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【人】 奇跡の子 カリュクス
(259) 2014/10/08(Wed) 18時半頃 |
【人】 奇跡の子 カリュクス―住宅街→自宅― (260) 2014/10/08(Wed) 18時半頃 |
【人】 奇跡の子 カリュクス―自宅― (268) 2014/10/08(Wed) 20時頃 |
【人】 奇跡の子 カリュクス[一旦言葉を切り靴を脱ぎ、廊下へと。 (269) 2014/10/08(Wed) 20時頃 |
【人】 奇跡の子 カリュクス ですから。蜘蛛さんが火の粉を気にしていたのだとしたら。 (270) 2014/10/08(Wed) 20時半頃 |
【人】 奇跡の子 カリュクス 私の翼は、風切羽を切られているので飛べません。 (276) 2014/10/08(Wed) 20時半頃 |
【人】 奇跡の子 カリュクス[一気に話し終え、呼吸を落ち着かせようと、深呼吸を繰り返す。 (277) 2014/10/08(Wed) 20時半頃 |
【人】 奇跡の子 カリュクス[果物を持ってこようと動きかけ『長居するつもりはない』と、ぽんぽんとソファーを叩く様子>>285に、動くのを止めた。 (286) 2014/10/08(Wed) 22時頃 |
【人】 奇跡の子 カリュクス 待ってるだけでは―――― (287) 2014/10/08(Wed) 22時頃 |
【人】 奇跡の子 カリュクス[探しに行きますか。 (288) 2014/10/08(Wed) 22時頃 |
[日もすっかりと沈み、町の喧騒も遠く消えた頃。あのぬるい珈琲を渋々と楽しんだのなら、男は寝室へと向かう。
バスローブから着替え、部屋の小さな灯りを灯し。机の前の椅子に座り、ふう、と息を。
――本当なら、もう少し小さなベッドで良かったのだけれど。
近くに見える、大きなベッドに視線を移せば、小さく、小さく笑い。年甲斐も無く、彼が此処へと来るのを楽しみにしている自分に、少々呆れもするけれど。]
……明日か、明後日か…、来週…来月。
[もしかしたら十年、二十年後かもしれない、と。朝に届いたあの二通のメール
この文面を見る限り、そう遠くないうちに会えるのだと、ついつい期待はしてしまっているのは事実だけれど。
――嗚呼、一日千秋の思いとは、こう言う事を言うのか、と。浮かんだその考えに、男は部屋で一人、小さく吹き出した。]
……まさかこの歳で、そんな初々しい事を考えさせられるとはな。
俺に責任を取れと言うなら…取ってやるとも。
だが、君にも取って貰うぞ…ヨハン。
[画面に浮かんだその名を、慈しむように指でなぞり。呟いた"恨み言"は、彼には届きようも無いけれど。]
[――嗚呼、嗚呼。彼をもしも再び、この腕の中へと迎える事が出来たのならば。
そうしたら、今度こそ。嘘偽り無く、きっと離しはしないのに。
移ろう月のように、この気持ちは決して変わったりはしない。例え彼がここに来るのが十年の後だとしても、百年の後だとしても。
この生ある限りは、焦がれに焦がれながらも彼の姿を待ち続けてやろうと。]
――……我ながら、執念じみている。
だが、余りに来ないようなら…迎えに、行ってしまいそうで怖いよ。
[クツ、と一つ喉を鳴らし、キチリと響いた指からは細い糸がたらりと垂れて。
獲物が巣に掛かるのを待つではなく、待ちきれずに獲物を追い掛けて行くなどと、何とも《蜘蛛》らしくは無いとは思いつつも――それもまた悪くない、と。]
……綺麗な月だ。
[そんな想いを胸に密かに滲ませて、男は部屋の灯りを消す。
窓に見える仄かな月の姿にあの白を重ね、愛おしいあの姿を重ね。
"嗚呼今宵の月は何と美しいのだろう"、と。
――そんな事を、思いながら。]*
ー回想•昨晩、一時過ぎー
[気がついたら銀河鉄道に乗っていた。
(…気がついてみると、さっきから、ごとごとごとごと、ジョバンニの乗っている小さな列車が走りつづけていたのでした。ほんとうにジョバンニは、夜の軽便鉄道の、小さな黄いろの電燈のならんだ車室に、窓から外を見ながら座すわっていたのです。)
ベネットは窓の外を見た。ああほんとうにまるで銀河鉄道の夜みたいに、ジョバンニみたいに、青白く光る銀河の岸に、銀いろのすすきがもうまるでいちめんさらさら さらさらと波を立てていたので、ここは銀河鉄道だった。
銀河ステーションもカムパネルラも、黒曜石でできたりっぱな地図もないけれど、ここは銀河鉄道だった。
銀河鉄道だった。
銀河鉄道ーーー…?
[はた、とベネットはそこで思いとどまった。そうだ自分は、黒髪の少年と、銀色の少女とバイトの話をして、それから…………それから?
うんうんと思い出そうとしても、しろいもやがかかったようで思い出せない。目をつぶれば暗闇にちりばめられた緑や橙や青の光がじゃまをして、なんにもわからないのだった。
ああでも、容姿がほんとうに少女がカムパネルラで、少年がジョバンニのようだ。二人が来たから、もしかしたら二人の今生の幸いのために自分が代わりに連れ去られてしまつたのかもしれない。
なんて、馬鹿馬鹿しいけれど。
不思議と逃げ出したいとは思わなかった。ただただ、放置して来てしまった二人のことが心配だった。困惑しているだろう。嗚呼ヤニクとの約束も、こちらが破ってしまった。性格がよろしいとは言えない彼だから、怒っているかもしれない。本をどれでもひとつもっていっていいから赦してくれないだろうか。伝える機会もないけれど。
メモを貼った。
【人】 奇跡の子 カリュクス[どれだけの時間、言葉を重ねただろうか。 (310) 2014/10/09(Thu) 00時頃 |
汽車のなかに自分はひとりだ。
カムパネルラが姿を現さなければ、ジョバンニはずっと、ずうっと、白鳥の停車場にも、プリオシン海岸にもいけず、北十字も見られず、鳥を捕る人にも会えずにくらい銀河のなかを走り続けてゆかねばならないのかもしれなかった。]
ひとは誰もが、自分だけのカムパネルラを探している
[そう喩えたのは誰だっただろう。自分の暗闇を照らす唯一の光を、照らして手を伸ばしてくれる誰かを探している。
そのカムパネルラが、どこまでもゆこうと言った途端に消えてしまうのだ。銀河鉄道は、そうゆうことを表しているのであり、カムパネルラもまた、人間だったのだ。
賢治のカムパネルラは妹のトシだった。
カムパネルラーーー信仰を一つにするたったひとりのみちづれが消えてしまうそのことに、何度胸を打たれただろう。
黄玉(トパーズ)や青宝玉(サファイア)を散りばめたような賢治の世界が、窓の外に広がっている。
孤独の散乱する、綺麗な空だった。
けれども自分には、カムパネルラはいないのだ。
いつだって、いまだって。
このまま何処へゆくんだろう。
大声で泣いた。少しだけ笑った。
このまま何処かへゆくんだろう。
ことんことんと、振動音だけが響いていく。]
【人】 奇跡の子 カリュクス―夜・住宅街― (319) 2014/10/09(Thu) 00時頃 |
【人】 奇跡の子 カリュクス―――――――――――――― (320) 2014/10/09(Thu) 00時頃 |
【人】 奇跡の子 カリュクス前にヤニクさんが教えてくれたように (321) 2014/10/09(Thu) 00時頃 |
【人】 奇跡の子 カリュクス冬の空を選んだのは、どの季節の物よりも、それが優しいと思ったから。 (322) 2014/10/09(Thu) 00時頃 |
【人】 奇跡の子 カリュクス[全てを打ち終えると送信を押す。 (323) 2014/10/09(Thu) 00時頃 |
【人】 奇跡の子 カリュクス カタタン ゴトトン カタタン ゴトトン (333) 2014/10/09(Thu) 00時半頃 |
【人】 奇跡の子 カリュクス やっと、逢えた――― (334) 2014/10/09(Thu) 00時半頃 |
【人】 奇跡の子 カリュクス―回想・家を出る直前― (339) 2014/10/09(Thu) 01時頃 |
【人】 奇跡の子 カリュクス―――――――――――――― (340) 2014/10/09(Thu) 01時頃 |
【人】 奇跡の子 カリュクス扉の鍵はあいているので、 (341) 2014/10/09(Thu) 01時頃 |
【人】 奇跡の子 カリュクス―――――――――――――― (343) 2014/10/09(Thu) 01時頃 |
[月の光の差し込める薄闇の中、ぼんやりと月を眺めてどれ程の時間が経っただろう。
傍に置いた懐中時計の針を見たのなら、思いの外時間が過ぎていて――"とんだ時間泥棒だ"、と月に喩えたかの人へと捧げる恨み言を胸に。
そうして漸く、その月から目を離したのであれば。図ったように、携帯端末が音を立てて震えはしただろうか。]
……、土産か。
それは嬉しい。どんな時計を…贈ってくれる?
[そろそろ見慣れたその名とアドレス
――嗚呼、折角。今宵の月が、恋しさをほんの僅かにだけ慰めてくれたと言うのに。
このタイミングで送って来るとは…これじゃあ本当に、ひと時たりとも彼を浮かべぬ事など出来ないじゃあないか。]
………、あの時は、太陽が昇らなければ良いと思ったものだが。
[あの夢の一夜へと、想いを馳せて。あの時話したささやかな趣味の話を、彼が覚えてくれていた事に歓びを。
彼のくれるという時計は、果たして如何なるものなのだろう。年甲斐も無く踊る心を宥める気など、今はとてもありはしなくて。
全て置いて来たあの時計達も、また集め直さねばなるまい。そしてその最初の一つが…彼からの土産であるのなら。
それは何と、幸せな事だろう。]
……今は、太陽が昇るのが…何よりも、待ち遠しいよ。
[呟いた声に、最早皮肉も余裕もありはしない。只々その身を焦がす恋しさだけを滲ませて、最後にひとつ呟いた名は、月明かりの中へと溶けて行きはしただろうか。]*
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