94 眠る村
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……待てるうちにって、言っただろうサ?
[喉奥から絞り出すかの声に、小男は笑う。
悔しげに机を殴る、その仕草に男は目を細めた]
待って…やりたかったが、ねえ。
当たり前さ。死にたかったわけじゃあない。
が……。…生きて楽しいことがあったわけでも、別にない。
あんたの連れた小猿は、毎度煩いし、
…ああ、ブローリン?
…───けどちょっと、たまに少しはおかしかったねえ?
[仲が悪いようで良いと評された男へ、押し殺した笑い声が響く]
…。許しゃしないサ。
あたしらを、こんな風にしたのは人狼だ。
それを許すことは、あたしはしない。
けどまあ、
…こんな風に、存在を確認してみるのも、
悪くないと、ちょっとは思ってしまうのサ。
はみ出しものの、性さね。
[くつりと、生前に強いよすがを持たなかったと思う男は、
惜しむらしき幾人かの表情に、どこか満足げな表情を浮かべて見せた*]
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[シメオンはクリストファーを人と言う。 ハナはクリストファーを人狼と言う。 ティモシーはフィリップを人狼だと言い、 ブローリンはラディスラヴァとハナが人だと言う。
ぐるり、巡る思考。 ひとつ、気になることがあるとしたら]
ティモシーさん、
クリストファーさんが、人狼じゃなかったって
おどろいて、た……
[どう捉えても嘘をついてるのは人狼だけじゃない。]
(47) 2012/06/17(Sun) 01時頃
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[考えるほど、 わけがわからなくなる。
チラ、とブローリンをみた。 二人分、人という結果を引っさげて告白した彼を。
信じたくなるのは、 人、という結果に甘えたいだけなのか――
思考を奪うのは、やがてあらわれる*深い霧*]
(49) 2012/06/17(Sun) 01時頃
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――ん、
[体が痛い] [同僚の声に徐々に意識を取り戻せば、ラディスラヴァの部屋を尋ねられ、寝起きの頭で少し考え場所を伝える。]
……、 生きてる
[両手を眺め、動かしてみる。 二人がラディスラヴァの部屋へと向かうのに、少し遅れてついていくと――]
(66) 2012/06/17(Sun) 13時頃
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クラリッサは、二人の様子に、廊下の端で足を止めてしまう。
2012/06/17(Sun) 13時頃
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[誰かが また誰かが、 死んでいる。]
……、 ぁ
[ブローリンの声が聴こえた。 赤に包まれる彼女は―――彼の従兄弟のラディスラヴァ。
ゾ、と背筋を這う寒気。 廊下までゆうに届く血の香り。 揺り動かされるのは、脳。]
(68) 2012/06/17(Sun) 13時半頃
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ああぁぁぁあぁああぁぁあぁぁぁあぁあああ!!!
[廊下から、 叫び声ひとつ、あげて]
[駆け出した。]
[ラディスラヴァとハナと3人でつくったクッキー、 ラディスラヴァから祖母にともらった石けん、 クリストファーからもらった祖母の大好きなお茶、
全て置いたまま、祖母のもとへ。]
(69) 2012/06/17(Sun) 13時半頃
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― 祖母の眠る寝室で ―
[家の扉も開け放したまま、 息をきらせて 祖母の部屋へと訪れる。]
おばあさま、 おばあさま、
[祈るように、床にひざをつき]
おばあさま―――……
[頭をベッドに乗せ、祖母の手をぎゅっとにぎる。]
たすけて、 こわい、 おばあさま――…
(72) 2012/06/17(Sun) 13時半頃
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[常日頃から、感じる香りじゃない。 むせ返るような血の臭いを恐怖に感じたとて無理もない。
ヨーランダが死んだ時は厨房から動けなかった。 初めて近く感じる血の出所が、知っている人間となれば――恐ろしくなったとて無理もない。]
私、
[けれど、 部屋の中を見ていなくとも、 血の張り付く彼女を寝顔を思い出せるのは――。]
こわいよ、――…っ
(73) 2012/06/17(Sun) 14時頃
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クラリッサは、人の気配に、ビクリ、体を震わせた。
2012/06/17(Sun) 14時頃
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……――、はい。
ラディスラヴァ、さんが…
[それは、彼女の寝室。 部屋割りを知っている少女は中を見なくても知っている。
振り返らない。 祖母の手を握ったまま、背のティモシーへと応える。]
(77) 2012/06/17(Sun) 14時頃
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……はい、
[また若いもんが――強く目を閉じて、]
ぇ…、 あ、 ティモシー、さん
[食われなくて嬉しい――告げるティモシーの声に、 ナタリアの汗を拭うすがたに ゆっくりと振り向き]
はい、 大事に、 …大事に、 ――使わせていただいてます。
[酒場の客と、よく怪我をしている少年と、 たまに失敗する自分や同僚や――他にも、他にも。 埃を被る事もなく、毎日。]
(79) 2012/06/17(Sun) 14時半頃
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[――昨日、呪いを向けた相手と。 食われなくて嬉しいと、言われ、部屋で二人きり。]
…はい、 聞いたことが、ありました。 よく、怪我をしてきたと――しょうがない人ねって。
[フィリップの怪我の手当をよくするようになった頃、そう笑いながら語る祖母の話をおもいだしては、重ねた。]
……やっぱり、 嘘、だったんですね。
[涙をこらえ、話す老人。 祖母から漸く手を離し、その背に触れれば震えていた。]
何故、そんなことを……。 私、 私、 あなたを、呪ってしまった。
[頬伝う涙――誰もが、誰も呪いたくないはずで。]
フィリップくん、も、誰かにきっと呪われた…… 誰も、 誰も得をしない、 嘘です
(81) 2012/06/17(Sun) 14時半頃
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でも、だったら、 ハナちゃんは――
[ハナをかばうティモシー。 ハナが人狼だと言ったクリストファーが人間で、 そのハナを人間だと言うブローリンが居て。]
……、やはり、 見間違えた、のか それとも、発作的なもの――…?
私は、貴方を呪ったのに、 孫、と言って くださるのですか――…
[充血した老人の目。 きっとこれは、家族を守る為の苦悩の重み。]
(96) 2012/06/17(Sun) 15時半頃
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"私"に、 誰かが救える なら。
[そう告げてから、祖母へと視線を戻す後の女の目つきが変わったことに、きっと老人は気付かない。]
[やがて彼が立ち去った後、ナタリアの髪をことさらやさしく撫でながら]
クラリッサに、救えるなら ね――。
[たたえる笑み――それは、ほんの一瞬のこと。]
(97) 2012/06/17(Sun) 16時頃
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[遠のきかけた意識を戻すのは、ブローリンの声で]
……ぁ、 私は、無事です。
[死んだのは、彼の従兄弟。 声が 震える。]
(98) 2012/06/17(Sun) 16時頃
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クラリッサは、シメオンに話の続きを促した。
2012/06/17(Sun) 16時頃
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[倒れただけの傘、びくり、と体を震わせた。]
……、 待って、
[何も応えない、眠ったままの祖母―― 怯えたような瞳は、惨劇にか孤独にか、彼を引き留める]
ぁ、 ごめんなさい
[言ったものの、つい謝るのも控えめな娘ゆえに]
(101) 2012/06/17(Sun) 16時頃
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……ごめんなさい、 ブローリンさん の方が、きっと、 辛いのに。
[大事な人を失って尚、自分のためにかニィ、と笑って呉れるその人に、けれど、這うように、たどり着き]
一人、に しないで
こわい
[こわい――ヨーランダが死に、クリストファーは灰になり、ラディスラヴァも死んだ。 怯えるのは――。]
(103) 2012/06/17(Sun) 16時半頃
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私は、昨日…… ティモシーさんを、呪いました。 でも、死ななかった――……それにホッとしている。
[殺したくない、死にたくない、 そんな、誰もが抱える望みを抱けない今――]
クリストファーさんを、呪った人はきっと、 その重さ、抱えてる。 ――殺すのは、怖い。
[撫でられる肩、びくりとしたのは最初だけで。]
……、悪い夢を、視たの ラディスラヴァさん、が 死ぬ夢
[光景を見た、だけならば―― 予知夢という加護、がもしかしたらあるのかもしれない。 けれど、語らずも生々しい記憶は、視覚だけではない。]
(106) 2012/06/17(Sun) 17時頃
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[ハナを、ラディスラヴァを、人と言った彼。 視てやる、と言われて――はっとする。
こわい。 自分が自分かわからなくて、怖い。 人だと知れれば安心だ。
けれどもしそれで、 もし、自分が狼と、言われたら?
――知ることにさえ怯えながら、 ふいに、意識が遠くなる心地して、記憶は―――]
(108) 2012/06/17(Sun) 17時頃
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……、 私、勝手だ――。 知る ことも、 怖いなんて。
見破れる、って言った人が、3人もいるのに どうして、かな――ブローリン、さんを 信じてる。
[でも、 だから――]
人だと、言って呉れたら―― きっと、不安が一つ、消える。
でも、 もし―― 貴方の口から、 悪い結果が、 聴こえたら、私
[はらり、 涙が流れる。 追いつめられすぎた、控えめな女の声。 彼の服を、ぎゅう、と掴む右手。]
(109) 2012/06/17(Sun) 17時半頃
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[掬われる涙、あとからあとから、彼の指を濡らす]
待つ――…、?
[結果に、いかほどの時間がかかるのかは知らない。]
……、 大丈夫、大丈夫――
[唱える、小さな口癖。 彼の言葉を受け容れ、自分に、言い聞かせるように。
撫でられれば、余計に溢れる雫。 服を掴んでいた手は、 膝立ちのまま神に縋るように、男の胴を抱いた。]
……待ってます、 ブローリンさんの、こと。
(113) 2012/06/17(Sun) 17時半頃
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……――有り難う、 ござい ます、
[男に縋るまま、服の染みはどんどんと増えるけれど 落ちて来る低く優しい声――背をあやす、手。
一度閉じて、開いた目は―― 男に顔をつけたままきょとりとしたけれど。
このまま甘えるように、不安を吐き出すように、 ぼう、とする頭で泣き続けた。
――やがて泣きつかれて、意識が落ちる*まで*]
(119) 2012/06/17(Sun) 18時頃
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―眠りに落ちるまで―
[ケヴィンがクリストファーに掛ける言葉に。
驚いたように眸を瞠目く。
止めることもできずに、ただそのまま見詰めて]
――クリストファー……
[青い炎が上がるのが菫色に写った。
呆然と、それを見詰めて]
[従兄弟の上半身が揺らぐのも視界に入らぬままに、呆然と消えた炎を見詰めていた]
そん、な……
[シメオンの行動すらもただ見ていることしか出来ず。
それに憤る従兄弟の傍に近寄った]
ブローリン……
[案じるように名前を呼び。
けれど何も出来ないまま。
ケヴィンがティモシーに手を伸ばすのに。
視線をそらし。
従兄弟が、つげた言葉にはっとしたように顔を向ける]
[従兄弟を信じている。
それだけはかわることはなく。
ただ、この言葉のせいで、彼が狙われる事がなければいい、と願った]
[それ以上、食堂にいるのはきつくて。
先に客室へと引き上げたのは何時ごろだったか。
それすらももうあやふやで――
ベッドに倒れこんで、そのまま霧がもたらす眠りにおちた。
それが、二度と目覚めない眠りであるとは知らぬまま]
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ん……
[大きな音がして、開けた視界には天井。 ――ややもすれば、そこが店の長椅子だと気付いて。]
……――?
[空気の悪い、店内の渦中の人間は、ハナ。 ゆっくりと身を起こせばハナを見て。 状況を把握しようと周囲に視線を流し、またハナを見る。]
(171) 2012/06/17(Sun) 22時半頃
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[ハナの様子があまりに別人すぎて、思わずブローリンを見る。
ティモシーは家族を守るために嘘をついたと知っている。 つまりフィリップは、何の判定もされていないことになる。 そしてクリストファーを人狼だったと言う者はいない。]
ハナ、ちゃん――…… どうしてこんな、 人間、 なんでしょ……?
[嘘をついた少女。 今は10歳と思えぬ大人びた言葉で。 ティモシーの嘘も苦悩も、砕かれたかのよう。]
(180) 2012/06/17(Sun) 23時頃
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クラリッサは、ハナに話の続きを促した。
2012/06/17(Sun) 23時頃
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[頬打つ、 乾いた音。]
……ティモシー、さん
[へたりこむ老人に、思わず駆け寄る。 なおも笑う少女に顔をゆがめて]
ハナちゃん、やめて―――…… ティモシーさんが、どんな想いで
[嘘をついたか――――、とは 言えず。
それ以上、口も挟めず、語ることも出来ずに口を*噤んだ*]
(187) 2012/06/17(Sun) 23時半頃
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