158 雪の夜に
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[ヒューも、恐らく荷物を取りに戻って来るだろうが、 再びこの場所に近付くのは好ましくはないだろう。 と、彼が去った方に少し歩いて、通りに出た。
裏道を使うのでなければ問題なく落ち合えるだろう。 何せ魚カゴを担いだ赤い男って相当目立つんじゃないか。]
(60) 2013/12/22(Sun) 18時頃
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いや。……そっちこそ大丈夫か。
[戻って来たヒューに、軽く手を振って見せる。 差し出された腕に棒を渡そうと身じろぎをして、 しかし、それを果たす前に、少しばかり考えた]
これ、どこに持ってくとこだったんだ?
[向こう? と、坂を上る方を指して、つま先を向ける。]
(62) 2013/12/22(Sun) 18時半頃
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あ、そうだったのか。
[ひとつ得心して、頷いた。 そして歩き始めた。]
どうした? 行こうぜ。なら、道は同じだろ。
(64) 2013/12/22(Sun) 18時半頃
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[まさか、魚を減らした疑いが掛かっているとは思わず。 (何せ鮮魚だ。) 怪訝な視線には気付いていたが、かといって、 命じられなければカゴを返すということもない。]
俺らのメシって言っただろ。
[理由はそれだった。]
あんたは……あの男とは何か、縁があったのか?
(66) 2013/12/22(Sun) 19時頃
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ヤニクは、ヒューの無気力そうな声に一度、そちらを見遣り、
2013/12/22(Sun) 19時半頃
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そっか。
[昨日、見掛けただけの自分よりは何か、 もっと悼んだりするような事があるだろうかと。 そんな想像をしたけれど]
[冬の日の出は、やがて遅く訪れる。 道端や屋根の雪が、朝日に照り映えて眩しい時間になる]
(68) 2013/12/22(Sun) 19時半頃
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[昨日来たばかりの旅人と、そう変わらないと言う。 ヒューが特別人付き合いを避ける性格なのか、 死んだ男がそうだったのかは、はっきりしない。
ただ、セレストがヒューを仲間と言っていた事は覚えていた]
……あんたは、他の住人とちょっと感じが違うな。
[立ち寄る船人すらこの町の温かい気質を気に入っている、 そんな印象を受けていただけに、少し意外だ。]
ええと……何だ。根を下ろしたがらない、感じ?
(70) 2013/12/22(Sun) 20時頃
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……あぁ、それで。
[航海に、片腕が利かない人間は難儀だろう。 船乗りが船に乗れない――あるべきようにあれない、 その苦痛というか虚脱というか、ままならなさを、 ぼんやりと思い描く事が出来た。]
1年、あの船の戻りを待ってたのか?
(72) 2013/12/22(Sun) 20時半頃
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あぁ。良いと思うよ。
[待つ者の感慨を旅人が知る事はないが―― そういう意味では、これは他人事のような科白だけれど、 待つ者がいる分だけ帰りを望む者がいる事も確かだ。 笑みには微かに苦いいろも溶けるものの]
どういたしまして。
[とれたての魚介が宿の皿を彩る様子を想像して、 にっことした笑みを戻してカゴを返した。 ヒューが裏口辺りから魚を届けに消えるのを見届けると、 短い間、遠方に視線を遣る。
喰い殺されたという遺体のあった方角だ。]
(75) 2013/12/22(Sun) 20時半頃
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[逃げろ、と叫んでいた男が殺された。
束の間、検分した限りは確かに喰われたような傷だったが、 野犬の類にしては場所の説明が難しい。
仮に、山で火事なり地崩れなりがあったとして、 食うに困った獣が町に下りたところで、 あの裏路地まで入り込むだろうか。
それよりは――]
人狼。
[その方が、説明がついてしまう。]
(77) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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[それが事実なら。 上手くすれば、自分の手で突き止められるかも知れない。]
(81) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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[だが、他人に知られれば、自分の身を危うくするだけだ。
恐らく、この事件は大きな騒ぎになるだろう。 誰にも悟られないように、火の粉が掛からぬ内に、 事態を収拾する事――]
(83) 2013/12/22(Sun) 21時半頃
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ヤニクは、裏手から派手な音が聞こえた気がしたが、と視線をやる。
2013/12/22(Sun) 22時頃
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[裏手からの、何かの物音に想像した図は、 せっかくの魚介が裏口にぶちまけられているという 目も当てられない凄惨な光景だったとか。]
……まさか、なぁ……
[こてりと首を傾げつつ、ひょいと顔を出す。 何事もなければそのまま引っ込めるが。]
(93) 2013/12/22(Sun) 22時半頃
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[ちらと裏手を覗いてみれば、桶を抱えた子供が走る所。>>113 どうやら物音を立てたのはそちらの方らしい。 大事ではなさそうなので、一旦視線を外した。]
(119) 2013/12/23(Mon) 00時半頃
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[しばらく、ぼけらっと宿の軒先で考え事をしていた。 と、ドアの開く音にちらりと視線をやって>>140]
よう、おはよ。
[軽く手を挙げて見せる。]
(141) 2013/12/23(Mon) 01時半頃
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はは、これ位で寿命縮めてたら身が保たないぞ。 ん、ちょっとそれの件でお悩みっつーかね。
[にっこと笑って見せた後、ふー、と溜息ひとつ。]
昨日の今日でこんな状態だからさ。 まだ、そこまで影響は出ちゃいないみたいだけど。 仕事にありつけなかったらどうしようとか。
[非日常の物事が起こった時に、余所者が槍玉にあがる、 といった経験がないではない。 不審がられて雇い手がつかないと言う事もあり得る。]
(150) 2013/12/23(Mon) 02時頃
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そうか、海と陸じゃ繊細の意味が変わるのか?
[からかった。くすくすと笑みが零れる。>>155]
なかなか肝の据わってそうな女将さんだったからな、 人狼なんているわけないじゃないか、って言いそうだ。
やった、捨てる神あればだ。
[困ったら船に来い、と言われれば素直に喜んだ。 そして、人狼がいると思うか、と質問されると、 難しい顔を見せて唇を引き結ぶ。>>156]
それなんだけどな。 ちょっと色々、引っかかるんだよなぁ。
最近の山の方の様子とかも、聞いとけば良かったか……
(158) 2013/12/23(Mon) 02時半頃
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[女の前でわざわざ吹聴すべき事柄ではないから黙するが、 獣のやる傷口と人間の凶器がつける傷口は違う。 人間が獣の傷を再現しようとすると結構な労力で、 さもなくば、人間が殺した後に獣に食わせる、という、 余程の怨恨か、余程に気が触れたかの――]
ん、あぁ、付き合うよ。
[パンプキンパイに釣られた訳ではない――と思う。多分。きっと]
何にせよ、早く落ち着けば良いけどな。 それまでは少し観光でもして、大人しくしているか。
[海につながる、坂の町を振り返る。]
そういや、郵便屋か、雑貨屋か。 ……えーと、葉書みたいなのが買える店ってどの辺だ?
[尋ねながら、女将にもひらと手を振って、 セレストについて行くことにした。**]
(160) 2013/12/23(Mon) 02時半頃
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― 宿→港へ下る坂 ―
[背にぶつけられる声に、振り向いてにっこと笑む。>>163 どんな意味に取られるかは知らない。手は振らなかった]
(189) 2013/12/23(Mon) 22時頃
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[セレストと共にした道行きはどこまでだっただろうか。 いずれにしろ、自警団の報せが届けられる事になる。>>#3]
……。
[初めてこの町に来た旅人に向けられる視線は無遠慮だ。 少し困ったような愛想笑いを見せて、自警団を見送った。 ちょっと事情を聞かせて、から引きずって行かれないだけ、 まだマシだった、と思う事にする。]
ふぅ。
(190) 2013/12/23(Mon) 22時頃
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[セレストが船の様子を見ている間、手近な舫杭に座って、 凪の過ぎた潮騒に耳を委ねていた。 やがて女が戻って来ると顔を上げる。]
どうだった?
[尋ねれば、手短に事の顛末が聞けるだろう。>>191]
そっか。
あんた、字は読めるか? 自警団だっつー人らが容疑者の紙を置いてったぜ。 どうも本格的に、人狼の線で調べるみたいだな。
[大の大人など殺せる筈もない子供の名前が、 そこに連ねられていれば一目瞭然だ。 全然知らない名前もある。]
(193) 2013/12/23(Mon) 22時半頃
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まあ、万が一にも被害が続いたら、 町の住人はたまったもんじゃない筈だからな。
もし野犬じゃないもんに殺されたのに、 野犬って事にしてそっと蓋されんのも、 死んだ男にとっちゃ薄情かも知れねぇし……
[独り言をぼやいていると、掌に小銭が乗せられた。>>194]
はいよ、了解。……宿に届けるんで良いのか?
[仲間に会うのに、手土産があっても良いのではと思うも、 余り長居も出来ない予感、なのかも知れない。]
あぁ、行って来いよ。
(197) 2013/12/23(Mon) 22時半頃
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ヤニクは、市場で値切り交渉中。吉[[omikuji]]
2013/12/23(Mon) 23時頃
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ん、あぁ、いや……そう言うつもりでもねぇけどさ。
実際、知り合いも交ざってる中から容疑者突き出せ、 なんて言われたらしんどいだろ。
[しがらみのない己ならともかく。]
本当に野犬だったらひどい話だ。 その方が良い、って思うのも、そうなんだろう。
[子供をお使いに出すような科白で送り出されると、 そんな歳じゃねえんだけどな、と呟く、 寧ろその尖らせた口がよっぽど子供っぽかった。>>198]
[セレストとはそこで別れる。]
(202) 2013/12/23(Mon) 23時頃
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― 市場 ―
[甘い匂いのする屋台を探して、目当ての菓子を見付けた。 普段なら、船からの客は歓迎してもらえるのだろうが、 今日ばかりは余所余所しい視線も目立つ。]
――ありがとねー、おねえさん。
あぁ、もう何事もないと良いけど。気を付けて。
[そんな中で、菓子屋台の初老の女性は気の良い人のようで、 足元見られる事もなく、どうにか4つのパイが手に入った。 旅人は、宿へと引き返して坂を上がる。]
(204) 2013/12/23(Mon) 23時頃
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― 朝凪亭 ―
[町を象徴するような坂を上る。 住人は下りの景色、海を見る事が多いのだろうか。 外から来た旅人は連なる町並みを見上げて青鉄を細める。 時間を知らせる鐘楼が坂を見守っていた。]
――イイね。
[詠って、宿の前に人影を見る。 昨日、宴の席で見た女性と、見覚えのない老人、 それと昨日今日で比較的見慣れた子供。]
ただいま、と、こんにちは。
……ほら嬢ちゃん、セレストの姉ちゃんから、お土産。
[まだ温かい紙包みを、小さなもみじに差し出す。]
(220) 2013/12/24(Tue) 00時頃
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っとお。
[風が吹き下ろしたのは、丁度その時か。>>219 ばたついたフードを押さえて、それから慌てて、 バランスを崩しかけたパイの包みを持ち直した。]
(221) 2013/12/24(Tue) 00時頃
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そう、お使い。
[昨日と同じ陽気で手を伸ばす子供に、にっこと笑う。>>226 風と共に、眼鏡の視線が逸れたのを追いかけると、 喪に服すような帽子が転がるところ。
生憎と手は塞がっているし、こちらの反応よりも早く、 持ち主が手を伸ばしていたから見守るのみに留めた。 取り落としたり、更に遠くに飛ぶようなら話は別だが。]
……落とすなよ?
[ハナには、しゃがんで視線を合わせると、 パイ包みをきちんと握らせてやる。 そして、少し目を細めて、婦人を見返った。>>228]
(232) 2013/12/24(Tue) 00時頃
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ヤニクは、物腰穏やかな老人の会釈に、にっこと笑顔を返した。
2013/12/24(Tue) 00時半頃
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……――?
[何か、呟かれるのが聞こえたような気がした。>>237 だが、それを問おうか迷って口を開いた矢先、 女性は隠れるように冬の毛皮を寄せてしまう。
結果、何もできずに二人を見送ってしまった。]
いいこいいこはしなくて良いぞー。 ……お前、今は親父さん一緒じゃないのか。
[屈んだ膝の間に子供を抱えるような姿勢で言う。 ついでに小耳に挟んでいたらしい。]
(241) 2013/12/24(Tue) 00時半頃
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しゅのみもと……えー、あ、主の御許、ってやつか。
[信心のない旅人には馴染みのない言葉だった。]
何だっけ。神様が善人だけ生き返らせて、 罪人は地獄に落とすんだっけ?
[恐らく意味を解っていないだろう幼さに、 腕を伸ばして、ハナを抱き上げてみる。]
うお、意外と重て。
[ちゃんと母親が面倒見ている証拠だろう。]
(245) 2013/12/24(Tue) 01時頃
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……なぁ、嬢ちゃん。 親父って、良いもんなのかなぁ。
いや、俺もね、自分の父親の思い出ってねぇからさ。
[山からの冬風が海に下りて行く。 陽の傾く波間を見遣って、そして坂上を振り返る。]
会ってみたい?
(247) 2013/12/24(Tue) 01時頃
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[会いたい、という。 その感覚がよくわからない。]
そっか。
(253) 2013/12/24(Tue) 01時頃
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