162 絶望と後悔と懺悔と
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―回想― [>>5:140 己の言葉を否定する絢矢の声、 鬼と変じた種々の人の物語を思い出す。 執着の深さによって人が鬼に変ずるのであれば、 吸血鬼とは異なれど――鬼であろう、と。
そして、道半ば、果てる、を肯定するのであれば、 ゆるやかに首を振ったのだった。 それがどのような結果をも肯定する意であったとしても、首を振る。
それでは尚のこと、 殺されてやるわけにはいかなかった。
>>5:192 安吾自身からは言葉は無い。 だから向けたまなざしは、かつての色に似てしまった。 あの日、集団で周をやりこめた少年たちへ向けたそれ。
投げつけその場に残された脇差の銘は「鳴兎」 鳴かぬ兎の不吉な鳴き声は――魑魅を呼ぶ]
(34) 2014/02/17(Mon) 01時半頃
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[遠い場所で幸せでいてほしかった。 遠い場所ででいいから、幸せでいてほしかった。
そうすれば、意味はあった。 無感情に人を殺すように成り果てても、 自分が存在した、意味はあった。
部屋に降り積もった祈りの形を思い出す、
掠れて聞いた、繋がる者の最期の声に導かれるのは]
(35) 2014/02/17(Mon) 01時半頃
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―戦場― [巡る純血の血、 己を裡から変えていく冷たい血。 自分自身がまた酷く遠ざかっていく。
あの時から、ずっと。 はじめて人を殺した時から、ずっと。 感情と思考は、分断された。
視覚を失った者の聴覚が研ぎ澄まされるように、 失われた部位を補っている。 感情の、感覚の残滓を追って思考する]
――零瑠、
[名を呼ぶ声、空白に打ち込む彼の姿>>42]
(45) 2014/02/17(Mon) 02時頃
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――零瑠、どこへ急ぐの?
[>>47 努めて何事も無かった風に返したのは、 別に優しさではなかったが]
絢矢にあったわ。 鬼でもないのに人を無くしそうだった。 ……ねえ、あなた、周を眷属にしたのね。
今度は周に皆を殺させるの?
[――響いてくる苦悶のこえ、 それは周が父を同じくするからに他ならない]
(50) 2014/02/17(Mon) 02時半頃
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― in the distant past ―
まあ、素敵。
それでは、お茶会としましょう。
[案内されたのは、瀟洒な宮殿の一室。
調度品も主の趣味が伺えるものが揃っており。
血のお茶会を愉しみながら。
先ほどの言葉を思い出していた。]
普段退屈してらっしゃるんですか?
まあ、分からなくもないですけど。
[永遠の時を生きる存在。
だからこそ、密度は薄くなっていく。
彼女の知る純血の中にも退屈に飽きて消滅を望んだものさえ居た。]
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あなたが本当に“そう”するとは、思わなかったわ。
[家族を供物に捧げる、 いまだどこか、そんなことをするはずがないと、 どこかで考えていた部分もあったのだろう]
……あら、 お父様とは入れ違ってしまったのね。 あなたは『みんな』と会ってどうするの? 周のように、するつもりなの?
[姉の血をすべて奪った時に傷は癒えてしまったが、 千切れた袖と、裂かれた腹の衣装は破けた戦闘のあと。 普段特に扱う獲物をこれときめているわけではない、 ただ腰に留めた短剣は、姉の銘]
絢矢は……、変わったわ。
[彼が名を充てた子だ、 彼女にあったらその姿に何を思うだろう。]
(58) 2014/02/17(Mon) 13時頃
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もし、家族として、 絢矢に会いたいのなら、 急いだほうがいいと思うわ。
彼女が、壊れ尽きる前に。
(59) 2014/02/17(Mon) 13時半頃
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ええ、あなたは周を、 お父様の命に抗うことの出来ぬ奴隷にした。 あの城から逃がすつもりもなかったのでしょう?
贄を捧げ、忠誠を示し、 あなたがお父様に愛される為、 ……それ以外にどんな理由があるというの?
[零瑠が視線を留めた短剣を抜く、 ニルヴァーナ、その由来は知らず。 ただ刃の輝きの恐るべき切れ味は本能として知れる]
お姉様はわたしが討ちました。 零瑠、あなたが家族を裏切り、 父に全てを捧げるのなら、わたしはあなたを殺します。
――けれどまだ家族を思う心があるのなら、
(62) 2014/02/17(Mon) 16時頃
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[言葉はそこで途切れる。 心を示すは行動で、それは己で考えるべきだ。 深緋の双眸は零瑠を見つめたまま]
……明乃進とリカルダを、見ていない?
[行く先を訪ねられ行方を問うは、 己の屠った“姉”の眷属のふたり*]
(63) 2014/02/17(Mon) 16時半頃
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[姉を討った、と告げた言葉。 正確には貫いたのは守備部隊の二人の刃だ、 けれどそこまでの説明は不要だろう。 零瑠がこれらの言葉を、父に伝えようとも構わない。
彼に背を向ける頃にも、 刃は抜き放たれたままだった]
(65) 2014/02/17(Mon) 22時頃
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―補給基地・倉庫地帯― [仕掛けられていた罠に使い捨てられた鬼と、 父の命令に縛られかつての同胞を屠る獣と、 戦場の被害はどちらも甚大であったけれど――]
……、
[ここは被害の少ない場所だ。 そしてかすかに感じる同属の気配]
(68) 2014/02/17(Mon) 22時頃
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[理衣の最期の言葉、確かに届いていた。 彼がもう、そうなるだろうことは、わかっていた。 ただその事実を受け止めて、けれど]
――……、
[あの言葉は、後悔、だったのだろうか。 自分は彼が願うことを、止めはしなかった。 ――それは胸の中の小さな棘だ]
(71) 2014/02/17(Mon) 22時半頃
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― in the distant past ―
素敵な考え方ですね。
……その先に、何があるかですか。
[闇に目を向けてその先に何を見出すのか。
それを自分も知りたいと思った。
だから、お茶会の終わりに彼に問いかけていた。]
ふふ、決めました。
良かったらしばらくの間。
この城で仕えさせてくださいませ。
[その言葉に目の前の真祖はなんと答えるのだろうか。
尤も、断られてもついていく心算ではいたのだった。]
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[裏切りを働いたとて、 人を殺すに躊躇いなき鬼であることは相違ない。 邪魔なものは切り捨てていくから、行く後は血の道の出来た。 これで殺されるのであれば、数の内にも入らぬだろう、と]
明乃進……、
[気配を探し、呼ぶ声は――、 己を探すものにもまた届くかもしれない>>75]
(78) 2014/02/17(Mon) 22時半頃
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― in the distant past ―
では、そうさせていただきましょう。
これからよろしくお願いしますわ。
[この時点では、飽きればいつか宮殿を去って行く。
そのつもりでホリーは居たし、トルドヴィンも同じだったであろう。
好きなだけ留まると良いと言われた彼女。
いつしか、以前からこの場所に居たかのような錯覚を周囲も覚えて居たのだった。]
知っていますわ、お父様。
[いつの間にか、呼び方が“お父様”へと変わっていた。
その事を嫌がる吸血鬼も勿論居たが。
トルドヴィンが認めている事と、面と向かって文句を言った吸血鬼が殺されてからは咎める者も居なくなっていた。]
『日本』ですか。
文化にも興味はありましたし、是非とも行くとしましょう。
楽しみですわね。
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―補給基地・空き倉庫― [>>79 足音無くその入り口から顔を覗かせた。 彼のほかにも人の気配がある、 中に足を踏み入れて良いのか、すこし思案した]
明乃進、
……明くん、みなと一緒なの?
[少しだけ中に足を踏み入れた、 そこには近づくことは出来ないとでもいうように。 >>80 もうひとつ、聞こえた声はキャロライナのものだ。 彼はまだその意思のかわらぬのだろう、その声]
(81) 2014/02/17(Mon) 23時頃
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[日本と言う国にて、戦いは苛烈だった。
こちらに対しても、武器を持ち。
或いは、集団を率いて襲い掛かってくる物たち。
幾多の仲間が散って行った。
その戦いのさなかにトルドヴィンの片腕まで落とされたのだ。]
ふふ、そうでしょうね。
これだけの戦いが出来る連中に出会えたのですもの。
もっと多くを知りたいと思われるのは当然ですわ。
[トルドヴィンと共に、数多の戦場を巡ってきた。
これほどに高揚している事も珍しいと思いながら。]
[獣は鬼も人も、等しくその爪にかけながら、
金色の王ただ一人を求めて戦場を彷徨う。
周――、と名を呼ぶ声が耳に落ちた。
片目を歪に眇めた獣は首を廻らせ、黒衣の友の姿を見つける]
『殺せ――』
[脳裏に響き、獣を支配しようとする抗えない声に、唸り、呻き、
蹲り地に幾度も額を打ちつけ、サミュエルを――友をこの爪で引き裂きたいと、理性を捻じ伏せようとする衝動に抗いながら]
サミュエル……。
俺は……、もう、お前と一緒に帰れねえんだ。
すまねえ。――すま、ねえ。
[もう、戻れないことを。
いつかの言葉を守れなかったことを。
戦いの中、離れていく友の背に、幾度も――幾度も詫びた]
[跪き、苦悶する獣の姿を見かねたか、耳朶に柔らかな声が落とされる>>*32]
――なにが、だ。
お前が俺に、何を詫びる必要がある?
[その場にいない少女に、問う]
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[己を追う気配には、 僅かな動揺を感じながら、 けれどそのままに置いた。
>>84 キャロライナにも気づかれたようで、 更にもう少しだけ近づいて、明乃進の姿を見やる。 抜き身だった刃は、既に収めていた]
お姉様を殺したの。 ――……すこし、自由に、なれた?
[怪訝な声音、その意味もわからぬままに、 ただそうであってほしいことを、問う]
(87) 2014/02/17(Mon) 23時半頃
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[>>*28『あなたを逃がせなかった』
真弓の端的な言葉を受けて]
……金色野郎の呪いが半端じゃねえってこと
こうなっちまって、ようやく分かった。
だから、お前が何をどうしようと、
多分、結果は変わらなかったさ。
[ああ、そうじゃねえ――呟き、言葉を探る]
俺が言いたいのは、
こうなっちまったことを、真弓が気に病む必要はねえって
――それだけさ。
[血の流れる額を押さえながら、口元を微かに吊り上げる]
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あなたたちが自由になれると思ったから、 彼女の力を奪えばお父様に抗えるかもしれないと思ったから、
それから――……、 彼女に殺されたくない人がいたから。
[その当人に聞かれているのはわかっていたけれど、 問われた言葉にはそう答えて、ゆると俯く]
(96) 2014/02/17(Mon) 23時半頃
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……ええ、ずっと。
[>>99 明乃進の驚く様子には簡易な肯定を示して]
けれど、だめね。 ……行き詰まってしまった。 道を示してくれた直円も、もういない。
わたしはやはり父の支配の下にある。
[そこまで一息に語って、 ――あのひと、その言葉に首をかしげた。 そして視線を落とす、銘のついた短剣]
……お姉様に?
(104) 2014/02/18(Tue) 00時頃
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[キャロライナの過ぎていくのを、 言葉なく眼差しを伏せて見送り]
……そうね、 お姉様の血はわたしの中にある。 でも、父の呪縛に抗えるかは――。
これは、私がお姉様に託されたものだけれど。
[その短剣の刃を抜いた、 輝きに感じるだろう恐れ、魔を屠る力。 避けた袖、覗く己の腕に薄く刃を充てて見せる。 その赤くついた筋は何時までたっても塞がらない。 ――ニルヴァーナ、涅槃の銘を持つ刃]
あなたは役立てることが出来る?
[問うて、少しずるい聞き方かもしれないと気づいた]
(118) 2014/02/18(Tue) 00時半頃
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[静かな絢矢の問いかけ、 己は沈黙を守り、言葉は明乃進に任せた、 ――彼の言葉はいつだって優しかったから。
抜かれた刃の輝きが彼女を刺激せぬように、隠した]
(121) 2014/02/18(Tue) 00時半頃
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……先に零瑠を殺してくればよかったわね。
[>>122 そうすれば少なくとも、 障害となる者は自分と新たに増えた眷族、 そのふたつだけとなったはず、と。
己の命を物のように語るのは、 人の命をも物のように扱ってきたからだ。 ただ、守りたいものだけを、除いて]
いいなら、いいわ。あなたに託す。
[>>124 言葉のすべては必要なかった、 鞘に戻したそれを明乃進に渡せば己は無手も当然で]
(126) 2014/02/18(Tue) 01時頃
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――……、ああ、
[絢矢の声と、 それから父の声が重なる。 祈るように目蓋を閉ざした、無防備に]
零瑠が早速、 お父様にわたしのこと告げたみたいね、 ……早く行って。
[――吸血鬼以外、 目に収めた命は全て殺せ。 それが下された命令だった]
(130) 2014/02/18(Tue) 01時半頃
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[目蓋を閉ざせば視界には入らない。 それで駄目なら目でも潰せばいいのだ。 その手に残っていのは角殊の棘。
>>109 己を守ろうとするものがあることを、 きっと忘れていたのだ**]
(136) 2014/02/18(Tue) 01時半頃
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―回想・戦場にて―
わたしは自らに恥じることなど無いわ。
[零瑠を今殺さぬ猶予を与えたのも、 ホリー・ニルヴァーナを殺したことも、 絢矢を置いてきたのも、全て己の意思だ]
わたしはあなたに、あなたの罪を問うているだけ。 周をさらい父に捧げた、それはあなたの意思でしょう? ――周の優しさに甘え、それを喰らい尽くした。
[>>173 姉の血を、純血の力の全てを奪った。 彼の察する気配が、己の察せぬわけがないのだ。 ふわりと、飛んで宙を返る。足を着くは零瑠の背後。 足音もない、冷たく憂う変わらぬ深緋]
――……
[それからはもう何事もなく立ち去った**]
(182) 2014/02/18(Tue) 18時半頃
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―倉庫内にて― [>>147 明乃進の言葉に頷いた、 手の中には姉を杭とした角殊の棘。 けれど、そう、ここでは駄目だと思ったのと――、 高い金属音が響いたのとは、ほぼ同時で。
咄嗟に、閉じた目蓋の上、 その棘を躊躇うことなく突きたてた。]
っ、あ………、ッ、く、
[真横に引く、両の眼に何も映らぬように。 視界は赤黒い焼ける何かで満たされた、痛みはわからない。 ただ、強い衝撃と焼けるような熱があるだけだ。
傷ついた両の眼窩を片手に隠す。 ぼたぼた、と滴り落ちる血の滴]
(183) 2014/02/18(Tue) 18時半頃
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[>>162 尋ねる言葉には答えようも無い、 ただその続いた言葉に、この熱が痛みであることを思い出す、 認識する。思い出させるのは、いつだって。]
……だ、め、
[――引かれた手、 近く感じるあたたかな存在、その背中。 抗いようがなかったのは、見えぬせいではなくて弱さだ]
(184) 2014/02/18(Tue) 18時半頃
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……あなたを見たら、殺して しまう、
[震えた声、それでもこの刃では、足りない。 始祖の血と、純血の血と、傷は癒えていくのを感じている。
何度でも、眼を突いて。 駄目なら腕を落としてもいい。]
(185) 2014/02/18(Tue) 19時頃
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[>>163 その手を振りほどけなかった**]
(186) 2014/02/18(Tue) 19時頃
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……っ、
[喘ぐような吐息が零れた、 緋に世界に影が落ちる、土ぼこりと鉄の匂い。 あたたかい、温度。
>>188 その腕の中でふさがれた世界、 意識は眼窩のその灼熱に倦んで、まどろむ様。 決してやすらぎのないまどろみ]
明くん……、お願 い。
[それは託したものを願う言葉だった。 >>189 サミュエルの言葉を聞いて、咄嗟に。
何より彼の腕に抗う意思を失くしてしまったのは、 その言葉が、嘆願のような言葉が、ひどく胸を苦しくさせたから。 身を預けたのは、ただその痛みに寄り添いたかったからだ]
(193) 2014/02/18(Tue) 21時半頃
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ねえ、……どこに、行くの?
[腕の中、かすれる声で問いかける。 きっとどこにも行く場所なんてない。わかってた*]
(194) 2014/02/18(Tue) 21時半頃
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[>>197 答える言葉はない、わかってる。 何か方法を考えなければいけないと、思うのに、 力こめられた腕に全てを委ねてしまいたくなる。
血と火薬と泥の匂い、やけた匂い。 変わらぬ戦場の匂い、生きたものの気配を感じない。 座り込んだ場所は、どこだかわからなかったけれど。
緋色と熱に満ちた視界は、 ずっと暖かな闇に包まれている]
――……、
[そっと、その胸に頬を摺り寄せた。 出来ること、問いかける彼の声の振動が、肌を通して伝わる]
(204) 2014/02/18(Tue) 22時半頃
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[しなければならないこと、 考えなければならないこと、 全てを置き去りにしてしまった。
案じることは沢山あるのだ、 妹たちのこと、捕虜となった2人のこと、 また誰かに託すことしかできなかった無力と、 討つべき父のことと、それから――それから]
……わからない。
今はこうしてくれるだけで、いいな。
(206) 2014/02/18(Tue) 23時頃
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今更だな。
[昔の彼女を思い出させる物言いに、知らず薄い笑みが浮かんだ>>*45]
馬鹿だから、自分を曲げられなかった。
仲間を諦めることが出来なかった。
――死ぬか、堕ちるか。
自分の道行きに、それ以外の帰結はなかったと思う]
……ま、親殺しは馬鹿に任せて
お前は、さっさと逃げちまえ。
[真弓がホリーを弑したことも、その思惑も知らぬまま獣は嘯いた]
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[始祖を討つ障害となる姉を倒し、 その策のひとつを託すことが出来た。 自分にやれることはやれたのか。
あとは自身が障害としかならないのなら、
――そう考えていたのに、 彼の温度を感じているとどうしてか、 離れがたくて、もう少しだけ]
……何言ってるの、血だらけなのに。
[>>209 比ゆ的にも物理的にも、本当に血だらけだ。 それをどうとも思わなくなってしまった、感じなくなったと思っていたのに]
(215) 2014/02/18(Tue) 23時半頃
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うん、……ありがとう。 ごめんね、さっきは死ぬつもりだったのに、 サミュエルが来てくれて、嬉しくて。
――……わたし、
[離れたくないと感じている、 言おうとした言葉に重なるような声。
ずっと傍に。
それはあの頃そういられると信じてたこと。 でも、もう同じかたちには、なれない]
(216) 2014/02/18(Tue) 23時半頃
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……だめ。 わたし、あなたを、殺したくない。
[片手で押さえた目蓋の傷、 ぬるりとすべるようだった皮膚も、 潰れた目蓋もいつの間にか治り始めていて]
ねえ、あなたの武器を貸して。 ……この傷では癒えてしまうから、 もっとちゃんと、見えないように、眼を。
(222) 2014/02/18(Tue) 23時半頃
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また、行き詰っちゃったな……、
あなたと一緒にいたい。 ずっとそばに、その意味はわかっているよ。 ……少しだけ、それでもいいかな、って思ったけど、
でも、わたし、
[言葉の途切れる。 父の呪詛の響きを感じる、――視界は緋色]
(242) 2014/02/19(Wed) 00時頃
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……サミュエル、
あなたの一番の幸せは、なに?
[唇だけが柔らかな弧を描いた]
(244) 2014/02/19(Wed) 00時頃
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