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――ええ、私と同じように
幸い、あなたの身体はまだ形を保っている
あなたが望み、主が――…
[何か思い出したように口篭り
ゆるゆると小さく首を振る]
主でなくとも、吸血鬼が応えれば
第二の生を、生きられる
あなたが生きたいと望むなら
[良いのかと問うエリアスに肯定の頷きを向けた]
人であった頃と全く同じではないでしょう
血を欲してしまうこともあるでしょう
血を与えた“親”に従うことも必要になるでしょう
[示した選択肢により
変わるだろう事をぽつぽつと語り]
それでももう一度
生きたいと言うなら
――…それはきっと叶う
[傍にいるなら女の声は聞こえているだろう。
エリアスにそういい終えると
今度はラルフへと顔を向ける。
彼は如何思うのだろう、と。
そんな思いをもち、その反応を窺った]
[諭すようなアヴァロン伯の言葉(
人であった頃と全く同じではない。
血を欲し、血を与えた親に従う。
それが辛い事なのかは分からない。
人でありたい。
死にたくない、生きていたい。
相反する願いが胸中を渦巻いて苦しい。]
…私は。
[保身の為に異端審問に突き出そうとした。
すでにこの心は魔女と同じであると、そう思う。
もう汚れているこの身ならば。]
それでも生きていたいと、そう願ってしまいます。
[罪深い願いに自嘲するようにそっと笑みを洩らした。]
[俯くエリアスに歩み寄り、視線を同じくして]
其れがあなたの願いなら
叶える為に私も力を尽くしましょう
[女はエリアスたち討伐隊に追い詰められ退治された魔性。
それも世の理と何処かで思っていたから咎める気もない。
ただ残してきた者の行く末が心配でそれが未練となっている。
それが消えてしまえば、留まる理由さえ消えるかもしれぬが]
苦しそうな、貌
過去があなたを苛むなら
その過去も取り除いてしまいましょうか
[幼子をあやすかの如く撫でようと
エリアスの頭へと手を伸ばした]
[アヴァロン伯の手が頭に触れ、優しく撫でられているのが分かる。
涙腺が緩みそうになるのを堪える、素直に泣けない程には年をとっていたから。]
…過去を消す事など出来るのですか?
[過去は生きてきた証でもある。
それを消してしまうのもまた罪深いような気がして。
それでも全てを忘れて新たな生を歩む事が出来るのなら。
それはとても有難い事だと思った。]
[エリアスの言葉の一つ一つが
歩んできた一端を垣間見せるように思う。
姿変わらぬままそれなりの年月を経た女は
艶やかなエリアスの髪を撫で目を細めた]
私は魔女だから
それくらいの魔法は使えてよ?
[主の血を受けた肉体が失われ
血の束縛さえ薄れてしまった女は
此処でない場所では口にしなかった事を
悪戯っぽい口調で告げた]
[悪戯っぽい口調に吊られるように小さく笑い。]
魔女…そうだったんですか。
それならそれくらい簡単に出来ますね。
…ではお願いいたします。
[そう言うとそっと目を閉じる。
神への不敬を詫びるようにロザリオを手に取って口付け。
静かに祈りを捧げると、ロザリオを外して床へと置いた。
それは神への決別の意思の表れであった**]
――…漸くわらった
[今度は嬉しそうににっこりと。
エリアスの小さな笑みに顔を綻ばせる。
髪撫でていた女の手は下ろされて
祈りを捧げる様子を静かに見守った。
ロザリオが床へと置かれると
女はエリアスの額に自らの額を重ねる]
我が名の下、あなたを苛む過去を
地より深き場所に封じる
[術師である女かエリアス当人が望まぬ限り消えぬ呪を
女は朗々と宣し其れを為した**]
[ヘクターに匿われ生きながらえたあの時
彼が与えてくれた領主の肩書きとその地位。
そのお蔭で暮らしに困る事は無かった。
最初の数年は彼の真似事をしながら勉強して
託されたものを守る事だけを考え力を尽くした。
彼がどうなったかは噂で知るのみ。
最期など見ていないから
待っていればひょっこり帰ってきてくれるかもしれない。
そんな淡い期待を抱きながら過ごした]
[いくら待てど大事な主は戻ってこない。
彼の残した言葉を試そうにも
血を捧ぐべき彼の姿がみつからない。
寂しさと恋しさばかりが募る。
眠れぬ夜が続く。
待つことに疲れてしまったあの日。
妹を捜すきょうだいの姿を見掛けた。
二人を城へと引き入れて妹の捜索に人を遣る。
いくら捜しても彼女はみつからない。
みつけられぬ事に落ち込む女を
辛いはずのきょうだいが慰めてくれた。
そうして日毎に二人との距離は縮まる。
二人の存在が共に在る喜びを思い出させてくれた]
[中庭に咲く薔薇を手入れしていた或る日。
一群れの薔薇の棘が無くなっていることに気付く。
ヒューが心配そうに女の手をみていたのは知っていたのに
心配せずとも大丈夫だと彼に伝えそびれてしまっていた。
言えばヒューの行動は変わっていただろうか。
女の代わりに彼の手指が薔薇の棘で傷つかずに済んだろうか。
彼が自分を案じて為した事と思えば何も言えず
傷付いた指先に軟膏を塗り手当てするくらいしか出来ない。
謝るヒューに女は微笑み
手当てしたばかりの騎士の手を優しく両手で包み込んだ]
[ヒューは優しい。
その優しさ故に傍に置く事に不安を感じていた。
傍にいればいつかまた女の為にその身を犠牲にしそうで
自らが傷付くのを厭わず薔薇の棘を折った彼を見詰める。
何処かでそれを感じていたのに
女はヒューを手放せなかった。
騎士として忠節を尽くして呉れる彼の優しさに甘え
女は彼を傍に置き続けた。
今もなお騎士として在り続けるヒュー。
彼の思惑を知らぬまま女は城の奥底にあり続ける**]
【人】 負傷兵 ヒュー── 大階段 ── (79) 2012/05/02(Wed) 20時半頃 |
【人】 負傷兵 ヒュー[「私が必ず君を護ってみせる」と、傍らの修道士に約束する金髪の男の姿に、ふつふつと苛立ちを掻き立てられる。 (82) 2012/05/02(Wed) 21時頃 |
【人】 負傷兵 ヒュー[心臓の位置まで裂けてぶら下がる鎧が邪魔だと、血に染まったシャツごと手で掴んで引き剥ぐ。 (83) 2012/05/02(Wed) 21時頃 |
【人】 負傷兵 ヒュー (84) 2012/05/02(Wed) 21時頃 |
【人】 負傷兵 ヒュー[戦いの支度を整え、まずは小手調べとばかりに、「竜の牙」を握り込んで血を与え、大広間へとバラ蒔く。 (85) 2012/05/02(Wed) 21時頃 |
【人】 負傷兵 ヒュー[死者を神の元へ帰す祈り(ターン・アンデッド)を唱えるムパムピスの声に、感情など死に絶えたはずの竜牙兵たちがおののく。 (114) 2012/05/02(Wed) 22時半頃 |
【人】 負傷兵 ヒュー[ならば、自分が斬るまでのことと、下段に剣を構えたヒューの行く手には金髪の剣士が立っている。 (120) 2012/05/02(Wed) 22時半頃 |
【人】 負傷兵 ヒュー[金髪の剣士と対峙しつつも、視界の端に、修道士の動きは捕えている。 (126) 2012/05/02(Wed) 22時半頃 |
【人】 負傷兵 ヒュー[祈りに触れてすでに攻撃本能を失っていた竜牙兵が、浄化の炎に包まれる。 (135) 2012/05/02(Wed) 23時頃 |
[女は魔法に長けていた。
元々そのような力を有する家系だった。
占いをし、薬草を扱い、魔法を扱い怪我や病を癒す。
ヒューが白い魔法
魔女狩りにあわずに済んでいたのは
必要とされた時にしかその力を使わなかったから。
もう一つの理由は害無き白魔女よりも
この地の民は吸血鬼と噂される領主の方をおそれたから]
[常に身につけていた紅玉も
占いに使う道具のひとつで。
師ともいえる祖母から譲り受けたもの。
今は手元に無き品。
ずっと大事にしてきたものなのに
手の届く場所になく
何処にあるかも知れない。
触れられぬことを少しだけ心細く思う]
【人】 負傷兵 ヒュー[初撃から首筋を狙ってくる相手。 (143) 2012/05/02(Wed) 23時頃 |
【人】 負傷兵 ヒュー[それでも、動きを止めるわけにはいかなかった。 (144) 2012/05/02(Wed) 23時半頃 |
【人】 負傷兵 ヒュー[手応えはあった。 (151) 2012/05/02(Wed) 23時半頃 |
【人】 負傷兵 ヒュー[金髪の男が投げた木片──聖属性のそれが、今は明らかに凶器に見える。 (161) 2012/05/03(Thu) 00時頃 |
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