112 燐火硝子に人狼の影.
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――調理場――
[話をしつつも、調理の手は止めない。 メアリーが綺麗に剥いた野菜や、ソーセージなどが鍋の中に浮かび、胡椒やハーブの香りがほんのりと伝い来る。]
あァ。人狼……は、本当に、いる。 そン時の村じゃ、最後まで、誰も人狼が誰なのか判らなくて。 気が付いたら、自警団も、村人たちも、みぃんな――死んじまった。
[さっきも不安そうにしていた、今も困惑の色を見せるメアリー>>1:68に。 男が紡ぐ言葉は、至って淡々とした響きになっていた。 ……空いていた左手は、銀の十字架の方に、また寄っていた。]
っと。もうこれでシチューは完成、だな。 人数分の食器に取り分けて、持ってっちまおうか。
[けれど料理人として言葉を紡ぐ頃には、また屈託のない顔色と声色に。]
(1) 2013/02/05(Tue) 00時頃
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………って、あァ。それもそうさね。はは。
[首を横に振るフランシスカから「人の事は」なんて言葉>>1:69を貰ってしまい、苦笑いが洩れる。 その言葉の前に置かれた間。その視線の行先。 漠然とだが、漸く彼女が何を見ていたのか、思い当たった。]
ん、と。フランシスカ、か。 オレはシーシャ・ウェイ――シーシャって呼んでくれりゃ良い。 宜しく、な。
[クロスのことにはここでは触れないまま。 二人の後から己も名乗り、それから、フランシスカを見送った。]
(2) 2013/02/05(Tue) 00時頃
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[シチューをこうして作りはしたものの、広間の皆に食べて貰えるという保証は無い。 異常な事態、例えば毒を疑う者が居たとしても、致し方無いのだろう。]
テッドの坊主も、腹満たして、落ち着いてくれりゃいいんだが。
[あの時自警団員が口にしていた名>>1:38を思い出しつつ、ひとりごちていた。]
(12) 2013/02/05(Tue) 00時半頃
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ん、アイリスちゃんの分、か。
[「1人きりじゃないと」などと彼女は言っていたが――。 少しの間だけ考えて、メアリー>>4に頷いた。]
そうだな。あの子も呑まず食わずじゃ死んじまう。 作り手として、オレがシチューを届けに行くさ。届けに行く。
[彼女の部屋はどの辺りだろう、とぼんやり思いつつも。 メアリー>>7にうんと頷き、水だけを求めて部屋に戻ったフランシスカの分は除いて、9枚の皿を手分けして持っていく。 鍋の中には、まだそれなりに十分にシチューが残っている。]
(13) 2013/02/05(Tue) 00時半頃
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――昨夜・広間――
よ、お待たせぃ! シーシャ・ウェイとメアリー・ヒューズの自信作、ご賞味あれ!
………じゃなかった。 えェと。良かったら食ってってくれ。
[>>1:67あの時聞いた名字の方も添えて述べた口上は些か場違いな響き。 ともあれ、何人がシチューを食べてくれるかは知れないが、テーブルの上に手早く並べていく。 実際、もう既に広間に居ない者も居た>>5。]
(15) 2013/02/05(Tue) 01時頃
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じゃ、アイリスちゃんのとこにも、持ってくか。
……………、
[一通りの夕食の準備と、後片付けとを経て――。 やがては長い一夜の中で、ひとり部屋に戻って眠りに就くこととなる。**]
(16) 2013/02/05(Tue) 01時頃
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――昨夜・→アイリスの個室――
[ルーカス>>17の、メアリー>>18の感想を聞けば、自然と笑みは零れていた。 美味しい、と言ってくれる人々に小さく感謝を述べてから、自分もシチューに口をつけたものだった。 それから、また少しだけ後のこと。暗い廊下で一人きり、その人の部屋の前に立つ。]
アイリスさん――ちょっと良いかい?
[皿を片手にノックするも、返事は無い。 思い切ってドアノブに手を掛ければ、簡単に戸は開いた。 一呼吸してから、そっと声を掛ける。]
一人じゃないと拙いトコで、悪ぃんだけれどよ。 ……アイリスちゃんも、これ、食ってけ。
[テーブルを見下ろしたままの少女には、シチューに口をつけるだけの気力も無いのかもしれない。 それでも、扉の傍にもう一つあった小さなテーブルに皿を置き。部屋から出た。]
(21) 2013/02/05(Tue) 01時半頃
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可哀想に、な。可哀想だ。 あんな自警団のヤツらに担ぎ出された所為で。なァ、
なァ、アイリスちゃん。 なァ、――― ――― 。
[左手指をそっと噛む。尖りきらない人並みの歯が、指の腹に痛みを与える。 知っている。この少女を狩ろうとする者の存在を。 それでも男は何も語ることなく、空き個室の一つで、ひとり夜を越していく。**]
(22) 2013/02/05(Tue) 01時半頃
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[昨晩ひとりきりでアイリスの部屋を訪ねた時。 少し離れたケイト>>29の視線には気づかなかった。 故に、特に声も掛けることなく、ただ自室へと引き返すのみ。]
…………
[おいしい、の感想を貰った時>>27、やはり零した小さな笑みも。 もう、男の顔からは、失せていた。]
(44) 2013/02/05(Tue) 18時頃
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――翌朝・自室→調理場――
…………は、
[上手く寝付くことができず、常よりも遅い起床。 やや伏しがちな目のまま、適当に身形を整えて廊下へと。 それでも真っ先に調理場へと向かってしまうのは、まるで料理人の性質のよう。 さて、其処には既に先客の姿が。]
ん、おはよう……。 メアリーちゃん、フランシスカ……さん、
えェと……朝飯はそれで大丈夫そうかね?
[調理場に入ったのは、丁度、シチューの残りの話が出ていた頃>>43。 湯気は立ち、齧られた林檎>>40もちらと見えた気がした。 男は一先ず、広間にでも持っていく軽食を探そうとして――]
(45) 2013/02/05(Tue) 18時半頃
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シーシャは、メアリー>>43が髪を結わえる様を、瞬いて、何処かぼんやりと見ていた。
2013/02/05(Tue) 18時半頃
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[どの位してか、後ろの廊下の方から、幾つかの足音が響く。 それはアイリスの部屋に向かう者たち>>35のもの。]
朝っぱらから騒がしい、な。 騒がしい。何が……
[やや目覚めの悪い頭のまま、瞬く。 ある一つの可能性を察したのは、ややあってのこと。 男は調理場に背を向け、再び廊下へと。]
……ちょっと、行ってみるわ。
(46) 2013/02/05(Tue) 18時半頃
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シーシャは、ルーカスたちより遅れて、アイリスの自室に。
2013/02/05(Tue) 18時半頃
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[ルーカスからの報せを受けた自警団員らが死体を運び出す前に、男はその惨状を目の当たりにし。 散った血の花のいろに、匂いに、生理的な嫌悪から口許を手で覆う。
やがて自警団員から、昨日と同様に「処刑」の話を受けてから>>39。 男は漸く、狩られた少女の部屋から広間へと歩き出す。 その顔色は、まるで芳しくないまま。**]
(47) 2013/02/05(Tue) 18時半頃
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――廊下・広間へと――
[アイリスの死体を直に見た故の気持ち悪さが足取りを遅くする。 エントランスの方からテッド>>56の叫び声が響き渡った時も、瞬き振り向きはすれど、足が向かうことは無かった。]
………人殺し、なァ。
[昨夜、彼はシチューを拒んだ>>50後、何か口にしたのだろうか。 毒だなんて言葉も致し方ないかとは思えど、実際言われると、かなり堪えるものがある。 そして、今も結局一人っきりになっているのだろうと思えば、伏した瞼も更に重く。
その点、オスカー>>59のように、素直にシチューを食べてくれた、おいしいと言ってくれた人のことを思えば少しは気も楽になったのかもしれないが。 今は、そんな状態では無かった。
それから道中、ケイト>>62とすれ違った時は、ちらとその瞳を眼鏡越しに一瞥して――。 厨房の場所を探していると察すれば、ぼんやりとその道のりを教えたものだった。]
(94) 2013/02/05(Tue) 22時半頃
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[フランシスカも、メアリーも、あれから共には来ていない。]
気になるモンでも、あるンかね。
[あの時のフランシスカ>>58の瞳は、まるで奥底を射抜こうとするようにさえ感じられた。 感じられた、というだけだが――。 彼女があの時見ていたのは銀の十字か。それとも男自身の何かか。]
…………いや、まさか。なァ。
[ふっと何かが過ったが、それは直ぐに気のせいと思考から追い遣った。 今気に留めるのは、ただ、彼女の眼差しがあったということ。それだけだ。]
(102) 2013/02/05(Tue) 23時頃
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何もなけりゃ。
良いン、だけど、なァ。
[別れ際のメアリー>>67の様子を、またふっと思い返しながら。 色無い顔の男は、漸くその部屋のドアを開けた。]
――→広間――
(104) 2013/02/05(Tue) 23時半頃
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――広間――
[辿り着いたのは、丁度オスカー>>103が紅茶を手に部屋に入った後。 その幼い後ろ姿の後から入り、広間の面々を見渡した。 見えたのはヴェスパタインにルーカス、メアリー、他にも誰か居たろうか。]
……ん、と。オレも頂こうかな。 ありがと、な。オスカー。
[何処か硬い顔に見えた少年からカップを受け取る男もまた、未だ芳しからぬ顔色。 ルーカスの近くに居るメアリーの姿を見た時、少しだけその目は瞬き。そのまま、近い席へと腰を下ろす。]
(107) 2013/02/05(Tue) 23時半頃
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