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――何時から、そこにいたのか。
「シロガネ」はずっと、戦いを見ていた。
リンダが死んだ時も。
そうしてついさっき、ワンダが死んだ時も。
元々霊体のアバターであるのに、影に隠れるように。
じっと、その行く末を眺めている。
心が死んでいた時のような、虚ろな眼はしておらず。
――しかし、無感情な眼で。
じっと、観察をしていた。その戦いを見届ける為に。
メモを貼った。
[そうして、
「シロガネ」は、眉を潜めた。]
……。
[無感情な眼に、少しに感情が宿り。
それは、怒りと悲しみの混ざったような――。]
[溜め息をついて、肩を竦めながら。]
――やれやれ。
全く、愚かなものだな。…兄妹揃って。
それとも、家族揃ってか――。
[つい、そんな独り言をいいながら。
「シロガネ」は、観察を再開する。]
……馬鹿兄貴。
サミュエルは、マユミの理想の兄さんだったというに。
[と、口の悪い「シロガネ」はそんなことを言いながら。
少し哀しそうに、その様子を眺めている。
マユミは、「サミュエル」に助けを求めてアヴァロンにやってきたのだ。
両親の喧嘩を止めたくて。二人に水入らずの旅行をプレゼントしたのと同時に、帰ってきた時に兄さんと二人で迎えたかった。
昔のように仲の良かった家族に戻りたくて――
――兄さんに、助けて欲しくて。]
[――「マユミ」は心を閉ざし、シロガネという人格を生み出して引きこもってしまった。
虚空を見つめて、じっと膝を抱えて。
「トニーを殺したのは、シロガネだから。」
という暗示から、「シロガネ」は生み出された。
同じ記憶を持ってはいても、性格は別人で。
大人しい性格のマユミに比べて、口も悪く攻撃的な性格をしていた。
そして、そのアバターは。マユミにとって、小柄な身長に対してコンプレックスだった大きな胸をしていて。
アヴァロンではあえて小さく設定されていた胸は、霊体のアバターとなった今は現実と同じく大きくなっていた。
そして、その胸を強調するように、自信ありげに腕を組んでいた。
サミュエルは知らないだろうが、ここ数年で急激に大きく育ってしまったのだ。そのことでからかわれるのを、マユミはとても嫌がっていたけれど。]
[時にはくつくつと笑いながら、そして時には哀しそうにしながら。
「シロガネ」は、ずっと人狼ゲームの様子を眺めていた。
果たして消滅するのか、と思いながら。
せめて最期まではマユミの代わりに見届けてやろうと。
――そこへ着て、目的だった兄を発見したのだ。
全く、予想外の形で。
これが哀しまずに、そして怒らずにいられただろうか。]
もし、本当に消滅するとしたら――。
――大切な兄さんを奪った、この世界へ。
復讐するくらい、許せよ。
[そう言って、「シロガネ」は。
その戦いを、黙って眺めることにした。]
メモを貼った。
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[その細い首筋を撫で、ぎゅ、と抱きしめる。
きっと、否、確実に自分よりも痛く苦しかっただろう。]
……すみません。
[彼に対する様々な感情をこめて、謝罪の言葉を零した。
いつもしていたように、胸に顔を押し付けるように抱きしめている為、きっとトニーには表情は見えていないはずだ。
その髪に顔を埋め、目を閉じる。
仔狼のような姿をしているが、少年らしい――いつもと同じトニーの匂いだ。]
すみません。
パーフェクトな胸がなくなってしまったので、感触が。
[今度は常と同じ調子でもう一度謝罪の言葉を繰り返し、微笑む。]
[そんなチアキの様子
どうもシロガネは、独り言が多いようだ。]
その想いに、僕とマユミの分も加えておいてくれ。
全く、兄妹揃って惚れてしまいそうだよ。チアキ。
そう思わないか、マユミ。
[楽しそうにくつくつと笑いながら、シロガネは額に手を当てた。]
[相変わらず、虚ろに眼を向けてばかりいるマユミに。]
……本当に。
兄妹揃って、愚かよな。
[やれやれと、溜め息をつきながらそう呟いた。
相変わらず自己評価の低い兄をみながら。
トニーを殺したのは、シロガネであると。
そうして生まれたはずの、シロガネだというのに。
まだ、マユミは自分を責め続けている。
というよりは、逃げているのだろう。
このまま一生、現実から逃げ続けてしまうのだろうか。
変な所で似ている兄妹だった。
そうなったら、僕がマユミとして生きることになるのか。
料理なんて出来る気がしないと――、先が思いやられた。]
メモを貼った。
[トニーには、グレッグと話したこと――クリア報酬を差し出しても良いと考えていること
そもそもできるかどうかも分かっていない。]
僕はね、トニー。
貴方のことが大好きですよ。
[ところでこの耳と尻尾はグレッグが着ていた着ぐるみ装備を同じようなこと
メモを貼った。
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[頬を拭ってくれるワンダの手
温もりの感触が、確かに彼の存在を知らしめ、
嬉しさに余計涙腺が緩む。
ぼろぼろと泣いては拭われるを繰り返し、
「大丈夫だ」という彼の頭部を、それでも心配そうに見上げ]
……、血が、一杯出てた、
ごめんね、……俺、ワンダのナイトになれなかった、
[守るって云ったのに、と又耳が垂れ、尻尾もしょんぼり下がる。
彼のアバタが殴られた頭部を撫でたいと思うが、
爪がある今、余計に傷つけてしまう事を恐れ、
代わりに背伸びをして、辛うじて届く顎の辺りを、
ぺろ、と小さく舐めた。
拾われた子犬
[ワンダの指先が頸筋を撫でる
痛みの記憶等――既に忘れて仕舞っていた。
少年がサイモンにした所業は悪辣で、痛みは人を代え形を代えても、与えられて然るべきものだったから]
うん、俺、もう痛くないよ。
……ワンダ、いっぱいありがとう。
俺、……死んじゃった後のこと、見てたよ。
ワンダがいっぱい優しくしてくれて、凄く嬉しかったんだ。
[本来ならば憎まれても可笑しくない。
彼にとって、少年の素性は明らかではなかったかもしれないが、疑惑はあった筈だ。
だが、それでも、夢現の中にも見えた彼の思い遣りに。
今は平たい胸に埋めた貌を、漸く微笑ませた]
胸、なくても、あったかくて……
ワンダはぱーふぇくとだよ。
[貌を上向け、彼の微笑みを見ると、
少年は嬉しげに笑みを深め、以前の様に大きく笑った]
[ クリア報酬に関する彼女の厚意には、
少年は未だ気付いて居ない。
だが、知れば、少年も又同じ申し出を返したろうと。
ワンダの言葉
……俺も、ワンダが大好きだよ。
胸があってもなくても、女でも男でも、
ワンダがいっぱい、大好きだ……!
[ へへ、と笑い、照れ臭いので貌を、ぺったんこの胸に埋めた。
涙の痕を拭う振りをして、すりすりと頬を摺り寄せる。
だが嬉しさは隠し切れず、ふわふわした尻尾が左右に揺れている。
人狼スキルに依る獣化は、グレッグのそれとは仕様が違う為、
恐らく触られても大丈夫だろう。
――付け根の辺りは流石に拙いかもしれないが ]
[ 尻尾を揺らしながら、はたと
あ、そういえば、ワンダ、
俺を宿に連れてきてくれて、ありがとう。
俺、忘れちゃってて、お礼言いそびれちゃってたんだー。
[ 笑って小さく舌を出す。
不意に始まったゲームの混乱で失念していたが、
少年は彼女が担いで宿に運んでくれる間に
一度目を覚ましていた。
だが、あんまりワンダの腕が心地良くて、
もっとそうして貰って居たくて、
狸寝入りをしていたのだった。
――恥ずかしいから、そこは内緒で礼だけ告げて ]
[ 同胞の聲が響く>>*6>>*11
詫びと礼を伝えるべきは、己だ
少年は仮想空間の地上に、
陣営の仲間達に想いを馳せ ]
……俺の方こそ、
ありがと、……グレッグも、クシャも。
二人と一緒に戦えて、
辛い時に一緒に居てくれたのが、二人で、
俺、ほんとに良かったよ……!
[ 苦しみ散った仲間と、少年も運命を共にする
その覚悟は出来ていた
願わくば いつか
クシャミの作ったお菓子を一緒に 食べて見たいと
甘い夢の様な一時を想い浮かべながら―― ]
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