40 おおかみさんが通る
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親方 ダンは、メモを貼った。
2011/01/01(Sat) 00時半頃
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―教会・墓地内―
[大通りの疳高い悲鳴はこの場所まで届く事はない。 だが冬の張り詰めた空気と交じる別のものを其れは感じていた。 虫の知らせじみた感覚に、表情をやや曇らせる。]
余り、いい年明けとは謂えんかもな。 用がなければ外出せずに、寝正月で過ごした方が佳いかも知れん。
[“人狼”などという噺も飛び出しているほどである。 先の軍人に話した通り、火の無い場所に煙は立たぬと其れは念う。 故に虫の知らせも相俟って、女へとそのような言を告げることとなった。]
(2) 2011/01/01(Sat) 00時半頃
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[そう、悲鳴はこの場所まで届くはずがない。 普通の人間ならば聞き取れるはずもない。 其れが表情を曇らせたのは、耳に疳高い悲鳴が届いていたから。 其れは溜息を口端に、眉を潜めた。]
いい年明けには、なりそうもないな。
[呟いた言葉は白い雪景色の墓地の中、眠るような静寂に吸い込まれていくばかり。]
(*0) 2011/01/01(Sat) 01時頃
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何故、か。 説明しろと謂われると、難しいものがあるな。 厭な予感がするだけだ。 悪い事は謂わん、外出は出来るなら控えた方がいい。
この手の予感は外れた事がない。
[口端に毀れた小さな溜息は、景色に吸い込まれるように白く濁った色を溶かした。 女の丁寧な礼に対しては一つ頷くのみ。 開かれた傘を目にすれば、眉根を寄せた表情をして見せた。]
冷えるぞ。
[からりと下駄が鳴る。 踵を緩やかに返し、名乗りもせずに背を向けた。]
(8) 2011/01/01(Sat) 01時半頃
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親方 ダンは、メモを貼った。
2011/01/01(Sat) 02時頃
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―大通り―
[背を向けた女はどうしただろう。 言通りに教会へと戻るならばそれが吉。 聞かずまだ外に居るようならば特にそれ以上は注意を語ることなく。 其れは臙脂を天に広げ、からころと緩やかに歩みを進め始めた。 その足は必然か街の大通りへ、人だかりへと向かっていく。 若しも女が背をついて来たならば、“人狼騒動”となった大通りへ訪れているやも知れず。]
…やれやれ、騒がしい年末だ。
[其れは感慨もなく呟いた。 正義感に駆り立てられた女生徒が聞いたなら、なんと無関心かと歎くだろうか。 人だかりをやや避けるようにして下駄の足音は進んでいく。 丁度その人だかりを見つめる針子の女と、女生徒が見えている方向へ。 からころと響く音は落ち着いた、それこそ降りしきる雪に似た音であった。]
(14) 2011/01/01(Sat) 02時半頃
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親方 ダンは、メモを貼った。
2011/01/01(Sat) 02時半頃
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[翡翠に捕らえられた其れは、自然と同じく眸を向ける。 矢張り足音は緩やかに、鮮やかな臙脂の唐傘を広げてやって来た。 蝙蝠傘が主流になった文明開化のこの御時世、鮮やかな唐傘を広げる其れは幾らか珍しくあった。 時代遅れの唐傘屋として其れの名は町で通っている方であったが、針子の女や或いは女生徒が其れを知り得るかは解らぬ事。]
お嬢さん方、見ての通り人狼騒ぎだと。 雪も深くなりそうだ、野次馬も程々にしときな。
[女子供と列べば長身の其れは見下げる形になるだろう。 威圧感だけは与えぬようにと心配りはしているつもりだが。]
(17) 2011/01/01(Sat) 03時半頃
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[どおりで、そう謂われても失礼に感じる程の繊細さはなく。 不愉快に念う事もないままに其れは頷いた。
ただ、お嬢さんではないとの言には少し言葉を飲んだ。 其れよりも若い故にお嬢さんと呼びはしたが、確かに年頃の婦女子にその呼称も失礼だろうか。 幾らか悩んで…]
翠さん。
[そう、名を呼んだ。 生まれも育ちもこの町である其れは、翠を古くから知る者でもあった。 特別な、と謂うよりは週に幾らか顔を合わせる程度であり、翠が女学生の時分は朝に挨拶をする程度であったが。
其れと女生徒へと一瞥する顔を見て、促されるように視線を向けるのは人だかり。]
(20) 2011/01/01(Sat) 05時頃
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何もなけりゃ騒動にはならん。 人狼が居るにせよ居ないにせよ、用心するに越したこたねぇ。
[先の墓地の女と同じように忠告を済ませると肩に乗る雪に目が往ったか、唐傘をそっと翠へと渡した。 大の男が雨よけに使える程だ、女二人程綺麗に隠れてしまえるだろう。 騒動に加えてのこの寒さ。 未だ、ともあったし女生徒の様子から見て直ぐには立ち去らないかと推測した後の事であった。]
体、冷やさんようにな。
[傘を貸すともやるとも謂わず、其れが口にするのはそんな事であった。 女二人に背を向けると、また異彩な音を響かせて緩りと歩き出す。 臙脂の唐傘なく、袴の肩に降り積もる雪は少しだけ溶けて少しだけ残っている。 気にする様子もなく、からころと向かうのは店の方向であった。]
(21) 2011/01/01(Sat) 05時半頃
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―唐傘屋、兼自宅―
「親方、傘どうしたんスか!」
[店に帰ってから飛び込んで来たのは住み込み弟子の青年のそんな言であった。 手ぬぐい片手に肩の雪を払いながら、店の戸を閉める。]
売れやしねぇ傘の一本、どうしようが勝手だろう。
[弟子は、そうやっていつもいつもと愚痴を毀している。 其れは右から左へまるで頭に入れぬようにして店より奥へ、自宅の囲炉裏のある方へと進む。 部屋は外に比べ格段に暖かく、質素ではあるが年を越す準備も整っているようであった。 年越蕎麦を忙しなく用意する弟子の止まらないお喋りをただただ無言で聞くばかり。]
……今日より冷えるぞ、明日は。
[雪景色の立てる音に少し目を細めた。 この後、起こるであろう事を懸念しているように**]
(22) 2011/01/01(Sat) 06時頃
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親方 ダンは、メモを貼った。
2011/01/01(Sat) 06時半頃
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―元旦・大通り―
[晦日は何処の家とも変わらぬ風景であった。 住み込み弟子と共に除夜の鐘を聞き、蕎麦をすすり、軽く酒を飲んで、初夢にと床につく。 元旦も例年変わらず、初詣にとやって来たところである。
華やかな着物、或いは煌びやかな洋装に身を包んだ女性と擦れ違う。 その度、此方は方や四十路も迎えようかというむさ苦しい男のみ しかも時代遅れと呼ばれる己が隣に居ては、恥ずかしいのではないかと念う。 住み込み弟子に親は居らず、今日のような雪の日に拾って側に置いたものだから半ば親代わりの心境でもあった。 己に妻でも在れば変わって来るのだろうが、どうも其れに縁はなかった。]
年玉だ、少ねぇが御神籤でも引いてこい。
[袂から幾らか気持ちばかりの札を握らせた。]
(37) 2011/01/01(Sat) 17時頃
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[参拝も終わり弟子とはその場で別れを告げる。 其れはいつもと変わらぬ袴姿で、からころと下駄を鳴らして緩やかに歩く。 人込みに下駄の足音は掻き消されてしまうが。
参拝客の女生徒達が嘲笑と共に口々に呟く“唐笠爺”の呼び名。 特別不快に念う繊細さは、矢張り其れは持ち合わせていなかった。 だが傘を売り歩くなどと謂うことをしたことはなく、臙脂の傘を広げて歩く様が女生徒にはそう見えたのだろうかと。 噂話なんてそんなものだろうかと考えるに至るだけであった。
人狼の噂もそうであれば、と念う。 火の無い場所に煙は立たぬ。 けれど野犬や何かから、そんな噂話になったのなら、と。
ふ、と。 考えを張り巡らせて居たならば、視界には先日の女生徒の姿が在った。]
(40) 2011/01/01(Sat) 17時頃
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親方 ダンは、メモを貼った。
2011/01/01(Sat) 17時半頃
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[噂話になったなら、と念うがおかしな事であろうか。 噂に上る“人狼”が、己自身であると謂うに。
滑稽であろうか。 戯言であろうか。
けれど其れは、矢張り他人事のように“人狼騒動”を眺めていた。]
………。
[耳はよく、鼻もよい。 こびりつく赤黒の鉄の臭いか同族の匂いか、嗅ぎつけたのはどちらだろう。 此方が認識したのなら、互いに其方も認識したはず。 擦れ違う下駄の音に季節外れの着物に、黒檀を向けて無言刺す。
眉根潜め、珍しく険しい顔であったか。]
(*3) 2011/01/01(Sat) 18時頃
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[擦れ違う人込みの中此方を向く視線が在った。 振り返り送る視線、眉根を寄せて珍しく険しい顔付きになったのは元旦眩しい初日の所為か。 言葉をかけるでなく、またかけられるでなく、其れは視線を女生徒へと戻した。
だからとて話し掛けるに至る理由もなく。 先の対応からして其れ自身がよく念われていないのも解っている。 からころと鳴る下駄の足音をなるべく響かせぬようにして、暖をとる為と近寄るだけだった*]
(42) 2011/01/01(Sat) 18時頃
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親方 ダンは、メモを貼った。
2011/01/01(Sat) 18時半頃
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明里か。
[大通り、響いた聞き慣れる声に目を向ければお転婆少女が雪遊びに勤しむ姿が映った。 今日も変わらず元気そうな姿に、無意識に頬も微か緩もうか。]
余り薄着で居るな、風邪を引くぞ。
[いつものように、お節介な言を謂うた。]
(44) 2011/01/01(Sat) 18時半頃
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[不思議な唄が風に乗る。 唄の歌詞まで鮮明には聞き取れぬ。]
同族、か。 “人狼騒動”は彼奴の仕業か。 …どちらとて構わん。
平和に暮らせれば、それで佳い。
[其れはただ積もる雪の反射に眸細め。 夢物語のような言を呟いた。]
(*5) 2011/01/01(Sat) 21時半頃
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[“平和に暮らせれば” それこそなんと滑稽な言か。 世迷言か御伽話か、そんな類だろうか。 下手をすれば己でも嘲笑が毀れよう。
人の肉の味を知らぬ訳ではない。 腹が減らぬ訳ではない。 この町で人を襲った事が無いと謂えば嘘になる。
極力襲わず、極力腹を減らさずに。 事に及ぶなら人の寝静まる深夜。 上手く立ち回る度に、己の性に嫌気がさす。 平穏を望む、それが難しい事であると解るから尚。]
―――――。
[吐き出した言は葉なることも赦されないのか。]
(*8) 2011/01/01(Sat) 22時半頃
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[明里と、或いは女生徒と何か言葉を交わしただろうか。 幾らか時間が過ぎた後、下駄の音はまたからころと歩み始めた。 その手に臙脂の傘はなく。]
雪が白いなぁ。
白い雪に、蒼い宵、満月を拵えて…狼でも描いた傘でも造れば売れるかね。
[そんな独りごち、からころ緩やかに通りの奥へと消えて往く*]
(47) 2011/01/01(Sat) 23時頃
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[町に満ちる声、満ちる声。 久しく聞かぬ狼の声。 耳に、神経に、頭に、心臓に、ビリリと駆ける。]
ぅ… ぁ…
ウォ――――……ン……
[何時ぶりにか出した遠吠えは低く高く響く音。 届くだろうか、呼応出来たろうか。 平穏願う心の隅に、消せぬ獣の血が騒ぐ。]
(*10) 2011/01/01(Sat) 23時頃
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―大通り・奥―
[久しく出した遠吠えに、肩は揺れて息は幽か上がる。 歳もあろうか、或いは興奮抑えられぬ所為か。
呼応するには訳もあった。 矢張り其れの意思は変わらず、平穏願うもの。 己ではなく先の遠吠えの主か、将又他に未だ狼があるのか知らぬが“人狼騒動”を起こしてしまったのは事実。 警鐘打ち鳴らされたこの町に、無事過ごすには互いの手助けも必要になるだろう。 最悪の場合は―――。]
(*13) 2011/01/01(Sat) 23時半頃
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他に仲間が居ろうとはな。 人の成りをした狼…―否、狼の如き人やも知れぬ。 獣のオオカミの類ではない事は確かだろうな。
[呟いた言葉はその耳へ意外なる音を届けたか。 あの大人と念わぬ者の声が低く緩やかに聞き取れよう。]
あの騒ぎは此方ではない、見付かるようなヘマはせん。 あれは其方ではないのか?
[違うのならば他にも居ろうか。 ただの野犬の仕業だったのだろうか。]
(*14) 2011/01/01(Sat) 23時半頃
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…はじめまして、新年明けましておめでとう。
[声の主は何やら飄々と掴めぬ思考のようである。 同じ類と謂っていたが、狐に化かされて居るんじゃないかとさえ念う。 が、俗世に馴染んで長い其れは挨拶には挨拶で返してしまう。 律儀と謂おうか、堅物と謂おうか。]
然様か。 其方だとしても此方だとしても、騒ぎとなっては最早問題はそこに在らず。 今以上に住みにくくなる、その一点のみ。
[責めるつもりはないのだが、責める様な物言いになってしまっただろうか。 さて、これからどうするのかと無言のままに問う。]
(*17) 2011/01/02(Sun) 00時半頃
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そうか。 人を喰らうを止める気はない、本来の姿なればそれで佳い。 此方が平穏に暮らせるならばそれで構わん。
だが、そうさな。 其方が宜しいならば、危うくなったら頼るなり使うなり。 鬱陶しいやもしれぬがな、同種に会うのは…いや、まだ声だけであるが久しい事に代わり無い。 こう…なんだ……いや、止しておこう。
[懐かしき遠吠えに、同種の声に、謂いかけた言は途中で切った。]
此方も動かぬ訳ではない。 安穏脅かすが人間たれば、喰うまでせずとも襲いはしよう。 そう、ならぬが願いだが。
[其れは少しだけ哀しげな音で、そう呟いた。]
(*19) 2011/01/02(Sun) 01時頃
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会うなれば、町に残る時代遅れの唐傘屋。 わからなければ女学生にでも「唐笠爺の住は何処ぞ」と聞けば直ぐにでも教えてくれようぞ。 その時、後ろ指さされる事になるやも知れんが。
耳も尻尾も失さした狼でよければ訪れるといい。
[からり、響くは下駄の音。]
(*20) 2011/01/02(Sun) 01時頃
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―教会―
[からころと緩やかな足取りは何かを求めるでなく、散歩のままに教会付近へと向かう。 積もる雪の白さに、新しい傘を造る算段を浮かべながら。
ふ、と見えるは先日忘れた本を渡した女であるか。 目を細め、確認するように緩りと下駄の音が近付く。]
お嬢さん、明けましておめでとう。
[気の利いた言は紡げぬが、挨拶くらいはいいだろうと。 己が言葉に寂漠感に囚われているとも知らず。]
(50) 2011/01/02(Sun) 01時半頃
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親方 ダンは、メモを貼った。
2011/01/02(Sun) 01時半頃
親方 ダンは、メモを貼った。
2011/01/02(Sun) 01時半頃
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―少々の回想―
若い時は寒さなんか感じやしなかったかもな。 まぁ、若かろうが歳老いていようが寒さ厳しい時節に風邪は付き物だ。
[暖を取りに行くと聞けば、頷き一つ返しただろう。]
傘は、構わん。 必要なれば店から一本持ち出すさ。
明里もはしゃぎ過ぎて転ばんようにな。 年頃の女子なら慎ましやかに。
[要らぬ小言を返すも、念うてのこと。 そんな会話が在ったのは幾らか前だった。]
―回想・了―
(56) 2011/01/02(Sun) 02時頃
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―神社前―
初詣行きゃしねぇのかい?
[なんともなしただ疑問に念うだけであった。 内の弟子は正月になると喜んで初詣に出掛けると謂い出すものだから。]
しかしどっか不思議だな。 異人さんの小綺麗な面して、口から出るのは内の言葉とは。
…いや、なんだ…済まない。 悪い意味では無いんだが。
[余り会話はうまい方でない。 其れは話を繋ごうとしたのだが、どうも誤解されがちな言を紡いでしまったようであった。 直ぐに否定してはみたものの。]
(58) 2011/01/02(Sun) 02時頃
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ダンは、困ったように言を紡げずに在る**
2011/01/02(Sun) 03時頃
親方 ダンは、メモを貼った。
2011/01/02(Sun) 03時頃
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天主教、か。 詣でられぬは少し残念だな。
異国の血が交じるか…此方は見るまま内の人間だ。 考えも成りも古い、少しは新しいものに交じればいいのだが。
[やわらぐ、くるりと変わる表情に其れの頬も少しばかりか緩みを見せる。 名を問われれば、そういえばと此方も返し、]
壇 和彦。 少し向こうで唐傘の店を出している。 七緒さん、か…いい名だ。
[袂に腕を入れて組み、暫く。]
……外様の言葉で新年の挨拶とは、どうするんだ?
[と、呟いた。]
(68) 2011/01/02(Sun) 12時頃
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[聞き慣れぬ言葉を耳で拾い、差し出された右手に右手を差し出した。
時代遅れの唐笠爺も外の文明が嫌いな訳ではない。 急速な変化が苦手なだけなのである。 それと、古くから在る己の愛国心や職人気質。 長い間続いてきた古来のものが忘れ去られて行くのが厭なだけ。 新たな文明に、唐傘が霞んでいくのが哀しいだけなのである。]
はっぴ、にゅいやー……七緒。 [目の前の異国交じる女がにこりと笑うのを見て、同じく其れも微笑んだ。 其れはただ、外の方法で彼女に挨拶をした方が礼儀であるかと念ったと同時に、その方が彼女が喜ぶかと念ったのだ。
握った手は暖かく感じてもらえただろうか。 抱きしめる事を止されたとは知らず。]
(71) 2011/01/02(Sun) 15時半頃
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済まん、上手くないな。 にゅーいやあ…、伸ばすところがな、如何せん。
[手を握ったままRの発音に自ずと苦笑した。 繋がれた女の指は其れと違い滑らかな皮膚をしている。 初めの印象では硬かった表情も少し柔らかに感じて取れた。 与える印象は其れも同じやも知れず。]
そうだな、暖まっていった方が佳い。 此方は店のこともあるのでな。 今年も宜しく頼む。
[一度礼をして離れ、下駄の足音は店へと去っていく。 女学生達に嘲笑されながら、焚火に当たる女生徒の望むようにその場を離れ**]
(74) 2011/01/02(Sun) 18時半頃
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親方 ダンは、メモを貼った。
2011/01/02(Sun) 19時半頃
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