97 せかいがおわるひに。
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セレストは、アイリス[[who]]はどうしてるのかなあ…
2012/07/21(Sat) 00時頃
―― 天文台・裏手 ――
[ぐらりと体が傾く。そこにあるはずの地面が無い。
身体は重力という忌々しい恩恵により、呆気なく逆さまに落下を始める。
まるであの藍色の隕石のように。]
……、なんだ。
馬鹿みたいな、死に様だ。
[ありがとうと、スティーブンに伝えられて良かった。
セレストに触れることが出来て良かった。
そうして満たされていたのにどうして、不意に胸に込み上げるのは何?
また会いたいと、思う気持ちは何?]
[通話を切っていない携帯電話と
その横に置いたままのシルクハット。
遠ざかるその二つに、余計なものを残したなと冷静に鉄色は細くなる。
落下する、堕ちる身体。
携帯電話から微かに、誰かの声が聞こえるけれど。
もう答えることは出来ない。]
……お前には殺されねえよ。
ばーか。
[最期に天に放ったのは、隕石への恨み言。
怯えた鉄色に僅かに、光が見えた**]
―― 一ヶ月前・天文台:朝 ――
おはよう。珈琲くれ。
[世間が休みの日に、忙しくなる職業というものはなかなかにやっかいである。
穏やかな日差し注ぐ週末、いつものように鉄塔を横切り天文台へと出勤する。闇色のスーツにシルクハット、天文台の職員であると名乗っても、必ず初めは疑われるような格好で。
売店で接客してくれたのはセレストだったか、ホリーだったか。何時ものように朝食を買い求める。]
今日は何入ってんだ?
カレーパンないわけ?
[笑みも見せずに無遠慮に頼むのも、常の光景。]
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可愛かった……そうなんだ……。 クラリッサの話だと、「そんな人間がいるかー!?」って突っ込みどころ満載の、妄想の産物としか思えないすごい女の子だったけど。
[その結果のクラリッサの悲しい恋物語はクラリッサの名誉のために秘密にしておく。恩に着るがいい]
えー? あたしこう見えても腕力結構あるよ? 水泳で鍛えてるし。
[空いた手で力こぶを作ろうとして、止めた。 またちくりと胸が痛む]
ヒューたちどこいったのかな。 あたし、食べ物のあるところ聞きたかったのに。
[ヒューたちが姿を消してしまった方向に目をやってみたけど、姿は見えなくて。 アイリス先輩をほったらかしにしてー、と文句を言いながら、促されるままに座った]
(15) 2012/07/21(Sat) 00時半頃
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湿気てんな。
あと煙草も、いつもと同じやつな。
[カレーパンはどうやらないらしい。代わりの焼き蕎麦パンで妥協し、最後に注文するのは常に内ポケットに備えている同じメーカーの煙草。メンソールのそれを好んで買うのは、その銘柄の名前が気に入っているからという理由もある。]
お互い精々勤労に勤しもうじゃないか。
じゃあな。
[代金を支払うと、相変わらずの鉄色を向けて売店から出る。入り口には既にぱらぱらと客の姿が見えて、ふと零す溜息と共に唇は緩く弧を描いた。
天体に夢を見る彼ら彼女らに、その美しさを知らしめてやろうじゃないか。
――今日も、忙しくなりそうだ**]
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そもそもクラリッサ、役者じゃなくてカメラマン志望だったしねえ。 美人にも悩みってあるもんだねー。 お姉ちゃんも。
や、大丈夫だって。 気をつけてるしー、あたしみたいなの襲おうなんて物好き、そうそういないだろうし。
[ひらひらと手を振りながら、下着で泳いだなんて話をした後じゃ説得力ないなーと自分でも思った。 木陰は風が抜けて、気持ちいい]
あ。あー……これ? その、借りたっていうか? もらったっていうか?
[どう見ても男性用の上着。というより、スーツのジャケット。まさか私のだと主張して誤魔化せない。 だけど、私にもどういうものなのかよくわからなくて。 首を傾げて、ははっと笑った]
(24) 2012/07/21(Sat) 01時頃
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[皺にならないようにしなきゃと思うのに、気がつけば抱きこんでいる。多分、とっくに皺だらけ。 いつもシルクハットとお揃いで、皺ひとつなかったスーツ。 ルーカスさんのトレードマーク。どうして、置いていったの? 思い出すのは、平和な日常。水泳には格好の季節になって、バイトのシフトは減らしてもらっていたけれど、その日はちょっと久しぶりに朝からバイトに入っていて]
あっ、おはようございます! はいっ、珈琲ですねっ! いつもお仕事ご苦労様です!
[緊張して、余計なことまで言ってしまう。言ってしまってから、お仕事ご苦労様ですってどうなんだ、と内心自分に突っ込んだ]
ええっとっ、今日はコロッケパンとやきそばパンとメロンパンと…… ホリーさん、カレーパンってありましたっけー?
[リクエストのカレーパンは見当たらない。バイト仲間のホリーさんに確認しても、やっぱりなくて]
す、すみません!
[別に発注を担当してるわけじゃないのについ謝ってしまうのは、条件反射]
(30) 2012/07/21(Sat) 01時頃
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あ、はい! いつもと同じの!
[記憶力はそんなに良くない。だけどルーカスさんのお気に入りの煙草は覚えていた。珈琲とやきそばパンと一緒に袋に入れる。 ルーカスさんは笑わない。愛想もない。だけど、事務的にほしいものを注文するだけというわけでもなくて、こちらが差し出した袋を受け取りながら言われた言葉に思わず頬が緩んだ]
はいっ、お互い。 ありがとうございました!
[そうして、背中をいつまでも見送る……なんてことはできなくて。またすぐに次のお客さんが来たのだけど。
アイリス先輩の声に、はっと我に返る]
ああ。お姉ちゃん、大変なんですよ。 ストーカーみたいな気持ち悪いメールがいっぱいくるようになっちゃって。怖くて部屋からも出られなくなっちゃったんです。 あたしはその点恵まれてるっていえるのかなあ。
[美人じゃないことを恵まれてるって表現する日が来るなんて、夢にも思わなかったけどね]
(33) 2012/07/21(Sat) 01時頃
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上等……だよね。 手触りだっていいし。
[私がくしゃくしゃに扱ったせいで、ちょっと上等に見えなくなりつつある上着に目を落とす]
なんなんだろ。よくわかんない。 返そうとしたのに、受け取らずに行っちゃった。
[だんだん、アイリス先輩に返事してるのか、独り言を言ってるのか、自分でもわからなくなる。 誰に?という質問に、ルーカスさん、と言おうとして]
……すきな人、かなあ……。
[口から出てきたのは、全然別の言葉だった]
(34) 2012/07/21(Sat) 01時半頃
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えー? あたしは全然可愛くないよー。 まあ、あたし目当てってわけじゃなくても、事故だのに巻き込まれそうで怖かったから、裏道使ったけどさー。
[自分のレベルも身の程も、よくわかってる。 「お姉ちゃんに似てないね」小さい頃から、耳タコレベルで聞かされた言葉だし]
…………。
[すきな人、という言葉に、アイリス先輩が驚いた気配が伝わる。 だけど、アイリス先輩よりなにより、私自身が一番驚いていた。 何言ってるの私!? というか、そうか。そうかあ。 私、すきだったんだ]
愛想がなくてねー、あんまり表情もないっていうか、見せようとしなくてねー。 真面目で真剣な人、かなあ……。
[ぽつりぽつりと言いながら、これ褒めてるのか!?とちょっと思った。むしろけなし率の方が高い気がする。 だけど紳士だったよ、と付け足そうとして、やめた。 紳士は多分、あんなところで意味のわからないキスをしたりなんかしない]
(40) 2012/07/21(Sat) 01時半頃
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[自分でも、よくわからない。気づかなかった思いに、やっと気づけたのか。それともあんな強引にキスをされたせいで、吊り橋効果的に恋に落ちたと錯覚してるだけなのか。 わからないけど、随分前から、ルーカスさんのことを意識していたのは、確かで。 それが恋だったのかは、よくわからないけど。 だけど、いいんだ。もう私には、時間がない。 この恋が勘違いだったとしても、それに気づく時間なんてない。 後悔してる時間だってない。 だったら、自分に都合のいい方に解釈しちゃったって、いいじゃん。 私は、ルーカスさんのことが、好きで。 ずっと、好きだったって。 それなら。
聞きたいことがあったんじゃない。 伝えたいことが、あったんだ]
(45) 2012/07/21(Sat) 02時頃
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思い切り過ぎって怒られて。 高校生に興味はないって言われて。 地雷を撒くのが好きなのかって聞かれて。 仕事が嫌いになったって、言ってた、かな。
[そして最後にキスと上着を残して、いなくなってしまった。そんなことは言えない。 ぽつりぽつりと、交わした会話の断片をアイリス先輩に話すけれど、自分の説明がものすごく不親切なことは自覚していて。 多分きっと先輩には意味がわからない]
(48) 2012/07/21(Sat) 02時頃
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真面目、だけど。 本人は、自分のこと、真面目だなんて思ってないんじゃないかなあ。
どうなんだろう。 あたし、好きだなんて、自覚してなかった。
[あの時、確かに私はへこんだけど、道を断たれたとは思わなかった。むしろなんだか納得した。 あれで終わってたら、きっと私は、自覚しないままだったと思う]
……わかんない。なに考えてるのか、さっぱりわかんないや。
[また上着をぎゅうっと抱きしめた。煙草と、ルーカスさんの匂い]
返していらないなら、なんで返せるようになるまで待ってたりしたんだろ。
[対象外なら、何でキスしたりしたんだろ]
(52) 2012/07/21(Sat) 02時半頃
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ねー先輩、あたし死ぬのが怖い。 中でも一番、一人で死ぬのが怖い。 どうしても死ぬのが避けられないなら、誰かに側にいてほしいんだ。 できれば手を握っててほしい。 もっと贅沢言っていいなら、ぎゅって抱きしめててほしい。 だって、死ぬ時って、段々見たり聞いたりできなくなるんでしょ? でも、触れててもらえたら、一人じゃないってわかるからさ。 ずーっと、そう思ってたんだけど。
[そう言って、しわくちゃにくたびれちゃった上着に目を落として]
でも、ちょっと違った。 あたし、"誰か"じゃ嫌だった。 抱きしめてほしい人は、一人だけみたい。
[そんな風にしてくれるルーカスさんなんて全然想像できないけど。そう思うと、ちょっと笑ってしまう]
(56) 2012/07/21(Sat) 02時半頃
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いたってこと。
[こっくりと、先輩の言葉に頷いて。フェンス越しに交わした会話を思い出す]
なにそれー? 高校生なのも女の子なのもあたしじゃん。部分部分に分けられるようなもんじゃないのに。 わっかんないなー。
[首を傾げながら、でもそうだったらいいのになあとも思う。 地雷を撒きまくった私への同情だったのかもしれない、と思ったりもして。 零の距離で見たルーカスさんの目を思い出すと、またちょっと泣きそうになった]
……ふふ。グレッグ先輩がやきもち焼かないかな。
[アイリス先輩に抱きしめてもらって、笑う]
先輩。ありがとね。
(63) 2012/07/21(Sat) 03時頃
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[ポケットの携帯電話が鳴ったのは、そんな時]
ん? 誰かなー……クラリッサ?
[屋上で、いつものような顔で別れた友達。眠そうな顔を思い出す]
もしもし?
[応答すると、電話の向こうのクラリッサの声は、いつも以上に気だるくて]
なんかあった? 大丈夫? ――――――……え? ちょっ、クラリッサ!?
[わたし ひと ころしちゃった。……そう、聞こえた。 きっと聞き間違い。慌てて聞き返そうとして、だけど既に電話は切られていた。 クラリッサが、人を、殺した? どうしたの。何があったの。襲われた? ああだから、美人なんだから気をつけなきゃってあれほど]
(64) 2012/07/21(Sat) 03時頃
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先輩、ごめん。 あたし、行かなくちゃ。
[どこに行けばいいのか分からないけど。先輩からそっと体を離すと、立ち上がる。左手に上着を抱えて、右手でバットを握って]
先輩、色々ありがと。 グレッグ先輩とお幸せに。 ……あ、あと、ヒューにもよろしく伝えといて!
[上着ごと左手をちょっと振ってみせてから、自転車置き場に向かって走り出した**]
(65) 2012/07/21(Sat) 03時頃
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―自転車置き場―
[バットは前カゴに入れた。上着も入れようとして、考える。飛んでっちゃったら、困るなあ]
仕方ないなー。暑いけど。
[本当は仕方なくないんだけど。自分にそんな風に言い訳をして、上着を着た。大柄のルーカスさんの上着は、私にはミニワンピくらいの丈になる]
おっき。
[呟きながら、長すぎる袖を折った。スーツのジャケットの袖を折って着るなんて、聞いたことないけど]
怒られたら、クリーニングして返さなきゃ。
[そんな日は、来るわけないけど]
(73) 2012/07/21(Sat) 10時半頃
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おなか減ったー。
[そんなことを言いながら、自転車にまたがって。とりあえず、どこを目指そう? クラリッサは、どこにいるんだろ。ああもう、それくらいちゃんと言ってから切れっての]
なんかヒント。ヒントになるようなことあったっけ……?
[いつもよりも気だるいクラリッサの声。その声の向こう……車の音がしたり、してたかも]
まさかクラリッサ、リアルドライブゲーム撮影に行ったんじゃないだろね?
[屋上で、見えもしないのに急ブレーキの音がする方にビデオを向けてたクラリッサの姿を思い出して]
その途中で、誰かに襲われて逆に殺しちゃった……?
(74) 2012/07/21(Sat) 11時頃
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[クラリッサが積極的に人殺しなんてするわけない。正当防衛に決まってる。 身を守ろうとして、うっかり殺しちゃって、だからわざわざ私にあんな電話を掛けてきたんだ]
美人なんだから気をつけろって言ったのにー!
[言いながら、ぐっとペダルを踏み込んだ**]
(75) 2012/07/21(Sat) 11時頃
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―― 天文台・ドーム ――
はいはい、順番な。
おい馬鹿押すんじゃねえ、お前が弁償できる金額じゃねえのコレは。
[一般客にドームを開放する時間になると、昼間でも天体を観測できる電波望遠鏡にたくさんの人間が押し寄せてくる。
研究員と白で抜かれた緋色の腕章をつけ、望遠鏡にやたらと触れようとする客を威圧するのが今の仕事。
毎日のようにそれを覗き、天を見ている男にとって、そんなに珍しいものかと半ば呆れもするが]
ああそれな、金星。
今の季節は昼間でも空にでてるから、探してみろよ。
[電波望遠鏡を向けた先には金星がある。
何の星か、どんなときに見られるか。疑問に思う声があれば口調はそのままにでも丁寧に解説を加えて]
[ふと客の中に見知った顔を見つけた。手を挙げればそちらも気が付いたようで、その近くへと寄る。]
なんだ坊主、お前も星見に来たわけ?
……一人でか?
[姿を見かけたのは近所に住む青年。友人と来ているのか、或いは本当に一人なのか。そこまでは男の知るところではない。]
彼女とかと来いよな。
夜はここ、一応デートスポットになってんの。
連れ込むならお勧めしとく。
[周りの客に聴こえぬよう彼の耳に小さく囁き、笑みといっては歪みすぎた表情を作った。]
―― 天文台・ドーム → 裏手 ――
ガキが多い、レンズに触ろうとするやつもいた。
気をつけとけ。
[交代に来た研究員に腕章を渡し、螺旋階段を下って外に出る。館内に喫煙できる場所はあれど、客に見られるのはあまりいいものではない。
研究室の裏口から、外に出た。]
は、何がそんなに珍しいんだか……
[ドームで嬉々として望遠鏡を覗く客。小さく独り言を落としながらスーツの内ポケットから煙草を取り出す。火をつけるそのアクションの後、紫煙の向こう側に人影を見つけた。]
また来てんのかよ、ヒュー。
皆勤賞狙えんぞ。賞金何もでねえけど。
[こんな裏手に来る人間は極限られている。確かセレストと同じ高校生のはずだが、彼は度々この天文台に姿を現していた。]
なんなら望遠鏡監視員とか、推薦してやろうか。
……あー、でもドーム禁煙だしな、それじゃ意味ねえか。
[未成年であるにも関わらず喫煙者である彼、けれどそれを咎めたことは一度としてない。セレストが彼に声をかけるのを見ていなければ、成人した暇な人間だと永遠と思い込んでいただろう。]
今日、セレストいるぞ。気をつけろ。
[売店からは遠く離れているにもかかわらず小声になるのは何故だろう。
果たして彼と彼女の遭遇はあったのだろうか、やはりそれも男は知らない。]
―― 天文台・研究室 ――
[一服の後、研究室から電話をかける。コールする相手は従兄、電話をするのも久しぶりのような気がした。]
……スー、俺だ。
悪いな、忙しいときに。
[医者であるスティーブンは、電話してもなかなか掴まらないときがある。だからこそ手短に用件を伝えようと]
ガキがよくホールで転んでさ、親が手当てしろってうるせえの。血も出てねえのに。
軽い打ち身なら手当ての必要ねえよな?
医者に聞いたつったら、手当てしなくて済みそうだからよ。
[スティーブンの返事を待ちながら、前回会ったのはいつだったかと考える。彼は男を律儀に「ルーカス君」と呼ぶ。年上で、真面目な従兄。]
……ん、了解。助かったわ。
[返事を聞き終えればすぐに通話を切ろうとして、しかし思い直る。]
近々暇だったら飯でも行かねえか。
勿論スーの奢りで。
[は、と軽く笑った声も、きっと向こうに届いている。]
―― 天文台・研究室:午後 ――
[午後一番に営業が来ると、朝から上司から伝えられていた。本来は研究員が相手をするようなことではないけれど、必然的に職員の中で一番若年である男は相手をすることになっている。]
………めんど………。
[まるでこの世の終わりのような声音を落とす。その瞬間に関係者の鳴らすインターフォンの音が響き、緩慢な動きで立ち上がって出迎えた。]
どうも、わざわざ来ていただいて。
……研究員のルーカスと云う。
[律儀に礼をする営業は、初めて見る顔だった。
衝立で区切られた応接用のソファに通し挨拶を交わすが、男はやはり丁寧な接客態度ではなく。相手の自己紹介もぼんやりと聞き流していた。]
[事務機器の資料を並べられ説明を聞けば、確かに必要なものが多いと気が付く。
他の研究員にもヒアリングしてみるべきなのだろうが、接客を任せたのが悪いと、勝手に注文をすることにした。]
……ああ、それもお願いしたい。
納期は、いつでも。暇なときでいい。
[こんないい加減な取引先もなかなか無いだろう。
けれど契約が結べるのだから、きっと営業の彼も嬉しいに違いないと、勝手に思い込んでいた。]
―― 天文台・売店:午後 ――
[軽食を買おうとやってきた売店の前で、一人の女性に声をかけられる。
長い髪の、美しい女性。年齢は男よりも少し下だろうか、随分と綺麗な顔立ちに、珍しい人形を見るような視線を送っていた。]
セレスト?
ああ、多分まだいるが……
[彼女はセレストの姉と名乗った。妹に会いに来たとう。そういえば目鼻立ちがどことなく似ているような気がした。]
セレスト、いるか。
姉貴が来てんぞ。
[彼女は売店のどこにいたか、手招いて呼び寄せた。もう一人ホリーが居るのだから、少しは外しても問題ないだろう。]
お前、姉貴居たんだな。
ま、ゆっくりしてってもらえよ。
……あと売り上げにも貢献してもらえ。
[最後は姉の方に聞こえぬよう、小さな声で。
送り出すようにセレストの肩に軽く触れ、反対に売店の中へと男は入っていく。]
ホリー、メロンパンはまだある?
[一人売店の中に居るホリーの声をかけ、頼んだ品があればそれを貰い、なければまた別の何かを持ってきてもらう。]
そういえばお前さ、先週の水曜シフト入ってた?
……あ、いなかったか。
なんかよ、屋上で演劇?みたいなのやってんの。コウコウセイが。
お嬢様かお姫様だかが何歩か歩けばすぐぶっ倒れる貧弱設定らしくてよ、撮影中ってわかっちゃいたんだが笑い死ぬかと思ったわ。
[ドームに隣接する、野外観測用の屋上スペース。そこで繰り広げられるドラマは色々な意味で見ごたえがあった。ホリーもセレストもその日はバイトに入っておらず、もし入っていたならば呼びに行っただろう。
まさかその貧血のお嬢様が、彼女達にとって従妹と友人という関係者であることは知らず。]
職員皆珍しいもんだから見に行ってさ。
惜しいことしたな、お前。
[支払いをしながら、ふと思い出し笑いを浮かべ、口元を手で覆った。]
―― 天文台・ドーム:閉館間際 ――
[腕時計を見れば、もう閉館の時間が迫っていた。やれやれと一つ溜息を落としながら、螺旋階段を登っていく。
今日も恐らく、ドームの中には――]
……今日も居たか。
[扉を開けば、望遠鏡を覗く女性の姿がすぐに飛び込んでくる。閉館間際にやってきては、こうして閉じることを知らせに行くまで望遠鏡を覗き続ける彼女。]
おい、閉館だ。
早く出ろ、閉め出すぞ。
[片手に鍵束を翳して、早く出るようにと促す。
こうして呼ぶまで熱心に宇宙を見ているのだから余程好きなのだろうと呆れつつも、どこか同士を見ているような錯覚も覚えて]
なあ、そんなに見てて飽きないわけ?
[螺旋階段を下りながら、彼女に一つ質問をする。
それは研究対象を宇宙にしている男にしても言えることなのだろうが、敢えてそこは気付かぬ振りをして。
彼女からの返事はどんなものだったか、どちらにせよ男は咽喉の奥で笑い]
……なんにしたってよ。
閉館の音楽が流れたら、外に出る準備くらいしててほしいもんだ。
[チャリ、と小さく鍵束が音を立てる。
螺旋階段を降り切り、ホールを抜ければ出口はすぐそこに。]
気をつけて帰れ。
またな。
[恐らく彼女はまたこうしてやってくる。
微かに浮かべたのは苦い笑み、腕時計の指し示す時間は閉館時間を少し過ぎていた。]
[館内の戸締りを確認し、灯りを全て消し。
鉄塔の傍を通り過ぎる頃には、昼間の賑やかさはなく辺りは静寂に包まれている。]
………さて。
[明日もまた、同じような一日だろう。
研究にも、接客にも、あっという間に時間は流れて。
こうして、男の一日は終わる。
季節が巡り、天の映し出す星々の瞬きが変化していったとしても。
変わるはずが無いと思っていた、日々が**]
セレストは、アイリス先輩ありがと、と呟いて、勢いよく自転車で走り出す。
2012/07/21(Sat) 18時頃
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[きょろきょろと見落とさないように辺りを見回しながら、自転車をこぐ。 電話を掛けようとは思わなかった。屋上で会った時、クラリッサは携帯の電源を入れていなかったから。 一方的に電話を切った後、また電源を落としてる可能性がある。 だけど、また掛かってくるかもしれないから、絶対に気づくように自分の携帯の着信音量は最大にしておいた]
…………。
[家の近くを通る。寄ろうか、ちょっと迷った。 家には食べ物があるはずだし、家族だってどうしてるか心配だ]
お姉ちゃん……。
[大丈夫かな。ガラスを割られて不法侵入とか、されてないかな。 自慢の姉。だけどコンプレックスでもあった姉]
(89) 2012/07/21(Sat) 18時頃
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[一ヶ月前のことを思い出す。 ちょうど店奥で品出しをしていた時、ルーカスさんに呼ばれた。名指しで呼ばれることなんてそんなになかったから、何かやらかしたのかと焦った]
はいっ!? え、お姉ちゃん!?
[思わず裏返った声で応答して、ルーカスさんの後ろに立っている姉の姿に目を見開いた。手招きをするルーカスさん、その後ろでこちらに手を振っている姉。 え? もしかして二人は知り合いだったりしたの!? 咄嗟にそんなことを考えて、なぜか胸がずきりとした]
(90) 2012/07/21(Sat) 18時半頃
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[実際は全然そういうことはなくて、たまたま私に会いにきた姉が声を掛けたのがルーカスさんだったらしい。 それがわかった時、肩に入っていた力が少し緩んだのはなぜだろう]
はい。似てないけど、そうなんです。 仕事中にすみません!
[言われてもないのに、「似てない」と自分で言うのはいつもの癖。自虐的だと思うけど、人から言われるより、自分で言った方が傷つかないから。 やたら謝るのは、対ルーカスさんの時の、やっぱりいつもの癖]
あ、はいっ! そうします!
[小さな声で言われた言葉に、大きな声で返事する。きっと姉には意味がわからないから大丈夫。貢献してもらえば、仕事中に抜け出したことの穴埋めになるかなあなんて思ったりして]
(91) 2012/07/21(Sat) 18時半頃
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……ぁ、
[何気なく肩に触れたルーカスさんの手に、今度は胸がどきりとした。思わず漏らした声は小さくて、きっと誰にも聞こえなかっただろうけど、ちょっと動揺しているのが気づかれないように、笑って姉に話題を振る]
わざわざ来てくれちゃったんだ? ご覧の通り、ちゃーんと働いてるよー?
[えへんと胸を張った私に、偉い偉いと姉は頭を撫でてくれたんだった。 自慢の姉。コンプレックスでもある姉。 だけどね、私お姉ちゃんのこと、大好きだよ]
(92) 2012/07/21(Sat) 18時半頃
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[唇を噛み締めて、結局家の側を通り過ぎる。 今は、一瞬でも早く、クラリッサに会わなくちゃ。 会いたい人は他にもいるけど、とりあえず、今は]
あーもうっ、どこにいんのよっ。
[あてもなく探すには、この街は広すぎる。ヤケになって、一度自転車を止めて。 叫んだ]
(94) 2012/07/21(Sat) 18時半頃
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セレストは、クラリッサあああああ!! どこにいんのさあああああ!!
2012/07/21(Sat) 18時半頃
セレストは、はあはあと荒い息を吐いた後、また自転車をこぎ始める。**
2012/07/21(Sat) 19時頃
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[おなかがすいた。喉も渇いた。 通りがかる自販機は、見事にこじ開けられて、中の飲み物はなくなっている。 どうせもうじき終わるんだから、そんなにたくさんいらないと思うんだけどなあ]
あっつ。
[思わず口から漏れる声。当然だ。この暑い日に、スーツのジャケットなんか着て自転車こいでるんだから。 それでも脱ぐ気はなかったけど]
どこにいんのよクラリッサー。 見つける前に、あたしが熱中症で倒れそーだよー。
(106) 2012/07/21(Sat) 20時半頃
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[電話が、鳴った。 慌てて自転車を止めてポケットに手を突っ込む。着信……クラリッサから。 慌てすぎて落としそうになりながら、ボタンを押して耳に当てた]
もしもしっ!?
(112) 2012/07/21(Sat) 21時頃
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声? なにクラリッサ、近くにいるの!?
[電話の向こうのクラリッサは泣いているみたいだった。きっと怖い思いをしたんだろう。 嗚咽まじりで聞き取りにくい声を聞き漏らさないように、神経を研ぎ澄ませる]
当たり前でしょー!? 捜さないわけないじゃん! 今どこ? あたしは3丁目のクリーニング屋さんのあたり!
(114) 2012/07/21(Sat) 21時頃
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大丈夫? 来れる? あたし自転車だから行けるよ?
[行くから、というクラリッサにそう声をかけるけど、場所を教えてもらえないんじゃ行きようがない。すれ違いになったら困るし]
んー? 何謝ってんの? ああ、さっきの電話で場所教えてくれなかったこと? ほんとだよもー。どこ捜したらいいのか全然わかんなくてまいったよ。
[繰り返し何かを謝ってくるクラリッサに、軽い口調でそう返す。何を謝ってるのかわかんないけど]
……クラリッサ!
[そうして、角を曲がってくるクラリッサの姿が見えると、自転車から降りて駆け寄った。 がっしゃーん!!とお気に入りの愛車がひっくり返る派手な音が後ろでしたけど気にしない。よく考えたら駆け寄るより自転車の方が早かったけど、それも気にしない]
ちょっ、大丈夫!? 怪我とかない!?
[血まみれの姿にぎょっとする。慌ててポケットからハンカチを取り出して、でもどこを拭えばいいのかわからない]
(117) 2012/07/21(Sat) 21時半頃
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怪我はない? よかった。
[ポケットにハンカチを突っ込むと、おでこを寄せてくるクラリッサを支えて。 酷い返り血を浴びているけど、とりあえず服が破られたりはしていないようなので安心する]
とりあえず、落ち着きなって。大丈夫だから。 大変だったねえ?
[安心させるように、腕を伸ばして背中を撫でた。きっと怖い思いをしたんだろうから]
(124) 2012/07/21(Sat) 21時半頃
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あたしもねー、なんていうか。もうわからないんだー。 何が正しくて、何が間違ってるかなんて。
[クラリッサに何があったのかなんて知らない。知りもしないで、大丈夫って励ましてる。それが正しいことなのかなんて、わからない]
多分、みんなねえ、多かれ少なかれ狂ってるんだと思うよ。 だって、この星が狂っちゃったんだもん。 表現の仕方が違うだけ。
[安心させるように、いつもよりのんびりした口調でそう言って、ゆっくりと背中を撫で続ける]
どうだろうね。 人を殺しちゃったって、泣いてるクラリッサは、あたしには"大丈夫"に見えるけど。 あたしが"大丈夫"なのか、わかんないからなあ……。
(127) 2012/07/21(Sat) 22時頃
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どーかなー? 一ヶ月前だったら、あたしきっとクラリッサに「大丈夫」なんて言ってないよー? 血相変えて、「ついてったげるから、警察行こ!」って言ってたと思うよー?
[笑うクラリッサ。随分落ち着いてきたみたいで、私もちょっと笑い返す]
今のあたしはねー、多分、"なにが正しいか"よりなにより、自分の大事な人が大事なだけなんだよ。 それって、立派に狂ってない?
[自分の大事にしたいものだけを、大事にしてる。それはきっと、どこかが壊れてる。 小さなクラリッサの告白に、頷いた]
そっかあ。 カメラマンクラリッサの、最後の作品だねえ?
(131) 2012/07/21(Sat) 22時頃
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まー、平和な世界で人を殺すクラリッサとか、想像できないけどねー? 今だって、想像できないもん。
[ふふ、と小さな声で笑い続ける。こんな状況なのに笑っていられるのも、やっぱり狂ってるのかもしれない]
クラリッサだって。 あたしに電話くれて、ありがとね? あと……約束守ってくれて、ありがと。
[屋上でした約束。「またね」と言い合って別れた。 その"また"があるなんて、正直あまり期待してなかった。 だけど、クラリッサは電話をくれて。そして、こうして"また"会えた。 それは、なんだかとても……とても、幸せだなあって、思う]
んー? なにー?
(136) 2012/07/21(Sat) 22時半頃
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セレストは、クラリッサに無邪気に首を傾げてみせて。
2012/07/21(Sat) 22時半頃
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ふはっ。
[この期に及んで自分に"美"をつけるのを忘れないクラリッサに思わず噴き出した。うん、やっぱりクラリッサは、クラリッサだ。なんだか酷く安心する]
うん、約束っしょー? 多分、クラリッサとってだけじゃなくて、あたしにとって、人生最後の約束だよ。 光栄に思えばいいと思うよー?
[くすくす笑いながらそう言って、「お願い」に首を傾げて]
………………は?
[思わず頭が真っ白になった]
(142) 2012/07/21(Sat) 22時半頃
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くら、りっさ……? な、に、言って。
[悪い冗談って笑い飛ばそうとして、失敗した。笑顔になりそこなった歪な表情でクラリッサを見つめて]
クラリッサ、俳優志望じゃなくてカメラマン志望でしょ……? なーに? 最後の作品も、俳優の方やるつもりなのー? 志望が変わったなんて、聞いてないよー……?
[それでも冗談にしてしまいたくて、笑い損ねた顔のまま、懸命に喋った]
(143) 2012/07/21(Sat) 22時半頃
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世界で最後の約束かあ。なんかロマンチックだねー? その二人があたしとクラリッサっていうのが、こう、ロマンがないけど?
[くすくすと笑いながらそう返す。世界で最後の約束。なんだか映画のタイトルみたい]
世界の最後と、クラリッサの最後は、違うよ? クラリッサが最後を撮りたいんなら……最後の最後まで、生きなきゃ。
[そっと肩から重みが消える。離れたクラリッサを見つめ返す私の顔は、多分もう笑顔の欠片もない。きっと今私は泣きそうだ。 ぶかぶかのスーツのジャケットを着て、泣くのを堪えている私の姿は、きっとものすごく子どもっぽいんだろう。 でも、止めなきゃ。 いくら私が壊れてても、狂ってても、友達を手に掛けるなんて、そんなことはできない]
生きなきゃダメだよ、クラリッサ。
(151) 2012/07/21(Sat) 23時頃
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恋愛物かあ。
[そう言われて思い浮かぶのは、もちろんあの人のこと。ちょっと胸が詰まって、だけど笑った]
恋愛物はねー、実はもうしたんだー。 だからまあ、ここは友情物でよしとしといてあげるよ。
[胸が切ない。本当は、会いたかった。伝えたいことがあった。だけど多分、もうそんな時間はなくて。 上着を残していってくれて、よかった。ルーカスさんの匂いが、ルーカスさんの気配が、するから]
ちょっ、
[情けない顔をしてる私にカメラが向く。反射的に止めそうになって、やめた。 だってこれは、クラリッサの最後の作品だから]
(155) 2012/07/21(Sat) 23時半頃
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残念だったねー? 一人で見届けるのが怖いなら、あたしが一緒にいてあげるから。 面倒見のいい友達に感謝してよね? ……なんて、ね。 あたしもひとりは、怖いんだけどさ。
[ああきっと、もうじき終わってしまう。 何も残らないこの世界に、あたしはどうして生まれてきたんだろう。 それとも気づいてないだけで、あたしは何か残せたのかなあ? すん、と鼻を鳴らして、スーツからほのかに香る煙草の匂いを確かめる]
(156) 2012/07/21(Sat) 23時半頃
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ふへへ。抜け駆け、しちゃった。 ごめんねー?
[謝りながら、多分私の顔は全く悪びれてない。ちょっと舌を出してみせたりして]
……うん、そう。
[本当のところを言うと、あれを恋愛物といってしまっていいのか、よくわからないんだけど。 でもいいんだ。私は確かに、恋をしたから]
優しい顔ー? そういう時は、「美人に撮れてる」って言うんだよー。
[口を尖らせてそんなことを言って、だけど、クラリッサの漏らした弱音に、胸が詰まった]
(159) 2012/07/21(Sat) 23時半頃
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……うん。 そだねー……。
[私たちは、まだ若くて。可能性がいっぱいあって。 未来を疑ってなかったし。夢もあったし。 だけど全部、それは消えてしまう。 悔しいし、悲しいし、やりきれない]
クラリッサー。どこ行くー? こーんな道端が最後っていうのもちょっとアレじゃないー?
[頭を一度振って、携帯を閉じるクラリッサに、わざといつもの口調で問いかけた。 屋上で別れた時の、クラリッサみたいに]
(160) 2012/07/21(Sat) 23時半頃
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セレストは、…ん? 恋愛物?
2012/07/21(Sat) 23時半頃
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んー? そうー? むしろあたし的には天変地異級のびっくりだったよ? いや、まさに天変地異起こってるけど。
[クラリッサの評価に首を傾げつつ、苦笑する]
あっは、そりゃありがと。 クラリッサに勝てるとは思ってないからだいじょーぶ! なにしろお姫様だし?
[あー、見たかったなー黒歴史ーなんて笑ったりして]
そだねー。屋上。 振り出しに戻る、ってやつだねー。 馬鹿と煙は高いところが好き、ってね。
[わざとのんびりそう言って、元来た道を歩き始める]
(168) 2012/07/22(Sun) 00時頃
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セレストは、そっかー。墓場まで持ってく秘密だねー?なんて、笑って**
2012/07/22(Sun) 00時頃
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