189 とある結社の手記:8
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[眠っていたのだろうか。 気がつけば、いつの間にか部屋に入ってきた結社員が、 男の名を呼んでいた。
目を開ける。 開いた。
そこには景色があり、そこには結社員が立っていた。
男は頷いて、指示に従い広間へと移動した。 少年の処刑が宣告され、 今日は誰も殺されていなかったことを知った。]
(155) kokoara 2014/08/23(Sat) 13時半頃
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ハナを見た。 人間だったよ。 ……疑って悪かった。
[告げたのは事実だけ。 間違いのない、自分が見た事実だけ。]
[スージーから、結果を告げられることはあっただろうか。
それがどうあれ、ともかく今日、 誰も減らなかったことは確かだった。 安堵するにはまだ早かったかもしれないが、ほうと息を吐く。 男はハナに結果を告げる時以外は、 ほとんどを目を伏せて過ごした。]
(156) kokoara 2014/08/23(Sat) 13時半頃
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[処刑は終わった。 男に、重い紙切れが渡されることはなかった。 男は部屋の机に、尻ポケットでくしゃくしゃになった紙を置いた。 震えや弱音を散々吐き出して、笑って、ベッドに転がった。
その夜、男はスージーを”見た”。 激痛の中、人間の姿を確認して、肩の力が抜けた。
翌朝の暗闇を、呻きながら耐えた。]
(157) kokoara 2014/08/23(Sat) 13時半頃
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[いつも通りに笑っているらしいリーの肩を小突き、 >>135リーが頼んでくれた料理がくればそれを、 でなくとも食堂に残った何かや、ハナに頼んだ料理を詰め込み、 1週間を過ごした。 止められたって酒は飲んだ。
久しぶりに吸った外の空気は、酒よりも喉を焼くような気がした。 目に痛みを感じるうちは、まだ。 空を見上げると、痛みと遅れて、頬が濡れる感触があった。*]
(158) kokoara 2014/08/23(Sat) 13時半頃
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──解放された後──
[処刑台とやらを見ることはなかった。 近くに居た金髪の結社員に、 処刑された”人”がどうなったかを聞いた。 犠牲者がどうなったかを聞いた。
埋められたというそこへ向かうことはせず、自宅へと戻る。
明るい外から暗い室内へ。 用心深く出した足は置き去りになっていた家具を蹴ったが、 勢いがないぶん痛みもない。
結局持ち帰った手紙はくしゃくしゃのまま。 差出人の親に何か伝えるべきか考えて、 けれど渡すのも見せるのもおかしいからと、 何も、本当に何もできなかった。]
(159) kokoara 2014/08/23(Sat) 14時頃
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[男は、集会場に持っていったものの、 結局ほとんど手をつけなかった仕事道具の中から、 作りかけだったランタンの部品を手にとった。
それから数日、家にこもったまま、制作に没頭した。 手には幾つもの傷を作ったが、自分で包帯を巻いて続けた。]
(160) kokoara 2014/08/23(Sat) 14時頃
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[完成したランタンの内側には、少し歪んだ馬の図柄。
男は、作品を処刑された人間の納められた墓へと持って行き、 くしゃくしゃの紙に油を吸わせたものを、 中に入れて最初の火種とした。
火種はあっという間に灰になり、 男は見届け終えるとため息をついた。*]
(161) kokoara 2014/08/23(Sat) 14時頃
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──昔──
『ヴェスパタイン。
おまえはね、人間の中に潜む化け物を、 見ぬくことが出来るんだよ。』
[そう教えてくれた両親はしかし、 何の能力も持っていなかった。
けれど、父方の祖母は、占い師だったのだと。 彼女が、物心のつかぬヴェスパタインに、 能力を見出したのだと聞いた。]
(168) kokoara 2014/08/23(Sat) 15時頃
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[結社員だったという祖母は、 ヴェスパタインのため、多くの知識を遺してくれていた。 祖母の話を知った時、彼女は既に他界していた。
人狼。狐。妖精。悪魔。 物語にしか思えないそれらはしかし、 知識のとおりに試した”白昼夢”を見られた瞬間、 少年の中では現実に変わる。
人の中に、バケモノが潜んでいるかもしれない。 人と違うものを見ることを知ってから、少年は人を恐れた。 人との間に壁を求めて、髪を伸ばし、人と目を合わせなくなった。]
(169) kokoara 2014/08/23(Sat) 15時頃
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[やがて、手先の器用さから職人に弟子入りして街で暮らし、 たまに人を覗いては見たしょうもない夢を笑い話にかえていくうち、 少年の現実は、青年にとってバカバカしい夢物語へと変わっていった。
手記から学んだ知識は錆びついて薄れてゆき、 恐怖を忘れていくにつれて、男の”現実”での技術は積み重なり、 確かな自信へと変わっていった。
化け物なんかいやしない。 何を見ても、それは人間の姿をしていたのだから。]
(170) kokoara 2014/08/23(Sat) 15時頃
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[やがて、男は独立を認められた。 それなりの腕は得ても、対人関係の構築に関しては、 あまり立派と言えないレベルに留まっている。
どこの街へ行こうか、話に花を咲かせていた頃、 師匠の友人が遊びにやってきた。 人を小馬鹿にしたような笑みに反発を覚えたけれど、 それなりにしていれば、それなりの関係になれればいいと思った。
その翌日、師匠の友人が居なくなっていた。 捜索は行われたが、彼が見つかることはなかった。 歳に見合った立場だった彼の失踪は、街の中ではちょっとした事件だった。]
(171) kokoara 2014/08/23(Sat) 15時頃
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[あの夜に見た彼は”人間”だった。 化け物の仕業などではないだろうそれに、 できた協力は捜索の手伝いくらい。 効果を上げることもなく、ただ日は過ぎた。
その間、事件の噂が走るのは早かった。 嗅ぎまわる記者が大々的に出した記事のお陰で、 余計な疑惑は膨れ上がったらしかった。
無為な捜索に疲れきった男やその工房の職人たちは、 どこか静かな場所へ居を構えようと決めた。]
(172) kokoara 2014/08/23(Sat) 15時頃
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[この村を選んだのは、祖母の故郷だからだった。
人が消える湖。 飛び魚と白鳥。 霧の作る空白は静謐で。
なるほど、あんな物語を本気にしてもおかしくないなと、そう思った。*]
(173) kokoara 2014/08/23(Sat) 15時頃
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