237 【リアル人狼RP村】蜉蝣の村【半身内】
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ー回想ー
[男はとても幸せだった。妻を亡くし稼ぎも少ないが娘の健やかな成長が何よりの幸せだった。世間から見れば男の幸せなど取るに足らないものだったのかもしれない。それでも男は十分幸せだった。それでも男は娘には申し訳なかった。せめて自分が確りとした職につけていたら。もっと収入があれば。妻の病気に気付いてやれれば。もっと同じ時間を過ごせたら。だから男は娘の幸せを奪う事だけはしたくなかった。嫁入りに百万もたせてやって式だってもっと思い通りにできたかもしれない少なくとも新生活の糧になるだろうに。でも一番いけなかったのはここに参加したことで、更にここで殺人者になるワケにもいかず生き残ったところで残酷な世間に呑み込まれる事が予想できるばかり。これでは、娘の幸せまで奪いかねないそれは嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ]
(春江、不甲斐ない父さんですまないお前だけはお前だけは、どうか、幸せに)
─回想─
[懐からナイフを取り出し握り締めた
レティが手にしているメスを見れば]
あっちのがいいなァ
[などと。しかし食事用のナイフでも
充分に役割は果たすだろう
レティに抉られた脚
なんて魅了的な色、匂いをしている
間近のテカリ頭は汗が走っていたか
更には粗相の臭いもしたか
けれども何時ぞや覚えた嫌悪感などはなく
ただただ 喰べたい]
[彼は脚で自らは腕
また同じ振り分けになったと薄ぼんやり
床に押さえつけた一本にナイフを突き刺し
骨に沿わせるように走らせる
専用には出来ていないから
ギ、ギ、と止まってスムーズに行かない
其れでも力任せに抉れば血が垂れ
肉を削ぎ取ること叶った]
……美味いなァ
[人間の食事はあんなに不味いのに
まるで細胞から書き換えられてしまったよう
コレを喰べる為に産まれてきたみたいだ]
[レティから差し出された腹肉も>>*11
有難く受け取り口に運び味わった
腹が膨れて行くにつれて
飢餓を乗り越え楽になるにつれて
昏い気持ちになっていく
どうしてこんなことをしているんだ
仲間だった筈のいきものを餌に
そう迄して生きて何になる
脳裏に浮かぶは一人の尊い存在
彼に知られてしまったら、己は──…*]
―某出版社の一室―
[人々が忙しなく出入りしたり、パソコンを打ったり、打ち合わせをしていたり。
様々な音で賑やかな部屋の中で二人の男が話していた。]
『おい、今日高杉は?』
「あ、なんかいいネタが掴めそうだからって出張扱いてどっか行ってます。」
『はあ?……でもここにスマホあるぞ?』
「……ああ、なんか潜入取材するからうっかり素性バレて追い出されないように置いてったみたいです。」
『これがここにあるんじゃ連絡もとれないじゃないか!
それに、潜入取材って……ヤバイとこに首突っ込んでないだろうな……?』
「さあ…、おれも聞いたんですけどにやにやするだけで教えなくて。」
『あいつ、変なとこ抜けてるからなー。』
「まずいことになってないといいですけどね……。」
[その会話がなされていたとき。すでに話題の人物はこの世から旅立った後だということを二人は知らなかった。]*
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