat) 23時半頃
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私ではない。雛鳥の新しい誕生日に、最初の贈り物だ。
[あなた『も』と問うた雛鳥の贈り物に。 その首に牙と金の能力を突き立てた]
(*115) 2014/02/08(Sat) 23時半頃
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[悲鳴>>*121は人間への未練の様に尾を引いた。 とても耳に好い音に、牙を立てたまま嗤う]
どんな心持ちだ?
[制止の声>>*112>>*122もまた心地良く。 注いだ力の変化を確認する様に、 牙を離すと雛の顔を覗き込む。 わざと襟ぐりを晒しながら、交ざる金の色を見た]
(*124) 2014/02/09(Sun) 00時頃
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[金は紅へと、悲鳴は艶に。 確かな変化>>*127に同じ様に微笑み返す]
喉が、渇くのだろう?
餓えのままに喰らうと良い。
[雛鳥が近寄って来ても>>*125 渇きのまま彼に喰らいついても喉の渇きは癒えはしない。 もっとも、それでも面白いとは思っていた。 最初の食事が同じ巣で育った者達と言うのも一興だ。
餓えの命じるままに牙が何を選ぶかを見つめていた]
(*130) 2014/02/09(Sun) 00時半頃
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[酷くうろたえる様子>>*123が滑稽で仕方ない。 視線を孵った雛から離さずに]
牛や豚や鶏や魚を殺すのは蛮行でないと言い切るのか? お前もまた現実を見れぬ愚者と言う事か?
だが弁えた姿に免じて訊きたい事があるなら訊くが良い。
[答えるかどうかは気分次第だが]
(*133) 2014/02/09(Sun) 00時半頃
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ほう。安心しろ。これからも牛も豚も鶏も魚も食べる必要は無い。
[問われた内容>>*132>>*136に喉を震わせた。 雛でありながら、難しい言葉を使い、 権謀の一端を齧ろうとさえするようで]
小賢しい。 だがお前は這い蹲って必死に縋ろうとする様が私を楽しませる。 そう簡単に傍に寄れると思うな。
[近寄りたくても近寄れずに足掻けば良い。 その小賢しい頭で失脚を謀ろうとするなら、 それも退屈しのぎになるだろう。 ちらり、ホリーに視線を投げれば、意図は伝わるだろうか]
(*143) 2014/02/09(Sun) 00時半頃
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[水で潤う事の無い渇きに苛まれ、 同じ巣の雛の唇に近付く同胞>>*140に目を細める]
水では渇きは癒えぬ。
[渇きの背を押す様に、ヒントを与える様に自らの中指に牙を立てた。 切裂かれた皮膚から溢れる血は、嘗て雛鳥の意識を奪う 切欠になるものだったかもしれない。 だが変化した今は。 血の色は、香りは、どう作用するのだろう]
(*145) 2014/02/09(Sun) 01時頃
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[口付けの様に突き刺さった牙と、喉の動き>>*152に 拍手を送るべきかと迷ったが、今更片腕が無い事を思い出し 忌々しげに息を吐いた]
初の食事の感想を聞きたいところだが。 今はまだ完全ではない。 今のお前の喉を潤すのは、これだけだ。
[まだ乾きを訴えているだろうその鼻先に、 紅の雫を纏わせた中指を差し出した]
これを呑んでからもう一度喰らうと良い。 世界が変わる。
(*156) 2014/02/09(Sun) 01時半頃
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[飴玉を頬張る様に指を舐める雛>>*158を まさに親鳥の様に見つめていると、雛は囀りながら 牙を向けた>>*159]
たっぷりと呑むと良い。 お前の初めての食事だ。
[早々無いが肌を刺す牙と奪われる体液に昂揚してくる。 新しく生まれた同胞の存在に細胞の一片まで 喜んでいるようだった]
ようこそ、支配者の世界へ。
[どれだけ雛は啜っていたか。 満たされた様子を見せれば、その頭を撫でながら 身体を引き離す。 まだ雛達は残っている]
(*162) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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[そして次に牙を向けたのは幼子の目を隠す少女の背]
優しく気丈な振舞い。 そこの小賢しい雛とは違うお前が、あれよりもえらくなると良い。
[土下座をする雛の姿に声をあげる少女>>*163を そのまま抱きしめる様に右腕で捕えて、 最初の雛と同じように牙を立てた]
(*166) 2014/02/09(Sun) 02時頃
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[雛が牙を立てた首筋からは固まり切らぬまま血が流れ 力を注がれた少女を誘う]
お前が持ってきた水で癒えるかどうか試すと良い。
[雛を見れば、その喉の渇きを癒す方法は知れるだろう。 何より理性を越えた餓えが身体を動かす衝動となる。
衝動を止めた時に変わった己を自覚した少女は何を思うのか。
そして自分を守る様に傍にいてくれた姉の様な少女の変化を 間近で見る事になる少女もまた何を思うのだろうか。
嘆いても蔑んでも、辿る道は同じなのだが]
(*168) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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[切欠となった残る雛鳥に噛み付いても良かった。 だがあれはホリーと対峙していた1羽と縁がありそうだった。 それならば、もし再会する機会があるのなら。 ホリーと眷属として再会させてやろうと考えていた。
名を知らずとも本能で、鬼を祓う柊を避けたのかもしれなかった。 それと同時に、弱々しく見えるこの男と、 守られる幼子を前線に送りだしたかった。 火力としては不足に見える2人に無様に殺される家畜達は 見物だろう。
何処までも家畜からすれば、吸血鬼は悪趣味な思考しか 持ち得なかった]
(*170) 2014/02/09(Sun) 02時半頃
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涙を零す程嬉しいのか?
[やはり嬉しくて意識を手放した雛鳥をちらり見遣ってから]
私の祝杯を受取るが良い。 そうやって喉を鳴らして獲物を屠れ。
[涙と嗚咽の意味を少女が望まぬ方に捻じ曲げ笑う。 悲しげに笑う少女を美しいと目を細め、雛と同じく落涙に 指を伸ばして拭ってやった]
(*177) 2014/02/09(Sun) 03時頃
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さて、後はどうする。仲間達の餌にでもなるか?
[ホリーが直円を眷属に変えた事を確かめ、喉を潤した 少女が我に返った頃、残る3人に問い掛ける。 選択肢が無いのは判り切っているからこそ、余裕の体で 1つしかない道を選ぶのを待っていた**]
(*179) 2014/02/09(Sun) 03時半頃
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優しく弱い雛だな。確かに家族は大切だ。
[巣の雛達に強い意識を持つ言葉>>*188を聞くと 大袈裟なほど感動した声を上げて雛の前に立ち、 髪を掴み上げる]
祝福を受ければ全てがお前達の家族となる。
[絶対的な壁は崩れないが]
私の寵愛を受けている間は、多少の我儘は許してやろう。 例えば外で見掛けた家畜を家族にしたいと言うのなら。 お前達の頼み方次第では叶えてやるかもな。
[行方の絶えた巣の雛達と再会したなら。 生きていれば憎悪に燃えているだろう雛達を 更に屈辱の世界に引き込む事も叶えてやろうと]
(*188) 2014/02/09(Sun) 12時半頃
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家族を求めて血に塗れると良い。
[ホリーの傍ならば積極的に狩りに向かい、全身を、 心を紅く染め続けるだろう。 どこまで耐え、どう変わるか楽しみだと控えている ホリーと視線を交わす]
お前もしっかり学ぶと良い。
[眷属となった少女に庇われていた少女は何と答えたか。
死にたくない>>*161
それははっきりと届いていて。 後から何を言おうとも、それを盾にするだろう]
(*189) 2014/02/09(Sun) 13時頃
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お前も成長が楽しみだな。 外の世界を見て、多くを学ぶと良い。 優しい兄の事も心配だろう? 助けてやると良い。
[人殺しの]
[残酷な笑みと共に、少女から離れれば彼女もまた 項垂れた少年と共にホリーの眷属となる事が決定したのだ]
(*190) 2014/02/09(Sun) 13時頃
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[そして最後に最初の切欠を生んだ雛鳥へと向かう。 最初の時も今も。 全て灰塵と化すと判っていても足掻く様に悪態を吐く様子が たまらなく愉快だった]
元気の良い者は嫌いでは無い。 ただ頭の悪い者は好みでは無いな。 私が斃れる時が来るとでも思っているのか? 有り得んな。 それこそ天から樹が生え、地から雷が沸き上がる程有り得ぬ話。
[戯言を笑みと共に一蹴すると、金に変えた瞳で雛を覗き込む。 本来なら2人に祝福を与えた所で残りはホリーにやるつもりだった。 だが1つ思い立った事に、自らそれを破る事にしたのだ]
(*191) 2014/02/09(Sun) 13時頃
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勝負に勝ったお前に敬意を表して。 お前と言う家畜は今日死ぬのだ。 そして新たに絶対に殺されない地位を与えてやろう。
[宣言と共に首筋に牙を立てる。
眷属となった者は父が斃れない限り、命に背く事は出来ない。 その上で彼に命じる。
ホリーに付き従い、命に逆らわず仕える事。 ホリーに危害を加える者が現れれば真っ先に守り、戦う事。 そして万一ホリーが斃れたら。
その相手をその手で葬る事。
ホリーの眷属であればホリーが斃れれば支配下から逃れられる。 だが父が違う以上、呪縛は続く]
(*192) 2014/02/09(Sun) 13時頃
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『残りの雛が是非お前を襲ってくれると楽しいのだが』
[不確定の未来をこんなに待ち望んだのは初めてだと ホリーに語りかけた時の笑みはそれこそ邪悪そのものだった*]
(*193) 2014/02/09(Sun) 13時頃
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では新しい家族に祝杯を。
[全てが変わった後、用意された盃が配られる。 満たす紅は幾多の女の血酒。 祝杯を上げた後は、まるで興味を無くしたように踵を返し、 ホリーと他の吸血鬼達に世話を任せたのだった*]
(*194) 2014/02/09(Sun) 13時半頃
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[城には蔵書も遊具も溢れ、部屋も衣装も調度品も、 教育も最高のものが与えられる。
他の吸血鬼達は嫉妬と羨望の矢を突き刺していくが、 彼らの父を思えば穢す言葉1つ漏れてはこない。 ただ無音の視線だけが彼らを刺す日々が続いた。
変化したからと言って最初から狩りが出来る筈も無い。
眷属達に付けられた給仕達は食事の時間の度に 自ら血を流し彼らの空腹を満たそうとする。
拒絶や意識を手放す者も当然いたが、構う事は無かった。 飢餓が頂点に達すれば本能に逆らう事など出来ないのだから]
(*195) 2014/02/09(Sun) 13時半頃
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[諦めてでも進んででも、食事を認める様になった頃から 食事が滞る様になる。
代わりに彼らの周囲に頻繁に家畜が姿を見せた。 屈強では無い少女や子供達。 餓えの中、いつでも襲える家畜を放ち、狩りを促した。 獲物は徐々に変わって行く。 子供や少女から少年、老年に。 青年になればただ逃げるだけの者から武器を持ち、 抵抗する者まで。
ただいずれも城や支配の地の中での狩りの模倣。
それでも時々気紛れに、褒美として血を分けてやったりもした。
煮えた心を抱えて成長していく様は、 家畜があげる断末魔に似て心が躍る**]
(*196) 2014/02/09(Sun) 13時半頃
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− 最期と始まりと −
[紅の色が金に変わる。 父たる吸血鬼が祝福を与える時にのみ変わる瞳の色。
その色を見た雛鳥達は。 その時人間である生を終えた。
代わりに始まったのは永遠の生命。
変わり果てた己に耐え切れず逃げ出した者もいた。 だがそれも、城の周囲に住む家畜達に裏切り者と 蔑まれ石を投げられ逃げ帰って来たと言う。
報告を受けても玉座で愉快そうに始祖は嗤う]
良かったではないか。 これで己の立場を弁えるだろう。 次に石を投げた家畜達がどんな末路を辿るか楽しみだ。
(389) 2014/02/09(Sun) 18時半頃
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