132 lapis ad die post cras
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[ことの顛末は、こうだ。
玖休の手首を修復するため、クリスマスの金髪(植物の部位で言えば、根である)が彼の体内に侵入した時。
「空いているとこはとりあえず埋めたい」という本能が一部暴走し、彼を構成する情報源に、刹那、足(根?)を踏み入れた。
そして、情報を吸い上げて、クリスマスは己の中に組み込んでしまった。
異種掛け合わせ、遺伝子組み換え、DNA配置変更。
「情報ドロボウ」誕生の瞬間である。
接触時間が極めて短かったため、また、彼の体内から金髪を消し去るように退出していたため、新種はたった1株生まれるだけで済んだ。
生命は、自分とは異なる存在を系譜に組み込むことで、多様性を持ち、拡大し繁栄することを望む本能を持つ。
プロジェクトR.O.S.E.の下で生まれたクリスマスもまた本能に逆らえず、世界に1つだけの花を咲かせたいと願い、隠し守っていた。]
― ポッドの中 ―
[予想通りというか]
せ〜〜〜〜〜〜〜まい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
[緑の栄養剤を口にくわえたまま、のびのびできない金髪を抱え、金の球体を抱え、一人、文句を言った。]
― とある星にて ―
[生命がのびのびと暮らす星に、ある出来事が起こった。
恒星全体としてみれば小さな出来事であったが、対象地域の植物にとっては青天の霹靂であった。
そこは生命たちが春を謳歌してぬくぬくと繁栄し拡大し続けていたのだ。
そこに突如、金属物体が飛来してきた。
その中に「そいつ」はいたのだ。
飛来時の衝撃で、いくらかの植物がねこそぎやられた。]
[その外来種は、かつて栄え、次第に環境適応できずに断絶したとある植物の一属に極めて類似していた。
一属が無くなった分だけ、生態学的地位つまりニッチが空いていて、外来種は、そこに滑り込むように根を伸ばした。
すわ生態系の危機であったが、外来種は極めて温厚であり、競合を生まないように自ら変化していった。それどころか、既存の植物がより繁栄できるようにさまざまな可能性を提示してきた。]
「わたし あしもふ あと おい きました」
「これら やるから リソース おくれ。」
[取引を要求された植物達は、特に断る理由も、また、断る方法も無い。全てをあるがままに受け入れるしか無いのが世の常だ。
提案は採用された。]
[かくして、外来種たるクリスマス=ローズは、一部のニッチをしめて、足りていない栄養を摂取し根をはることに成功した。]
だもんで、直接話して受け入れてもらうのが、いいじゃんねー!
[春の地帯で、金の球体を周囲にはべらせて、ううん、とのびをした。
『パラディソ』を出る時には青白かった頬も、ずいぶんと血色が戻っている。
到着時には、交渉のために動くことが出来なかったが、今はずいぶんと遠くまで移動することが出来る。
「秘蔵っ子」を咲かせるだけの余裕も確保することが出来た。]
[クリスマスの足下には、金色の芝が広がる。
自身の分身による、金の草原である。
地中に埋めて隠しているポッドに軽い足取りで駆け寄ると]
さんきゅー!
いえーい!!
[まだ花を咲かせるところまではいたってないが、無事にファースト・コンタクトを終えたことを参休に伝えた。
空は、見事な晴天なり。]
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