213 舞鶴草の村
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― 意識が戻った後 ―
[ふと、目が醒めた先は茶屋の椅子の上で
そう言えばどこかで団子を食べたあとだっただろうか。それでもまるで今のように夢を見ていた、と錯覚してしまうくらい]
…違う
[手に握られた櫛。そして、その櫛の“持ち主”
気が付いたらポタリとその櫛へ涙が落ちていて。視界が歪み、ぎゅうと櫛を強く握りしめる
それでも、その持ち主へ櫛を返す事は出来ない]
桜……!
[2年前に病死した、自分の恋人
演劇で自分が駄目で周りから見られなかった時も、相手をしてくれて練習の相手になってくれて。時には励ましてくれたような、自分にとって大切な存在
いつの間にか、彼女の存在は薄れていって、今では演劇で有名になったのを良い事にそれすらも頭の隅へと追いやられていたのだろう]
すまない、すまない………
どうして俺はお前の事を
[謝ったって、その声は届きはしない
そうだ。自分が女性を苦手とする理由だって、元はと言えば彼女の死を思い出すからで。近くに行くのだけでも、その記憶を蘇らせたくなかったからだった
けれど、今思い出してしまえば“忘れていた事すら情けない”]
俺にとってお前は恩人だと言うのに…
どうして、俺はこんな馬鹿なんだ
[櫛を握りしめたまま頭を垂れる。強く瞑った瞼からは抑えきれない量の涙がぼたぼたと地面に落ちればすう、と土へ染みていく
あぁ、そういえば公演に出ていて彼女の死に立ち会えなかった。と、後悔が押し寄せてくる]
俺にとっての宝は、お前自身だった
お前が居なくなって宝はお前に対する記憶だった…
[独り言のように、懺悔の言葉を繰り返す
盗まれたものが返って来た。けれど、その宝は自分にとって大切なものであって、忘れたかったのかもしれない記憶]
…戻らなくては
鼠小僧が、記憶も盗むと鏡に伝えないと
[ふらり、立ち上がって店主へ勘定をしようと話しかければ店主は自分の事を無視する]
おい、何を――
[腫れ上がった目と、気が立って居た事もあって店主の肩を掴もうとすれば、どうにも反応が無い。まるですり抜けたような、掴んだような不思議な感覚
自分の存在に気付いていないのは、店主自身だけで無く、周りの客もそうだった]
…どういう事だ!?
[先程まで大の大人が泣いていたにも関わらず、そして街中の人通りの多い団子屋にも関わらず自分を見る者が一人も居ない
いつもなら、少しでもこちらを振り返る目だってあったはずなのに
ここは、普段とは違う世界なのだと気が付くまでそう長い時間は取らなかった**]
………ぁ…?
[気づいた時にゃ、俺ぁ地面に転がされてた。頭がいてぇ。
とにかくこのまま寝っ転がってるのも嫌だからと、身体を起こして立ち上がる。
…そうだ、鼠小僧は…。]
…!
[路地の脇に、俺の刀が立てかけられていた。返ってきたってことか。
…てこたぁ、もう奴さんは近くにゃいねぇんだな。
はぁ、結局なーんもわからなかった。奴さんの事は。忘れちまってた事を思い出しただけだ。]
…。
[刀を取って、腰に差す。今だから分かるが、最初の手紙が届いた日…腰が軽いと思ったら、こいつがなかったからなんだな。
そんな事も思い出したら、なんだかこの刀を握りたくなっちまった。
誰かを切るなんてしねぇけど、おもむろに刀を抜いた。]
[懐かしい感触だ。それほど触れてない時間が長かった訳じゃねぇが、とても久しぶりに感じた。
盗まれて、一度忘れて。そして戻ってきた今は。
とても大切に思う。誓いの証。]
…もう二度と、人を斬らねぇ。
[あの最後の仕事の後に、この一振りの刀に誓った。]
……さーぁてっと。
[どうしたもんかね、これから。]
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−弐区−
[鼠小僧に関する瓦板があちこちに貼られているのを見ると、噂は本当だったのだと実感せざるを得なくて、足が竦む あれほど「成敗」を望んでいたのに、まったくおかしな話である
何が盗まれただ、誰が被害にあったかなどとちらほらと書いてあっただろうに、ろくに目に入らない 先刻出会った、三味線弾きの彼女を脳裏に抱いては、一人五散る]
…目に 見えないもの か…
[人それぞれ見えているものは違う。 それを気づかせてくれた人。 見え方によって、価値観も違う]
…まさか、なァ
[目に見えないものでも、盗んでしまうのではないか 鼠小僧は 本当に大切なものこそ、目には見えないものだから。 そう考えては、その発想の奇異加減に自分を嘲笑う]
(43) 2015/01/25(Sun) 14時半頃
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…お
野良か。 お前はいいよなぁ、何の悩みも無くて
[足元に見つけた、一匹の猫。
「鼠の天敵だ」と思っては可笑しかったか しゃがんで撫ぜようとしたならば、その身をかわして走り出す 追いかけようとした目先には、同じ模様の親猫が居ただろう
そして目を上げると、何やら心配げな表情の人>>36 いつもの調子で、大きな声を投げた]
どうした! 何か、困ったことでもあるのか!
(44) 2015/01/25(Sun) 14時半頃
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門下生 一平太は、メモを貼った。
2015/01/25(Sun) 14時半頃
門下生 一平太は、メモを貼った。
2015/01/25(Sun) 14時半頃
…ありゃ。
[酒がそろそろ切れちまいそうだ。買いに行かなきゃなぁ。
残り少ない酒をちびちびと飲んで、伍区のおっさんの酒場まで来た。]
おう、おっさん。来たぜ。
………おう?
[ありゃ?いつもこうやって声をかけりゃ大体いつも買う酒を出してくれるんだが…反応がねぇ。ついに耳が悪くなったかぁ?。]
おっさ…。ん…!?
[肩を叩いて呼ぼうとしたら、手がすり抜けちまった。…どういうこった。まさか幽霊にでもなったのか俺ぁ。
…これじゃあ酒は買えねぇなぁ…しょうがねぇ、適当にふらつくしかねぇか…。]
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どうした! 何か、困ったことでもあるのか!
ひと、探し?
[逸らし気味な視線と、独特な動作が気になったが。 「正義の味方」としては、告げられた「悩み事」が重要だ 前髪を梳いたては宙を遊んでいて、困惑を示すには充分だったろう]
…大丈夫! 二人で探せば、何とかなる!
[何時もの調子で、力強く言って見せただろうか ”ふたりで”と 探す相手が、幼いころから見ていた活劇の主演だと告げられればどんな顔をしただろうか]
(46) 2015/01/25(Sun) 18時半頃
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猫の親子だって出会えたしな! きっと見つかる筈だ!!
[竹刀を肩に抱えて。 そういえば力仕事以外など、久しい 三味線の女性の頼みと続き、腕っ節の必要ない仕事は、世間が平和になってる というわけでもなく、鼠小僧の噂は轟く]
(47) 2015/01/25(Sun) 18時半頃
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門下生 一平太は、メモを貼った。
2015/01/25(Sun) 19時頃
はぁ…
[溜息1つ吐き出すも、それが誰かに聞こえるわけもなく
普段は嫌がる人通りの多い道も何故か誰も見ていないと考えれば何の抵抗も無く歩けていた]
鏡の奴、心配しているだろう
[そういえば、と自分の心配をしてくれるだろう一座の仲間を思い出す。自分が居なくなったと聞いて公演が中止になった話は既に風の噂で聞いていた
元々、才能も何も無かった自分が、主演になれたのは自分のお陰では無いと言うのに]
――皮肉なものだ
[女性嫌いの理由が、女性絡みだったとは
失った恋人の事を思い出し、そして声が震える。流しきったと思っていた涙が涙腺に溜まり、視界がボヤける]
……馬鹿、が
[失って初めて気付いた大切な記憶。ポカリと空いた穴は塞がった代わりに大切な人が居ない虚しさだけが心を支配していて
結局それは空いた穴を塞いでから、また空けたように虚無感だけが残っていた]
卑怯だな、鼠小僧…
これでは善か悪かわからんではないか
[片手で両目を抑えて、誰が見るわけでも無いのにその泣き姿を見られないように
大切だった事を思い出させてくれた。その代わりに、残ったのは虚しさだけで。本当は忘れたかったのかもしれない記憶を、掘り返してきて]
……すまなかった
[誰に聞こえるわけでもないその懺悔の相手は、きっと聞いては居ないだろう**]
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ああ!当然だっっ!!
[一緒に探す と言われれば即座にそう返しただろう 注視されているであろう竹刀を」、ぶん と振る 何せ、自分は。弱きを助け 強きを挫く]
…正義の、味方だからな!
僕、一平太が! 一平太 獅子丸が! その有閑!晴らしてみせる!!
(56) 2015/01/25(Sun) 23時頃
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[お決まりの名乗り口上を挙げると、丁寧にも告げられた「彼」の名前]
鏡かぁ… いい名前じゃあないか!
[キラキラと 己の身を返す「姿見」 目の前の彼と当てはめれば、不思議なほどしっくりと感じた]
あー… [彼が指したのは、馴染みの無い夜の街で。 誘惑を掛けてくる遊女は苦手だ だが、事件が起こるなら−或いはこういった場所だろう、とも。]
この先だな!? 行こうか!
[勇気を出して踏み入る決意をした 柄にも無く、同行者の掌をぎゅ と引っ張れば、胸の強張りも伝わってしまっただろうか]
(57) 2015/01/25(Sun) 23時頃
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門下生 一平太は、メモを貼った。
2015/01/25(Sun) 23時頃
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