131 【飛入歓迎】すずなりの男子高校生村
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―ブレーカーを上げて―
…点いた!電気点いたわ!
も〜…ほんとびっくりしたのよ?
雷なんて大ッ嫌いなんだからね!
[…誰もいないけど。いないけど。
文句の一つも言いたくなるというものである。
そんな小津のことを、どうか多めに見てやって欲しい。]
さぁて。携帯ちゃんはどこかしら…?
―配電室に独り―
[ブレーカーのスイッチを入れると電気が点いたので、落とした携帯を探し始める
…が、一向に見つからない。]
ちょっと…どういうことなのよ…
[部屋の入口を塞ぐガラクタは、非力()な小津一人の力で動かすことが難しい。
なんとしても携帯で水方を召喚し、向こう側から救助してもらわねばならないのだが…]
絶対あるはずよ!さっきここで落としたじゃない!
[…どんなに探しても、見つからない。]
[一時、携帯を諦めてガラクタをどけようと苦心するも、
余計に積み上がるばかりで逆効果…]
このまま、こんなところで独り…
あたし、孤独死しちゃうのかしら…
…お腹、空いた………
[窓もない部屋だ。
誰にも見つけてもらえないかもしれないと思ったその時、]
チャララッチャ チャチャチャ♪
チャララッチャ チャチャチャ♪
[何処からともなく聞こえてきたのは、3分クッキングのテーマ!!
これぞ天の救い!
さぁ、この音はどこから聞こえてくるんだ?!
探せ!探すんだ、小津!!]
チャラ チャッチャッチャ♪
チャラ チャッチャッチャ♪
[鳴り続けるテーマ曲。
這い続ける小津。
…どこだ、どこだ、携帯はどこだ!]
―着信から1分半―
[曲がBメロに移行する。
まずい、終わりが近い…!]
…なんで!
なんでないのよ!ねぇ…!
[未だ見つからない携帯!
焦る小津!
…そんな気持ちを煽るテンポの着信音が憎い!!]
[そして再びのAメロである。
2分半あるこの曲、残されたのは30秒。]
まずいまずいまずい…!
嫌よ!最後の希望なのよ!
出てきてちょうだい!携帯ちゃん!!
[呼びかける時間があったら真剣に探したまえよ小津君!]
―結局―
[音を頼りに携帯を探したが、とうとう見つけることは適わず。
――2分半に渡る小津の戦いは、終わった。]
もう一度、かかってくるかも、しれないわよね…?
[校内に残る小津の存在を知る水方に希望を託して、
そんな淡い期待を抱く。]
―咳をしても一人―
[小さく体育座りをして、携帯があると思しき辺りをじっと見つめる。]
…座りつづける。着信待ちつづける。
[国語科教員らしく、種田山頭火の句をもじってみるも。
誰もいない室内に響く独り言は、寂しさを募らせるばかり。]
ミナカタちゃん…
[予想通り、先程の電話は水方からであったが
…果たして、彼はもう一度電話をかけてくれるだろうか。]
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