25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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――……、
[それに触れられるかはわからない。 抱いた太刀は腰に佩き。
伸ばす指先は彷徨う、 描かれた絵画と、もう一つ描く為の道具]
……生きてさえいれば、
[生きる、妬ましく美しい言葉。 案ずることはあれど――それは捨てぬ、と信じている。 描くのは好きだ、と肯定したそれを思い出し、 願うように手を伸ばす]
また、描けるでしょう。 ――己が為にも。
(@10) 2010/08/09(Mon) 14時半頃
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[差し伸べられる手を確りと受け止め、 紅く染まったその指先へと口接ける]
はい……。お待ちしておりました。
[濡れた眸の侭、儚く微笑みをうかべて]
何処へなりとも、連れて行って下さい。 あなたが望む場所へ。この鳥も、一緒に。
(92) 2010/08/09(Mon) 14時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/09(Mon) 14時半頃
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[崩れ落ちる廊下の梁。もはや逃げ場はほとんど無いか。
手を取る愛しい子を、腕の中へ強く抱き寄せて。]
…我侭な主で済まぬ。 行く道が地獄の底であろうと、共に付いてきてくれるか?
[微笑浮かべるその唇にくちづけを。]
願い叶うならば、次の生にはそなたと番の鳥に。 共に愛しき卵を育み、巣立ちの日まで見守れる鳥に…
(93) 2010/08/09(Mon) 14時半頃
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[燃える色のべべ着た童の姿は朧に霞み。
輪郭も今に消え入りそうな儚き型は記憶の残滓。
傍に添う、黒の獣の気。一度だけ、いぬ、と呼んで。
啜り泣く幻影は何も言わず、狼が傍に在ることを許す。]
[朧と名前を呼ばれ、上がる童の顔は涙で泣き濡れて。
はたはたと、雫を零すは黒檀の瞳。
糸繋がる先、童が大事に抱く二つの花。
其れと同じ色の双花を見上げ]
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[左の袖が熱風に煽られ、翻る。 その下に、現世の者に視える腕はすでにない。
炎の舌になぞられて 白き衣は緋色に染まり、 黒い瞳も紅を濃くして、 邸内を行くは主を追って――、
ふと――紅の月下に響く戀歌が途切れた]
(@11) 2010/08/09(Mon) 15時頃
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[幼い声。願うは、誰に―――…
花を抱きしめた童の姿は、炎の中に溶けるように消える。
糸が断ち切れたわけではないことは、花達には解かるだろう。*]
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[己を抱くその腕の強さに、愛しさが募る。 付いて来てくれるかと尋ねられれば、 答えの代わりにその背に腕を。ぎゅっと回して]
僕の道は、あなたと共に。
仮令そこが地獄の其処であろうとも、 あなたが隣にいるのなら迦陵頻伽の鳴く天上と変わりません。
[落とされる口接けに、眸を閉じる]
僕の番はあなただけ。 かすみ……。愛しています。
[初めて口にする主の名。 もう一度唇を重ねれば、炎に揺らめく影はいつしか一つへ]
(94) 2010/08/09(Mon) 15時頃
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[遠くなっていく足音。
遠ざかっていく姿。
炎の勢いが強くなっていくのが良く見える。
冬の残したもの。
霞が残そうとしているもの]
…遠いな。
[小さく呟く。
気づいて、そんな言葉になった。
自分はそういえば、何も残してこなかったのだと]
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あぁ、愛しているよ…かりょう。
[その声が呼ぶ己の名。 愛惜しくその背を抱き、その唇を重ねて。
いくら愛したとて、わたしは獣。 今生で結ばれることの許されぬ仲ならば。
その小さな手に握らせるのは、月に叢雲紋の懐剣。 それは護身の為ではなく、気高く生きるそのために、自害のために持ち歩くもの。]
(95) 2010/08/09(Mon) 15時頃
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[ずしりと重い、その懐剣を確りと握る]
今生で果たせぬ夢ならば、次の生で。 僕はもう一度、あなたに戀に堕ちる。
[鞘から刀を抜き、炎を照り返すその刀身に微笑んで]
旅立つあなたを見届けて、すぐに僕も参ります。 待っていて、下さいますか……?
(96) 2010/08/09(Mon) 15時頃
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───霞。
[生きていれば、その選択をとめることはできただろうか。
止めても、変わらなかったように思う。
ため息だけが落ちる。
手が視界を覆う。一瞬だけ。
目を逸らすのは、好きではないから]
落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/09(Mon) 15時半頃
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[抜かれる刀身。その華奢な手には重いかもしれぬが。
いつかまた巡り逢うことを夢見て、少年の前へとひざまづき、 祈るようにその目を閉じた。]
(97) 2010/08/09(Mon) 15時半頃
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[ひざをつく美しき獣へと。 翳した刀身は吸い込まれていく。
飛び散る血潮は鳥の華奢な身体を赤く染めて。 旅立つ愛しき人へと、 少年はその花のかんばせを綻ばせた]
(98) 2010/08/09(Mon) 16時頃
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…、―― な、
[狼から、人間へ。
目に映るその光景に、紫苑色を見開いた。
意地の悪い表情に
今一度瞬いて胡蝶を見る。
その間に、本郷の視線はこどもへと向かい。
焔は燃え上がり、
その横顔を白く浮き上がらせた。]
[焔の嵐に紛れてしまいそうな
ちいさなこどもは朧と揺れる。
泣き濡れた眼は黒檀で、
嗚呼
紛れもなく
と、腑に落ちる。
きらり、糸は確かに繋がり
見上げる眸を見下ろす二色]
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[貫いたその身体から刀を引き抜き、 血に濡れる叢雲の懐剣を逆手に構えて]
――――……ッ
[愛する人の血を吸った刀を己が胸へと突き立てる。
口端を伝う朱を指で拭い、紅の代わりに主の唇へなぞって]
やっぱり……あなたには紅が良く似合う。
[うっとりと呟き、折り重なる様に崩れる身体]
愛してる……。
[紅引く唇に口接けを捧げて。
漸く手に入れた愛しき人を腕に抱き、 少年はゆっくりと、瞼を*閉じた*]
(99) 2010/08/09(Mon) 16時頃
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…、おぼろ、――
[在りたい、と
願いを口にし消える黒檀のこども。
空いた方の手を伸ばす。
――りん
と、鈴が鳴って。
白鷺の花は揺れ。
指先は空を切る。
されど、確かにつながる絡めた指先の糸。]
――――…迦陵
[折り重なる身を、ただ見ていた
唇から音が毀れた]
小僧 カルヴィンは、ランタン職人 ヴェスパタインに寄り添うように。旅立つ魂は、とこしえに共に……。**
2010/08/09(Mon) 16時頃
初めから、鵠の為の花やった……ってことやろか?
[瞬く紫苑色に苔色は微笑み、相手の視線の動きをなどるよう。
意地の悪い貌を浮かべる狼を見遣る。]
わて、頭ようない、いうとりますやん。
[聊か拗ねたように、唇を尖らせて文句を謂うも、
苔色は穏やかなままだ。
紫苑色を追って鉄色を見た苔色は、
次はその苔色を追って黒檀を見詰めた。]
[朧に霞む黒檀から露。開いた唇から零れた願い。
嗚呼――と、花の一つは息を吐いた。
絆、断ち切れたわけでなく、消える姿を見送る。
―――りん。
鈴がなれば、胡蝶の唇が開く。]
共に在りたいんは……―――
[霞む月だろうと、呑みこむ言の葉。
「生きろ」――謂った言葉に嘘はなかったろう。
でも、真実でもなかったのだろうと。
――……人は、矛盾を孕みあるものであるから。
願いの一つの形は、朧の双花に垣間見れた。]
…――…共に、か…
[手につながる糸を
眼を伏せるようにして見ながら]
…霞の月は、
迦陵頻伽と旅立って、しまった。
……
迦陵と?
[二つの花が交わす言葉
ふ、と笑み零し]
……あの方は随分と欲張りで
欲しいものは総て浚って行きましたよ
月はひとつに。
其処におさまっているでしょう
[崩れ重なる身体を指す]
…――、
[ぱちり
と、瞬くひとつ]
…嗚呼、
…そう、なのか?
[燃え盛る、焔。
それは、壮絶なまでにうつくしい]
……欲深い、ことだ。
言いながら それはせめる風でもなく。静かに、静かに。
落胤 明之進は、メモを貼った。
2010/08/09(Mon) 16時半頃
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[――――ふわり、と、 燃え盛る焔の中に白拍子。 紅蓮を映す、瞳は静か――血に塗れた獣を見つめる。 紅に染まる霞月、それはまさしく己を喰らうたその姿]
喰らうて、 喰らうて、
――小鳥が翼も 血に染めて、連れて逝くのですか。
どこまでも、業の深い。
[これは友を喰らい、己を喰らったもの。 たとえ、獣の憐れを知ったとて、 虚ろの消えることはなく]
(@12) 2010/08/09(Mon) 16時半頃
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なぁ……―――
[華月――朧の双花の片割れより、胡蝶強くなる存在が、
繋いだ手の先に願いを紡ぐ。]
花やのうて、共に空をかける存在であるときは
『白鷺』って呼んでもええやろか?
[鵠という名が花の名であるのなら
共に飛ぶ時は別の名を欲するのは、嫉妬であろうか。
けれど……―――
胡蝶であっても、華月であることは忘れていない。
白鷺という名、鷺草に添えられた伝承もまた、主を忘れない為にある。
―――『夢でもあなたを想う』]
[鷺草に添えられた花言葉。
胡蝶の夢――胡蝶である時が夢であるとしても
紫苑色と黒檀を夢でも想うための呼び名。]
[ロビンと花の片割れの会話に唯、微笑む。
欲深いのは、花でありたく蝶でもありたい自分も同じことと。]
朧様の望みが叶っとるんやったらええ。
[ロビンの謂うが真実か否か。
今はわからねど、
せめる風でなく静かに聴こえる声の後に、そう重ねた。]
[主の傍に咲く人食いの花がうたう]
願いをひとつ
望みをひとつ
……私は花故に
願いは叶うか
望みは絶たれ
貴方さまは花主を辞めたから
願いは総て
望みも総て
彼は……どちらでもあったから
[秋の心を胸に懐いて]
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