88 吸血鬼の城 殲滅篇
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―― 地下聖堂 ――
[眠る女の魂が薔薇の花束に包まれる。
ヘクターの使役する影が運んできた薔薇の花はあの時と同じ色か。
高貴な香りを纏う花弁がふわ、と揺れて――]
――…ン、ぅ
[夢現の頼りない声が吐息と共に零れた]
[聖堂の中央に横たわる女の睫が震える。
一拍置いて深紅の双眸が同じ色の花を映した。
はたり。
瞬きをするは状況が理解できぬから。
黒犬が残したあの薔薇は
ドナルドの刀子が散らしたはず]
[ゆっくりと身を起こし
貫かれたはずの胸に手を宛がう。
傷はない。
纏うドレスも破れてはいない。
腕に負う傷も
脚の火傷も跡形なく消えていた]
[それに伴い女を苛んでいた痛みも消えて
ぼんやりと自らが死んだと知る]
此処は――…?
[辺りを見回すがこの場所に覚えはない。
会いたいと願った主の姿も其処に無く
不安げな表情が過ぎる]
[不安と寂しさを紛らわすは薔薇の花。
香りに包まれているうち
此処が怖い場所でないと思えるようになる]
聖堂……?
[燭台の淡い灯火を頼りに
自身の居る場所にあたりをつける]
[女は燭台をじっと見詰め
炎が強まるよう念じる。
肉体を失っても魔力は失われぬのか
この場でのささやかな干渉が叶う。
先ほどより明るくなる室内。
薔薇の色も鮮やかに映り女は緩く微笑んだ]
[聖堂で見つけた鏡に魔法を掛ける。
其れは此処でない何処かを映す魔法。
城の様子を映し出す鏡。
女は平らな面をそっと撫でる。
深紅の双眸に映り込む光景は――**]
[鏡には一階大広間の光景が広がる。
女の知る大広間とは随分違ってみえたのは
椅子とテーブルで築かれたバリケードのせいか]
これは…… ?
[ぱちりと瞬きして
鏡へと目を凝らせば見えるのは騎士の姿]
[今見えるヒューは女が傍で見ていた彼とは違ってみえた。
その理由が自分にあるとは未だ知れず]
ヒュー ……
[呼びかけるは騎士の名。
今の彼に女の声は届かない]
ありがとう、も
さよなら、も、言えなかった
[ぽつ、と悔い感じさせる響きが零れる]
[鏡の中の景色が変わる。
一階から二階へ。
宴会場を抜けて客室の光景が映し出された。
聞こえくる声は懐かしくも恋しい音色]
――…ッ、 ヘクターさま!
[会いたいと願った主の姿に声を上げるも
どのような状況かがみえてくれば
何処か複雑そうな表情が過ぎった]
[真っ暗な客室で何が起きるか分かるのは
鏡の魔法ゆえか――。
叩きつけられ衝撃を受けるドナルドの姿に
思わず悲鳴を漏らし両の手で口を覆う]
――…っ
[このような状況を望んだわけではなかった。
けれど主が戻ればこうなるかもしれぬ、と
何処かで感じていたのだから――]
ドナルド
貴方には来て欲しくなかった
[会いたくなかったわけではない。
会えて嬉しくなかったわけ、ない。
あの時の男の子がこうして傷つくのを見たくはなかった]
仮令会えずとも
何処かで平和に、しあわせに
いきていてほしかった
[女は目を瞑る。
ヘクターとドナルドが対峙する様を
みているのがつらい、とでもいう風に]
――…私は
ヘクターさまにお逢いしたかっただけ、なのに
[鏡を通じて見る事は叶ったが
それは望んだカタチとはまた違って]
[女が目を閉じると同時
鏡もまた城の景色を映す事を止めた。
何の変哲も無い鏡であるかのように
クラリッサの相貌を静かに映すのみ]
[シン、と静まりかえる地下聖堂。
深紅の薔薇が彩る其処で
女は座り込んだまま鏡を抱きしめた]
――…何も出来ない
[自分の無力さは嫌というほど知っていたが
此処に来てより一層その思いは強くなる]
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