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[パア、と表情が明るくなる男に向けて]
……リーガル。あんたってちょっとカワイイっすよね。
[元は金髪碧眼だったと応えて、
英雄≪ハカタノ=シオ≫に乗っ取られると色が変わる、
という点に関しては、あのちょっと見た
カタコト言葉のやつかな、とあたりをつけた。*]
何寝ぼけたこと言って……ああ夢だったわこりゃ
……とりあえふ、食べ物は粗末にすんなよ。
[驚き呆れる李に向けて、
まじめな顔で真面目な言葉を返した。
……ハムサンドをもぐつきながら。
あ、勝利条件……そーか。
[こて、と首かしげ、レタス忘れた、という言葉には]
レタスでてこーい、って念じたらでてくんじゃねっすか
[ラルフが念じたところ
はたしてリーガルの手にしたハムサンドの上に
新鮮なレタスの葉は1振ってきた2だめでした 1]
……んっ、
[デコピンは甘んじて受けた。眉根に皺を寄せながら
びくりと肩を跳ねさせ、じろりと兎を睨みつける。
こいつがアルヤスを好きだったとしたら?]
あんたがそーだったら……冥土の土産が一つ増える?
[餌には、愉快そうにそう言った。
それ以上の興味は無い。
黒い眼差しはくるり、舞台上と書かれた案内板と
その向こうへとむいて
唇から零れるはうわ言の様な、猫には知りえぬ事。
ばっ、と両腕があがると同時、
と、と猫は一歩後方に下がった。
目の前に耳をおったてた李のぴんとたった指先が見える。]
へ。――そりゃあ。
[まだ終わってないということは。
ラルフは一瞬、羨ましげに李を見たが、
その火も、すぐに消して、ため息をつく。
視線をあげれば、さくりさくりと緑色の小道を歩き
『舞台上』の矢印の前に向かう兎の姿が見えた。]
――は。
[ラルフは、流し目に誘われるように、
尻尾をゆらすと、
とっとっとっ、と軽快に歩を進め、
李の目の前で立ち止まる。
前傾姿勢で再び相手の目を見つめると、
にぃ、とチェシャ猫の笑みを浮べて言い放つ。]
しかたねーから、つきあってやるっすよ。
あんたの……何? 日本語でなんつーのか知らんけど。
終わりとやらに。
[それに何と応えられたかはさておき、
ラルフはするりと彼の脇を抜けて、肩をとん、と叩くと
そのまま『舞台上』への小道をゆく。*]
[ぐねぐねとまがりくねるけものみちを
そのまま、歩いていけば、
黒と赤に塗りたくられた階段が唐突に現れる。
昇っていけば、そのまま、
電車のレールが万力によって捻じ曲げられ、ゆがめられ、
さながら空中に道を為しているような、
奇妙な場所に出た。
中央には真っ黒な蒸気機関車が横転しており、
その向こうには最初に李と会った城が見える。
くん、と鼻をひくつかせる。]
……濃い血の匂いは、あっち。
[李の方を振り返り、
ラルフは静かに城の方を指差した。**]
メモを貼った。
[猫のレタスでてこーい
あっさり落ちてくるレタスの葉っぱに、僕の目は点になる。]
ぇぇええええ、そんな簡単に出ちゃうわけ!?
っちょ、えっ…………
[いや、まさかな………。
半ば意地で置きっぱなしになっている僕のホージ茶を
ちらりと見て、まーさか俺が出したんじゃねーよなと
糞餓鬼がアレを出した時の事を思い出して
(あぁぁ、むかついてきた)
やっぱりまだ、茶葉に手をつける事はなかったけれど
目の前で、どこからともなく降ってきたレタスは
テーブルの上に置きっぱなしのそれらへ抱く嫌悪を
幾許か 軽くしてくれた。]
[テーブルの傍から離れる前、思い出したように。]
あぁ、すもものパイも折角だから出しとく。
お子様もいらっしゃることですし?
[ちら、とカルヴィンを見て、キシシと悪戯げに笑い
うっすいベストのポケットから、まんまるおおきな
ホールのパイを引っ張りだす。]
ほい。そいじゃあ、楽しい茶の時間を。
[切り分けるアリスは居ないけども、皿さえあれば
勝手に分かれるから まーいいでしょ。と思った刹那
皿とフォークが現れる。(まー、便利なこって。)
舞台へ誘った猫の反応は上々。
ゆうらり揺れるしましま尻尾に、自分の耳もふわり。]
[ずずいっと にんまりとした笑みが大写しになって
ギザギザの歯がのぞけば ふわっとしたばかりの耳が
小刻みに震える。
(あの歯、いつかチェーンソーでごりごりにしてやる)
なんて 噛まれた恨みは暫く忘れない。
全く、かわいくねー猫だ。]
そーさねぇ。なんて云うんかなぁ。
[僕が抱える”終わり”
探すように空を見れば、葉の間から差す柔らかな光が
ちら、と目の横を過ぎり、
真緑の世界のなかですら 僕の目は満開の夜桜を映す。
それに薄く、目を細めて]
……―――最期の散歩。
[幻で満ちた花天月地。その中から差し出された手が
ぼくにそんな言葉を紡がせた。]
[彼はそこから何を想ったか。とんと叩かれた肩は軽く、
脇を抜けて僕の前を先導してゆく。
ゆうらり、ゆうらり 揺れる尻尾を目の前にしても
弄くる気が起きなかったのは
多分 行く先から漂う死臭のせい。
穏やかな緑の世界に唐突に現れた階段は
鮮やかな色をしているのに、どこか禍々しく
登り切った場所の空は変わらず 紫の曇天。
サイラスから招待状を貰ったあたりだ、と
観客席から戻って来なかった彼を思い出した。]
嫌な夜だねぇ。
[鼻を鳴らして火事場を差す猫
森を駆ける兎の背で かちゃり、と
脇差しを抱く金具が音を立てた。 **]
[怖い事≪ヒュードロドロ≫だっただろうか?
素敵な展開≪ハナバタケ≫である可能性も
考えられるのに残念だな、と。
答えればまた怒られそうだ。]
そーですよと言ったら?
御祝い≪ケッコンシキ≫だろ。
[そしてまた真顔≪ナニイッテルノ≫。
因みにヘクターの中では祭り≪パレード≫だったのは
間違いない事実。
でも
残念ながら夢小説≪オレガ=シュジンコウ≫は好んでいない。]
……何故乙が可愛いの対象≪リカイフノウ≫なのだ。
[そういうのは目の前の三月兎≪リー≫に言おう、
そう心の中でツッコミをした。]
[
意外と願えば出るのかと考え、
あまり余計な事≪ジューハッキン≫は考えないほうが
良さそうとも考える。]
…こうもあっさり≪ウスシオアジ≫だと拍子抜けだな。
[だから無言でハムサラダサンド≪カラシマヨツキ≫を
口に収めれば満足そうに腹を満たすとした。
何か変なの出たら、何を言われるか。]
はいはい、仲良くデート≪ステップアップ≫して来い。
[
ヘクターはカルヴィンの顔をチラリ。
何を言われようが御構い無しに皿へ一切れ分盛れば
彼の目の前に差し出したろう。]
最期の散歩? ふうん。
[兎のうらみも何も気にする事は無く
告げられた言葉を反芻して、
ふるり、小刻みに震える耳を視界に納めてから
タン!と一歩を踏み出し
既に出番の終わった舞台への道筋を辿る。
ちらと見た兎の瞳に、月が見えた気がした。*]
― 舞台 横たわる電車→城 ―
――いつもどおりっすよ。
いつもどおりの、悪夢。
[小さく肩を竦めて、金具の音に目を細め
ジャポーネのカタナとかいうやつか、と合点し
己も、と縄鏢がないか探すも、あるはずがない。
置いてきちまったしにゃー、なんて事を考えながら
森の木々の間を身軽にかけていく。
ふわふわと揺れる兎の耳をひっつかみたくなるのは
きっとチェシャ猫の本能のせいだろう。
(さすがに起きている時にそんな事はしないし、
幾分かいつもよりふざけている自信がある)]
[ ――ザッ。 ]
[そうして、森を抜ければ
むせ返るような黒薔薇の香が
ここまで届いてくる。
遠くに人影を見つければ、ラルフは低く唸り]
……あれじゃねえの。
[静かに、彼らに近づいていった。
舞台の演者達にどうやら自分達の姿が
見えてはいないらしい、と
気づくまでにかかるのはどれほどの時間か**]
……嗚呼、もう花畑広がってろ≪バクハツシロ≫
[自身の分もすももパイを皿に盛れば
一口頬張って、そして呟いた言葉はこの腐りよう。]*
メモを貼った。
― 黒薔薇の城 外壁 ―
[どこからともなく鉄錆の薔薇が香り、鋭い蔦がはみ出す城は
僕がここに落ちてきた時と変わりない。
とん、と土の地面を蹴れば 踵が小気味良い音を立て、
まさに「舞台上」と言うかの如く、撫でる死の匂いも
自分に”生きている”と錯覚させる。]
いつも悪夢? そらぁ日頃の行いのせーじゃねえの。
俺はこんな酷い悪夢は……5年ぶりだ。
[肩を竦める猫
地を蹴る足はたびたび足を止め、常に猫の指が示す方へ。
暫くすれば 聞き覚えのある声が僕の耳でも掴めるだろう。
兎も小さく鼻をひくり。
猫の声
[ ―――ざあ、 と生温い風が吹きゃあ
薔薇ではない血の匂いが微かに揺れる。
見覚えのありすぎる双剣の黒髪と
自分とは違う、真白の耳を血で汚した『兎』
随分と変わり果てた姿の――――アリス。
黒髪を揺らす隻腕は、あの日見た綺羅びやかさの欠片もなく
それに暫し 絶句する。]
なんだ、あれ。 別人じゃねーの…。
[アンタがアリスをあーしたの?と猫へ問いつつも
耳を叩く彼の言葉
僕は 会えたのなら聞きたかった事が胸に詰まる。
「アンタの義ってのは何なんだ」
問えずに終わった言葉。]
アルヤス!!!!!!!
[ 今更問おうという心算もない。
僕の命が其処にあると
そんな事を伝える心算も毛頭ない。
けれど一度 名を呼ばずにはいられなくて
白兎へ曲刀を向ける綺羅星
呼びかけは宙へ消え
真黒の月が吸い込んでいった。*]
メモを貼った。
五年前に随分なことがあったよーで。
[相槌を打つ。
見上げた空は、紫の雲が垂れ込めて血生臭い瘴気を零し
ざわめく森が影絵のようにその紫を切り抜いて
一層、不気味だった。]
勝手にあーなったの。
[まさか自分の殺気に呑まれただとか
そんな事は知らないから、
李の問いには適当に答えて
たどり着いた地、黒薔薇の城の外壁で。
見つけた二人の姿を、猫は赤い瞳の中に映し出した。]
[薄く血塗れた鋒をアリスへと向ける白兎。
表情は笑わぬまでも、
声の調子は勇ましく、笑みを孕んでいた。
ほんの少しの邂逅だったが、彼もまた、
この狂った舞台で悪魔に踊らされたのだろう。
それを思えば、白兎を見つめる目は真剣になる。]
[ ――号令
[鉄球に纏わる業炎が、
フランベルジュを手に急降下する女王の赤いドレスを、
風に靡く赤い髪を、
琥珀の瞳を照らし出して、
――それはまるで天駆ける星のよう。
ただ突き進む英雄のよう。]
[ふと、思い出したのは、
マフィアのボスとして、
ファミリーを率いるボスの不敵な笑顔。]
[ ( 蓋をして、)]
……がんばれよ、 女王様、 白兎。
[隣でアルヤスに向けて叫ぶ李の声が聞こえる。
それに僅かに「うるせえ」といいたげな顔をしたが
何も、言わない儘。
ラルフは、木の幹に背凭れ、
その様子を――
終幕に至るまでを、静かに見ていた。**]
お前、一言余計だよ。
[お茶を飲みながら、目線だけをちら と李に寄越してやって。
悪びれず笑う彼
それでも不思議の国のアリスやハートの女王相手に言われるのと違って苛つきはしないのは、彼の人となりのせいか。
ポケットから、明らかに入りきらないであろう大きなホールパイを取り出したのを見れば、似たような現象を日頃から見慣れているために驚きもせず。気になったのは、何のパイかという点。]
ほう…、気が利くじゃないか。
[声には喜色が混じり ]
余所見して、さっきみたいに転ぶなよ?
[転倒の原因はチシャ猫だと分かっていながら、揶揄を含めて。
その実少しの心配も混ぜながら声をかけた。]
楽しいデートになるといいなぁ?
[ヘクターに便乗して
連れ添って席を後にする彼らを見送る。]
……やっと、静かになったな。
[ヘクターに話し掛ければ、取り分けた分のパイを差し出され]
ふふ、『苦しゅうないぞ』 ...なんてね。
ありがとう、頂くよ。
[礼を言って受け取り、銀のアンティーク調のフォークを手に握る。
丁度飲み終えて空になったティーカップには、新たにストレートの紅茶が満たされていた。]
基本的に騒がしい≪フェスティバル≫である事が多い故、
静かなのは少し落ち着かんがな…。
[
常に騒ぎだらけの世界≪チョウミリョウ=センソー≫に住まう
彼はそう言って苦い珈琲を嗜む。
普段ならば白≪マヨネーズ≫を入れたかもしれないが、
何だかそんな事をする気にはなれず。]
…まあ、仕事≪ミヤマモリ≫だらけでたまには休みも
良いものではあるかな。死んでるが。
[死ぬ事が休みとは皮肉過ぎる。
だけどこれから先、彼がもし目覚めた後
改めてくる真の死亡≪ゼツボウ≫は過労死≪ハタ・ラ=キスギーン≫
なのだろうと思うあたり困ったもの。]
…紅茶、美味いか?
乙の世界だとかなり調味料≪コンモリン≫入れるが
[看板の先、"観客席"を目指しつつ。
死後の世界とはこうも騒々しいものなのか、と肩を竦めて息を吐く。
嗚呼それにしても、三月兎
珈琲が嫌いだと言うからには、きっと苦いだとか酸っぱいだとか、そんな感想を抱いているのだろうが――男に言わせれば、それは"美味い珈琲を飲んだ事がないからだ"。
自分とて、最初から得意だった訳ではないから。だから呆れると同時に、こんなに美味いものを飲まないなんて、勿体無いとも思う。]
……しかしこの馬鹿げた劇は、いつまで続くんだろうな。
[ぼやきつつ思い出すのは、死んだ時の痛みと"卵"の言葉
彼もまた割ると痛いとぼやいていたが、かと言って同情出来るかと言われれば否だ――絶対、此方側の方が痛かった。
それにしても、あの卵の忌々しい事。
簀巻きに出来るものならばとっくにしていたとも――認めたくはないが、したくても出来なかっただけだ。
しかし、言語体系が違うと思っていたあの卵だが、どうやら一応此方の言葉も話せるらしい
あれを聞いた時は思わずギョッとしてしまったけれど、今思い出せば何だか可笑しくもあるものだ。]
[…そう言えば、此方側の女王だけれど。
先程、赤の女王やら三月兎やらから語られた、もう一人の女王
……さて。
ここが"観客席"かな。
[そうしてたどり着いたのは、森の先。
がらんとしたそこに居たのは二人の人物――一人
……君も此処に来て居たのか。
招待状、ずっと待っていたんだがね……ヘルシング。
[あの時、不思議の国で交わした約束を思い返し。片手を上げてそう声を掛ければ、イカれた帽子屋はさて何と答えただろう。
そして、もう一人。
特等席とでも言えるようなそんな場所で劇を眺めている女性
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