25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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― A棟・華月の部屋の前 ―
へへ、考えとく。 でもなんかこう、面と向かって興味あるって言われると照れるな。 俺も、華月の手妻楽しみにしてるぜ。
[けら、と笑って。]
え。 …意外とドジなんだな、あの人…。
[そうは見えないと目を丸くする。 やがて彼の部屋の前まで来れば立ち止まり。]
俺の部屋は、ええと…。
[部屋を尋ねられて言葉に詰まった。 はて、己の部屋は何処だったか。 すっぽりそこだけ穴が開いたように思い出せない。 あー、と唸った後、適当な部屋を指差した。]
(@0) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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そ、そこだ。 あ!ほら、華月、いそがねえと!
[指差したのは【雛菊の間】。 虎鉄は華月を捲し立て、彼が部屋へと入ったなら小さな安堵の溜息をついて。]
……俺、ボケたかな。
[そんな呟きを漏らした。]
(@1) 2010/08/03(Tue) 01時半頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 01時半頃
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―本邸・椿の間― [――――響くは、うたごえ。 薄闇の中、少年はゆっくりと目蓋を開く。 目を閉ざすその間、なにか、幻を見ていたような気もする]
主様……
[宵の祭りは始まっているのだろう。 舞わねば、と手を伸ばせば触れる しとやかなる花びら。 ああ、主様をそのように呼んではいけないのだ、と思い返しながら、 葉月の幻は ふわり、立ち上がる。]
(@2) 2010/08/03(Tue) 02時頃
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―本邸・廊下― [舞装束を整えれば、歩みをすすめる白拍子は、 ふと響く笛の音に足を止める。 高音から駆け下りる旋律に、感じるものはそれぞれだろう。
ひらり、指先は舞う。
己はその音色に天駆け下りる星を見た、 流れる星は、燃え尽きる一その瞬だけは、月よりも尚輝ける。
舞い手の指先は、観る者はあらねども、その一瞬を空に描いた]
(@3) 2010/08/03(Tue) 02時半頃
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[空白の後、続いた音には 手を止めた。 それは彼の音色であらば、少し物珍しい類のもので――]
―――……、
[舞台はあいてはいまいだろう、 そこに舞い手がいるとは、想像してはおらねども。 ――しばし目を閉じてその懐かしい音色を聴いていた。]
(@4) 2010/08/03(Tue) 02時半頃
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落胤 明之進は、やがて重なるうたごえと、楽の音色に……何か騒々しいものが混ざった気が した。
2010/08/03(Tue) 02時半頃
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― 雛菊の間 ―
[左の手に蝶であった和紙を持ち。 右の手ででこぴんを食らった額をさする。 華月が部屋に入ったのを見てから、足は雛菊の間へと。 咄嗟についた嘘だったが、そろりと扉を開けて中へ入ってみると。]
……あれ、俺の荷物…。 何だ、あってたんじゃねえか。
[そこには虎鉄の私物が幾つか置いてあった。 はー、と大きな溜息をついて、手近な椅子へと腰を降ろした。 ちら、と視界の端に映るは、舞の為の衣装や道具。]
――――…主さま。 素晴らしい舞を披露出来れば、主さまの耳にも届きますか…?
[焦がれるように呟いて。 暫しの沈黙のあと、しゅる、と衣服の紐を解いた。]
(@5) 2010/08/03(Tue) 02時半頃
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― 大広間 ―
[虎鉄が袖を通したのは、袖の無い薄茶色の舞踏装束。 ゆったりとした黒のズボンは足首で絞られ、金の飾りで彩られる。 双肩には薄手の布がかけられ、ふわふわと風に揺れた。 適当に一つに結われていた髪も、今は下ろされて櫛を通され、綺麗に整えられている。]
――――…。
[その姿は、ゆらりと陽炎のように揺らめいて。 いつの間にか大広間の片隅に音も無く現われていた。 しかし、誰かに話しかける訳でもなく、何かをする訳でもなく。 虚ろな琥珀はただ静かに、舞台を見詰める―――*]
(@6) 2010/08/03(Tue) 03時頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 03時頃
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[音色の微々たる変調は、己の耳にも心地よく届いて。
鳴かず在りし鳥が鳴き、 咲かず在りし花の咲く、
―――春の望月の情景は花祭たるに相応しく]
……って、ぁ―――
[ぼうっと聞きほれている場合ではなかったことを思い出せば、 その内での騒動を知らぬまま、大広間へと急ぐ。 急いた余りに、紅長袴の裾に少しばかり足がもつれた**]
(@7) 2010/08/03(Tue) 03時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 03時半頃
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―大広間―
[それを見上げたのは何ゆえか、 月は幾望、ほとんど満ちてありながらされど望月にひとつ足らず。 胸の鼓の、ざわめく高揚を招く]
――……月、
[大広間に足を踏み入れれば、 宴の席はすでに雑然としていたか] 遅くなりまして、申し訳ございません。 少々、月に、かどわかされておりました。
[黄泉花が告げるそれは、楽の音であったが。 微笑う風情は、喩えというには、いささか笑えぬものであった]
(@8) 2010/08/03(Tue) 14時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 14時頃
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[足を踏み入れれば、目に止まるはひとつの画。 煌々たる月の描かれたそれに、双眸を吸い寄せられるのは]
――……朱月
[呟く唇、目蓋にうつる景色は常世]
嗚呼、笛の音も聴こえていた…… 天かける調べ、高らかな澄んだ音色、
似ている、
[似ていた、重なる 悲鳴に]
(@9) 2010/08/03(Tue) 14時頃
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―大広間― [ふわり、絵画に引き寄せられそうになって、足を止める。 ――あれは不吉なものだ、と知っている、 それが単なる伝承のみではないことも、知っている。]
――……、
[向けられた鵠の眼差しに、小さく頭を下げた。 改めて礼を言わねばならねども、言葉を交わすその相手。
酌をするのなら、花主だろう。 邪魔をしてはならないか、とあわせて笑みを送るのみ。]
(@10) 2010/08/03(Tue) 14時半頃
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[紅月に重なる――長く美しい髪の、宵闇。 今際に見たその月は、霞の月か、朧の月か。 それはいまだ、記憶の底に。]
……描き手は、どなたでしょう。 これは なに……?
[見たそれ以外の何者でもかなろう、 わかっていて、零れる呟き。
ゆると振り返れば――その描き手よりも先に見つけた姿は、 夜の色を纏う懐かしい姿で、自然と笑み零れた]
……夜光、
[酒注ぎを手にした彼と目が合えば、 けれど今は祭りの間、花としての勤めを優先して、 と小さく頷き、眼差しを送る]
(@11) 2010/08/03(Tue) 15時頃
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[けれど、彼の位置するが――主催の傍ら、 小さく眉根を顰めた、いまだ形ならざるざわめき。 それの近くにいてほしく、ない。
――せめて、それが彼に気を向けぬように、と思うのだけれど]
(@12) 2010/08/03(Tue) 15時頃
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[主催の気を引く手管になるかはしらねども、 己に出来る芸はただひとつ]
……私もひとさし舞わせて頂きます。
[黄泉陽炎は、舞台に立つ。 舞を見せる、と言葉を交わした僧正は場にはあらねども。
黄泉花の主はそこにあり、 舞殿の主の姿が見えれば、更に一つ笑んだ。
どのような場であれ、舞えることの喜びは変わらない]
(@13) 2010/08/03(Tue) 15時半頃
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―本邸・舞台上― [夜光の苦笑に変じたそれに、一瞬表情の曇る。 けれど、舞台にたつならば、花は花であらねばならず、萎れてはいられない。]
―――…、
[薄地の白い水干の下に透ける、鮮やかな緋の単。 紅長袴に白鞘巻の太刀を佩き、蝙蝠扇をさせば、背筋の伸びる。
目蓋を閉じれば――浮かぶは煌々たる篝火。
なぞる眦に朱を刷けば、 儚げな風情から頼りなさは消え、
手には紅色、黄泉銀花。
その一厘は、凛と 立つ]
(@14) 2010/08/03(Tue) 15時半頃
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[されど、誘うは浄土にあらず]
(@15) 2010/08/03(Tue) 15時半頃
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[白拍子の舞は男舞、けれど荒ぶるそれとは異なる。 たおやかなる乙女の凛々しく舞う姿に、妙なる幽玄を描く舞。
描くは夢のような浄土を、と そのように言葉を交わしたはずであった、けれど 紅月夜、蓮の花咲き乱れる浄土は、酷く遠く感じて、
零れいずる一節は、今様ですらなく]
――君がゆく みちのながてを くりたたね
[緋の唇は艶めき詠う]
焼き滅ぼさむ 天の火もがも――
[地獄のようなこいのうた]
(@16) 2010/08/03(Tue) 15時半頃
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[翻る緋の小袖には、己が身をも焼き尽くす焔がうねり、 空を裂く一枝は、地に天の御雷を振り下ろす。
枝葉が鳴るは、もゆる火の粉の爆ぜ散る様。
ひた、と裡なる鼓の音が止まれば、手にした椿花の首がおつる。 こいの焔に尽き果てた、その亡骸の憐れ なる]
―――……、
[されどそれを見下ろす双眸は 花の如くしずか]
(@17) 2010/08/03(Tue) 16時頃
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[主催の様子は如何程であったか。 一目なりとも、目をくれる隙でもあればよい、と。
――地獄の舞は、何処の誰を想ってかは、知れず。 舞台を辞した黄泉花は、袖端に一度姿を消した**]
(@18) 2010/08/03(Tue) 16時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 16時頃
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― 大広間 ―
…やっぱ、華月の手妻は綺麗だな。
[先程舞台で披露された芸に一言感想を漏らす。 虚ろにただ舞台を見詰めていた瞳にも今は光が宿り、傍らには華月の姿があった。 彼と共に居る時は何処か心が落ち着き、自然と和やかな会話が紡がれる。 ひらひらと蝶を舞わせてくれたなら、嬉しそうに微笑みを返した事だろう。]
―――…、……?
[やがて、はたと舞台に目を遣る。 そこに立つは、一人の少年。 その姿を見るなり、虎鉄は無意識に肩を微かに一度震わせた。]
(@19) 2010/08/03(Tue) 20時半頃
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[始まる、舞。
こくり、と咽が一度鳴った。
緋の小袖が、うねる焔が、舞台に紅を散らす。 その様にひどく胸が痛んで。 しかし琥珀を逸らす事が出来ない。
双肩にかけた薄布の端を固く握り締め、虎鉄は耐えるようにその舞を見届けた。]
……かげ、つ…?
[椿の花が落つ時。 傍らの華月が呟いた言葉に、漸く舞台から視線を移す事が出来た。 しかし、彼の瞳に宿る色。 それは、先程の焔を未だ映しているかのよう。 そして舞台を見詰める華月の瞳に映った、落ちた椿の花。]
(@20) 2010/08/03(Tue) 21時頃
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―――…ッ
[瞳ごしにその花を見れば、また胸が締め付けられて、世界が揺れる。 は、と短く息を吐いて、虎鉄はふらりと踵を返した。]
悪い、ちょっと風に…当たってくる…。
[俯いたまま、そう告げて。 振り返らずに大広間を後にする。 去り際の表情は、怯えたような青白い顔。 その表情を見る事があったかどうかは―――さて。]
(@21) 2010/08/03(Tue) 21時頃
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― 本邸・廊下 ―
は… っ …はぁ…
[よろけながらも、虎鉄は駆ける。 何かから逃げるように。
苦しい。 気持ち悪い。
何がそう思わせるのかはわからないけれど。 あの場に居続けたくない事だけはわかった。 虎鉄は、無意識に誰も居ない静かな場所を求めて。 やがて辿り着いたのは稽古場。 其処へ着く頃には、息も絶え絶えに。 額には玉の汗が滲んでいた。 そして、何処かで落としてきたのだろうか。 ふわふわと羽衣のように揺れていた薄布も、今はその双肩にかかって*いなかった。*]
(@22) 2010/08/03(Tue) 21時頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 21時頃
落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 21時半頃
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[名乗らぬことについて語られていたなど知らず。 その由はなんのことはなく。芸の前にも後ろにも]
あ、 名乗りを忘れて……
[芸の前はともかく、後はひとつ気を取られていたからだ。 白き花と共にあった“主”は、己が舞いに反応はなく]
主様……
[花の芸は主の為ものでもある、精進が足りぬのだろうか、 と少しばかり落ち込めば、舞台裏からひそり、と大広間の外へ出た]
(@23) 2010/08/03(Tue) 21時半頃
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―本邸・廊下― [廊下をふわり、彷徨う迷い子が、途中再び霞の月と見えれば。 その茫洋たる眼差しは、緋の口唇を追っただろう]
―――……、
[何処かより、聴きなれぬ唄がかすかに聞こえる、 この世ならざる身ゆえ響く、遠い異国のうたごえ。 かすれて、途切れたゆえにその声は――聞き覚えがある。
一度、中空を越える月を見上げた。]
(@24) 2010/08/03(Tue) 22時半頃
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落胤 明之進は、かすかな蓮の香に気がつけば、ゆるりそちらに頭を下げた。
2010/08/03(Tue) 22時半頃
若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 22時半頃
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本郷様。 いえ、月に――何か、 何か思い出せそうなことがあるような、気がして……
[見上げたものの色硝子越しの月の色は伺えず、 鉄色がこちらに戻れば、あらためて一つ頭を下げる]
宴の前は、ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。 ――舞える程度には、落ち着きましたので。
[認識の齟齬は解決してはいないのだけれど、 その事実には蓋をして微笑う]
(@25) 2010/08/03(Tue) 22時半頃
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はい、あの絵画も―― 紅月、今宵の幾望と同じく一欠片足らず。 ……月が満ちるのが、少しばかり恐ろしく。
[月を畏れるなどと、気が触れたに近しいと 己自身も想うのだけれど、溢れるそれに腕を抱く。
けれど舞について触れられれば、 途端、満面に喜色が溢れて]
―――あ、ありがとうございます。 夏の宵には、もう少し涼しげなほうがよいかとも思ったのですけれど、ふとあの詩を舞ってみたくなってしまって……。 観ていただく方のこと、もう少し考えねばと思うのですが。
[溢れるものがとめられぬのです、と恥じ入るように付け加えた]
(@26) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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― 稽古場 ―
[倒れこむように中へ入ると、床へと。 稽古場には月明かりが差して、慣れれば灯りは要らぬ程。 虎鉄はころりと寝返りを打ち、仰向けに寝転ぶ。 窓から見える月を捉えれば、じわりと、目尻に涙が滲んで。 瞳を覆うように腕を当てた。 そして嗚咽を殺すように、ぎっと歯を噛む。]
ち、くしょ…何だってんだよ……。
[胸の苦しさは癒えないまま。 涙は溢れ続ける。 その理由は、やはりわからない。 主を想う時とは違った、苦しさ。 何か、大事な事を忘れてしまっているような気がしたが、思考を巡らせようとすれば、遮るように頭がツキと痛んだ。]
(@27) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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……いえ、 些細な予感のようなもの、どうぞお気になさらず。
[きしくも同じ古典を思う、画竜点睛――その睛が、 月の一欠片であらば、満ちて完成するものは何であろうか。]
――……、気分が。 本郷様にそのように仰っていただけると、少し己に自信がもてます。 主さ――いえ、えっと刷衛様には、余りお気に留めていただけませんでしたので……
[一瞬だけ、捨て犬が如く面持ちを見せて、 けれど稀代の舞手の花主であった彼の人の言葉を頂いたのだから、と穏やかな面を取り戻そうとすれば、 その“ひめい”は響いたか。地獄の焔をみた声が]
――どなたかが、また芸を。 戻られますか?
[黄泉花は、けれどその“ひめい”を憐れまず、 暗くしずかな眼差しで、音の先を見やり――鉄色にゆるく首を貸傾いだ]
(@28) 2010/08/03(Tue) 23時半頃
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――――!
[静かな稽古場に迷い込んできた笛の音。 それは微かな音だったが、確かに虎鉄の耳にも届いた。 勢いよく起き上がり、音のした方を見る。]
華月…?
[昔の事、同じ師の下に居た頃は偶に剣舞の音を頼んだ事もあった。 あの頃の音色とは違うけれど、確かにその音は面影を残して。 お互い、師の下を離れて幾月。 彼の身に、何かあったのだろうか。 そんな事すら思わせる響きを持っていた。]
………。
[ごし、と腕で涙の跡を拭う。 ふと気付けば、胸の苦しみは幾分か和らいでいた。 月を見上げる折の切なさに変わりはないけれど。]
(@29) 2010/08/03(Tue) 23時半頃
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[続けていけば、その言葉には一度眉が憂うのだけれど]
――しれん 殿……本郷様が、名を?
[響きに混ざる蓮の一文字、 連想されるは夢の舞殿]
あの、差し支えなければ……獅蓮殿の舞の話をお聞かせ願えませんか? いえ、お時間のある時で構いませんので。
[己にとっての舞は、自ずと溢れるもの、ではあるのだけれど。 やはり稀代の舞手の舞、期待を隠せぬ眼差しを向ける]
はい、ご一緒させていただきます。 花の勤めを果たせぬは、主様の名折れにもなりますれば。
[微笑う黄泉花には、既に地獄を舞う気配はなく。 そのひそやかな熱を記憶の裡に沈めたまま、蓮の主に付き添うた]
(@30) 2010/08/04(Wed) 00時頃
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― 稽古場→廊下 ―
[そろそろ戻らないと心配をかけてしまうかもしれない。 華月の笛の音を聞いて、飛び出してきた事を思い出した。 あの場所へ戻るのは未だ不安が残るが、と立ち上がった時。]
…あれ。 俺、………。
[漸く、双肩にかけていた薄布が無い事に気がついた。 勿論、何処で無くしたか等わかるはずもなく。 ぽり、と頬をかいた後、溜息をついて稽古場を後にする。 その折、一度稽古場を振り返って、改めて全体図を見た。 中々いい造りだとその画を心に収め、虎鉄は廊下へと出た。]
(@31) 2010/08/04(Wed) 00時頃
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鷹揚な方、だったのですね。 ――いえ、もちろんそれだけではありませんでしょうけれど。
[名は、己自身をも縛るもの。 黄泉花は己が主からの名を望まなかった――かつての記憶]
本郷様自身から伺えるのでしたら、 その記憶はきっと遠くとも褪せぬものでしょう?
[眦を和らげながら、返す。 舞手が稀代の舞手と呼ばれるほどになるには、 それは主との深い繋がりがあってこそ、そう思うから。
そう、己は、 ―――己の主は舞うことを禁じたのだった]
……あ、夜光が。
[広間に戻れば、蓮殿の主に酌をひとつ。 舞台で舞うは友人だった――焔鎮める雨を みる]
(@32) 2010/08/04(Wed) 00時半頃
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― 本邸・庭 ―
っかしーな…。
[来た道を辿れど、探し物は見つからず。 口をへの字に曲げながら、辺りを見回す。 風にでも飛ばされたかと、庭の方へも出てみる。 仄暗さを宿す池には、月光が降り注ぎ。 風に漣立てば、水面を煌かせていた。]
何処行ったんだか。
[そんな光景に見蕩れている暇も無く、虎鉄は溜息をつきつつ、捜索を続ける。]
(@33) 2010/08/04(Wed) 00時半頃
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[少しばかり、今は亡き人を語るには、 ぶしつけな物言いだったかと、 一瞬降りた沈黙に、目蓋を伏せる]
――申し訳ありません。 舞のことなれば、つい遠慮というものを忘れてしまって。
[酒精と共に何か飲み込むように、 口唇の杯に寄せる様を見つめれば。一度広間を見渡して]
あの、では私は主様の元へ――、 本郷様、どうもありがとうございました。
[傍らを辞することを願い出る、 その鉄色の飲み込んだ何かは気になっていたのだけれど]
(@34) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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樹に引っかかってたらアウト…、池に沈んでてもアウトだな。
[幾ら夜目が利く方だとはいえ、それらの状況に陥っていれば今見つけるのは困難だなと頭を掻いて。 そも、天女ではあるまいし、あの薄布が無くても別段困る事はないのだけれど。 物は大切にしろと主から教わった虎鉄は、すぐに諦めはつかなかった。]
――――…?
[あと探していないのは、と立ち止まる。 しかし止まぬ足音。 ふと振り返ると、そこには―――見覚えのある球。]
………何か?
[虎鉄以外に誰も居ない庭。 己に何か用なのかと、虎鉄は男――乾へと声をかけた。]
(@35) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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[声をかけるその姿は、昼間に会った時とは一変。 整えられた髪、きっちりとした服装は、利発そうな印象を与えるか。 尤も、中身は変わってはいないので喋れば台無しなのだが。]
(@36) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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[蓮殿の主より辞することが叶えられれば、 またひとつ頭を下げて――面を上げたところで、
名を伺い損ねた、 その花主と一度目があった。]
――……あ、
[言葉を交わした時は、覚えなかった何かがざわり湧き上がる ――それをこらえて慌てて高峰の君へと頭を下げた。
似ているから、なの だろうか]
(@37) 2010/08/04(Wed) 01時頃
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ん、…まあね。 肩にかけてた衣を無くしてさ。
[問いかけに隠す事はせず、少しばつが悪そうに答える。 共にと聞けば、え、と琥珀を丸くして。]
いーのか? そりゃ、一緒に探して貰えんのは有難いけど…。
[こんな夜更けに、花主にそんな事をさせて良いものかと少しばかり考えたようだ。]
(@38) 2010/08/04(Wed) 01時半頃
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[高嶺の姿にどこか怯えたように立ち上がり、 “主”の姿を探せども、その姿は既にこの場に見えず ――落ちつかなげに辺りを見回していれば、広間を辞そうとする夜光の姿。
その内落ち着いて話が出来ればよいと思う。 せめて彼には、よき主に出会って欲しい……そのように、思って]
―――……、 いえ、わたしは
[今は、己を舞わせてくれる主がいるのに、と。 せめて、などと過ぎった思考をいぶかしむ]
(@39) 2010/08/04(Wed) 01時半頃
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|
…んだよ。
[乾の口から零れた言葉と吐息に、ムっと少しだけ眉を寄せる。]
どうせ今、着飾っても中身は一緒だなとか思っただろ。
[フン、と鼻をひとつ鳴らし。 代理と聞けば、少しだけ首を傾いだ。]
―――…代理? アンタは望んで此処に来た訳じゃねえの?
[思った事をそのまま問いかける。 衣の特徴は、薄手の白いふんわりとした衣だと返しつつ。]
(@40) 2010/08/04(Wed) 01時半頃
|
|
……いんだよ、俺は。 主以外に花の振る舞いをしようとも思わねえし。
[笑みを浮かべる乾にそう言って、また口をへの字に曲げる。]
多分、物陰に隠れたりしてなきゃわかるとは思うんだけどな。
[衣を探す事は疎かにせず、辺りを見回して。 乾が花主の事を語れば、少しだけそちらに意識を多く寄せる。 そして、主はと聞かれると、ぴたと動きが止まり。]
………主は…、……居な―――ッ?!
[暫しの沈黙の後、消え入りそうな声で答えようとしたが。 派手な水音が耳に届いて、虎鉄は琥珀を丸くした。]
(@41) 2010/08/04(Wed) 02時頃
|
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[姿なければそのまま夜光の後を追うように、 広間を辞して、――深い己の裡に沈みながら、 回廊を歩んでいれば、響いた水音にふと意識を引き戻される]
――……鯉? にしては、大きな音 のような……?
(@42) 2010/08/04(Wed) 02時頃
|
|
[去り際、問いかけられた高嶺の言葉には小さく頷いた、 頷いて――生じた違和感をかき消そうとする、のだけれど。 けれど、逃げるようになってしまった感は否めなかった。 その理由は、己自身にもわからない。
池之端、水面に映る月を望んだ鳥が一羽、 濡れて見上げる今宵の幾望は、霞の月か朧の月か]
――…大丈夫、かな
[庭には下りぬまま足を止め、 遠く水鳥の姿を見た]
(@43) 2010/08/04(Wed) 02時半頃
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[――視線は揺らぐ、鳥のその近く 在るもの、 乾の御坊ではない、もうひとつ の存在 酷く胸騒ぎがして。]
―――……、
[離れたい、と思う前にその場から足は動いていた**]
(@44) 2010/08/04(Wed) 02時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/04(Wed) 02時半頃
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池の鯉と戯れてって…。
[こんな真夜中に随分とアグレッシブだな、と思ったがすんでの所で飲み込む。]
…別に、何ともねえならいいけど。
[濡れた金糸。 水を吸った衣装。 歳の割――と言っても幾つなのかは知らないが――に、やけに艶っぽい印象を受ける。 あまり眺めるのも失礼と目を逸らせば。]
――――あ!
[生い茂った樹の陰、然程背の高くないな小枝に白い衣の端を見止めた。 虎鉄はそれを見るなり駆け出し、とぉん、と地面を蹴ると、器用に樹を踏んで衣を手にする。 そしてそのままふわりと衣を靡かせながら、羽根のように軽く地へと着地した。]
(@45) 2010/08/04(Wed) 02時半頃
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|
へへ、見つけた。 これを探してたんだ。
[二人の元へと戻れば、駆ける前に探しものか?と尋ねた少年に、白い薄布を見せて示す。]
あー、良かった。 アンタも、手伝ってくれてありがとな。 ええと、乾…だっけ。
[確かそんな名だったはずと思い返して唱えてみる。]
(@46) 2010/08/04(Wed) 02時半頃
|
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[少年から微笑まれれば、つられて微かに笑みを見せる。 それも束の間で、すぐに目のやり場に困る事になるのだけれど。 乾から手ぬぐいを受け取る様子を見ると、ほっと安堵の溜息をつく。]
…法泉、殿……か。
[一応、と言わんばかりの敬称がつけられた。]
そこまで大事っつー訳じゃねえけど…。 ……主が、物は大切にしろと言っていたから。
[ほんの僅かに顔に寂しげな影が差して。]
――――…じゃ、俺はそろそろ休む。 二人もあんま夜更かししすぎんなよ。
祭は…長いからな。
[ご協力感謝、と去り際に改めて一礼。 その所作は口調と裏腹、優雅に。]
(@47) 2010/08/04(Wed) 03時頃
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[庭を後にした虎鉄は、静かに花の為の棟へと向かって歩む。 大広間に戻ろうかとも思ったが、さすがにもうお開きになっている頃だろう。 華月には明日、非礼を詫びようと心に決め、誰かと合わなければ、そのまま自室へと戻る事だろう。
―――椿の君が、庭を見ていた事は露知らず。 己が心に秘めたる闇にも未だ――――気付かぬまま。*]
(@48) 2010/08/04(Wed) 03時半頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/04(Wed) 03時半頃
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―本邸・椿の間― [宵の頃、黄泉花は花主が棟をふわりさ迷っていた。 月明かりの回廊を、青白き影がゆくは現世とはかけ離れた姿。 “主”が居室を訊こうとすれども、使用人の一人も捕まえられず、 ――最も見えていたなら、悲鳴の一つも上げられたに違いない]
………、 こえ、小さかった かな。
[明星を見るころにはその存在がゆらぎ、糸は途切れて、
朝日差し込む【椿の間】に、それは居た。 床の間の一輪挿しの紅椿こそ憑り代か、 “主”の訪れはその花だけが見ていたこと。
黄泉花の冷たい指先は、ただその花びらをそっと撫でた]
(@49) 2010/08/04(Wed) 16時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/04(Wed) 16時半頃
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―椿の間― [窓辺にもたれる陽炎はその音を聴く。 優雅なる弦の音色、春の万花の艶うを謳う]
冬こもり 春さり来れば 鳴かずありし 鳥も来鳴きぬ
咲かずありし 花も咲けれど……
[陽光の眩しさに、その影を濃くしながら、 途切れた歌の続きは、裡にのみ口ずさむ。 青々とした、庭の緑が揺れる]
(@50) 2010/08/04(Wed) 17時半頃
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―椿の間― [弦の音色が途切れれば、黄泉花の見る白昼夢。
地獄のようなこいのうた。 こいが何かは知らねども、それを詠うは誰であったか知っている。
あなたの行く道を、 畳んで焼き滅ぼす天の火が欲しい。
主には人前で舞うことを禁じられた、 かの研師に預けられたのは、その折であったか。 けれど、やがては人前のみならず舞そのものを禁じられ、 人前に出ることさえも適わなくなった。 己が道を閉ざされて、主へ芽生えた感情は―――
―――りん、と鈴の音を遠く聞く。 現へと戻れば泡沫の如く、白昼夢は消え去った**]
(@51) 2010/08/04(Wed) 19時頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/04(Wed) 19時半頃
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― 雛菊の間 ―
……んお…?
[そよ風が頬を撫でると、虎鉄はゆっくりと瞼を上げた。 むくりと起き上がると、そこは机。 どうやらいつの間にか突っ伏して寝ていたらしい。 うー、と伸びをして己がまだ衣装のままな事に気がついた。]
…風呂でも行くか。
[整髪料がついたままの髪、寝汗をかいていたのか、微かに服がしっとりと身体に吸い付く気がして。 何よりも先にさっぱりしたい気分だった。 風呂から上がったら華月を探すかと思いならが、虎鉄は湯殿へと向かった。*]
(@52) 2010/08/04(Wed) 20時頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/04(Wed) 20時頃
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― 湯殿 ―
[とぷん。 湯船に浸かると、湯が小さく声を上げた。 一人きりの風呂はのんびり、とても気持ちがいい。 湯を掬い、ばしゃと湯船の外で顔へと浴びせる。 そしてぷるぷると顔を横に振った。 瞳を開けて、洗い場の方へ目を遣る。 ぼんやりと、湯気の向こう。 琥珀に映るは、記憶の中の―――背中。]
『…虎。』
[その背中が振り向き、名を呼んだ気がしてハッと手を伸ばしたが、そこにあるのは白い靄のみ。 行き場を失った手は戻され、とぷんとまた湯が声をあげた。]
……。
[湯に沈めた手を何度か開いては握り締め。 その手を見詰めて、虎鉄は静かに琥珀を伏せた。]
(@53) 2010/08/04(Wed) 22時頃
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― 湯殿→本邸・廊下 ―
[それから程無くして、湯から上がると袖の長いチャイナシャツと動き易そうな濃茶のパンツを身につける。 髪は適度に水気を切ったのみ。]
さて、と…華月は何処にいんのかね。
[湯殿から出ると足は華月を探して歩く。 まずは華月の部屋の前へ行き軽くノックしてみるも、中からは返事がない。 本邸にでも向かったかと、虎鉄も其方へ足を向け。]
………?
[その途中。 ふと耳に届くのは、剪定の噂。]
――――…。
[無意識に歩む足が止まりかけて。 噂話をする者から視線を外すと、足は先程よりゆっくりとした速度で再び歩み始めた。]
(@54) 2010/08/04(Wed) 22時頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/04(Wed) 22時頃
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[本邸へと続く廊下の先。 歩く二人の人影を見つける。 そのうちの一人は、今正に探している相手。]
…、……。
[その姿を少し眺めて。 ふるふる、と一度頭を振る。 そのうちに、向こうも此方に気付いたようだ。]
華月。
[名を呼んで、よ、と手を上げてからその元へと駆け寄る。]
(@55) 2010/08/04(Wed) 22時半頃
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落胤 明之進は、庭の一枝に手を伸ばす
2010/08/04(Wed) 22時半頃
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―庭・縁台― [椿の間より開けた廊下、そのまま庭に下りれば、 その周辺は部屋の名の通り、葉椿の深い緑が茂れる。 枝の一つを手折れば、その一枝は白い花びらを開かせた]
―――……、
[陽光の下、影は色濃くおりて 室内へ向けたその表情は伺えず]
主様……?
[一枝を手に、袴を持ち上げれば、 白い素足を剥き出しに、静かな歩みを部屋の中へと向ける]
(@56) 2010/08/04(Wed) 22時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/04(Wed) 22時半頃
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― 本邸・廊下 ―
お、おお…?
[駆け寄れば華月の傍らの青年に名を呼ばれて微かに琥珀を丸めた。 名を知られているとは思っていなくて、面食らったようだ。 名乗りと挨拶にはつられて同じように、宜しくと頭を下げる。 華月へと視線を移せば、少し苦笑して。]
ん、もう平気だ。 昨日は悪かったな、急に飛び出して…。
[手を退ける事は無く、くしゃと濡れた頭を撫でられる。 華月の手には冷たい感触が伝わるか。]
……あけの、しん?
[聞こえた名を微かに繰り返して。 不思議そうに首を傾いだ。]
(@57) 2010/08/04(Wed) 23時頃
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―椿の間― [気遣うような声をかけられれば、 それはゆるりと安堵するような微笑を浮かべ]
――いらして下さったのですね、主様。 お待たせして申し訳ございません、庭で少々。
[白の一厘を膝元に、正面に座すれば、 そのままぐいと身を乗り出して]
あの……夕べの舞は、 主様にお気に召しませんでしたでしょうか……?
[切々と見上げる黒紅の瞳は、交わされた言葉を知る由もなく、“主”と彼の人を呼び続ける]
(@58) 2010/08/04(Wed) 23時頃
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…成る程。
[己の話しをしていたというの二人の言葉に、それで名を。と一人頷き。]
明之進っつーと……昨日の舞の、…。
[思い返すは、焔。 落つ、椿。 不意に、どく、と鼓動が一度跳ねた。]
…ちょ、いてえよ!
[ざわついた胸も、一瞬の事。 ぐりぐりと頭を撫でられれば、笑いながら華月へと抗議する。 更に無造作に広がった髪を手櫛で整えていると、顔を覗き込まれて。]
だいじょーぶだって。 ああ、髪が濡れてんのはさっき風呂入ってきたからだよ。
[覗き込む瞳を見上げる琥珀に嘘の色はない。]
(@59) 2010/08/04(Wed) 23時半頃
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[>>648赦しの言葉には、一度ぱちりと瞬いて目元を和らげる。 続いた言葉にはけれど、少しだけ拗ねた風]
――……心配など。 そのようなこと、主様が気に留められてしまうなんて、 やはり私はまだまだ精進が足らぬのですね。
あ、ですが……
[小さく吐息をつきながら、再び表情は変わる。 花はふわりと満面の笑みを浮かべて]
舞を本郷様にお褒め頂いたのですよ。 とても、嬉うございました。
[膝をつき合わせるほどに距離を縮めて、 ただ主が少しでも心和らげる姿が見られればといと、真っ直ぐに見上げる]
(@60) 2010/08/04(Wed) 23時半頃
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んだよ、そんな心配しなくても平気―――…
[視線を外した華月へそう言いながら、何かに気付いた二人に遅れて振り返る。 そこにはまた一つの人影。]
………。
[対峙するのは初めてだが、昨夜の宴の席で見た顔。 噂の、高嶺。 虎鉄は高嶺の顔を見遣った後、ちらと華月の方を見た。]
(@61) 2010/08/04(Wed) 23時半頃
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若者 テッドは、に気がついたが、口を結んだまま其方を一度見ただけ。
2010/08/04(Wed) 23時半頃
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[名を尋ねられると、琥珀は再度高嶺を捉える。 じっと見上げて、短い沈黙の後。]
――――…虎鉄。
[静かにそれだけ告げ、琥珀を伏せるとたおやかに頭を下げた。 再度開かれた瞳は、真っ直ぐに高嶺を射抜く。]
(@62) 2010/08/05(Thu) 00時頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/05(Thu) 00時頃
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[よい花だ、と―― その言葉に深まりかけた笑みが凍る]
主様……どうして、 どうしてそのようなことを仰るの……
[続いた言葉に、袴を皺が寄るほどにぎゅっと握る。 黒紅色は再び、割れんばかりに見開き、主が表情の崩れるを見る、笑うようには見えない。首を振って子供のように駄々をこねた]
いや、いやです――……主様、 私はいらぬ花なのですか?
また、手離されることになるのですか……
[無意識に零れる また との言葉。 握った手は伸び、震えて“主”が上衣の裾を掴み、 屑折れる膝元に白椿はくしゃりと憐れにつぶれた]
(@63) 2010/08/05(Thu) 00時半頃
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………いえ。 対面するのは初めてですから、どのようなお方なのかと思ったまでですよ。
兄弟子にお声が掛かったようですし。
[見上げる瞳はそのままに、整えた口調でそう言った。 花としての片鱗を見せるのは、華月の手前か。 去る鵠と夜光へはちらと視線を送って。]
(@64) 2010/08/05(Thu) 00時半頃
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若者 テッドは、メモを貼った。
2010/08/05(Thu) 00時半頃
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[>>681 黒紅色の奥底にふ と火が灯る。 気の触れたというのなら、その火は、まさしくそのように見えただろう]
――…ずるいです、 そのような言葉はずるい……
[今更、と。小さく呟く]
いまさら、そのように怖気づいて。 天の火を望んだのなら、
私もろとも焼き滅ぼしてしまえばよいのに…
[繰り返された言葉は聞かず、 火の灯る双眸は一度“主”を睨み、椿は既に足の下。 髪を乱し詰め寄る唇からは、 けれどどこか焦がれるような艶も滲んで]
(@65) 2010/08/05(Thu) 00時半頃
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