112 燐火硝子に人狼の影.
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[声が、聞こえる。
まだ幼い、無垢な子供の警告が。
光が、揺れている。
か細く、闇へと消えていく道標のような灯が。]
[弱々しく、嘆く声が聞こえる。
最期まで死に抗い、拒み続けた叫びが聞こえる。
暗闇の中で、女は目を開き。
耳を塞ぐこともせず、暫くその中に居る。]
[そっと握られた、か細い指。
弱くも、柔らかな、暖かい魂。
それを持つ少女の頭にそっと触れ。
女は、最期を見た部屋を後にする。]
[床を踏む爪先。
挫いた痛みは、もう無い。
混沌の闇と声が満たす場から遠ざかり。
誰かを探すように時折、瞳を上げて。
―― ひらり。
踊るように、薄闇の中を進んで行く。]
[ 遠い記憶。
女を、護ると言った男。
一人、また一人と死んでいく中で。
最期まで信じていた。
この男だけは、違うと。
だが、男の偽りを暴いたのは、他の誰でもない。
決して目を逸らす事を、止めようとしなかった。
―― 自分。]
また人が死んだ・・・
もう誰も死ななければいいのに
[誰の目にも見えないしぼやいても声もききとってもらえないけれど、生きている人には
泣きそうな顔で上を見上げた]
気をつけて・・・
・・・死なないでと・・・**
[ふと、幼い少年の声。
するりと闇の中をすり抜けて。
健気に涙を堪える頬に掌を伸ばす。]
……。
[慰めにかける言葉はなく。
微かに笑んでから、また静かに闇を歩き出す。*]
・・・
[何かを言いたいのだろうが
少し前にそばに居たフランシスカがどこ行くのが気にはなるが追いかけず]
もう少し生きていたかった・・・**
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